仮想儀礼(上・下)

February 02 [Mon], 2009, 11:17

職を失い家族にも去られた正彦とホームレス同然になってしまった矢口が妙な連帯意識の末結束し、金のために新興宗教を設立、その栄枯衰退の軌跡を描く長編。
欲の為、金の為に舌先三寸ともいえる宗教団体を立ち上げた男二人にも大変興味を抱いたが、その偽宗教に乗ってくる人々の心境にひたすらにひかれ、読み耽ってしまった作品だった。
900ページを上回る長編だったが、中弛みすることもなく最後まで張り詰めたストーリー展開にただただ感服、人間の心の弱さ、脆さ、そして、言葉という存在の大きさに最後まで圧倒されっぱなしだった。
更に、ちょっとした心の隙間に言葉という魔法を使って入り込み、人生までもを狂わせるものは一体どんな魅力が潜んでいるのか、構造をしているのかと、読中何度も考えさせられてしまった。
読後は、人間の愚かさ、脆さばかりが心に染み付き、迷う事なく踏み外さずに全うする人生の厳しさを改めて思い知らされたような気がしてならなかった。
(新潮社)★★★★☆
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