モラトリアム 

March 04 [Sun], 2007, 1:30
人は何処で折り合いをつけるのでしょうか。
いつ、大人になることを受け入れるのでしょう。
どうして、社会に出ていくのでしょう。
このまま、学生でいてはいけませんか?
ずっと大人にならずにいられたら…。
教えて下さい。
何処で、折り合いをつけるのでしょう。

通り過ぎた空 

March 03 [Sat], 2007, 2:03
いつもいつも目にしているはずのそれが、どうしようもなく悲しいものに思えた。
それは単に、いつも変わらずにそこにあって、いつも変わらずに眺めていれば、いつもと変わらないそれであったはずだ。
こっちが、いつもと違う。だから、それはどうしようもなく悲しいものに見えたのだ。
空気が冷たい。空の蒼は、透き通って、堅く、冷たいものに見えた。
酷く悲しかった。
酷く、悲しいものに見えた。
自分自身が、冷たく、堅い殻に閉じこもって、悲しかった。どうしようもない、醜さだった。
どうしてこんなに、自分自身に自信を持とうとするのだろうか。
そんなに、価値のある人間か。
自分は他の人間よりも、どうして価値があると考えられるのだろうか。
自ら批判しながら、自ら否定しながら、でも、心の奥底では、そう考えずにはいられない。
そう考えずにはいられない自分が、醜くて、おぞましくて、厭わしい。汚らわしい。
堂々巡りだとわかっているのに、どうしても、行き着く先の無い、考えばかりが廻る。
雲雀が鳴いている。
一心に、それしか知らぬように、高く舞い上がり、声高く、泣いている。
どうしようもない堂々巡りも、それしかできぬ本能だろうか。
無いものばかり、努力することも無く、ただ、泣き声をあげて、求める。
幼子にしか許されぬそれを、繰り返し繰り返し。とうとう、自分だけの堂々巡りに陥った。
そこは悲しい空の底だった。
殻の中は、空だった。何も無く、空っぽの、空だ。
目にしてきた色も、風景も、その中に入っていったものは、悲しい色に、一色に染められた。
いつもいつも、そう。此処は変わらない。
変化を嫌うのは、老人ではない。
心が、殻に覆われた、彼の人を、老いた老人と呼ぶのだろう。
そして、変化を嫌うのだろう。
いつも通り。
そして、心のままに、悲しい。

最近の傾向 

June 17 [Sat], 2006, 5:43
なんだか、ボスとベイベにハマり気味です。
オリジナルに、なんか飽きたのかな?
本当にころころと、お気に入りだけムダに増えてゆく…。

ちょこれいと。 

February 27 [Mon], 2006, 22:56
その日、奏は、どことなく落ち着きがなかった。
普段はぼぉっと、どことなく遠くを見つめている澄んだ瞳も、きょろきょろと辺りを彷徨っている。白磁の頬も、薄紅がかって艶やかだ。

「…奏、どうかしたの?」

堪りかねて、由はそう尋ねた。

「…え!?…ど、うも、しないけど…」

「嘘はよくないよ」
「嘘じゃない」

「…奏」

溜息混じりにそう由が吐き出すと、奏はきゅっと眉根を寄せた。

「…別に、たいしたことじゃないよ」

それでもなお、そう言い募る。

朝からそわそわして、現在昼休み。時折艶めいた溜息まで零しているので、どうしろというのだろう。
昔から綺麗で可愛い幼なじみを、ここまでするのは、たった1人だとわかってはいるのだけれど。

「今日、先輩と何か約束してるの?」

ずばり切り込むと、奏は頬をかっとあからめた。

「…あぁ、そうか。奏、バレンタインからずっと、インフルエンザで寝込んでたよね。もしかして、今日は久しぶりのデートなわけ?」

由も付き合わされて、恐ろしき女性たちの集団をかいくぐり、もちろん私服でだが、なんとか入手したチョコレート。購入したことに安心したのかわからないが、肝心のバレンタインデー直前に奏がインフルエンザにかかったことは、記憶に新しい。そういえば、チョコレートをどうしたか聞いていなかったな、と、今更ながらに由は思う。そう考えると、今日の様子も納得だ。

「…どうして、わかるの?」

奏は観念したように深く溜息をついた。

「そりゃ、よく考えればわかるよ。」

「…煕人さんにも、バレバレってこと?」
「会えば…きっと、ね。」

呆れられたらどうしよう、と、奏は小さく呟いた。ちょっと切なげな表情が、またその可憐さを際立たせる。

この綺麗な人間は、己の行動がどれほど可愛いものか、理解をしてないらしい。ついでに鈍いときている。ある意味王道なんだけど、なんだかな、と思ってしまうのはどうしようもないではないか。

「まぁ、きっと喜んでくれるから、心配はいらないよ。」

優しく笑って言っておいた。喜びすぎて逆に困る可能性はあるけれど。
だといいんだけど、とまたそわそわし始めた奏を横目に眺めながら、由は軽く溜息をついた。

明日、学校に来れるかな。せっかくインフルエンザから回復したばかりなのに。

2月も終わりの日にしては、比較的暖かい、青空だった。

Sein 存在 

February 21 [Tue], 2006, 22:39
突然、訳もなくなきたくなるのはどうしてだろう。
何かが、泣いて解決するわけもないのに、何故か、泣きたい。
いや、涙が、溢れてくるんだ。

わたしは何がかなしいのだろう。
わたしは何か悔しいのか。
わたしは何処か幸せなのだろうか。

問いはぐるぐるとメビウスの輪。
留めなくあふれ出る涙に、頬が濡れた。
ぽたぽたと、シーツの上に染みが残っていた。

誰も知らない、自分だけの涙。

嗚呼、わたしはわたしの為に、泣きたかっただけなのかもしれない。

二律背反 

February 15 [Wed], 2006, 21:30
「…ちょっと、腹、痛いんだけど」

「そう」

「…なんだよそれ。」

「お前が構うなっつたんだろ。」

「それとこれって、フツー別だろ」

「俺は別にしない」

「俺は別にすんの!」

「つうか、元気じゃん」

「腹痛いからしゃべって誤魔化してんだろうが」

「あ、そう。」

「…」

「…」

「…今、まじ傷ついたんだけど。」

「…何して欲しいわけ?」

「……………キス。」

「最初からそう言えよ。」

言えるかよ、とは言わないでおいた。
どうしてって、アイツのキスが優しかったから、それだけだよ。

学園モノ2 

February 10 [Fri], 2006, 16:17
本條によると、基本的に恋愛は異性間で成立するものらしい。たしかに、昨今の映画とか小説とかで、同性間の恋愛をあつかったようなものは見たことがない。
とすると、異性間の恋愛が一般的だとすると、校内の状況は特殊といえば特殊だ。
なんたって、普通に男同士で恋愛をしているのだから。

「あ、でも、結局白雪は男でもいいんだよな。…つき合ったこととか、あんの?」
同姓の恋愛は否定するが、人間好奇心はあるらしい。
「ないよ。…というか、付き合ったこととか、ないんだよね。僕、どうやら人にあまり恋愛感情をいだけないというか。」
「へ〜。…でもさ、白雪、そんだけ可愛いと、やっぱ迫られたりしないか?」
ほっとしたような表情の後、本條は心配そうに眉根を寄せた。
「皆無とは言わないけどね。これでも武道の心得はあるし、そんなに迂闊な状況は作らないようにしてるよ。」

そう、別に自慢というわけではないが、僕は非常に可愛らしい顔をしている、らしい。
二卵性なのに、姉の楓と瓜二つ。身長も同じ。僕は楓のほうが可愛いと思うけど、彼女は絶対に僕のほうが可愛いという。正直、うれしくないが。
ぬけるような白い肌、薔薇色の頬。柔らかな亜麻色の髪に、亜麻色の長い睫毛に縁取られるのは祖母譲りの碧の瞳。西洋のビスクドールのようだと、幼い頃から楓共々よく言われていた。それは今でも変わらない。
個人的にはもっと身長が欲しいけれど、成長の兆しはない。せめて彼女より3センチとか、高くなりたい。160センチなんて、悲しすぎる。

本條は、身長も低いというわけではないし、可愛い女顔、というわけではない。ただ、すごく綺麗。
男臭かったり、格好良かったりというより、性別を感じさせないような、ニュートラルな感じ。
こういう人は、女の子からも、男の子からも好かれるタイプだ。本人的には女の子からだけで十分らしいけれど。
艶々の黒髪は、とっても綺麗だ。ふわふわの髪の僕としては、ちょっとうらやましい。

武道か、そんなのが必要なのか、怖いぞ、とぶつぶつ本條は顔を青くした。
編入してきて環境が変わった上に、いきなり恋愛対象外だった男から、しかも迫られたとあっては、さすがに可哀相だ。

「まぁ、楓に紹介してあげるから。元気出して。」
「やった!」

そんな会話から、新学期は始まったのだった。

学園モノ 

February 10 [Fri], 2006, 15:18
私立鬼頭館高校は、幼年部から大学までを有する名門校である。高等部までは男子校であり、女子鬼頭館が女子校、大学から共学というシステムであった。
僕、白雪薫は、幼年部からずっとエスカレーター式に進学している。つまり、一度も外部の機関で学んだことはない。ついでに中等部と高等部と、寄宿舎で生活していたから、確かに世間知らずなのかもしれない。それでも、女子鬼頭館には双子の姉、楓がいたから、その生活ぶりとかまぁ、面白い話は色々聞いていた。

そんな僕の、恋愛観はおかしいらしい。むしろ鬼頭館全体がおかしいらしい。
高等部2年の春、見知った生徒ばかりのクラスに、転校生がやってきた。その彼、本條直志はそういって憚らない。

「おかしい、といわれても、どうも僕には実感が湧かないのだけど。異性間でも同性間でも、別にどちらでもかまわないと思うし、楓もそう言ってたんだけどな。」
僕はそう言って、軽く首を傾げた。本條の顔が、微かに赤らんだ。
「…楓?」
「あぁ、僕の双子の姉。女子鬼頭館に在学。」
「…て、ことは、彼女は女同士で恋愛をしてるわけ?」
せっかくの綺麗な顔を、本條は思いっきり歪めた。
「楓は男のほうが好みだって言ってたけど。本條君とか、きっと好きだろうなぁ。」
「まじ?白雪のお姉さんだったら、そうとう可愛いだろうな。」
顔をぱっと明るくして、本條は笑った。
「て、そうじゃなくて。問題は何で俺が男に口説かれなきゃなんないのかっつー話だよ!」
くるくる表情が変わって、おもしろいなぁ、と薫は思いつつ、本條を宥めた。
「まぁまぁ。本條君は、綺麗だからね。中性的っていうのかな。きっと好みの人には好みなんだよ。それに、誰かに好意を寄せられるってうれしいじゃない。」
「…そりゃさ、白雪のお姉さんみたいな女の子からの好意はうれしいけど。絶対に男からの好意はうれしくない!!」
本條は声を張り上げて、机を拳で叩いた。
「白雪だってむさい男から迫られたら逃げるだろ!…つーか、お前も…その、男が好きなわけ?」
「別に、男女には頓着しないよ?綺麗な人がタイプ、かな。それに、口説かれるのならともかく、たしかに迫られるのは…好意を抱いてない人からはちょっとね…。」
「だろ!!俺の好みは、可愛い女の子なわけ。…で、女の子とわざわざ言わなきゃならないのがおかしいんだって。」

空の蒼2 

February 07 [Tue], 2006, 1:23
白地に、大小様々カラフルな円が描かれ、遊ぶ色、と書かれていた。さすがにポスターも趣味がいい。
建物はといえば、ガラス張りで、美術館と言うよりは、カフェとかアートギャラリーだとかのほうがしっくりくるだろう。
個人が所有している美術館で、持ち主は大会社の元社長というが、とても趣味のいい人だと思った。老後にこんなことが出来るのは、ある意味で理想かもしれない。
今回の展示も、アマチュアから学生、社会人まで、様々な人の絵を、その人が選んで集めたらしい。このような小さな、画家の名前に囚われない自由な展示が、密かに評判なのだという。
入り口までの石畳を赤い落ち葉が覆って、綺麗だった。
璃緒はそこを軽やかに進み、すでに扉に手をかけていた。
そんなに楽しみなんだな。
と、思わず納得した後、楳もゆっくりと入り口へ向かった。


迎えてくれたのは、ドビュッシーだった。
館内には、耳障りの好い程度に、音楽が流されていた。
近代音楽の幕開けともいわれ、印象派の名をもつ彼の音楽なら、確かに、遊ぶ色、だな。
楳は微かに笑みを浮かべ、暖かい空調にほっと一息ついた。コートとマフラーも預けて身軽になると、楳を置き去りにして独り先へ進んだ璃緒を追いかけた。
床は木目で暖かい。本当に、趣味のいい建物なんだとしみじみ思う。
人も疎らで、ゆっくり鑑賞するには文句のつけようがない。

入り口の落ち葉の色に続けてなのか、始まりは赤。
それから、橙、黄、黄緑、緑――青。


息を呑んだ。

――空、だ。


立ち止まり、何度も瞬きを繰り返した。足が縫い止められている。
一瞬、自分の夢か妄想かと思ったが、紛れもない現実で。
ただ、こんな空を、青――蒼を、言葉にしたいと強く思った。
本当に、言葉には表せないとしか表現の仕様の無いような、不思議な感覚だった。


コトリ、と靴音がして我に返った。どのくらいその場にいたのだろうか。さすがに、入り口に立ち止まっていては邪魔に違いない。

ゆっくり、ゆっくり、近づいた。
確かに、それは絵の具で描かれた絵画だった。それほど大きいわけでもない。


弓月桜

それは、決して忘れられない名前になる。

空の蒼1 

February 07 [Tue], 2006, 1:08
そこに、「空」があった。
ずっと言葉で表現しようとしていたものが、そこには、確かにあった。



もう、すっかり街は秋だった。
通りの木々も色づいて、葉を散らしている。冷たい風に梢は揺れ、葉は舞う。雑踏のざわめきも、冬を予感するように、どこか密やかだ。

あたりよりもいっそう木の多い、公園のような一角。
彼は、そんなに興味もないのに、半ば無理矢理。美術館まで連れてこられてしまっていた。

「璃緒、そんなに急がなくても、美術館は逃げないと思うけど。」

寒い中、駅からだいぶ歩いているせいか、ついつい非難が口をつく。

「逃げる逃げないの問題じゃないのよ。わかる?わたしが、どれくらいこの展示会を楽しみにしてるかの現れだっつーの!」

黒い長めのマフラーにすっぽり収まった髪を揺らし、彼女は振り向いた。完全防備だ。同じ色の手袋を嵌めた手を、びしっとこちらに向けて言い放つ。

「あーはいはい。わたくしが悪ぅございました。」

ここは謝ってしまうほか無い。何とも頭が上がらないのは、やはり長年のなんというかだ。

「ったくー。楳も学青年なら、絵画ぐらい嗜みなさいな。おばさまも、なんでこの日に限って風邪なんて…。」

ブーツのヒールを鳴らして、はーっと深く溜息をつく。
いや、溜息をつきたいのはこちらのほうなのだが。
楳は視線を彷徨わせ、数時間前の災難を振り返った。

そもそも彼女と約束をしていたのは母親で、それが日頃の行いか、というと後が怖いが、まぁ運悪く季節の変わり目にひっかかり、風邪をこじらせてしまったのだった。それがたまたま家にいた自分にお鉢が回ってきたというわけで。
ついでにしっかりコートもマフラーも着せられて、家を追い出されたのだが、小遣いをくれただけましというべきか。

「あ、ここかな?」
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