島田 荘司 『切り裂きジャック・百年の孤独 』他。

January 28 [Thu], 2010, 11:47
最近DSの方でも殺人事件を追っています。
私めはアメリカの刑事ですよ、これでも。




島田 荘司 『切り裂きジャック・百年の孤独 』 ★★★


面白かった!
島田氏×歴史新解釈=一大ロマン作品、鉄則です。
説得力のブースターは、氏の活力漲る表現力なんでしょうねー。
様々なやいのやいの、を優に飛び越えてしまう気がします。



島田 荘司 『エデンの命題』 ★★★


感想を書いていたら、話が「メタミステリと脳」についての長文になってきたので、
改めて別枠にします。



島田 荘司 『ひらけ!勝鬨橋』 ★★★★


ヤクザまがいの悪徳企業に潰されそうになる老人ホーム。
ホームを守るため、施設の中でも爪弾きにされていたおじいちゃん達が、一念発起して奮闘する。

泣いた泣いた。
コーヒー飲みながらラストで相当泣いたこれ。
頭にみるみる情景が浮かんできてね、それと一緒に涙がね、止まんないんだよね。

多分全然凝った展開じゃないし、どちらかといえば戦隊ヒーローものみたいなやっぱり来た!感はあるけど、
そういうことじゃないんですよ。
理屈とは別次元で感動できる大人に育ってよかったよ、私。

島田センセの作品にこんなユーモア感たっぷりのものがあったのか!という驚きから読み始めた作品でしたが、
やはり先生らしさいっぱいの、体が熱くなるよな話でした。

ちなみに車好き、バイク好きは必見(私は違うけど)です。



泡坂 妻夫 『比翼』  ★★★


泡坂さんの短編集は読みすぎて近頃ごっちゃになりつつあります…。

今回丁寧にもジャンルわけして収録してくれてまして。

「一の部屋/職人気質」
「二の部屋/奇術の妙」
「三の部屋/怪異譚」
「四の部屋/恋の涯」

職人の話、大好きです。
小さな子供の頃から、本当に憧れの存在なのです。
その私の憧れの人たちが、憧れの技術を当たり前のように身につけて暮らしていて、
私からすればちょっぴり特別な体験をすること、出来ることがうらやましいくらい。
彼らの世界の特に素晴らしい部分を垣間見せてくれる泡坂先生。
やっぱり先生も、かけがえない職人のひとりなんだと思わされます。

センセの奇術ものは安心してだましてもらえます。
私が騒いでいる時は、これを渡すとおとなしくなります。

怪異モノはそこまで注目してるわけじゃないですが…。
泡坂先生はどうも、異様に女性を恐ろしいものと考えている節がある。

恋にまつわる話、「花の別離」がとても心に残りました。
ひとつの悲恋を描いた物語ですが、
実に物悲しく、狂おしく、熱がこもればこもるほど、冷たくなっていくような情緒が、美しい筆致で描かれていました。
プラトニックの涯てにあるのもまた、耽美な地獄なのですねえ。



西澤 保彦 『念力密室!―神麻嗣子の超能力事件簿』 ★★

これまた何冊か読んだあのシリーズ。
いくつか話しが進んだ後、そもそも出会いにまつわるエピソードに戻るのはある種の予定調和ですかね。



山田 風太郎 『十三角関係 名探偵篇―山田風太郎ミステリー傑作選』 ★★★★


酔っ払いの医者、荊木歓喜先生の事件簿。

時代は戦後、私の中のミステリ黄金時代。
ああ憧れの、全ての事件が色鮮やかにたち現れるエンペラータイム。
いや、これは蛇足ですが。

やっぱり山田先生はすごいや。
名探偵を名探偵に描かなくてもいいなんて、そんなん気がついた人は大勢いるだろうけども、
こんなに上手くやりきれて、しかも魅力的な人物像を描ける方はそうそう居ないんじゃないですか。

どの話も気を抜いては読めません。
どの登場人物も覚悟を持って生きてますから、
私もそれ相応の覚悟を持って威儀を正して読もうと思わされます。
山田センセの作品に対しては、いつもそんな風になってしまいますね。



大崎 梢 『片耳うさぎ』 ★★

イマイチ!
途中はさまれる登場人物に関わるエピソードが不思議なくらい魅力なく、
それがあることによってむしろ、作品自体に底の浅い印象を与えてしまったように感じます…。
偉そうにすみません。

そんなんを色々省いたり、修正したりしたら、
もうちょっとレベルの高い感動的な話に昇華できそうなんだけどな。
ジャケ買いしたンですが残念です。



これでずいぶん追いついた…。
次はジンギスカンの秘密かな?


夢野 久作 『ドグラ・マグラ (下)』他。

January 25 [Mon], 2010, 21:50
引き続き、自分の読書失速中の間隙をついての更新。
また熱が上がっちゃう前に終わらせたい。




夢野 久作 『ドグラ・マグラ (下)』★★★


上巻を読みはじめては置き、大層時間がたってやっと読み終わりました。

何といえばいいのか、感触としては無間地獄ですかね。
超克すべき対象は何処に介在し、存在するんでしょうか。
流石に奇書。
色んな意味でギリギリの線を、全力でかっ飛んでくるよな文章・内容は圧巻。
アンポンタンポカン。

作中にある「九相図」がモチーフとなっている人間椅子の曲があり、知ってニヤリとしました。



蘇部 健一 『六枚のとんかつ』 ★★★

各方面からバカミスとして名高い本作、一度読んでみたいと思っていたのです。
だからさぞひどいだろうと思って期待(?)して読んだんですが…。

私としてはまあ許容範囲ですた。
別にいいじゃない!

本格を大衆レベルに貶めた罪とかって糾弾されるんですかね。
確かに悪ふざけ感はありますが、パンクだと思えばいいんでないかな。
で、オルタナティブなパワーが無いので惹きつけられはしないけど。



西澤 保彦 『実況中死―神麻嗣子の超能力事件簿』★★

あの三人のじゃれあいです。
なぜか気になって読んでしまいます。



泡坂 妻夫 『鳥居の赤兵衛―宝引の辰捕者帳』★★★

ご存知泡坂さんの捕者シリーズ。
いつも楽しい江戸の洒落や風俗や感覚に完全に身を委ねて、ふわふわ心地よく読んでます。



清水 義範 『ザ・対決』★

う・ううん、最後まで読めなかった…。
揚げ足取りあい?な泥仕合です。



泡坂 妻夫 『鬼子母像』★★★★(★)

男女の仲に焦点を合わせた短編集。
といってもそうじゃないのも紛れ込んでますが。

「三郎菱」という収録作品にとても感銘を受けた。
私としては09年に読んだ中ではベストうちのひとつ。

普段焼き物には興味が無いはずの老母が、デパートでふと徳利に執着を見せ、義娘に購入をせがむ。
息子夫婦はその奇妙な行動に疑問を抱き、理由を探ろうとするが…、という話。

ラストシーンでは言葉が見つからなかった。
生きるということが、それだけで困難だった時代。
その時代の人々の感情の機微を、
もはや現代を生きる私にはきっと一生、心から理解することはできないと思う。
わかりたいのにわからない。
それがまた切なくて泣けてくる。
私にはもう、こんな風には生きられないのかな。


歌野 晶午 『葉桜の季節に君を想うということ』 ★★★

むかーし宗にすすめられたのを思い出し、
ブックオフにて廉価購入。

最後のどんでん返しがなぜか上手く私には決まらなかった。
効果を高めるために張ってあっただろうたくさんの伏線が、
むしろ私の不興を買った感触がある。
多分普通に丁寧なので、ダイナミックさに欠けるのだ。

しっかし歌野さんについては、
いつか一気に私好みに豹変するのではないかと、
まるで根拠の無い期待を持っているので時折手にとってしまいます。
自分でも理由を上手くいえないんですが。



あともうちょっと?

折原 一 『倒錯のロンド』 他

January 13 [Wed], 2010, 17:35
年明けまで引っ張りまくってマダ終わらない。


明けましておめでとうございます。
今年はミステリーだけに限らず、
面白そうな本にはどんどんアプローチしたいと思います。
ひとまず山田せんせの『甲賀忍法帳』すでに本棚に控えてます。



挨拶もそこそこに、はい、引き続き!


折原 一『倒錯のロンド』 ★★★


折原さんなので、叙述は当然の頭で読んだけど怖かったな。
気色がアレだった。
もうちょっと登場人物が魅力的ならいいのになあ。



椎名 誠『問題温泉』★★★

しばらく続けて宗所有シーナワールド本短編集を読んでみた。
椎名センセの文章のノリが好き。
短編いっぱい収録あるので、心に残ったものをメモ。


「机上の戦闘」

机で昼寝してたら、窓からミクロな軍隊がやってくる。
当人でなければ楽しい悪夢。
椎名さんらしい。


「鳥人口伝」

へー、へーの連続。
その辺は予定調和の愉しみ。


「問題温泉」

マッサージチェアに磔。
実に小規模ではありますが、立派なパニックアクション。
愉快。


「じやまんの螺旋装置」

ざくっと切り取られた誰かの思い出。
オチが無いのが味わい深い。



椎名 誠『飛ぶ男、噛む女』★★★

短編集ですが、各作品へのコメントは端折ります(忘れかけてる…)。
女が噛むのはおそらく男性がものすごく痛い箇所です。
といってももちろん、単純なパーツの話ではありません。



椎名 誠『武装島田倉庫』★★★★

宗が大好きな椎名節炸裂もの。面白い。
おかげで私にとって椎名さんといえばこの作品。
シーナさんと直接話をして、サインを頂いた本です。

女ッ気がほとんど無く、男臭いくらいのパラレルワールド。
ただ強いだけで生き残り、ただ強いだけで死ぬ。




歌野 晶午『死体を買う男』★★

んんん、どうもイマイチ。
昭和初期の設定で、登場人物がかの有名な自殺願望の強い推理作家なら、
もうちょっと楽しめてもいい筈なのに…。
でもって全体的に横溝テイストたっぷりなのが、逆に私をして落胆させるのかもわかりません。
ごめんなさい。



椎名 誠『地下生活者 遠灘鮫腹海岸』★★★


極限状況でも笑えるのがシーナワールドのいいとこですね。
誰かのピンチが楽しいな。



夢野 久作『瓶詰の地獄』 ★★★

短編集。こういうの好きですね〜。
夢野さんの使う言葉には哀しすぎる美しさがありますね、特に表題作。
「死後の恋」も良かったなあ…。
趣味悪いかも知れませんが、私には最高の悪夢です。



椎名 誠 『雨がやんだら』 ★★★


これまた短編集。
気になった作品をいくつかザックリ。


「いそしぎ」

こんなに切なくていいの?


「巣走屋本店」

バカらしくて良い!!


「雨がやんだら」

雨が降り止まなくなった世界から届いた手記。
読後なんとも言えない感傷に浸れます。


「シークがきた」

これまたバカバカしいバトルもの。
もう好きなだけやっちゃって!
よくもこんな世界が脳みそで創造できるものです。




このへんでまた一区切り。

年明け後DSにはまり、あまり本を読んでないので、
このスキに過去の自分に追いつきたいと思います。


島田 荘司 『龍臥亭幻想』 (上・下) 他。

November 09 [Mon], 2009, 15:16
しばらくさぼってた…。
またタイムラグが発生している。
龍臥亭読んだのは8月ですよ!


島田 荘司 『龍臥亭幻想』 (上・下) ★★★★

面白かった…。
夢中で読んだ記憶がある。
龍臥亭事件も好きだったけど、どちらかといえばこちらの方が好きかも。
犯人に分があります。

また涙ながらに感動しながら読みました。
輝ける意志(by人間椅子)を感じる作品でした。
島田先生的ジャパンロマンチシズムを見た気がします。

ちなみに最後に出てくる横浜関内のスターバックスはしっかりロケハンしました。



島田 荘司 『摩天楼の怪人』 ★★★

タワー・オブ・テラー!
やっと私も島田先生の文庫最新作を入手するまで追いつきました。

都会の童話のような、美しいミステリオペラのような。
素敵な作品でしたね。

で、若かりし御手洗の肝の据わり方はホント凄い。



泡坂 妻夫 『花嫁のさけび』  ★★

こうきましたか。きちゃいましたか。
泡坂センセじゃなかったら…読めなかったかもな。



井上 夢人 『あわせ鏡に飛び込んで』 ★★

気持ち悪い短編集。
でも意外とさっぱりしたタッチが井上さん風かなと思う。
私にはライト過ぎて星が落ちます。


「あなたをはなさない」
 
 女の怖さは、怖いというより辟易します。
  

「ノックを待ちながら」

 こういう犯罪は、「よくやる気になるな」といつも思います。
 共犯無しの方が俄然シビれるので。 
 

「サンセット通りの天使」 

 翻訳風で達筆な人をいくらでも知ってるので差が…。


「空部屋あります」

 ふーん、という感じ。


「千載一遇」

 焦燥感がひりひりと。 


「私は死なない」

 ひたすら痛い。


「ジェイとアイとJI」

 こんなに古く感じるとは…パソコンの発展は目覚しいのう。


「あわせ鏡に飛び込んで」 

 (私にとっては、)唯一のミステリ。
 この中では一番面白かったかな。
 ちょっとお洒落過ぎですが。


「さよならの転送」

 青春。 


「書かれなかった手紙」 

 同じようなプロットをどこかで見たような気が。
 昭和時代作品かな。
  


柄刀 一  『御手洗潔対シャーロック・ホームズ』  ★


すいません、御手洗ってだけで読みました。
そして読み終えられませんでした。

私にとって島田先生真作の御手洗ものっていうのは、
もっとロマンとユーモアとダイナミズムがあるもの。
柄刀さんのタッチだとそれがあんまり感じられない…。
前も言ったけど、やっぱり温度が低い気がする。

ホームズを知らない私なので、あんまり乗り切れなかったとこもありますが…。
温度が低いなら低いで、絶対零度の作品を読んでみたいものです。



道尾 秀介 『向日葵の咲かない夏』 ★★★

ミステリーの現在を知ろうとして読んでみました。
驚くような展開ではないですが、一気に読ませるパワーがありましたね。
私としてはまあまあですた。

ただ子供目線の文章進行は、ミステリ作家の真価を問えないです。
※あくまでも自分ルール。

あと、動機も自分としては歓迎できないタイプでした。



歌野 晶午『長い家の殺人』★★★


歌野さんの処女作だけあって、
ミステリー初期衝動のようなものがありありと感じられます。
それが非常に好印象です。

バンドのメンバー間で起こる事件なんで、そこに引っ掛けて言うと、
知ってる限りのコードで・スケールで、できる限りの良い曲を作ろうってそんな感じ。
いいですね。

なので秀作とは言い難いですが、嬉しくなる作品です。
…わたくし偉そうですいやせん!



また一区切り。
今度は続きすぐ書きます!


島田 荘司 『最後のディナー』 他。

September 10 [Thu], 2009, 14:38
まとめてレビューの第2弾。
引き続き作品数と文章の長短で適当に区切ってUPします。


島田荘司『最後のディナー』★★★★

御手洗不在の横浜。石岡君中心の短編集。


「里美上京」

龍臥亭に登場した里美ちゃんが横浜へ(上京ではない)。

時系列にそって真面目に御手洗作品を読んできたからわかるノスタルジー。
宗が異邦の騎士を読む前にこっちをつまみ食いしてしまったことを、私が勝手にとてつもなく悔やんでいる。


「大根奇聞」

非常に好きな話です。
最後の一文で自然と涙が出ました。
島田先生の作品はこれだから良い。


「最後のディナー」

これでまた泣くんだ、私は。
涙腺弱すぎですか!
大根〜もそうですが、1人の人間の覚悟が描かれています。
色鮮やかでもない、傍目からかっこよくもないそれが、
とても大事なものなのです。

あ、あと石岡さんの英語アレルギーぶりは才能の域。

この作品に出てきた、ランドマークタワー最上階のレストラン「シリウス」にどうしても行きたくて、
自分の誕生日に行動に移しました。
同じ景色がどうしても見たかったんだ。




山口雅也『続・垂里冴子のお見合いと推理』★★★

一作目ですっかり大好きになったこのシリーズ。
もちろん続き読むでしょ?


「湯煙のごとき事件」

トリックとしては結構手堅い!
真面目なミステリーかと思いました(間違ってない)。


「薫は香を以って」

キャラクターありきで押し通した感じですね。
良作とは言い難いかも。


「動く七福神」

てんやわんやですよ。
登場人物の行動、それを引き起こす心の機微に納得できないのは、もう私が年とっちゃったってことですかね。


「靴男と象の靴」

タイトルからしてキッドピストルズ路線!
山口さんらしい作品。



山口雅也『キッド・ピストルズの慢心』★★★

短編集ばっかり読んでてスミマセン。
これまた私の寵愛シリーズ3作目。
ちなみにこちらの本、すでに通常価格じゃ購入できません。
私が買ったあと、また値段が上がったみたいですね(アマゾン見る限り)。
重版しないのかな?


「キッド・ピストルズの慢心―キッド最初の事件―」

これは、なんと言うか事件の勘定に入れていいものか…という作品。
山口さん作品を読むたび、言葉の力の大きさを感じます。
キッドにかっこいいこと言わせすぎでございます。


「靴の中の死体―クリスマスの密室―」

キッドシリーズなのに、えらいさっぱりしすぎ。
珍しく普通…。


「さらわれた幽霊」

キッドにぶっ飛ばされたい人が多いなあ。


「執事の血」

コメディーだと思うんですけども!
いい意味でね。


「ピンク・ベラドンナの改心―ボンデージ殺人事件―」

キッドシリーズはこうでなきゃね。
って、この作品ピンクがストーリーテラーなんですけども。
SMに関するご高説が大変に面白かったです。

それにしても…ピンクがいっくら蓮っ葉な物言いをしても、
文章の真底にある知性は隠せない。
山口さんへの憧れが尽きません(半ば告白)。



では今回はこの辺で中断、また後日。
次は龍臥亭幻想などからスタート。
あと5作品くらい!

柄刀一『OZの迷宮』と島田荘司『龍臥亭事件』

September 09 [Wed], 2009, 17:30
久々の更新!
たまればたまるほど更新が遠のくダメな管理人です。


というわけで、まとめてドン!の第1弾。
作評は読んだ順番でいかがでしょうか。
島田センセの作品が入り組んでますけどね…。
気がつくと入手してしまってね。

作品数と文章の長短で適当に区切ってUPしますよ〜。



柄刀一『OZの迷宮』★★

一部で島田先生と路線が似ていると評されていたのを聞きつけ購入した短編集。
最近読む本が無くなってきたので守備範囲を広げようと思ってチャレンジした、
柄刀さんファーストコンタクトです。
余談ながら、私は作家さんを短編集で判断することが多いです。
まあ理由があるんですが…。

では一話ずつ。


「密室の矢」

出だしから暗すぎる…。


「逆密室の夕べ」

王道路線のミステリ。


「獅子の城」

あの入れ替わりが面白い。
箱の中に箱が入っているようなプロットが良いのだと思う。
※作中作とか叙述ものとかじゃありません!


「絵の中で溺れた男」

タイトルは魅力的なのに、地味なイメージ。


「わらの密室」

ショックでかい。
でもこの短編集の流れで読まなかったら、あんまり意味が無い作品に思える。


「イエローロード」

うまい!私は一番好きでした。おすすめです。


「ケンタウロスの殺人」

こういうので島田さんと似てるとか言われるんでしょうな。
登場人物であんまり本筋に関係ない人の氏名はいっそ要らないと思います。



「美羽の足跡」

あんまり…。逆に謎とか全く無い方が良い話になったかと。



「本編必読後のあとがき」

気持ちは分かりますが、個人的にはそこまでやらないほうがスマートだと思うんだなあ。


忌憚無く言わせてもらうと、どうやら私は柄刀さんが苦手らしい。
読み続けることが出来ないんだなあ…。
実はごく最近読んでた「御手洗潔対シャーロックホームズ」も、
途中でやめてしまいました。ごめんなさい。

※初めて読む作家さんは短編集を選ぶというのは、こういう最後まで読めない状態、
記録結果なし状態になるのをなるべく避ける目的もあったりします。

何冊も読んだわけじゃないので、理由を明言するのは避けるべきなんだろうけど、なんというか彼の作品から私は体温を感じられないのです。
どうやら私が好んで読む作家さんの作品ってのは、
テーマ・登場人物をはじめ、それを構成する全て要素の中に、ドクドクぶっとい血管が脈打っている気がするんだなあ。
それに慣れすぎているんでしょうかね。

…そう気がついたのは、柄刀さんの作品を読んで逆説的にてなんですがね。
もちろん私的な感じ方なので、良い作家さんなのは確かだと思います(フォローしてるわけじゃない)。
生意気言ってすいません!



島田荘司『龍臥亭事件』上下巻 ★★★★


御手洗が出ないから…とかってなかなか読まなかった作品。
読んでみたら全然寂しくなかった(笑)。

大好きな類の話でしたね〜。
例の有名な昭和の大罪が下敷きになっております。
明らかに私をターゲットにした作品ですな(思い込み)。

御大の考察的所見が垣間見える作風は、
相変わらず大変興味深いです。

少し残念なのは、最後の大トリックが私の好みじゃなかったことでしょうか。
あと、前から私が思い悩んでいる死体の適正数の折り合いが(私の心の中で)つかず、トリックと合わせ技にて★1つ落ち。甘い?

余談ながら、御手洗からの手紙で私泣きました。
勝手に応援された気になりました。
で、そんな感動的な手紙を読んで最初の石岡君のセリフがとてつもないアレなので必見。


長くなったのでココで今回は終了。



魔神の遊戯 他。

July 03 [Fri], 2009, 15:24
順不同で何冊かまとめました。
最近は帰りの電車で爆睡することが多く、なかなか進みません。


島田荘司『魔神の遊戯』★★

うううん、私には珍しくイマイチ。
大義的には「見立て」なんですが、どうもグッと来るものが無く。
特に犯人が…なんでそんなんするの?という。
せっかくスケール大きい舞台だったのに、名実ともに「ミニマム」になってしまいました(ネタばれ?)。

島田センセの作品はいつも謎解き時には、
なんというか論理で形作られた怒涛の濁流に飲み込まれてしまう感覚があるんですが、
今回は、うんうんそうなのそうなっちゃったの〜しょうがないねえ〜、と聞いてあげてる自分がいたような気がします。
…大口叩いてスミマセン!!



島田荘司『Pの密室』★★★★

ミニ御手洗!
幼稚園生&小学生時代の短編が1本ずつ、計2本。
活躍ぶりは大して差はないです。

大人の御手洗を良く知っているだけに、
子供らしい素直な物言いはひどく可愛かったです。
皮肉も全然どってことない。

この幼少時代から、
目の前にある事件のそのまた円周にある悪意や、その先にある哀しみが分かるなんてちょっとしっくりきませんけどね…。
でも、先の御手洗から感じられる優しさが、
より分かりやすい形で、無垢な原石のまま感じられる作品です。
長編で御手洗に付き合うのが疲れたら、読んでみて欲しい。




泡坂妻夫『しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術』★★★★★


この作品は、正確な表現で言えば、ミステリーの中でも規格外の魅力を持った作品でした。
ホントに、泡坂先生はどこまで私を夢中にさせれば気が済むのだ…。

最後の最後にとてつもないカラクリが隠されています。
鳥肌もニヤニヤも、感動と共に止められなかったですよ。

「この本の結末については、絶対に人に教えないで下さい」と注意書きがしてあったので、
もはや泡坂先生の言うことなら何でも聞いちゃう私としては、これ以上何も語れません。

全力でオススメします。
泡坂先生だからこそ書ける、泡坂先生にしか書けない、空前絶後のミステリー。
みんな人生で一度は読むべき。感じるべき。




泡坂妻夫『蚊取湖殺人事件』★★★

まだ読み終わってないんだけど…短編集だからいっか。
わりと最近めな泡坂さんの短編集。
いつもどおりの感触。
ただ少し角が取れすぎたかな?

短編集のそこここに、結構読んでるファンにはお馴染みのメンバーがチラホラ。
泡坂先生から私へのウィンクだと思ったりして心地よいです。

それにしても泡坂作品で携帯電話が登場するなんて!!
時代は確実に下っているのだね。



江戸川乱歩『江戸川乱歩全集 第4巻 孤島の鬼』★★

家にあったのをやっとこさ読んで見ました(もともと宗のもの)。

宗曰く「乱歩の乱歩らしさが乱歩らしく表現された作品」ってことで。
確か評される理由は良く分かりました。
ただ乱歩はあんまり気に入っていないらしいんですね。
私も同感。

書きたいモチーフがあるのは嫌って程分かるのですが、
それが先行しすぎていびつになっている気がします。
無理やりつなげたり、引っ込めたりが目に余る感じが…。
それでクリアするつもりなの?と心配になるような力技も凄い。

石榴とかもっとシャープで良かったのにな。
連載の苦悩がこういう結果になったのかもしれないなあ。

それにしてもどうしてミステリー作家はみんな○○○双生児が好きなんだろう?



山口雅也『垂里冴子のお見合いと推理』★★★★


本当に山口せんせが書いたの?
というくらいにライトなテンションのシリーズ。
泡坂さんの短編くらい軽妙。
私は大好きな類でした。

婚期を思いっきり逸している冴子お姉さんと、
そんな彼女を取り巻いてやんやんやする家族たちのユーモラスな姿が微笑ましい。
キャラの造りこみがやっぱり優秀過ぎるよねえ。

一応ミステリーですが、もちろん殺人が起きることもありますが、
その点の読み応えも極めてライトです。
ただやっぱり山口せんせなんで、キメが粗いわけじゃない。

ゴロツキロックなチバが書いたポップンキャッチーなパフィーの曲のような…ような?
良く分からない例えですみません。

ちなみにこの作品の舞台は観音シティー。
山口作品を結構いってる読者としては、ちょびっと嬉しいリンクです。




今読んでいるのは初体験、柄刀一の「OZの迷宮」です。
この方のタッチはちょい苦手…。
そして登場人物の誰もが笑顔を見せない。





島田荘司 御手洗シリーズ一気読み。

May 29 [Fri], 2009, 15:35
ぶっ通しで読み続けた(現在も進行中)、島田荘司せんせの御手洗シリーズを一気にさらっと。
ちなみに私が読んだ順です。
発表順じゃありません(ニアかもしれないけど)。


『御手洗潔の挨拶』
  
短編集。

「数字錠」

私が御手洗の優しさに初めて触れたような気がした作品。
占星術・斜め屋敷・ネジ式ですっかり下がっていた私の中の御手洗株が、急上昇する発端になりました。


「疾走する死者」

ミステリーらしい感じ。
御手洗ものにしてはトリック?がミニマム。


「紫電改研究保存会」

NOT殺人事件。
なんだか楽しくなる話。
短編集の中では一番好きだったかも。


「ギリシャの犬」

後に御手洗シリーズ王道のパターンのひとつとなる、
とんでもなんでもない出来事から事件が発覚していくストーリー。
横溝由利先生シリーズばりに、推理だけでなくアクションも?、動きとスピードがあるのが楽しい作品ですた。
それにしても、由利先生って…たとえが古すぎる…。




1.『御手洗潔のダンス』


短編集。


「山高帽のイカロス」

“絵”になる話だったな…。
ロマンチック?な事件というと不謹慎ですが。
真相は庶民的だったかも。


「ある騎士の物語」

私の中でラストシーンが異邦の騎士とかぶります。



「舞踏病」

以降の長編の原型になる事件だと思っています。



「近況報告」

こういうのがあるから、御手洗って探偵じゃないよね。




2.『御手洗潔のメロディ』


短編集。


「IgE」

タイトルは余興みたいなもんで。
ギリシャ犬流れのちょいドタバタもの。
たまに息抜きになっていいです。


「SIVAD SELIM」

御手洗のスーパースターっぷりがすごい作品。
こ、ここまで?少しはずかしいなあ。
良い話ですけど…。



「ボストン幽霊絵画事件」

私より若い御手洗くん。
お姉さんをうまくたらしこむ?とこがステキでした。
全体的に暗いトーンがわりと好き。



「さらば遠い輝き」

レオナ何歳?




3.『暗闇坂の人喰いの木』


いやー、私の御手洗はまりクライマックスだったな。
凄く好きな作品です。
レオナ初出。

別視点で描かれたいくつかの記述や作中作が、
最終的に結びついて大きな盛り上がりを見せる手法は、
御手洗シリーズでよくあるパターン。
このあともいくつか読みましたが、私は暗闇坂がダントツでお気に入り。

理性・知性的な推理が冴える御手洗モノのなかで、
際立って怪奇要素も、超自然的要素も、あえて全て払拭せず残っているところが、
昭和初期ロマンチック本格志向の私の趣味に合致しすぎなのだと思います。

※間接的ネタばれ?
真相を握るカギが脳科学・医学に拠る、御手洗教授メジャーパターンより、最終的には怪奇もののが好きなのかもなあ、私。


ところで、暗闇坂が映画化という噂が数年前にあったようですが、結局どうなったんだろ?
あんまり嬉しくないトピックスながらも、もし本当に撮ったのなら確実に見ておきたいところです。




4.『異邦の騎士 改訂完全版』

最後の一文のためにあった作品なんだろうな。
泣きましたよ。
ここから全てが始まります。

余談ながら舞台設定が私が最近知ったばかりの東横沿い〜中華街の横浜エリアで、風景が目に浮かぶようでした。
追体験してるよな。



5.『水晶のピラミッド』

御手洗 in どんでん返し。
すっかり打ちのめされました。
レオナかわいい。



6.『眩暈』

某・■■館の殺人を思い出しました。
どの館か、はっきり書いたらネタばれ必至。
ネジ式ザゼツキーの前身ですかね。



7.『ロシア幽霊軍艦事件』


すごく好きな作品。
私、歴史ミステリは感動の振れ幅が一味違います(史学科出身)。
“事実は小説よりも奇なり”、か。
そして、“小説は事実より真なり”…かもね。

作中に出てきた箱根の富士屋ホテルには近いうち絶対宿泊しようと思います。




8.『セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴』


ドタバタ&あったか系。
安心して読めました。
こどもと遊ぶ御手洗&石岡くんが微笑ましかった。
にしても、御手洗は子供にまでキザ。



9.『アトポス』

レオナしっかりしろよ、というところ。

今回の真相に関する事柄は、結構私の心を痛めました。
こういうことって、個人レベルで感じ方が違うんだろうな…。
犯人に感情移入できるとこがあったかもしれません。


      
で、今は『魔神の遊戯』を読み中。


御手洗作品のミステリーじゃない部分も大好きです。
学術的な薀蓄とか、歴史的事柄の記述とか、ちょっとファンタジーな作中作とか。
それらによるページの多さとかちっとも気になりません。
私はきっとミステリ好き一辺倒じゃないのね。
ただの面白い文章好き。

勝手に御手洗潔論 partU。

May 28 [Thu], 2009, 13:49
勝手に御手洗潔論 partU。



●御手洗潔とキッドピストルズ

キッドは私の大好きな山口雅也せんせのパンクマザーグースシリーズの刑事。
御手洗とキッドの事件のケースと解決のスタイルは、
ちょうど合わせ鏡のように対になっているように思える。

キッドシリーズのスタイルというのは、
かなり頓狂な道具仕立ての舞台があり、「ねじれた」犯人いわば狂人がいるのが大体のセオリーなんだけども、
キッドは真相を「狂人の論理」のもとに明らかにすることを欲します。

そこにみえるものが、一見常人に解釈できないことでも、
それは犯人たちには犯人なりの論理や筋道があり、その素地に立って我々とはnearだけどdeffirentな現実を彼らの生きた証。

彼らの論理こそ理解したいとキッドは叫び、結局は実現していびつな事件を解きほぐすのです。
そこに誰もが納得のいく動機なんて、クールなぐらいありません。

というわけで、狂人の犯罪を狂った世界の論理と正解で暴く。
これがキッド。
ある種の完璧主義だと、私は解釈しています。


対して御手洗。
御手洗シリーズも一見理解不能に思える状況がドラマティックに現れる犯罪が王道。
しかし、キッドと大きく違うところは、その状況はもともと犯人が意図せず偶然に(あるときは超自然的に)現れたことだったり、緻密に計画された設計図の断片で、破片だからこそ分かりづらいだけだったりするところ。

大体において犯人は極めてノーマルなんですね。
動機は愛憎だったり、倫理観からだったり、利権によるものだったりして我々の生活の延長線上。かなり分かりやすい。
なのになのに犯行のいわゆる修飾部分のおかげで、不揃いに、ゴテゴテに見えている(見せている)だけ。

迷わせるよな修飾語を、必要な分だけ採用して翻訳して、
足りない部分を大胆な仮説と豊富な知識で継ぎ足して、
ほんとの姿を見せてくれるのが御手洗。
毎度毎度ほんの小さな謎にでもつまづいて慌てふためく石岡君に対し、彼は常に極めて冷静に「物事をもっと良く見て考えろ」と諭し続ける。
いやいや、おっしゃるとおりですが、常人はあなたほど切れてないんすよ。

というわけで、日常からはみ出した事件に道理を示して現実に、真実に引き戻す。
これが御手洗潔。
ある種の誠実主義だと私は解釈しています。



くねくね曲がった森の道を、くねくね曲がってゴールを目指すのがキッドなら、
曲がった道の真ん中にゴール直結の最短経路を見出すのが御手洗。
ふたりの歩き方はこんなに違うけれど、やっぱり似ていると私は思う。
それが、私が両方を愛している理由。
ふたりとも、その推理のスタイルが深い優しさゆえだというのが分かりすぎるほど分かるからなのだ。


事件を真実の意味で明らかにしようと思うのであれば、
すべての事象と個人を同じ俎上で検討する必要がある。
被害者を犯罪者を付随する出来事を、どれかだけを特別扱いして別のテーブルで論じることはマナー違反なのだ。
狂人の論理を追及することも、不思議な事象に科学的根拠を証明することも、つまりはそういうなんだと私は考える。
それぞれ苦労して凸部分を引っ込めたり、凹部分を引っ張ったり、やり方は違えど同じ高さのテーブルにならしてるわけです。


御手洗もキッドもなんでそんなことするかって言ったら、
ただ答えがほしいんじゃなくて、
被害者・犯罪者・関係者それぞれに敬意があって、優しさがあるからでしょう。
マナーを守るってことはそういうこと。

だから二人とも好きだなあって、彼らの作品の読後はいつもそう感じます。

勝手に御手洗潔論 partT。

May 28 [Thu], 2009, 13:39
島田荘司 「御手洗潔シリーズ」。


最近すっかりどっぷり御手洗シリーズに耽溺しています。


挨拶⇒ダンス⇒メロディときて、暗闇坂でテンションが振り切れて、久々に文庫本とともに生活する状態に成り果てました。
異邦の騎士の読みっぷりとか、我ながら凄かった…。


※文庫本とともに生活する状態というのは、
普段平日の昼休みと帰宅の電車内(1時間ちょっと)しか読書をしない私が、
食事中・就寝前など他の時間も費やしてずっと文庫を読み続けてしまうこと。
また、それを止められないこと。


「占星術」初めに読み、その後作中作の評価が高い「ネジ式ザゼツキー」を2年前くらいになんとなく読破、
最終的にストーリーは別として、御手洗が少し鼻について敬遠していたんですが、
宗の薦められるままに久しぶりに頁を繰ったのが今回はまったきっかけ。


2年前のミステリを読み始めたときに較べたら、
読んだ本の冊数も段違いだし、ミステリに関する趣味嗜好も変わったせいか、随分感じ方が違うものなんですね。
今では御手洗大好きです。


そんな毎日の中で、自分勝手に「御手洗潔論」を構築し始めたのですが確立には至らず。
論がまとまったら一気に更新しようと思ってたんですが、
いたづらに月日が過ぎ去っていくので、ひとまず思いついた分だけ掲載、見切り発車することにしました。

そうそう、あんまり一気にたくさんシリーズを読んだので、
あとでまとめて一言レビューも書こうと思います。



では、御手洗潔論partT。




●論客としての御手洗潔

まず一般的な認識として御手洗はいわゆる探偵ではありえない。

上手い言葉が見つからないんだけど、
しいていうならば 「論客」かなと私は考えている。
御手洗にとって事件とは、解決すべき問題ではなく、
議論すべきテーマなのでではないかと思えるからだ。
彼が、解決する為に解決した事件は多分ひとつもない。


御手洗が何か事件に関わるとき、時に依頼という形だったり、誰かのとわずがたりの内にだったりするんですが、
何にせよそれは彼が異常な興味を抱いた時に限られる。


事件の状況が奇妙であればあるほど相好を崩して喜ぶ彼の姿は、一見浮薄なイメージを想起させるけども(これはもうしょうがないっすね)、
その実事件の捜査に乗り出せば、彼はあくまでも一個人としての矜持を持って意見し、行動する。


これまで私はいわゆる一般的なミステリの中の探偵っていうのは、
作品において、唯一「作者=神の意思」を明らかにする役を担うものだと考えてました。
探偵役とは、その役割を真っ当することを第一義の目的として、個性とともにプロフィールを備えたもの。
だから彼が前に進んでいけば、物語にはゆるやかでもきちんと筋道がついて、望まれた順番の通り迷わず解決に向かっていく。


そう思うと、やっぱり御手洗は違う。
彼のおかげで物語は超過分も不足分も多すぎる。
やっぱり第一義の目的が、そもそも違うのだ。
御手洗が御手洗であること、言わずもがなこれがきっと最優先事項。


時に関係者の気持ちを慮って仔細を明らかにすることを拒否したり、
時に頭が良すぎて唐突に結論に至ってしまったり、
時に必要とあらばある種のデッチアゲも…。
加えてその弁舌の巧みさたるや、誰もかなわない。
奥深い知識と確固たる信念で紡がれる言葉は、決して詭弁ではなく、彼一流の筋が通っている。
しかもそのうちに時々姿を現すアカデミックな議論、なかんずく難解で深遠なものほど、私は気持ちよく酔えて仕方ないのですわ…(変態?)。
そんな私にとって、「御手洗=論客」という表現がなんともふさわしく思えるのも、ご理解いただけるのではないかなと。


御手洗は「一緒に解決しよう」と読者の歩幅に合わせて歩いてくれるような存在ではない。
いつでも自由闊達に自信たっぷりに走り抜けていく。
私は彼のそういうところがやっぱり好き。
我々はその背中を追って必死に、でも嬉々として、ついていくしかないのだ。