ここが一押しのイタリアン

June 23 [Sun], 2013, 21:14


私がいつも「日本一のイタリア料理人」として押している佐藤護さんが
ついに、オーナーシェフとしてイタリアンのお店を出しました!

店名は「トラットリア・ビコローレ・ヨコハマ」。場所は、横浜駅の
東口から徒歩8分ほどのところ。今日は、その開店記念パーティーに
副店長と二人で行って来ました。



ディナーは6月27日、ランチは7月2日からオープンだそうです。

オーナーシェフの佐藤護さんとの出会いは、私が1998年に出した本
「マエストロになりたい!」の取材でした。



当時、佐藤さんはイタリア料理の現地武者修行中で、私が取材した
ときは、ピエモンテ州の、ピオーベジ・ダルバという小さな町にある
「レ・クリヴィエ」という、ミシュランの星付きのロカンダで働いて
いました。

ほとんど愚直、と言えるぐらい、料理に対して誠実で真摯な姿勢で
取り組んでいたその姿を、今でも鮮烈に覚えています。

その後、帰国してからは横浜「オ・プレチェネッラ」や、白金台、後に
中目黒に移転した「カシーナ・カナミッラ」などのシェフを務めました。

その料理は「皿の上にイタリアの景色を描く」と形容されたのですが、
ここでいう「イタリアの景色」とは、単に料理の見た目だけのもの
ではありませんでした。料理を口に入れて味わうと同時に、イタリアの
美しい景色が脳裏に浮かんでくる。そんな「感動的」と言って良い程の
体験を、たくさんの人がしたからこそ「皿の上にイタリアを描く」と
評されたのです。

そして料理雑誌などにもよく取り上げられる「有名シェフ」になった
のですが、「カシーナ・カナミッラ」の料理長を辞した後は、大分の
豊後高田にある「ラ・テラ」という店のアドバイザーを1年間していた
ものの、事実上は、神出鬼没の「幻の名料理人」になっていました。

その間、佐藤さんは「自分の店」を構えるための開店資金をためたり
していたのでしょう。今回ようやく、多くのファンの前に「再登場」
してくれた、というわけです。

こちらが、佐藤シェフ。



ようやく自分の「夢の舞台」を手にした充実感が感じられました。

立食パーティー形式の開店祝賀会では、美味しそうなものが色々。



パルミジャーノ・レッジャーノチーズのリゾットは、ホールの
チーズを器代わりにして盛ってありました。



当然ですが、すべて超美味!

パルマ産の生ハムは、店内でスライスしてくれました。かなり薄く
カットしてくれたせいか、口の中でとろけるような味わいでした!



イタリアワインも色々。中でも一番美味しかったのは、イタリアの
最北部に位置する、トレンティーノ・アルト・アディジェ州で採れた
「テロルデゴ・ロタリアーノ」というかなり珍しいぶどうで造られた
赤ワイン。私は初めて飲みました。この分だと、ワインリストも期待
できそうですね!



まだオープン前なので、どんな料理がメニューに載るのかわかり
ませんが、それぞれの「土地の味」を生かした、クラシックで
オーセンティックなものを、基本に据えるようです。

YouTubeに、佐藤シェフのスピーチもアップしました。





とにかく、自分自身の「城」を持って、思う存分やりたいことが
できるわけですから、佐藤さん本来の良さが、今までよりさらに
際立った、素晴らしい仕事をしてくれることは間違いありません。

横浜の、それも少し「隠れ家」的な場所にある店ですが、食べる
ことと飲むことの、本当の喜びをかみしめられる「名店」になる
ことは間違いありません。わざわざ東京あたりからでも、出かけて
くる価値は十分あると思いますよ。

うちも、もちろん、何か嬉しいことなどあった折には、みんなの
思い出作りの場所として、通わせてもらうことにします。




※バール・みずさわのお客様に、お知らせ

 最近、当ブログに新宗教や、よくわからないキリスト教系の
 団体、また霊感商法のようなものの広告が付いてくることが
 あります。私が教会の話題を書くことがあるので、管理会社
 の機械が勝手にキーワードを拾って、自動的に付いてしまう
 ようです。私個人とも、私が所属するカトリック教会とも、
 何の関係もありませんので、ご注意ください。

「晴れの国」岡山

June 18 [Tue], 2013, 23:40


17日、18日と「岡山EU協会」という団体のお招きで、岡山まで
ファブリツィオと一緒に出張して、講演をしてきました。

「岡山EU協会」というと、何のことだろうと思いますが、現地に
行ってみると、岡山経済同友会の下部組織のような形になっていて、
EUと、仕事上の関係が深い業者さんの集まりなのだな、という
ことがわかりました。

講演内容は、私たちの本「イタリア人と日本人、どっちがバカ?」の
内容と先日の「日弁連」での講演の内容をプラスして1時間に収まる
形にしました。

前もって日本語の下原稿も作った上に、新幹線の中でリハもしたので
なんとかそれなりに、形になったのではないかと思います。

こちらが、会場の岡山プラザホテルの、講師用控室。



会場で写真まで撮ることは当然できなかったので、講演中の写真はあり
ませんが、カメラマンが撮ってくださっていたので、そのうち送られて
来るかもしれません。

講演の後は、岡山経済同友会と、岡山EU協会の懇親会が、同じ
ホテルであり、その後、二次会ということで、地元のおでん屋さんに
連れて行っていただきました。

ただ、おでんと言っても関東のおでんとは、出汁の味も具も大分違って
いてたいへんおいしくいただきました。またこのお店、ただのおでん屋
さんではなく「ままかり」(岡山名物の小さな魚です)の酢漬けとか、
「さわら飯」という、ごはんの上にさわらの刺身をのせ、さらに刻んだ
ノリをかけたものも食べました。すべて、極うま!

ファブリツィオも「美味しい!美味しい!」と言ってきれいに平らげ、
日本酒をカパカパと飲みまくって、上機嫌でした。

ちなみに「ままかりの酢漬け」に関しては、良く似た郷土料理が
ヴェネツィアにある、とファブがいっていました。

その後、岡山と東京とミラノを行き来して仕事している女性や、そこに
いたメンバーの人の「妹の夫」というトスカーナ出身のイタリア人や、
その娘さん(まだ小3ぐらいですが、すごい美少女)とかもやってきて
大いに盛り上がりました。楽しかった!

岡山は食べ物も美味しいし、岡山人も、ガツガツしすぎず、みんな
良い人ばかりで、本当に良い所ですよ!

興奮さめやらぬファブリツィオはホテルに戻ってから「三次会をしよう」
と言って、近所のコンビニでウイスキーのミニボトルと氷を買ってきて、
ファブの部屋で、二人でウイスキーを酌み交わし、これからこんな事を
やりたいね、という目標など熱く語り合い、思わず夜更かししてしまい
ました。

翌日は、天気予報は雨、それも大雨と言っていたのですが、うまく
はずれてくれて良いお天気。なんでも岡山は、年間日照時間も日本で
上位の方に入り別名『晴れの国』ともよばれているのだとか。

朝食を終えた後は、宿泊した岡山プラザホテルから徒歩数分のところに
ある日本三名園のひとつ、「岡山後楽園」に、ファブと散歩に出かけ
ました。冒頭に掲げた写真も、その時撮った一枚です。

これは、園内の築山から下を見下ろしたところ。



こちらは園内にある「流店」という建物。



建物の中央に溝があり、そこに水を流してきれいに磨いた石をおいて
ある、ちょっと変わった建築でした。



水音が、なんともいえない癒しを与えてくれます。

こちらは花菖蒲の畑。ちょうど見ごろで、本当にきれいでした。



まだ早い時間の園内には、緑と水のかぐわしい空気が漂っていました。

普段は土日もなく、働きづめのファブリツィオ「久しぶりに、リラックス
できた」といって、本当に満足そうな顔をしていました。



10時になると、中国銀行の津村さんという人がホテルまで迎えに来て
くださって、車で倉敷観光に連れて行っていただきました。

あちこちに古墳の点在する、歴史の道「吉備路」を通って、倉敷へ。

倉敷の「美観地区」を散策する、イタリア人。似合っているでしょうか?



私は、25年前、瀬戸大橋が完成した直後、わざわざ車で渡りに行った
折に倉敷にも寄ったのですが、その時の記憶に比べると、倉敷川沿いの
建物が、だいぶ観光化されてしまったというか、土産物屋さんとカフェ
ばかりになってしまったような気がして、少し残念でした。



それでも、まだ「観光化」されてない家も、もちろんあります。



倉敷から出た大富豪で「倉敷紡績」を創業した大原家の本宅はこちら。
あの合成皮革「クラリーノ」などで有名な「クラレ」も、大原孫三郎
という人が創設した会社です。



倉敷、岡山に行くと、ここも大原家が作ったもの、あれもそう、という
具合に、大原一族は、自費を投じて地元の文化施設やインフラを整備
したり、貧しい子弟に奨学金制度を設立したりして、その財を地元の
発展に還元したとのことです。

その象徴的なのが、この大原美術館。大原孫三郎が昭和5年に創立した
日本で最初の私立西洋美術館です。



エル・グレコから始まって、モネやモディリアーニ、セガンティーニや
ジョアン・ミロまで、なかなか見ごたえのあるコレクションでした。

昼食は「美観地区」の真ん中にある料理旅館「鶴形」で食べました。



すごく上品な純和風旅館の一室で、純和食を。お昼から、こんなに
贅沢なお食事をいただくなんて、本当に申し訳ない、という感じ。



ちょっと緊張して、料理の写真を撮り忘れました。ごめんなさい。

ちなみに「美観地区」の中にある観光案内所は、こんな洋館でした。
大正6年に立てられた、旧倉敷町役場を転用しているものだそうです。



これは中国銀行倉敷支店倉敷本町出張所(旧第一合同銀行倉敷支店)。
大正11年の建築だそうです。



案内してくださった津村さんが、中国銀行の行員なので「こんな所で
遊んでる、と言われたら困るから、こっそり通ります」と言って
いらしたのが、ちょっと面白かったです。

倉敷には、まだいろいろと近代建築が多いようなのですが、今回は
時間がなかったので、見られませんでした。

倉敷見物の後、岡山駅までまた車で送っていただき、新幹線で帰途に
つきました。

滞在中、いろいろ美味しいものをごちそうしてくださったり、きれいな
場所へ案内してくださった岡山のみなさんに、感謝感謝です。

そもそも私たちの本「イタリア人と日本人、どっちがバカ?」自体が、
脱グローバリズム、反・新自由主義的な色あいの濃い内容なのに、
岡山経済同友会のような団体の人たちが買ってくださって、共感して
「大変良い内容です」と言って下さること自体、うれしいことです。

仕事で行ったはずなのに、こんなに楽しい思いばかりさせていただいて
しまって、なんだか申し訳ないような気持ちです。

本当にありがとうございました!

またいつか『晴れの国』にお邪魔したいと思っています。

「改憲」の意味を考えよう!

June 08 [Sat], 2013, 20:53


今日は、武蔵小杉のカトリック中原教会で、教会での私たちの
グループが主催する、憲法に関する講演会がありました。
講師は、元国立市長の上原公子さん。

打ち上げでさんざん飲んだくれてしまったので、今、講演の内容に関して
ろくなレビューが出来ない状態にあるのですが、これだけは、という要点
に関して、ここに記しておきます。

まず何よりも重要なのは、憲法9条とか、今話題になっている96条とか
ではなく、自民党が出してきている「改正草案」なるものが、なにより
現憲法の理念を、180度ひっくり返すようなものである、という点です。

現行日本国憲法は、他のほぼすべての「先進国」の憲法がそうであると
おなじく「立憲主義」という理念を土台になりたっています。

まず、よく勘違いされるのですが、憲法とは「法律の親分」などでは
ない、ということを押さえておく必要があります。憲法の本質は国家の
「主権者」である国民が、国政をつかさどる者に対して「これだけは
絶対守りなさい」という「縛りをかける」ためのものなのです。主に
国民にルールを課す普通の法律とはちがうのです。これが「立憲主義」
の基本理念です。

ところが、自民党が今出している「改憲草案」は、これを真逆にひっくり
返して、国家が国民に「これを守りなさい」と指示する形になっている。

その証拠がここです。現行憲法では第九十九条で「天皇又は摂政及び国務
大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する
義務を負ふ」となっているのに対し「改憲草案」ではこうなっています。

第百二条「すべて国民は、この憲法を尊重しなければならない」

現行憲法とは、根本理念からして違うものだというのがよくわかります。

これでは、中国や北朝鮮や、シリアのような国と変わりないのだ、という
自覚と危機感を、今、多くの日本国民は持っているでしょうか?

持っていませんよね? それでなければ、堂々と改憲を主張する自民党が
選挙であんなに大勝利を収めるはずがない。

次に、いくつかの点で、自民党の「草案」に大問題がある、ということを
指摘しておきたいと思います。

まず第二十一条。「表現の自由」です。現行憲法では「集会、結社及び
言論、出版その他の一切の表現の自由は、これを保証する」とあります。

これに対し「改憲草案」ではこれと同じようなことを言いつつ、すぐ
その次に「前項の規定にかかわらず」として、国民の自由に枷をかけ
ます。「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びに
それを目的として結社をすることは、認められない」となっています。

ここでいう「公益」「公の秩序」とは何か、という重大なことを決める
権利は、あくまでも政府の側にあることになります。つまり、これが
通れば、今後国民の様々な「自由」は、為政者側の「良いですよ」という
お墨付きをいただけなかった場合は、制限の対象になるということです。

ちなみに、今日の講師の上原さんがこの点を政府に問いただしたところ、
「高度の公共の福祉のためには、基本的人権の制約が許される」という
ことだと回答されたそうです。さらに「高度の公共の福祉」とは何か、
という質問に対しては、その代表的なものに「戦争」を挙げたそうです。

つまり、政府が「さあみんな、戦争をするぞ」と号令を発したときに、
「戦争なんかだめだ、戦争はいけない」と言うことは、公益、公の秩序、
公共の福祉に反する、ということです。

反戦、あるいは厭戦的な映画やドラマ、音楽、出版物は、公の秩序を
害するから、作ったり発表したりすれば処罰されます。

そのほか原発推進、TPP参加、などなど「公」即ち政府側が決定した
事に対して異議を唱えるのはすべて「憲法違反」ということになります。

政府がよろしくないと判断すれば、今日のような勉強会も、憲法違反。
それに基づいて作られるであろう法律に基づいて、警察に踏み込まれて
主催者である私たちは、逮捕されてしまうかもしれません。

また「思想・信条・宗教の自由」に関しても、今日の講師の上原さんが
国立市長時代、政府に問いただしたところ、「改憲草案」によれば、
「内心の自由である限り、絶対自由であるが、外部的な行為は制限を
受ける可能性もある」と回答があったそうです。

将来は「社会的儀礼」であるという政府判断のもと、たとえば神社への
学校単位での参拝が強制される可能性もありますし、あるいはまた、
カトリック教会が「社会の秩序を乱す」と勝手に判断されれば、ミサ
だって、できなくなるかもしれません。それじゃ「隠れキリシタン」の
時代に逆戻りじゃないですか。

さらに「改憲草案」の第九十八条には「内閣総理大臣は、我が国に
対する外部からの武力攻撃……」ここからが重要です。「内乱等による
社会秩序の混乱……において、特に必要があると認めるときは、法律の
定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することが
できる」となっています。

ちなみにこれは、国会の事前の承認を経なくても、政府内の閣議決定で
発令することができます。その結果としては「内閣は法律と同一の効力
を有する政令を制定することができるほか……」と書いてあります。

「内乱等による社会秩序の混乱」がどんなものかを判断するのは、当然
内閣総理大臣、および閣僚ということになります。脱原発などのデモを
彼らが「社会秩序を混乱させる」と判断した場合は、政令で禁止される
ことになります。

こんなものは、もはや民主主義国家とはいえません。

ほかにも自民党「改憲草案」は突っ込みどころ満載の、トンデモ草案
なのですが、これにどれだけ関心を持っている国民がいるでしょう?

大丈夫、改憲は、最終的には国民投票で過半数を得なければ通らない
のだから、などと言っている場合ではありません。もし自民党がこの
改憲草案を国民投票に持って行ける条件さえ整えれば、彼らは通常の
選挙と同じように「大手の広告代理店」を使って「わかりやすく」
「親しみやすい」改憲宣伝キャンペーンを張ってくるでしょう。

そして、広告代理店と連動した大手マスメディアが、みんな「改憲」
に傾いた時、それでもあなたはそれに反対することができますか?

本当に、憂慮するべき事態です。

特に未来を生きる子供を持つ人たちが「なるようになるさ」などと
行ってスルーするのは、我が子に対して、余りに無責任です。

「集団的自衛権」に政府がこだわっている今、あのような酷い
憲法草案に沿って改憲などしたら、どうなるか。

私たちのかわいい子供たちが、もしかしたらアメリカの石油(など)
の利権のために米軍の「別動部隊」として、アフガンで、イラクで、
あるいはほかの場所で、将来銃をとって、他の国の、これまた大切な
お子さんたちと、血みどろの殺し合いをすることになりかねないの
です。

こどもを「有名私立小・中・高」の学校に入れることなんかより、
こちらの方がよほど重要なことなのに、それがわかっていない親が、
どれだけたくさんいるでしょうか。

いくら良い学校を出たって、足元の平和が、砂上の楼閣のように崩れて
行ったら、何の意味もないでしょう!

アベノミクスなどという、実はありふれた、その場しのぎの経済政策に
だまされて、彼らが企んでいるもっと重大なことを、絶対に見逃しては
なりません!

すみません。今日は酔っぱらってます。これぐらいにします。

でも本当に皆さん、選挙で「改憲」を主張する政党の議員に投票をする
ときには、こうした重大な懸念をすべて覚悟した上で、してください。
覚悟できないなら、そういう党や候補者に、投票しないでください。

本当に、おねがいします。

「ラファエロ」展

June 01 [Sat], 2013, 23:15


今日は副店長と息子と、上野の国立西洋美術館へ「ラファエロ」展を
見に行って来ました。

私が好きな「四大画家」がラファエロ、ティツィアーノ、コレッジョ、
ムリーリョだということは折に触れてここでも書いて来ました。

当然、今回の展覧会のチケットもネットで早々と買ってあったのですが、
まだ会期があるから、と思っているうちに、終了まであと1日になって
しまって、あわてて今日、三人で出かけたわけです。

今日出品されていたラファエロ本人の作品は、七割方、イタリア各地の
美術館で目にしたことのあるものでしたが、こうして企画展となって
体系的に見せてもらうと、知らなかったことが色々とわかったりもして
勉強になります。

特に、初期の作品と、彼に影響を与えた画家たち、父のジョヴァンニ・
サンティや、ペルジーノ、ピントリッキオらの絵を並べて展示したり、
ラファエロの弟子や、その影響を受けた画家たちの作品を見たりすると、
新しい発見があります。

とくに、彼の素描が、弟子のマルカントニオ・ライモンディによって
版画になり、広く世の中に出回っていたこと、それをもとにして様々な
工芸品も作られていたことは、新しい知識になりました。

こちらは「聖家族と仔羊」という作品。マドリードのプラド美術館蔵の
ものなので、初めて見ました。



仔羊は、古代のユダヤの伝統で、神に捧げる生贄に使われていた動物で、
これを幼子イエスの姿と組み合わせて描くことで、将来のイエスの受難
=世の人の罪を贖う犠牲として、十字架にかけられる運命を暗示している
のですが、このアイディアは、もともとレオナルド・ダ・ヴィンチが研究
していたもので、その素描か何かを目にしたラファエロが、自作に使った
もののようです。

こちらは「エゼキエルの幻視」という作品。エゼキエルは、旧約聖書に
出てくる、預言者のひとり。ユダヤ人がバビロンの都の捕囚となって
いた時代の人です。これはその「エゼキエル書」の中で、四頭の異様な
生き物が神の周りを取り囲む様子を幻に見た、と書かれている場面を
表した絵です。



四頭の生き物とは、人間、獅子、牡牛、鷲で、それぞれが、新約の時代に
なってから、四つの福音書の記者、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネを象徴
するもの、とされるようになりました。ラファエロは、それを踏まえて、
この作品を描いているわけです。

とここまでは、やっぱりラファエロは、腕の良い画家だなあ、という
感想で終わってしまうのですが、今回来日した作品の中で、やっぱり
傑出して素晴らしいのは、この「大公の聖母」です。

18世紀末から19世紀初頭のトスカーナ大公、フェルディナンド3世が
「再発見」し、大切に所有していたことから「大公の聖母」と呼ばれる
この作品。



その優美さ、気品、神聖な雰囲気の一方で、温かい母子の情愛の
ようなものまで描き出されていて、作者ラファエロの、傑出した
手腕と、深い精神性を証明してみせています。

そして傑作中の傑作だけが持つ、遠目に見てもはっと胸を衝かれる
ようなオーラが、この作品には間違いなくあります。

これを鑑賞できただけでも、入館に45分並ばされ、館内でも人込みに
もまれて、くたくたになった甲斐があった、と思いました。

……とはいうものの、普段この絵が置かれているフィレンツェの
ピッティ宮殿内にある「パラティーナ美術館」で、たくさんの
ラファエロ作品が、ごちゃっとした感じで並んでいる中では、
正直、これほどの感動は、味わえなかったりもするんですが。

なにしろ、手を伸ばせば絵に直接さわれるような状態で、結構
無造作に展示をするのが、パラティーナの「流儀」(?)の
ようなので……。あの名作「子椅子の聖母」も、同じ部屋の出口
ドアと窓のそばに、何気なく飾ってあったりする状態ですから。
光は、窓から入る自然光だけですし。

「大公の聖母」も、この展覧会のように、特別なコーナーを設けて、
照明の当て方も工夫して展示すると、また全然違う風格が出るもの
だな、というのも実感しました。

ところでこの「大公の聖母」、先日のテレビ番組「美の巨人たち」
でも取り上げていましたが、この漆黒の背景は、作品が描かれて
からかなり後の時代に、他の画家によって黒く塗りつぶされたもの
だということが、最新の調査ではっきりしたのだそうです。

ラファエロが描いた元の状態では、部屋と、その窓外の風景が、
おそらくは、まだ未完成のまま描かれていた。それを後世の画家が
黒く塗って「完成」(?)させたと思われるのだとか。

ラファエロが絵を完全に仕上げていたとしたら、どんなだった
のか、今では想像もできません。でも個人的な感想では、漆黒の
闇の中に浮かび上がっている聖母子も、これはこれで素晴らしい
演出効果を出しているように思えます。

天国のラファエロも、「なかなか良いじゃない」と思っているの
ではないでしょうか。

久しぶりに家族で美術展に来て、疲れましたが、とても充実した、
良い時間が過ごせたと思います。

私が個人的に、ルネサンスからバロックにかけての時代の絵が一番
好きなので、自然と息子も、そうなってしまったようです(学校の
工作で作ってくるものは、現代アート?なものが多いですが)。

ルネサンスかバロック時代の絵が中心の展覧会が、また近いうちに
あることを期待しています。



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