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【日本版コラム】ハイチのアメリカ人 / 2010年04月07日(水)
 今年1月に大地震が発生し、甚大な被害を受けたカリブ海の島国ハイチ。3カ月近くたったいまも被災者はテント生活を続けている。先月から今月にかけてハイチ支援に参加したWSJ日本版コラムニスト津山恵子氏が現地の様子をリポートする。

 ハイチのポルトープランス国際空港ビルを一歩出ると、そこは柵で囲まれ、物売りたちの黒い顔と手がにょきにょきと出ている。赤帽たちが、彼らを柵内に入らせないように、クレオール語で怒鳴り合う。

 日本からはあまりに遠い国、ハイチは、ニューヨークから飛行機でわずか3時間半。1月12日午後、マグニチュード7の大地震に襲われ、ハイチ政府発表で約23万人が死亡、過去最悪の地震被害を受けた。

 それから2カ月強、ニューヨークで非政府組織(NGO)を運営する友人らが「ハイチに行って、子供たちを助けよう」と呼び掛け、NGO関係者、「何か役に立ちたい」という市民・学生、そして私のほか二人のフォトグラファーの計11人が、ハイチにやってきた。私以外はみな米国人だ。

 滞在先は、首都ポルトープランスから約25キロ西にあるレオガン市。建物の約9割が倒壊し、住民のほとんどがテントに住んでいる地域で、いまだに停電が続く。

 NGO「カンボジアン・プロジェクト」のジャン―ミシェル・ティジェリナなど数人は、避難民の子供と教育に焦点をあてて活動。早速、手分けして地元にあるユニセフ、Save the Children、国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)などを矢継ぎ早に訪問し、情報交換と協力を求める。

 レオガン市の学校は、MINUSTAHによると、一校を除いて全てがぺしゃんこに。住民が近づかないように、武装したスリランカ陸軍のMINUSTAH 兵士が現場を警備しているほど危険だ。

 子供たちは、校庭やサッカー場、空き地に建てられたテントの中で、お腹をすかし、2カ月以上も何もしないでいる。昼は40度近い炎天下、夜は停電で真っ暗。学校さえ再開して、友達に会えれば、少しでも希望を与えられるのは間違いない。

 スリランカ陸軍のワサンタ大佐の案内で、唯一建物が残った小中学校を訪問。寄付された3つの大きなテントを校庭に建てて、授業を始められるように手はずをつけた。私がスーツケース2つに詰め込んで運んだ文房具もここで使われるはずだ。4月6日現在、まだ開校していないが、 ニューヨークに戻ってからも学校関係者と連絡を取り合い、開校への支援をしている。

 ほかのメンバーも驚くほど、精力的に存在感を示した。歌手のサリ・ショアは日曜日、教会に行って、「We Are The World」を歌い、神父や約1000人の信者が総立ちで大合唱になった。孤児院に行って、賛美歌を歌って子供たちを喜ばせ、帰ろうとしても子供たちが離さない。

 3週間前に雑誌編集者をクビになったスティーブ・ハンクスは、同じ教会で激励のスピーチをした。「君たちには僕らがついて いる」。彼は、避難民が寝起きするテントの周りにある瓦礫(がれき)を取り除く作業にも出向いた。

 11人のうち7人が下痢・嘔吐(おうと)を訴えて寝込んだ(私は幸いにも逃れた)。1週間以上インターネットに接続できないというこ とを予想もしなかったのか、携帯電話すら持ってこなかったメンバーが7人。毎日、朝はトーストしていない食パンとピーナツバター・ジャム、夜はライスと野菜煮込みとチキンという同じメニューを、ハエと闘いながら食べるのは、我慢すればいいのに、さすがに文句が出た。

 サバイバル慣れしていないようにみえる米国人たちだが、「また戻ってこよう」と帰りの便で話し合っていた。支援のためハイチに行きたいという人には、米国内の支援も整っている。

 アメリカン航空の直行便チケットは当初、往復950ドル(約8万9000円)と言われたが、サリが交渉し、ハイチ救援団体割引ということで、 390ドルになった。キャンプ用品店では、「ハイチに行く」といって、団体名を書き残すだけでディスカウントがあり、2割引で蚊帳や寝袋、蚊よけスプレー を購入した。iPhone(アイフォーン)の充電のため買ったソーラーパネル付きバックパックは、友人が交渉し、55%引きの“ハイチ・ディスカウント” でゲットした。

 下痢と嘔吐で一時はゾンビのようになったスティーブに「成果はあったと思うか」と、帰りの機内で尋ねた。「小さな変化は引き起こせた」とスティーブ。米国人はどこへ行っても「チェンジ」が好きだ。

津山恵子(つやま・けいこ) フリージャーナリスト

東京生まれ。共同通信社経済部記者として、通信、ハイテク、メディア業界を中心に取材。2003年、ビジネスニュース特派員として、ニューヨーク勤務。 06年、ニューヨークを拠点にフリーランスに転向。08年米大統領選挙で、オバマ大統領候補を予備選挙から大統領就任まで取材し、AERAに執筆した。米 国の経済、政治について「AERA」「週刊ダイヤモンド」「文藝春秋」などに執筆。著書に「カナダ・デジタル不思議大国の秘密」(現代書館、カナダ首相出 版賞審査員特別賞受賞)など。

【4月7日12時25分配信 ウォール・ストリート・ジャーナル
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100407-00000303-wsj-int

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