十字架 重松清

July 20 [Tue], 2010, 9:38
いじめに遭っていたクラスメイトが自殺した。遺書には故人の思いと共に4人の名前が。遺された家族、名前を遺された4人、そして、クラスメイト達その後の20年を描いた物語。
いじめのよる自殺という、現実にも頻繁に起こっている問題がリアルに描かれ、その登場人物誰もに共感し、隅から隅までどっぷりと本の世界浸らされてしまったような感覚を覚えた作品だった。
また、行き場のない怒りや悲しみ、そして戸惑いが常に付きまとい、恋愛感情や友情の冠の下に名前を遺された者の悲劇がどうしようもなく痛々しく、何が故にこんなにも重たい十字架を背負わなければならないのかと、吐き気すらするほど動揺させられた。
デフォルメしすぎて描かれている人物も何人かいて、その部分だけはどうしてもリアルに感じられなかったが、著者の言いたい事は十分に伝わってきた。
被害者であろう立場の人間が、いろんなしがらみや感情を持って逆の立場にたたされる、そんな人間という生き物の悲しい生態をまざまざと見せ付けられ、読後はやるせない気持ちにもなったが、この本に出合えてよかったという思いが強く残った一冊だった。
(講談社)★★★★☆

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