林真理子先生みたいなランチタイム

December 11 [Sun], 2016, 4:44
定食屋というのは、ホテルの部屋に似ているのかもしれない。

私と定食、幾度となく逢瀬を重ねた関係…。
またこんな昼間から、甘美な欲望の入り口に立ってしまっている。

「お客さん、何にするの?」

さて、どう答えようかと、可奈子は考える。

たっぷり焦らしながらメニューをなぞる指にはピンクのマニキュアが塗られ、私を一層魅力的にみせているはずだ。

「生姜焼き定食をひとつ、お願いね。」

シャワーを浴びることを要求する間もなく性急に、その生姜焼きは運ばれてきた。

「ダメよ……。こんな大盛、いけないわ。」

はじめはご飯を少し残そうと思っていた。
しかし、うんと回数を重ねた男と寝るように、手順はもう出来上がっていた。
生姜焼き、ご飯、味噌汁、ご飯、生姜焼き…。
気づけば大層大胆になり、こう言ってしまったのだ。

「ねぇ、おかわりいいかしらん。」

−−−−みんなしてることじゃないの。これくらい、何のあやまちでもないわ。−−−−

気づけば2杯目のご飯も空になっていた。

「ごちそうさま……。」

丁寧に流行の口紅をひき直し、何も食べていないような顔で仕事に戻る。


「可奈子さん、今からランチどうですか?」

「ふふっ、もしかすると、定食屋?」


意味ありげに笑ったら、グウとお腹が鳴った。
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:柳原 可奈子(やなぎはら かなこ)
  • アイコン画像 誕生日:1986年2月3日
  • アイコン画像 血液型:B型
読者になる
太田プロダクションのお笑い芸人

過去の日記は→こちら
2016年12月
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
月別アーカイブ