2012「緑のハート」への旅C

August 07 [Tue], 2012, 14:08


イタリア旅行4日目。いよいよ、私にとっての、一種の「聖地」
アッシジにやってきました。アッシジと言えば、なんといっても
聖フランチェスコの町。アッシジの聖フランチェスコがどんな人
だったかは、このブログの4回前の記事「私が最も尊敬する人物」
を読んでいただければわかります。

今から9年余り前に、私が洗礼を受けた時にいただいた「霊名」も
アッシジのフランチェスコです。

アッシジの町に着くと、ホテルの部屋はまだ準備ができていな
かったので、とりあえずホテルにスーツケースを預け、街に出て、
すぐに息子に「タウ十字架」というものを買ってやりました。
こんなものです。材質は、オリーブの木です。



聖フランチェスコが好んで使っていたということから、アッシジの
市内の土産物店でも、教会の売店でも、どこでもたくさん売って
います。私と副店長は既に持っているので、これで三人揃いました。
息子のものは、まだ神父さんに「祝別」してもらっていませんが、
聖フランチェスコに敬意を表して、これをつけてアッシジを歩こう、
というわけです。

そして真っ先に向かったのが、冒頭の写真の「サン・フランチェスコ
聖堂」です。

ここは、聖フランチェスコの死後、わずか二年後に建設が始まった
と言われ、11年後に完成しました。究極の、と言っても良い清貧を
貫いたフランチェスコにささげるには、大きく立派過ぎる、という
意見もありますが、私は、その清楚なファサードが気に入っていて、
イタリアの教会建築の中でも、1、2を争うくらい好きなものです。

この聖堂は上下二段になっていて、上部の聖堂には、ルネサンス
絵画の先駆けともいわれる、ジォットの非常に有名なフレスコ画
「聖フランチェスコの生涯」連作28点があります。その中でも
特に有名な1点が「小鳥に説教をする聖フランチェスコ」です。



自然を愛し、自然界のすべてのものを「兄弟姉妹」と呼んだ彼は、
近年になって「自然環境を保護する人」の守護聖人にもなりました。

それから、いったん外に出て、下部聖堂に入ります。

堂内は薄暗くて、装飾は見づらいのですが、ここにはゴシックから
ルネサンス初期の巨匠たちによる名画が非常にたくさんあります。
ジォット、シモーネ・マルティーニ、ピエトロ・ロレンツェッティ、
チマブーエなどの傑作が詰まったそこは、まるで美術館のようです。
こちらは、チマブーエが描いた「聖母と天使と聖フランチェスコ」の
作品の一部。聖フランチェスコの肖像部分です。



ちなみに、この下部聖堂内にチマブーエが描いたフレスコ画のうち、
高さ4.5m、幅9mという大作「聖マタイ」は、97年に起きた大地震
によって、一片の大きさがわずか数pの、12万個もの破片となって
崩れ落ちてしまいました。とても修復は無理と言われたこの壁画。
しかしイタリアの修復家たちは、全ての破片の大きさ、厚さ、形、色を
コンピューターに記録し、再構成して、ついに修復に成功してしまい
ました。文化財保護にかける、イタリア人の、熱意をも超えた、執念に
近いものを感じます。

しかし、絵が大好きな一方、熱心なクリスチャンという面では私以上の
うちの息子。今回の旅行で、どこの教会に行っても、美術を鑑賞する
以上に、真剣に祈りを捧げている姿が印象的でした。おかげでこちらも
自然と敬虔な気持ちにさせられました。今回の旅は、観光旅行でもあり
ますが、聖地であるアッシジへの「巡礼」にもなりました。

下部聖堂のさらに下には、聖フランチェスコのお墓があって、聖人の
なきがらを納めた石棺が、今でも見られるようになっています。
金額は志納の献金をし、ろうそくを一本持ち、それを石棺前の祈祷台の
横に置いて、お祈りするのが決まり。

私も、ここを訪れるといつも特別な気持ちになり、息子を見習うまでも
なく、心を澄ませて深い祈りをすることができる、特別な場所です。

聖フランチェスコの「お墓参り」を済ませ、何か清々しい気分に
なって、アッシジで滞在する「ジォット・ホテル」に戻りました。
そして部屋に入るなり、思わず声を上げてしまいました。そこが
飛び切りの、「眺めの良い部屋」だったからです。バルコニーから
望む景色は、こんなものでした。



アッシジの丘から眺める、ウンブリアの平原の美しさには定評があり
ます。以前にも、アッシジの旧市街から平野を見下ろす、眺望の良い
部屋に泊まったことはありました。

しかし、このホテルの部屋からの眺望は、見下ろす平野の前景に、
1200年代に建てられた「サン・ピエトロ教会」が見えて、さらに
景色を味わい深いものにしていたのです。もう数えきれないくらい
イタリアのホテルに泊まってきましたが、今回の部屋が、窓からの
景色という点では、最高だったかもしれません。出来ることなら、
この部屋に住んでしまいたい、と思ったほどです。

部屋自体も、調度品はペルージャの「ホテル・フォルトゥーナ」と
異なり、アンティークではありませんでしたが、清潔で機能的で、
十分なスペースがありました。



従業員の応対も親切で感じが良かったです。またアッシジに来たら
この「ジォット・ホテル」に泊まりたいな、と思います。

ホテルの部屋で「切り売りピッツァ」と「自販機バール」で買った
飲み物で昼食を済ませ、またアッシジの街に出ます。

さすがに世界遺産の町。メインストリートこそ、観光客でいっぱい
ですが、一歩裏通りに入れば、中世の雰囲気を色濃く感じられる
場所がたくさんあります。



また、アッシジ旧市街に住んでいる人も、ちゃんと自分の義務を
承知していて、家の外観を美しく保っています。



町の起源は古代ローマ時代にさかのぼるアッシジ。「フォーロ」と
呼ばれる公共広場だったところには、当時の「ミネルヴァの神殿」
の一部がまだ残っていて、今は教会として使われています。



広場の雰囲気は、重厚でありながら、のんびりとしていて、いまや
観光地とは言いながら、それでもひなびた感じがあります。



それから、この町で印象に残ることは、水道水が冷たくておいしい
こと。ローマの水もおいしくて、スペイン広場の「バルカッチャの
噴水」などで、ペットボトルに水を汲む人が多いくらいなのですが、
アッシジもそれに負けていません。古代の「フォーロ」跡にある
「コムーネ広場」の東側には噴水があるのですが、その横に、公共の
水飲み場があります。ここの水が最高! 飲んだり、ペットボトルに
入れたりと、我々もさんざん活用させてもらいました。

それから、町の旧市街の東のはずれにある「サンタ・キアラ教会」
を訪れました。



白とピンク色の石を、交互に重ねたファサードは、聖女キアラに
捧げられた教会にふさわしい、かわいらしい外観です。

ちなみに聖キアラは、フランチェスコの教えを忠実に守り、彼に
従った女性で、のちに「クララ女子修道会」を設立しました。
イエス様の近くに聖マグダラのマリアがいて、フランチェスコの
近くに聖キアラがいた、というのは、不思議な符合に思えます。

「サンタ・キアラ」教会の地下礼拝堂にも、聖キアラのお墓が
あります。ただ、人がいっぱいな上、お祈りする場所がなくて、
ゆっくりできないのが残念なのですが。

でも「サンタ・キアラ教会」のもうひとつすばらしいのは、内側
から見た、バラ窓に差す光が、本当に美しいこと。写真のないのが
残念です。

それから「コムーネ広場」から少し上がったところにある、この町の
カテドラル、「サン・ルフィーノ」大聖堂に行きました。



アッシジの町の「ドゥオーモ」であるこの聖堂ですが、少し地味な
存在。それでも、左手の鐘楼は11世紀のもの。聖フランチェスコも
この鐘楼を見上げ、鐘の音を聞いたのかと思うと、感慨深いです。

夕食はコムーネ広場の端にある「トラットリア・デッリ・ウンブリ」
という店で。かなりおいしくて、値段も手ごろでした。ウンブリアの
名物である、太くてもちもちしたロングパスタ「ストランゴッツィ」
のウンブリア風が、特に美味でした。

アッシジは、ペルージャ以上に安全な町。凶悪犯罪のたぐいは皆無
なだけでなく、泥棒、スリのたぐいもほとんど話を聞きません。
イタリアでも、小都市は日本の田舎町と全く変わらないくらい安全
なのですが、アッシジは観光地でもあるのに関わらず、超安全です。
偉大な聖人に遠慮して、悪い人は、寄りつかないのでしょうか。

となれば、夜のお散歩、ぶらぶら歩きは何よりの楽しみ。特に
中世の雰囲気が濃いアッシジの夜は、何とも言えない情緒がある
のです。ライトアップされた、夜のサン・フランチェスコ聖堂も、
本当にうっとりするくらい美しいです。



ホテルに帰ってから見た丘の下の夜景も、とてもきれいでした。



息子もアッシジを気に入って、「ヴェネツィアと同じくらい好き。
世界で一番好きな場所が、二つできた」と言っていました。

明日は旧市街の外に出て、聖フランチェスコの足跡をたどります。
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