月と蟹 道尾秀介

January 10 [Mon], 2011, 23:17
癌で父親を亡くした少年、事故で母親を亡くした少女、虐待されている少年・・・と、子ども達のやり場のない怒りと不信感で渦巻いた胸の内を切々と描く長編。
さまざまな怒りや悲しみに煩悶する少年少女の胸の内が繊細に描かれ、じわじわと共感しつつも、なかなか進まないストーリーに焦らされながら読み進めた。
しかし、ヤドカリを火あぶりにして、殻から無理に這い出させるという描写は、まるで少年達の心そのもののようでもあり、その行為が成されるたびに胸がじりじりと焼け付くようだった。
また、大人への不信感や、恋愛や友情の狭間で葛藤する少年の心理描写も秀逸で、感心させらた。
全体を見渡せば、タブー視される領域には踏み入ることなく、結末も綺麗にまとめられ過ぎているような感じがして、少し残念ではあったが、物足りなくも読後感は悪くなかった。
読んでいる時よりも、読み終えた後から何かと考えされられるものが多い作品だった。
(文藝春秋)★★★★☆【 直木賞受賞作 】

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