焦げたスパイス、恋の香り(RPG小話)

February 16 [Wed], 2011, 13:35

「ソウル…これ」

杏がソウルに押し付けるように渡したのは小さめの紙の巾着だった。可愛らしいリボンで口が止めてある。

「これは?」
「リ、リリス姉から…今日バレンタインだって聞いてよ…」
「まさか、作ったのか」
「…まずくても文句言うんじゃねーぞ」
「………」

ソウルがリボンを解くと、甘い…というにはほど遠い香ばしい匂いが漂ってきた。覗き込むと、焦げ茶を通り越して黒っぽい塊があった。

「…なんだこれは」
「…チョコクッキー。…一応」
「…失敗、したんだな…」
「ちょ、ちょっと焦がしちまったんだよ…」
「ちょっとどころではないと思うが」
「……ううう」

いつになくへこむ杏を見てソウルは少し驚いた。

「そんなに悲しいのか、うまくできなかったのが」
「だって…初めてだったんだよ、ソウルになんか作るの。だからぜってー美味いの作ってやろうって気合い入れてたのに…」

あまり失敗ということと縁がない杏だ。相当ショックだったのだろう。

「やっぱ作り直してくる…!」

杏が袋を取ろうと手を伸ばしたが、その前にソウルが杏に背を向けそれを阻止した。そして、そのままひとつ摘まみ口に入れる。

「あっ……!」

ソウルはしばし味わうように黙って食べていたが、ぽつりと呟いた。

「うん、ちょうどいい」

「私は、甘すぎるのは好きじゃないからな」

茫然としている杏に振り向く。

「うまくいかなかったのなら、また作ればいいんじゃないか」

「……当たり前だ、リベンジしてやらぁ。今度は吐くくらい甘くて美味いやつ作ってやる」
「そうか…今度はうまくいくといいな」



それから一週間ほど後、杏がチョコケーキらしきものを作ってきて、あまりの甘さにソウルが本当に吐きかけたのはここだけの話。


***

一昨日書こうとして書けなかった出遅れバレンタイン小話。がっつりソウ杏!
珍しく男らしいソウルになりました。杏さんが乙女ってるのは仕様です←
きっとリリスさんと頑張って作ったんだろうなぁと妄想しつつ書きました。リリスさんのお相手はきっとルイさんでしょうから、甘さ5割増しくらいだと思います。

世間じゃ友チョコだの逆チョコだのと言われてますが、バレンタインなんて普段ツンデレしまくってるソウ杏でもかなりラブラブな雰囲気になれる日なんですから、こんな美味しい日逃すわけにはいかないでしょう!たとえ過ぎたとしても!←
  • URL:https://yaplog.jp/wonderdiary/archive/47
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到底需要の無さそうな語りが繰り広げられていますが、妄想を出力もとい発散しないとあーやが爆発するので(←)、どうかお付き合い下さい。
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