私が最も尊敬する人物

July 27 [Fri], 2012, 16:10
今日は、私、「BARみずさわ」店長が、歴史上もっとも尊敬する
人物についてのお話をしましょう。

それは「アッシジの聖フランチェスコ」です。

イエス・キリストじゃないのか? と思われる方もいらっしゃるかも
しれませんが、イエス様はカトリック信徒の私にとって「三位一体」の
「神」ということになるので……。

アッシジのフランチェスコは、1182年、中部イタリアのアッシジの
町に生まれました。父親が織物を商う、豪商だったため、若いうちは
町のお坊ちゃま仲間と、散財して遊びまわる生活を送ったようです。

そんな彼が、カトリック教会の「聖人」になることになったきっかけは、
町はずれの「サン・ダミアーノ教会」でたまたま十字架に祈っている時、
「フランチェスコよ、私の家が倒れかけている。お前が立て直しなさい」
という「声」を聞いた、ということだったようです。

最初は、当時は半ば崩れかけていた、サン・ダミアーノ教会を修復せよ、
という神の声だと理解した彼は、自分で石をひとつひとつ積んで、この
教会を直しました。しかしやがて、「倒れかけた私の家」というのが、
ローマ教皇庁を頂点とする「キリスト教会」そのものを意味していると
理解していったようです。

その後の物語を並べたら、それこそ本が一冊書けてしまうので、今は、
彼の生き方がどんなにユニークなものだったか、そしてどこが神の心に
真にかなうものだったか、という点を、5つにまとめておきましょう。

1. 徹底した「清貧」を貫き通したこと

中世の当時、世俗的権力でもあった教皇庁は、世の中の富を集めることに
熱心になっていました。教皇庁の身分の高い聖職者や、各地の司教は、
贅沢な暮らしにおぼれていました。しかしフランチェスコは、それとは
正反対に、ただ生きるために最小限の物の他は、所有することを拒否し、
弟子たちにもそれを求めました。日々に必要な分の糧だけを自分の手で
働いて得るように、もしそれが出来なかったときには、托鉢をするように
することを、自分にも、弟子にも求めました。

2. いつも弱者の味方になったこと。それを徹底し、自分もまた彼らと
 同じ弱いものになったこと

フランチェスコは中世の当時、社会から最も差別され、忌み嫌われていた
ハンセン病患者を助けるため、あらゆる手を尽くしました。
また「小さき者」、即ち、貧しいもの、力の弱いもの、女性、子供、
被差別者に共感し、彼らに寄り添うことを自分と弟子に課しました。

ただし、彼の態度は、施しをしてあげる、などという「上から目線」の
ものではありませんでした。自分自身が「小さき者」となり、弟子にも
それを求め、あくまでも、悩み苦しむ人たちの「側に寄り添う」ことを
望んだのです。これは社会的強者、つまり権力や富を持っている人々を
優遇した、当時の教皇庁の在り方とは対極をなすものでした。

3. 徹底した平和主義

当時はキリスト教の聖地・エルサレムを「奪還」するために、西欧社会が
オリエントに「十字軍」を送っていた時代でした。当時の教皇庁もそれを
支持し、支援していました。また教皇領の領地争いのための戦いに、自ら
甲冑をまとい、剣をとって、戦場に赴く教皇さえもいました。しかし
フランチェスコは、自分にも弟子にも、あらゆる武器を手に取ることを
厳しく禁じました。そして、常に、どんな場合でも、徹底した非暴力の
立場を貫いたのです。

4. 他宗教に対する寛容と尊敬

フランチェスコが生きた時代は、キリスト教徒とイスラム教徒が激しく
対立し、戦争状態にあった時代でした。そんな中、フランチェスコは
十字軍に同行してオリエントを訪れ、それから、たった一人でイスラム
教徒の指導者、スルタンのもとに出向き、語り合うという危険なことを
敢えて行いました。

最初は、フランチェスコを捕縛し捕虜としたスルタンでしたが、やがて
フランチェスコに、敵意や、自分たちに対立する感情がないことを知り
ました。そして彼らは平和のうちに、お互いの宗教について語り合った
のです。

後にフランチェスコは、この出会いを「大変有意義で勉強になった」と
述べています。これは当時のヨーロッパの人間としては、考えられない
くらい、謙虚なものです。

また、他宗教の信徒と接する時の心得として、彼は「自己中心的な考え
方や態度を捨てるように」と弟子たちを戒めています。そして「一切の
口論や争いをすることなく、協調して過ごすように」とも述べています。
さらに、自分の信仰を、むやみに押し付けるのではなく、そのように
生活してみた上で「それが神の望みにかなっていると考えた場合」に
のみ、キリストの教えを伝えるように、と言っています。

他の宗教に対し「非寛容」だと言われがちなキリスト教徒ですが、
フランチェスコは、他宗教とその信徒たちに対し、深い尊敬を示し、
彼らと平和のうちに、共存することを求めたのです。

5. 自然との調和、そして一体感

日本で良く言われる論調に、こういうものがあります。「現代文明が、
自然を損ない環境を破壊する傾向にあるのは、現代文明の基礎にある
西欧文明を育んだキリスト教の考え方が、自然を『人間が支配すべき
もの』と位置づけ『人間と敵対し、克服されるべきもの』と捉えて
いるからだ」というのです。

しかしフランチェスコの場合は、この宇宙にある万物を、みな同じ
ように神の意志によって生まれた「兄弟姉妹」と呼びました。彼は
万物に、上下や支配、被支配の関係などはなく、みな対等な存在である
とみなしています。

フランチェスコにおいては、自然を自分の都合の良いように変え、搾取
しようという、現代文明の「悪弊」は全くありません。彼は動植物を
含めた自然を深く愛し、親しみ、それと一体化して生きることに喜びを
見出し、そのことを通して「神」の存在を感じ取っていたのです。


やっぱり長くなってしまいましたが、こんなところでしょうか。

このような、カトリックの聖人の中でもユニークな彼の考えや生き方が、
彼が生きた時代から800年を経た現在も、キリスト教徒はもちろん、
他宗教の信者や、果ては無神論者にまで、広く愛され、尊敬されている
理由なのです。

ちなみに、イタリア文学史上、最も偉大な詩人とされるダンテは、
フランチェスコの生地・アッシジについて、その作品『神曲』の中で
こう書いています。

『神曲』天国編・第十一歌(平川祐弘訳)
この斜面の勾配が一番なだらかなあたりから、
一つの太陽がこの世の中に生まれ出た。
だからその土地のことを話す人は、
適切な表現を望むなら『東方』(オリエント)というべきで
舌足らずの『アッシージ』というべきではないだろう。

まさに、フランチェスコは、この世にあらわれた「輝く太陽」の
ような人だったと思います。

イタリア人は、自分たちの国から、このような人物が出たことを
誇りにして良いと思います。実際、アッシジの聖フランチェスコは
「イタリアの守護聖人」にもなっています。

ところで、何で今頃そんな話を持ち出すのか、不審に思われる方も
たくさんいらっしゃることと思います。

その理由は、また後日、このブログの新記事をお読みになればわかる
かと思います。とりあえず、今日はこのくらいで……。

行けばよかった……。

July 16 [Mon], 2012, 17:55
今日は東京の代々木公園で、作家の大江健三郎さんや、ミュージシャンの
坂本龍一さんらのよびかけで『さようなら原発10万人集会』があり、
その後で、デモ行進もありました。

朝日新聞のサイトニュースによると、17万人が参加したとのこと。

私は明日、某イタリア語学校での抗議、ならぬ講義があるので、その
準備のため、終日家で仕事。

でも、仕事なんか前倒しでもっと早くやれたのですから、ちゃちゃっと
片づけて、参加してくればよかった、と激しく後悔しています。

17万人が集まる集会なんて、この国じゃやはり、ちょっとした事件
ですから。その場に身を置くだけでも、良い体験になっただろうな、
と思います。

やはり、この国でも、何かが確実に変わろうとしています。

毎週末の『首相官邸前抗議』もそうですが、今回もけが人や逮捕者などは
出なかったようです。

またこの暑い中、参加した方々は大変だったろうと思いますが、熱中症で
深刻な状態になったりした人も、どうやらいなかった様子。

「デモなんかして、何になる」という人が多いと思いますが、やはり
この国で、大衆の意識の中で「何か」が変わろうとしていることを、
国内外に広く知らしめる、ということだけでも意義はあると思います。
もはや日本人は、ただ「おとなしい」だけの国民ではないんだよ、
ということを。

熱暑の中、参加された方々、本当にお疲れさまでした!
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