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見舞いは嫌やね / 2003年02月01日(土)
 大学時代の友人が、もう一月ほど入院している。
 最初に見舞いに行ったのは、二週間前だった。胃をやられたというのでやつれた姿を想像してしまったのだが意外と顔色もよく「来週退院できるよ」と言っていたのが、延びに延びて今日に至る。
 今日予告もせず病院に行って、部屋の前の名札を見たら友人の名前がなく、「うわ、知らない間に退院してたのか」と一瞬驚いたが、なんのことはない、階を間違えていただけだった。うろ覚えの記憶に頼るのはやめよう。
 友人は病室にいて、安心できるぐらい顔色はよかったが、退院の日はまだはっきりしていないようだった。しかしだんだんよくなってきているということだから、まぁ遅くても今月半ばには退院できるだろう……と思っている。
 今日は長居せずに切り上げた。帰りのエレベーターで、2人のおばさんと一緒になった。1人は途中の5階のボタンを押したのだが、エレベーターの壁にもたれて目を閉じていて、5階に着いても降りず、私が「5階ですよ」と声をかけると慌てて身体を起こして「ぼけっとしてたわ、ごめんな」と笑いながら出て行った。私ともう1人のおばさんはそれを微笑で見送り、なんとなくエレベーターの中の空気は和んだかのように思えていたが、
「見舞いはいややね」
 突然、そのおばさんはそう言った。
 私は咄嗟に返事ができず、おばさんを見つめた。おばさんはこちらを見て、寂しそうに笑った。
「全然違う人になってたわ。頭手術したから、髪全部剃るやろ……」
 そうですね、としか答えられなかった。病気か怪我かはわからないが、その見舞い相手がどういう容態なのか、わからずに適当な慰めは言えなかった。
「どなたのお見舞いに来たん?」
 尋ねられて、私は「友達です」と答えた。
「じゃあ若いんやね……」
 おばさんはふっと吐息をついた。

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Posted at 21:31 / somehow / この記事のURL

 
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