サイエンスアゴラ2009出展報告

November 15 [Sun], 2009, 17:31
 終わってから2週間もたってしまいましたが、企画を出展した記録を残しておきたいと思います。

 以前に予告をしていましたが、お台場で開かれたサイエンスアゴラ2009(10月31日〜11月3日)で、生化学若い研究者の会から企画(講演とパネルディスカッション)を出展してきました。
 いずれも、出展は10月31日(土)でした。

・『「社会における科学者の役割」を若手研究者が考える』
  (生化学若い研究者の会など 企画)
・『博士学生主催 「生命系博士の歩む道」』
  (生化学若い研究者の会・キュベット委員会 企画)


 それぞれのパネルディスカッションの結論は、次の二点であったように思います。

・現状で、“科学者”がすぐにいろいろな所で活躍できるわけではない。
・博士号の価値を高めていくためには、大学院教育を根本的に見直す必要がある。

 まず、一つ目について説明を加えておきます。現在、博士号を取得した“科学者”の進路は決して広くはなく(少なくとも日本では)、これをもっと広くすべきという考えがあります。しかし、現状では多くの“科学者”が、様々な場所で活躍できる力があるかというと、答えは「否」であるようです。広く業界に仕事を求めるには、それぞれの場所で、果たすべき役割を果たせるように準備をしていく必要があります。しかし実際には、多くの科学者やこれを目指す者の側に、その準備ができていないのが現状なのです。(私自身、現状のすべてを把握しているわけではありませんが。)
 もし、多くの“科学者”にその準備ができていない場合、その原因になっている少なくとも一つの、大きな問題は、大学院教育の現状にあるようです。大学院は何のために存在していて、学生は何のためにそこに進学するのか。学生の側の組織(大学院)の側も、見直すべき点が多々あるのでしょう。この点については、また別に機会を見つけて議論したいと思います。


 今回出展した二つの企画において、短い時間の中では結論を出すことも、論点を絞り切ることすらも容易ではありませんでした。しかし、多くの意見が出たことや、多くの学生が企画終了後に講師の先生の話を聞いていたことは、とても印象的でした。さらに、企画直後から懇親会に至るまで、私も含めて多くの参加者が企画の議題について自分の意見を述べ合い、議論が行われる場面が多々見られました。私自身も、この企画に参加させてもらうことができて、とても有意義な時間を過ごすことができました。
 私を含めて約10名もの人を自宅に招いて下さり、三次会の場をくださったK村さんには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。(私とは初対面であったにも関わらず!)

 ただし、今回企画で議論した内容は、すでに「ポスドク問題」やその他の問題と共に提起されていた内容です。このような企画は、できるだけ多くの人(特に大学院生)にこのような問題を認知してもらい、将来的にこれらが解決される契機の一つにならなくてはならないと思うところです。


 最後に、同じくサイエンスアゴラ2009で「世界のトップをめざすには〜日本の研究教育環境を考える」というシンポジウムを開かれた黒木登志夫氏の記事が、11月13日の読売新聞(22面:くらし教育)の連載特集「大学を歩く」に掲載されており、興味深かったので、以下に一部を抜粋して紹介します。


 大学の国際競争力に期待する皆様へ
 「トップ目指した改革 着実に」
 黒木登志夫氏・前岐阜大学学長
 (読売新聞、2009年11月13日、22面「大学を歩く」より、一部を抜粋・一部改)

 サイエンスを楽しみながら語り合う「サイエンスアゴラ(広場)」(科学技術振興機構主催)が先日、東京・お台場で開かれました。その中で開かれた「世界のトップをめざすには〜日本の研究教育環境を考える」というシンポジウムで、私は司会を務めました。4人の科学者がそれぞれの立場から、日本の科学を世界トップレベルにするにはどうしたらよいかを討論しました。

 ヒトゲノム国際機構会長だった榊佳之さん(豊橋技術科学大)によると、アメリカの調査団が日本のゲノム解析について、「縦割り行政のため、お互い足の引っ張り合いをしている」と報告。司令塔の不在を指摘したそうです。

 有本建男さん(ヒトゲノム国際機構)は、米国と日本の研究費配分の違いを説得力のあるグラフで示しました。米国では、戦略的に一部の大学に集中する研究費と、大学全体を広くカバーする研究費の二つがあるのに対し、わが国では支援が十程度の大学に極端に偏っています。基盤的な研究をもっと大事にする必要があります。

 一方で、日本にも国際的に開かれた研究拠点を作ろうという野心的なプログラム「世界トップレベル研究(WPI)拠点」が、2007年から始まりました。
 国際化は簡単には進みません。外国から研究者を呼ぶには、生活環境を整え、英語を(その研究所での)公用語とするなど、これまでのシステムを変えることが必要だからです。

 日本の科学にはまだまだ問題がありますが、世界のトップを目指す取り組みも着実に進んでいます。
  • URL:https://yaplog.jp/ultgear_lasrun/archive/387
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