美酒たちの競演PART10

April 10 [Sun], 2016, 14:27


語学学校『イル・チェントロ』のイタリアワインセミナー、今回は、協同組合の造るワインがテーマでした。まず最初に取り上げられたのは、イタリアの北の端、トレンティーノ・アルトアディジェ州にある、『チェンブラ』という協同組合。プレ・アルプスの、美しい風景(写真上)の中でブドウを作っている、小さな自営農家、約400人のメンバーが集まって作った組合です。

作っているのは、素晴らしい白ワインと、スプマンテ。まだ日本では一部のレストランに卸されているだけですが、この6月か7月ごろから、市販もされる予定だそうです。

まず飲んだのは、こちらのスプマンテ。「ドス 24 トレント DOC」です。



ブドウ品種は、シャルドネ100%。メトド・クラッシコという、シャンパンと同じ、瓶内で二次発酵させて発泡させる方法で造られています。さらに、24か月瓶内で熟成させてから出荷されます。

グラスに注ぐと、こんな感じ。



色は、美しいシャンパンゴールド。きわめて細かくて質の良い泡が、鎖状になってきれいに立ち上ります。香りを取ると、青リンゴのような爽やかな香りに、パイナップルなどのフルーツ香、それに、軽いフローラルな芳香が入ってきて、非常に気持ち良いです。

飲んでみると、エレガントな泡の中にもしっかりとした骨格を感じ、フレッシュな酸がキレの良さを演出しています。そして、青リンゴなどの、フルーティーな香味。さらにのどを通った後は、ヨーグルトのような爽やかで少しミルキーなニュアンスが残り、複雑さも感じられます。素晴らしいスプマンテ! 口福口福。

2本目は、同じ『チェンブラ』協同組合の、フラッグシップの白ワイン。「ヴィーニャ・デッレ・フォルケ ミュラー・トゥルガウ トレンティーノDOC 2013」です。有名なイタリアワインのガイドブック「ガンベロロッソ」の評価でも、最高ランクの、トレ・ビッキエーリ(グラス3つ)を得ています。



ブドウ品種は、ミュラー・トゥルガウ100%ですが、このワインの場合は、特に「ヴィ―ニャ・デッレ・フォルケ」と名付けられた、南向き、標高872メートルの、『チェンブラ』の畑の中でも、最上級のクリュ(単一畑)で作られたブドウだけを贅沢に使っています。

「ヴィーニャ・デッレ・フォルケ」は、わずか1ヘクタールばかりの広さの、急斜面にある段々畑。当然収穫量も限られているので、希少性は非常に高いです。



グラスに注いでみると、こんな感じ。極めてクリアな麦わら色で、黄金色の光の反射がとても美しいワインです。



青いリンゴのフレッシュな香りの中に、バラのようなフローラルなニュアンスが入って、非常に爽やか。プレ・アルプスの美しい風景が、ありありと頭に浮かんできます。

飲んでみると、すっきりとしたフレッシュな酸味をまず感じますが、少し口の中に含んでいると、じんわりと甘みが出てきて、同時に少し塩っぽい複雑なミネラルと、ほんの微かな、心地よい苦みが感じられます。後味も、すっきりとしていながら長く、気持ち良いです。間違いなく、今まで飲んだイタリアの「白」の中でも、一、二を争うぐらいのクォリティーを持った、素晴らしいワイン! これを飲めただけでも、今日、参加した甲斐がありました。うーん、大満足!

さてお次は、同じ「協同組合」が作ったワインながら、場所はトレンティーノと正反対の、イタリアの南のはずれ、プーリア州の、サレンティーノ半島のものです。協同組合の名前は、『カンティーナ・サンピエトラーナ』と言います。3本目に飲んだのは、こちら。



「アンバッシャトーリ・サレント IGT ロッソ」という名の赤。ブドウ品種は、ネグロアマーロと、マルヴァジア・ネーラの混醸です。

グラスに注ぐと、こんな感じ。紫がかった、やや濃いめのルビー色です。



香りは、赤い果実と、バラのドライフラワーのような芳香の中に、ほんのわずか、紅茶のようなニュアンスがあります。

口に含むと、最初は少しシャープな酸と渋みを感じます。でも、講師のファブリツィオが、「このワインは最低7、8秒は、口の中にとどめて味わってみて」と言ったのに従うと、徐々に甘みと、たっぷりした果実味が湧きあがってきて、バランスのとれた、落ち着いた味わいになりました。のど越しも、シルキー。なかなかに美味しいです。

なにより、1600円という卸価格を考えると、とてもコスパの良いワインだな、という印象でした。さすが、プーリアの、それも協同組合が造ったワインですね。

ちなみに、この『サンピエトラーナ』に加盟しているのは68軒の農家だそうですが、そのほぼすべてが、1952年の創立までは、小作農だったとか。プーリアは昔から大土地所有制が基本で、少数の大地主以外は、ほとんど小作農、という状態だったところを、戦後、日本の「農地解放」と同じような政策が行われて、農家がみんな自立できた、という事情があります。それらの農家が共同して作ったのが『カンティーナ・サンピエトラーナ』なのです。この点は、小規模とはいえ昔から自作農が多かった、北イタリアのトレンティーノの協同組合『チェンブラ』とは違うところですね。

さて、最後の1本は、先ほどと同じ『カンティーナ・サンピエトラーナ』の、「ヴィーニャ・デッレ・モナケ サリーチェ・サレンティーノ DOC リゼルヴァ」です。



ブドウ品種は、ネグロアマーロ100%。「ヴィーニャ・デッレ・モナケ」というのは、樹齢50年から60年の古い樹だけが植わったクリュ(単一畑)です。畑のイメージは、こんな感じ。




トレンティーノが山の中だったのに対して、こちらは平らな土地。ブドウ樹の作り方も、プーリア伝統の、「アルベレッロ仕立て」という、一本一本を自立させたつくりになっています。60年ぐらい経った古い樹は、人間の背丈よりずっと高くなっています。

これの前に飲んだ「アンバッシャトーリ」がステンレスタンクで1年間の熟成だったのに対し、こちらはオークの小樽で12か月熟成の後、さらにボトルで2年間熟成してからリリースされています。そのためでしょうか。グラスに注ぐと、ネグロアマーロ種のワインにしては透明感があり、エッジには少しレンガ色が入っています。



香りを取ると、クランベリーやラズベリーのような、赤い果実の芳香に、バニラに似た、樽香も感じられます。

口に含んで、軽く回しながらまたしばし待つと……。たっぷりとした果実味が、南イタリアのワインらしいです。酸味も渋みも、丸く抑えられた中に、じわじわと甘みが広がって行く感じ。それからのどを通すと、甘くてほろ苦い後味が、かなり長く続きます。プーリアの強烈な太陽に育まれながら、それを入念に洗練させた感じ。これはこれで、なかなかおいしいですね!

今日は、イタリアのいちばん北と南の「協同組合」が造ったワイン、白と赤を飲み比べました。協同組合のワインというと、クォリティーはそれなり……という先入観も、正直言うとほんの少しだけあったのですが、今日飲んだものは全部、しっかりとした「哲学」に裏打ちされて造られたことを感じさせる、良品ばかり。特に、『チェンブラ』の「ヴィーニャ・デッレ・フォルケ ミュラー・トゥルガウ」は、感動的な絶品でした。しかも、お値段が抑えめなのが嬉しいところ。これからは、協同組合のワインにも、もっと注目したいと思います。
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