谷時中の墓(清川神社)

October 16 [Sat], 2010, 8:48
国道34号を高知市内から長浜方向に進むと、横浜辺りに、南学の学風を固めた谷時中の墓がある。
時中は、南村益軒により土佐にもたらされた儒学(朱子学)を学び、それを独自の思想である南学に昇華した人。この思想が後に尊王攘夷・明治維新の原動力となる事から、この功により皇室から従四位が贈られている。ちなみに、墓のある山のふもとの道を数十メートル進んだところに、佐々木高行「【土佐の偉人R】佐々木高行:明治維新の影の立役者」の生誕地がある。

時中は1598年に浄土真宗の僧・宗慶の子として安芸郡甲浦「谷時中の生誕地」に生まれた。のち仏門に入り慈沖と号し吾川郡瀬戸村の真常寺に移るが、近くにある長浜村の雪蹊寺の僧・天質から儒学を学ぶと、やがて僧籍を離れて時中と号し儒学者となる。儒学者になった時中は、これまで土佐に伝承されてきた朱子学を、単なる朱子学の解釈学ではなく、義理名分と実践を重んじた独特の学問として昇華し、南学(土佐南学、海南学派)「南学発祥の地」を確立した。南学を確立した時中は官途につくことなく、生涯在野で学を講じ、その門下から野中兼山「野中兼山・谷時中・山崎闇斎の南学学堂跡」、小倉三省、山崎闇斎「【三都物語2010:京都】土佐藩本陣跡&土佐藩初代藩主夫妻の霊廟」らを輩出。特に藩政に参画した兼山・三省は南学を奨励したため南学は一層栄えた。

しかしこれ以降、南学は苦難の歴史を歩むことになる。兼山が失脚し、闇斎は南学を基に崎門学や垂下神道を提唱して南学から離れたからだ。衰退した南学は、時中の息子である一斎(※1)や、その弟子である大高坂芝山(※2)が復興を目指すものの本格的な復興とまではいかなかった。

(※1)谷一斎
一斎「谷一斎と瀬戸新田」は1625年生まれの南学者。松、宜貞、三介とも称す。時中の子として生まれ、南学を時中から学び、後に京で遊学した。帰国後は兼山と三省に学んで藩に仕え、南学の普及に取り組み、南学の正統継承者と称されるようになる。しかし兼山の失脚にともない南学が衰退すると京に出て、京都所司代・稲葉正往のお抱え儒者になった。
この正往は後に幕閣となり、有栖川宮幸仁親王を第5代将軍に擁したり、赤穂浪士の討ち入り事件の際には、柳沢吉保の登城前に事後処理を開始して浪士が即刻処分されないように配慮するなど、南学の特徴である義理名分の重視と実践主義を体現している。

(※2)大高坂芝山
芝山は1647生まれの南学者。清介、季明、清処士とも称す。大高坂松王丸の子孫である。姉婿である一斎に南学を学び、一斎が兼山失脚を機に上京する事になるとこれに従い上京した。後に岩城平藩主・内藤左京太夫、小田原藩主・稲葉正則、松山藩主・久松定直に儒学者として仕え南学の道統を明らかにし、古義学の祖・伊藤仁斎、聖学の祖・山鹿素行、陽明学者の朱舜水、朱子学者の木下順庵などの、異学異端者を激しく非難し排斥した。

このように一斎や芝山は、南学復興を目指して土佐外にも普及させ南学を広めたが、本格的な復興とまではならなかった。この後、南学は、闇斎の弟子である谷秦山「谷秦山の邸宅跡と墓」が再興するのだが、その秦山も藩主に冤罪で咎められ失脚し、再度南学は危機に直面する。秦山以降に南学が再度復興するのは、秦山の弟子である山内規重と、秦山の子孫である谷垣守・真潮親子「谷垣守・真潮の邸宅跡」の登場を待たなければならない。

↑は、宮内大臣・田中光顕の筆による公徳之碑。
記載内容の一部を抜粋・要約すると「日本には各種の儒説が競うように起こり広まったけれども、日本の大義を明らかにし名分を正したのは、谷時中先生が起こした南学の流れを継承する者達であった」とある。まったくその通りである。尊王攘夷・明治維新を担った志士達が拠所とした思想として国学や水戸学が有名だが、南学は国学発祥よりも早く日本主義を主張して(谷秦山による)土佐に広まり、藩内の多くの尊王攘夷志士の思想の拠所となった。また他藩の尊王攘夷志士は水戸学の影響を強く受けたが、南学はその水戸学の起源の一つである。これらの事から南学は、尊王攘夷・明治維新の真の源となった思想であると言えよう。この話はそのうち…。


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