亀、キー、拳

October 24 [Sun], 2010, 23:03
このせつはどうも!!

遅くなりましたが毎土のこのせつ企画です!

お題は・・・「亀、キー、拳」

どうじょ!
「なぁ朝倉〜この記事朝倉が書いたん?」
「んーどの記事・・・あーこれか。これは私じゃないね。1つ下の後輩。スゴイ有望株なのよ?・・・この記事書くのに、本人じゃあなくてまっ先にこっちに取材に行ったみたい。まぁあーなっちゃあそうそう取材なんてできないしね。全く、いい仕事してるわ。」
「そうなんか・・・うん、おおきに。」


麻帆良新聞。
新聞部が自分たちの手で、足で、この広い学園中から集めた様々なニュースを詰め込んだ情報誌。その内容は信憑性に欠けるような噂話程度のものから、麻帆良の中にある大学がやっている、世界に誇る最先端の研究までとかなり幅広く、この新聞で記事を書いていた・・・というプロのジャーナリストや有名雑誌の編集者は数知れない。

そんな新聞の、ある一面に大きくこんな記事が載っていた。

『まほら武道会上位入賞者の少女に迫る』

まほら武道会・・・年に一度街中を包んで行われる大学園祭、麻帆良祭で開かれる伝説とまで言われた格闘技大会。しばらくは伝統ある由緒正しい大会とは言えないような期間があったが、今年は大会側が買収され昨年までの小さな大会とは打って変わって賞金1千万円という学祭屈指の大イベントとなり、学園中の腕自慢、技自慢たちがこぞって出場した。

そんな中、ベスト4まで勝ち上がっていった4名の中にある少女がいた。名を桜咲刹那。
フードをかぶった謎の実力者の男、行方不明の父を探している子供先生、正装をした分身の術を駆使する少女・・・実力は確かだとはいえ、デッキブラシを持って戦う少女の姿は観客には、他の3人と比べ特殊な事情や力、派手さは一見にしてないように、言わば自分たちに近い存在・・・とそう見えた。
その後の学園中を巻き込んだイベントで、その少女は刀を片手にヒーローユニットとして活躍をしていた。武道会で見た彼女の姿には特殊な事情や力、派手さはなかった。なのにやすやすと迫りくるロボットたちを一刀両断していく・・・

大多数の人が全体で共有している“一般性”の中に、少数の人が持つ“特殊性”を隠して持つ彼女は一体何者なのか?彼女は一体どんな人物なのか?・・・彼女の後輩たちの話から迫っていこう!・・・

―――という内容の記事だった。


「なんで休みの日も練習を欠かさないのですかという質問に「技術の向上もありますけど、一番は自分に負けないためですね。一番怖いのは自分に負けてしまうことですから。」と答えてくれました、とAさんは語る。兎と亀のかけっこで、兎は自分の能力に過信したために亀に敗北した。桜咲選手は兎の様な怠惰を自分に許さないことで・・・兎と亀・・・ですか・・・」
「あ、せっちゃん。おはよ。」
「おはようございますお嬢様。やっぱり読んでいらしたんですね。」
「うん。学校来たらみんな読んどったからな・・・せっちゃんは知ってたん?この記事。」
「いいえ。今朝後輩たちが教えてくれましてそれで知りました・・・今やっと読みましたよ。」


今日彼女とは剣道部の朝練があるからと別々に登校していた。もう引退してはいるけど、今まで全然教えてあげられなかったですから、少しでも色々なことをたくさん教えたいんです!・・・と彼女は言っていた。
真面目な人だ。
きっとこんな真面目なところ・・・優しいところがあるから・・・あの学園祭で活躍したからとかそういうことじゃあなくて、彼女にそういう良さがあったから、こんな大きな記事を組まれ、後輩たちも色々と話したんだろう。と思う。
彼女自身が思っているよりも、色々なことを後輩たちは貴方から学んでいるんだと思う。


「どや?記事の主人公になった気分は?」
「恥ずかしいですよ。ちょっと、大げさじゃあないですかね?この大きさは・・・こういうのはもっと、別の人でやるべきではないですかね?」
「いや、そんなことあらへんよ。せっちゃん大活躍やったし。」
「はは・・・そうですか?・・・ありがとうございます。」


彼女は私の返事を聞くと、少し照れくさそう頬をかいた。軽く、頬が赤くなっている。学祭が終わってからというものの、周りの人が自分を見ている目線に気がついてないのだろうか?・・・全く、鈍感だなぁ・・・まぁ彼女らしいか。


「そういえばせっちゃん。」
「なんですか?」
「さっきの・・・これ、ここ。兎と亀の話なんかおかしかったん?」
「ああ・・・それですか。そもそもが、ですよ。」
「そもそも?・・・」
「確かに、怠惰はいけません。1日怠っただけで芽生える“弱い自分”それはすぐに大きくなって、どんどんマイナスに働いてしまいますからね・・・そこは合っているんです。でも・・・」
「でも?」
「私、自分のこと兎だなんて思ったことなんて一度もありませんよ?」
「じゃあ亀ってこと?・・・」
「亀でもありません。」
「じゃあなんなん?」
「もっともっと・・・小さなものですよ。私は亀なんてすごいものにはなれません。何日も、何カ月も、何年も・・・積み重ねて積み重ねて、ようやく亀と同等のところまで立てるんです。私はまだ、彼らのレースのスタートラインにすら、立ててませんよ。別に謙遜とか、そういう意味じゃなくて。」
「・・・・」
「剣道を教えて・・・と私に頼んできた後輩相手にそんなこと言うのはちょっと嫌味に聞こえてしまうかもしれないですからね。ああ答えたんですよ。毎日稽古する本当の意味はこっちです。」


お嬢様だけ知っている秘密ですね。
人差し指を唇の前に一本立てて笑いながら彼女は、そう付け加えた。


「兎と亀か・・・」


確か、童話の話だったっけか。
昔の人も上手い例え方をするもんだ・・・
彼女が、亀ですらないと言うのなら兎とは一体どんな人なのだろうか?・・・
高畑先生?・・父様みたいな人?・・・あ、兎とはイメージ違うなぁ。


それとも・・・ネギ君のお父さんのような人かな・・・


「どうかしました?」
「いや、せっちゃんで亀ですらなかったら兎ってどんな人なんやろなぁーって思うて。」
「兎ですか?・・・うーん・・・お師匠様達・・・長・・・ネギ先生のお父さん、エヴァさんあたりじゃないですか?」
「えぇー兎っちゅう感じやなくない?」
「・・・兎って実力のある人、の意味じゃあ・・・」
「そやけど・・・なんかなぁ・・・」


兎・・・兎・・・うさ・・・


・・・あ。


「なぁせっちゃん。」
「何ですか?」
「兎、いたわ。」
「え?誰ですか?」
「学園祭、主催者、衣装。」
「・・・何ですか急に。」
「この3つのキーワードで思い出すもんない?・・・」


・・・


沈黙が走る。
顎に手を当てて、彼女が考え始めた。
あれじゃない、あれでもないな・・・1つ1つ記憶をさかのぼっていく。


そして・・・


「あ・・・」
「思い出した?・・・」
「あ、いえ、その・・・そ、それをどこで・・・」
「んーネギ君に聞いただけやけど?・・・」
「あ、あの、なぜこちらに近づいてくるんですか?・・・」
「んーなんでやろなぁ?」


・・・・・


「せっちゃん今度やっ――――」
「い・や・で・すぅ!!」


こうして教室中に・・・いや、フロア中に彼女の叫び声が響いた。


ある平日の朝のだった。






〜おわり〜


うさせっちゃんの巻
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