海の時計

September 09 [Wed], 2009, 9:36


いつもお世話になっている、横浜・元町の『COMMON TIME 元町』さんに
腕時計のブレスの洗浄をしてもらいに行きました。・・・というのは、実は
半分口実。今、お店で開催中の「ユリス・ナルダンフェア」を見てみたかった
というのが、訪問の、主な理由です。

そしてこのフェアに行きたかった理由は、本物の「マリン・クロノメーター」の
実際に動いているもの(写真上)が見られる、ということでした。

「マリン・クロノメーター」については、以前、このブログでも書いたかと思い
ますが、かつてはすべての外洋航海の船に搭載されていた、船舶時計の
ことです。かつては、これがなければ、船は現在自分が位置している「経度」
を測定することができませんでした。つまり、航海のための必須アイテム、
重要な「計器」のひとつだったわけです。

時計で「経度」を測れる理屈は、簡単に言うと、次のようなものです。仮に
船が出港する港の時間に時計を合わせたとします。そして、西か東に航海
してから、太陽の南中時に、この時計を見ます。遠くまで航海すれば、当然
「時差」が出ますから、時計は12時を指してはいません。地球は24時間で
360度回転します。ここから360度÷24=15度、というわけで、もし1時間
時計が遅れていれば、経度にして15度東へ進んだということ、1時間進んで
いれば、15度西へ移動したということがわかる、というわけです。
実際は、グリニッジ標準時(子午線で言うと東経西経0度)に時計を合わせ、
それと、現在地点の時差を測定して、経度を割り出すやりかたを採用する
のが、一般的だったようですが。

ただこの方法だと、時計が1分狂うと、距離にして数十kmもの誤差が出て
しまいます。なので、「マリン・クロノメーター」には、機械式時計としては、
究極の精度が要求されました。それは、機械式腕時計をはるかに凌駕する
ものだったとも言われます。

船の揺れが時計の精度に影響するのを避けるため、時計本体は「ジンバル」
という金属製の装置にはまっていて、船が揺れても水平が保たれるようになっ
ています。そして、ジンバルごと木の箱に収められています。
外観はこんな感じ。



「マリン・クロノメーター」は、地上波の電波位置測定システムが普及するに
従い、すたれて行きました。でも、かつて横浜港に入港する船舶の「マリン・
クロノメーター」の修理・メンテナンスを一手に引き受けていて、ここに展示して
ある「マリン・クロノメーター」の持ち主でもある、横浜の『宇津木計器』という
会社によると、昭和30年前後ごろがメンテナンス受注の全盛期だったという
ことらしいので、意外に最近まで、実用に使われていたことが分かります。

船の位置測定システムは、現在は地上波を利用したものから、人口衛星に
よるGPSに変わり、「マリン・クロノメーター」が活躍した時代からは、ずいぶん
様変わりしました。でも、遠洋航海のロマンを感じさせるのは、やっぱり今でも
GPS装置より、「マリン・クロノメーター」です。

その「マリン・クロノメーター」のメーカーとして世界最高の評価と実績を誇った
のが、『ユリス・ナルダン社』です。今回、『COMMON TIME 元町』さんに
展示されていた2点の「マリン・クロノメーター」も、ユリス・ナルダン製のもの
です。そのうちのひとつは、製造番号が3桁ということで、大変古い、貴重な品
だとのこと。横浜の『宇津木計器』に、ユリスナルダンの「マリン・クロノメーター」
がたくさんあるという情報を得て、スイスから視察に来たナルダン社の人たちも
「良く残っていた」と、驚いていたぐらいだそうです。



店長が、ユリス・ナルダン製「マリン・クロノメーター」の歴史に憧れて、時計を
買ってしまったのは、以前にも書きました。今回も、ユリス・ナルダン製腕時計
の現行モデルが、たくさんウィンドウに並んでいました。



実にかっこいいですねー。
どれも良いお値段で、残念ながら、買うお金はありませんが・・・。
懐に余裕のある方は、ぜひ一本、いかがでしょう?
「ユリス・ナルダン・フェア」は、9月13日まで、『COMMON TIME 元町』
で開催中、とのことです。

いずれにしても、大変良い物を見せていただきました。
店長のナルダン製腕時計のブレスも、ぴかぴかになりました。また、少し
機械が磁気を帯びていたということで、磁気抜きもしてもらいました。
最近、精度が実用日差で+4秒前後と、以前に比べて落ちてきていたのは
(実際はそれでも十分優秀なのですが)、磁気帯びのせいかもしれません。
うちの「腕上マリン・クロノメーター」も、大切に使っていきたいと思います。

驚きの高精度!

February 21 [Thu], 2008, 11:39


ユリス・ナルダンの「マリン・クロノメーター1846」を購入してから、もう
1年が経ちます。その間、時計を止めたことは一度もなく、週に1回、
時間合わせをして使うのが、習慣になっていました。毎週、多くても
10秒前後の進み傾向。ほんの数秒間、秒針を止めるだけで修正完了、
ということもしばしば。いつも大変な高精度を発揮してくれて、全く手の
かからない、優等生ぶりでした。

で、購入1周年を機会に、さらに精度を詳しく調べてみようというわけで、
この1週間、毎日同じ時刻に、標準時との誤差をチェックしてみました。
計測の親時計には、セイコーの卓上電波時計と、電話時報を使用。
これなら間違いありません。
ちなみに、実際に着用して使ったのは、1週間のうち、4日間でした。

その結果・・・1日目(24時間後)、誤差±0秒。うむ、これは優秀だ。
2日目、誤差±0秒。へえ、すごいねえ。3日目、またまた誤差±0秒。
えっ、ホントかよ・・・ということで、結局まる7日間、標準時との誤差は
びしりと±0秒にはりついたまま、1秒の狂いも計測されませんでした。

なんと、「週差」±0秒! 1週間の平均日差、±0秒です!
1日ごとに何秒か進んだり、遅れたりして、たまたま結果的に、7日目の
誤差が0になり、帳尻が合った、ということなら、結構あることなのかも
しれません。しかし、7日間も±0行進を続けたというのは、尋常ではない
と思います。ましてこの時計、購入後、1年も経過しているわけですから。
その精度安定性には、本当に驚きました。

クォーツ時計だけを日常使っている方は、「何?普通じゃん」と思われる
でしょうが、機械式腕時計のことを少しでもご存知の方なら、「ちょっと
それはありえないんじゃない?」と思われるのではないでしょうか。
でも、うそ偽りはありません。ホントにホントの結果です!

昔から、機械式時計の誤差を解消したり、精度を安定させたりするため、
さまざまな工夫がなされ、いろいろな機構が発明されてきました。
例えば、トゥールビヨン、ルモントワール、巻き上げひげ、フリースプラング、
両持ちのテンプ受け、イグザクトマチック、レゾナンス機構、ダブル・ヘア
スプリング、等々(機械式時計に興味のない方には、わけのわからない
用語ばかりですみません!)・・・。
でも、そうした特別な機構を何も使っていなくても、我が家のナルダン、
実際に、これだけの精度を出してしまったのです。
しかも、ETA2892という、「汎用ムーブメント」がベースなのに・・・!



ちょっとご説明しますと、ムーブメントとは、時計を動かす機械のことです。
「汎用ムーブメント」というのは、ムーブメント製造の専門メーカーで、大量生産
されている時計機械のこと。それが、各時計メーカーに納入され、各メーカーは
その汎用ムーブをベースにして、独自のブラッシュアップを施したり、特別な
機能を加えたり、あるいは何もせずに、そのまま「ガワ」に入れたりして(笑)、
完成品の「自社モデル」に仕上げます。

一方で、設計の段階から最終的な組み立てまで、同じメーカーで一貫製造
される時計もあります。そうした時計のムーブメントは「自社ムーブ」と呼ばれ、
かなりお値段が張る代わりに、その分だけ高級、という風に見られます。
ですから、「汎用ムーブメント」という言葉には、ごくありふれた機械、という
ニュアンスが含まれるわけです。

店長が購入した「マリン・クロノメーター1846」は、汎用ムーブ使用の時計
ですが、少なくとも精度においては、最高のパフォーマンスを見せてくれて
いる、というわけです。
たまたま私のところに、特別「当たり」の個体が来たのは確かなんでしょう
けれど、それにしても「ユリス・ナルダン恐るべし」です。汎用ムーブメントを
徹底的に磨き上げ、改良して、精度を高めているのは間違いありません。

機械式の時計に関して、あまり精度を気にしすぎるのが、ナンセンスである
のも確かです。しかし、時計というのは本来、時刻を表示する道具ですから、
精度は、やっぱり良いに越したことはありません。

うちのナルダン、細かい点で、ここがこうだったらもっと良いのに、という不満
はいくつかあります。でも、時計に関しては「精度の良いのは七難隠す」とも
言えるのではないでしょうか。今後も、かわいい相棒として、末永く付き合って
やろうと思っています。

ジャガールクルト・ナイト

November 28 [Wed], 2007, 23:46


今日は、いつもお世話になっている時計店、「COMMON TIME 元町」
(「CHARMY TANAKA 横浜元町本店」から改称)さんのご招待を受けて、
イベントに行ってきました。題して「ジャガー・ルクルト ナイト 2007」。

ジャガー・ルクルトというのは、1833年創業という、スイスの老舗時計メーカー
の名前です。単に老舗、というだけでなく、そのムーブメント(時計機械)の
優秀性には昔から絶対の信頼が寄せられていて、スイスの多くの一流メーカー
がジャガー・ルクルトのベース・ムーブメントを購入し、それを搭載した時計を
作っていたことがあるくらい。
現在も、驚異的な技術開発力に定評があり、毎年ジュネーブで行われる時計
展示会では、ジャガー・ルクルトが、今年はどんな先進技術を駆使した新作を
出してくるかが、注目の的になっています。

今回はそんなジャガー・ルクルトの新作を含めた、たくさんのモデルをど〜んと
集め、堪能してしまおう、というわけです。会の冒頭では、スイスから来日した
ジャガー・ルクルト社のCEO、直々のご挨拶がありました。
そして、この日の目玉となっていたのは、このブランドが久しぶりに発表した、
ダイバーズ・ウォッチのラインです。



上の写真は「マスター・コンプレッサー・ダイビングGMT」というモデル。実は、
名門ジャガー・ルクルトが、ダイバーズウォッチの新作を出すのは、意外にも
何十年ぶり、ということで、今回は鳴り物入りの発表になりました。

防水性能は、1000m。といっても、当然ながら普通のレジャー用潜水具では、
人間は1000mの水圧に耐えられません。そこで実際に、潜水ロボットにこの
時計を装着して、1080mの深海に潜った映像を、見せてもらいました。

それにしても、かっこいいですね!男のダイバーズ、という感じ。さし色にブルー
が使われているのは、ジャガー・ルクルト社が行った実験で、深海で最後まで
視認できる色だったから、とのことでした。



こちらは、世界最小の機械式時計ムーブメント「キャリバー101」を搭載した
レディス・ウォッチです。一見するとただのブレスレットにしか見えませんが、
中央右端のコマをよーく見てください。ほら、ちっちゃな文字盤が見える
でしょう?
大きさは、14×4.8×3.4mm。重さ1グラム足らず。容積わずか0.2平方cm。
この中に、なんと100個近い微小な部品が詰め込まれているのです。驚きです
よねー。



会場には、同社の時計修理を担当している時計師さんが来て、ムーブメントの
分解、組み立ての作業を、実際に見せてくれていました(写真上)。



部品の中には、けし粒どころか、微細な埃くらいにしか見えない、極小のビス類
もあります。機械式時計というものが、いかに精密に作られているか、改めて
実感しました。

時計をたっぷり堪能させてもらって、眼福おなかいっぱい。その上おいしい
ブッフェ料理をたくさんいただき、ワインも何杯もおかわり。その上にまた素敵な
おみやげまでいただいてしまいました。本当に申し訳ないくらいです。
「COMMON TIME 元町」さん、幸福なひとときをありがとうございました。

マリー・アントワネットの時計

November 19 [Mon], 2007, 0:53


歴史の中で、最高の時計職人をひとりだけあげなさい、と言われたら、
時計に詳しい人ならば、ほとんどの人が、18世紀後半から19世紀はじめに
かけて活躍した、アブラアン・ルイ・ブレゲの名前をあげると思います。
時計の歴史が、彼のおかげで200年進歩した、などと言う人もいるほど。
とにかく、常人をはるかに超越したアイデアと、「神の腕」をあわせ持つ人物
だったことは間違いありません。

その史上最高の時計師が製作した時計の中でも、最高傑作の呼び声が高い
のが、「マリー・アントワネットの懐中時計」です。
製作依頼者は、あの、フランス王ルイ16世の王妃、マリー・アントワネット。
なにしろ、並外れた贅沢好きでしられたこの王妃が、文字通り、金に糸目を
つけず「この世で最高の時計を」ということで作らせた時計です。史上最高の
時計師・ブレゲが、知力と技術力の限りをつぎ込み、数多くの複雑な機能を
搭載した、傑作中の傑作でした。
しかし、依頼者の王妃は、注文した時計の完成を見ることなく、フランス革命に
より、断頭台の露と消えました。

それから、数奇な運命をたどった後、イスラエルの博物館に所蔵されていた
「マリー・アントワネットの時計」ですが、実は今から25年前に盗難に遭い、
行方不明となっていたのです。

おそらく、二度と世の中に姿を現すことはないだろう、と思われていた、その
「幻の名品」が、先日、思いがけず発見され、元の博物館に戻ったという
ニュースが流れました。いきさつについては、はっきり伝えられていませんが、
まさに、奇跡的な事件にはちがいありません。25年前に盗み出した犯人は
捕まっていないらしいのですが・・・。

この時計、もし値段をつけるとしたら、いくらになるのでしょうか。残っていた
図面と写真を元に、最近製作が進められていた「レプリカ」が、予想価格で、
およそ10億円とも言われていましたから、その本物となると、その10倍?
あるいは100倍の値打ちがあるでしょうか・・・。とにかく、天文学的な数字に
なることはまちがいありませんね。

まあ、値段はともかく、貴重この上ない、人類の文化遺産である時計が、再び
日の目をみることになったのは、すばらしいことです。

秋の装い

September 27 [Thu], 2007, 19:40


昼間は多少暑くても、吹く風は、もうすっかり秋ですね。
夏の間、汗に強いブレスレットで使っていたユリス・ナルダンの時計を、
衣替えして、革ベルトに替えてみました。手元は、こんな感じ。



毎度のことながら、写真がまずくてすみません。

時計を新調するお金などない店長としては、こんな小技で、
変化を楽しむしかありません。

雰囲気としては、ちょっと「枯れすぎ」かなあ、という気がしないでもない
ですが、茶色が好きで、秋冬の服装もそんな色合いが多いので、
合わせてみると、どんな感じになるのか楽しみです。

時計Begin

June 13 [Wed], 2007, 16:14
みなさんご無沙汰しております。一向に店を開けようとしないばかりか、開けると子供の話ばかりしているので、「たまには仕事の宣伝でもしてみたら!?」と、副店長から小言をいただいてしまいました。
本当は、こういうところで仕事の紹介などするのは恥ずかしいのですが、すみません宣伝ぽいのですが、ちょっとだけお仕事のお話を・・・。
前にもちらっとお話したのですが、最近、ご縁があって、時計雑誌のお仕事もさせていただけるようになりました。イタリアもの、モータースポーツ、そしてこんどは時計と、何だか、個人的趣味だったはずのものが、次々と「仕事」になってしまって。大変にラッキーでありがたいことなのですが、反面、無心で楽しめる、純粋な「趣味」というものがなくなってしまって、ちょっと複雑な気分でもあります。そして、雑誌はこちらです↓



「時計Begin」という雑誌です。このジャンルの雑誌も最近はたくさんありますが、その中では、メジャーどころかと。時計雑誌と言っても、「マニア向け一直線!ついてこられる人だけついて来い!」というノリの雑誌ではないです。おしゃれの一環として時計にもこだわってみたい人や「そろそろちょっと良い時計、一本欲しいけど、何が良いかな?」という初心者の方でも、読みやすく、面白く作ってあります。カレへのプレゼントに時計なんかどうかな・・という女性が、参考にすることも結構多いみたいですよ。
で、店長はどこを書いてるかと言うと、こちら、50pからの「オメガ・シーマスター」シリーズの記事と



こちら、63pの「ボール」のダイバーズウォッチの記事と



こちら、102pからの「タグ・ホイヤー」の記事です。



これが、この雑誌での初仕事なので、まだまだ至らないところも多いのですが・・・。一応がんばってみました。
ちなみに「時計Begin」の夏号には、その年の時計ブランド各社の、新作をずらりと紹介する「ブックインブック」が付いてくるので知られています。今年は、なんと100社、455本もの新作が載っています。



これを楽しみにして買う時計ファンも少なくないようですね。実際に手にとってみるとおわかりかと思いますが、これだけのボリュームで、お値段700円は、安いんじゃないかと思います。発売直後(今はそうです)なら、普通の街の本屋さんにも置いてありますし、コンビニで置いてるところもあるみたいです。もしよろしかったら、ぜひ一冊ご購入の上、ご覧になってくださいませ。

時計の祭典

April 14 [Sat], 2007, 19:58

写真・MCH Messe Schweiz (Basel) AG

おかげさまで、息子のインフルエンザも峠を越しました。そろそろ、家でじっとしているのが我慢できなくなってきたようです。

ところで、皆さんは「バーゼル・ワールド」(今年の正式名称は「BASEL2007」)というイベントをご存知ですか?これは、スイス北部の都市、バーゼルで現在開催中の、世界最大の時計・宝飾関係の見本市です。スイスだけでなく、日本を含めた世界の時計メーカーの多くが、この「バーゼル・ワールド」と、それに引き続いてスイスのジュネーブで開催される「SIHH(ジュネーブ・サロン)」というイベントで、その年のニューモデルの大部分を、一気に発表します。

ちなみに「SIHH」の方は、各国からやってくるバイヤーとメディア関係者だけが入場できる、純粋な商談の場なのに対して、バーゼル・ワールドは、チケットさえ購入すれば一般の人でも自由に入場できる、開かれたイベントになっています。まあ、自動車のモーターショーみたいなものですね。ただ自動車の場合は、一年を通して、東京、トリノ、フランクフルトなど、いくつかのメジャーなモーターショーがあるのに対して、時計の世界では年にただ1回、スイスで行われる「二大見本市」の時期に、その年の新作が一気に発表される、というところが違っています。

ちなみに今年の「BASEL2007」は、4月12日から19日まで開催され、展示スペースの総面積は16万u以上(東京ドームの約4倍)、出展する会社は、時計メーカー(ベルトなど関連商品メーカーを除く)だけでも326社。昨年のBASEL2006では会期中に9万4千人余りの来場者があり、今年はさらに、それを大幅に上回る入場者が見込まれているとのこと。これは、ここ数年、高級機械式時計の人気が高まってきていることの現われだと言って良いでしょう。ちなみに、06年のスイスの時計輸出総額は、史上最高記録の12億5千910万スイスフランで、前年比10.9%の増加だったそうです(04年+9.2%、05年+11.5%に続き3年連続の大幅増-スイス時計協会FHの統計による)。

時計好きなら、誰でも一度は行ってみたいと憧れる、まさに「夢の祭典」。来年は、行けるといいなあ・・・。


写真・MCH Messe Schweiz (Basel) AG

マリン・クロノメーター

March 02 [Fri], 2007, 17:32


今月から店長が、腕時計の専門雑誌のお仕事をさせていただくことになり、その記念、と言っては何なのですが・・・新しい時計を買いました!スイスの、ユリス・ナルダンというメーカーの「マリン・クロノメーター1846」というモデルです。じつはこれ、港町・横浜を愛し、また、こどものころ大型クルーズ客船の船長になる、という夢を持っていた店長としては、どうしても欲しかった時計なのです。どうしてこの時計が、港や船が好きな人間にとって特別な時計か、ということをわかっていただくには、まず、モデル名にもなっている「マリン・クロノメーター」というものについて説明しなければなりません。

その昔、まだ電波による位置測定機も、人工衛星を使ったGPSもなかった時代、大洋を航海する船舶は、自分の正確な現在位置を知るために、二つの道具が必要でした。ひとつは、星や太陽の「角度」を計る器具。もうひとつが、正確な時刻を測定する器具でした。とくに、船が現在いる「経度」を知るためには、正確な時間測定器具が必須だったのです(どうやって経度を割り出すか、という詳しい説明は、とりあえずここでは省略します。興味のある方は、昔の航海術や、時計の役割について書いた本をごらんくださいね)。その、船に積んで、いつも正確な時間を知らせてくれる時計のことを、マリン・クロノメーターと呼びました(日本語では「経線儀」とも言いました)。表示された時刻が数秒違っただけで、船の位置がkm単位でずれてしまうため、マリン・クロノメーターには、特別に高い精度が求められました。そして、航海用マリン・クロノメーター製作の分野で、かつて世界最高峰にあったメーカーがユリス・ナルダン社であり、そのデザインを腕時計という形に写したのが、今回店長が手に入れた、「マリン・クロノメーター1846」だ、というわけです。

かつてユリス・ナルダンが製作した航海用マリン・クロノメーターの実物が、横浜にある、海と船の博物館「マリタイム・ミュージアム」に展示されています。下の写真が、その現物。上に掲げた腕時計の写真と見比べてみれば、ローマ数字の形に、若干現代風のアレンジが施されているものの、腕時計の方は、ほとんどそっくりそのまま、航海用マリン・クロノメーターを小型にしたようなデザインなのがわかると思います。ちなみに、腕時計のモデル名に付いている「1846」という数字は、ユリス・ナルダン社の創業年です。



大海原と、航海のロマンをかきたててくれるこの時計、店長が欲しかった理由、少し理解していただけたでしょうか?

本物の「プロ」たちに拍手!

October 13 [Fri], 2006, 10:00


エベラールの時計を買ってから、その後、とくに何も触れていませんでしたが、ほぼ毎日使って、いまのところ絶好調で動いてくれています。特に驚くのは、ほとんどクォーツ並みか、あるいはそれ以上の精度が出ていることです。

当店には、某時計雑誌の懸賞でゲットした「電波時計」(※)というものがあります。それを「親時計」にして、毎週1回、金曜日の午前0時に、「エベラール・ヌヴォラーリ」の表示する時刻に、どれだけ誤差が出ているかチェックし、必要があれば時間合せをすることにしています。

9月15日に時刻をピッタリに合わせ、ちょうど1週間経った22日の誤差は、なんとほぼ±0秒!それから1週間後の29日は、週差約+2秒。次の1週間がまた±0秒。4週目は、またまた肉眼では誤差が確認できず、ほぼ±0秒!トータルで集計すると、4週間連続使用して、その間たった+2秒しか誤差が出なかったことになります。月差にして+2秒というのは、クォーツ時計でもなかなか出せない値です。

日差4〜5秒程度で、上出来とされる機械式腕時計で、この成績は、ほとんどミステリーに近いものがあります。・・・と思っていたら、ある機械式時計ファンの掲示板で「完璧な調整をうけたばかりで、調子の特に良い物には、そういうこともある」と教えてくれる人がありました。それにしても、月差2秒とは!「機械式時計にあまり精度を求めるのはナンセンス。それなら最初からクォーツにすれば良い」とはわかっていますが、自分の時計が標準時ぴったりに動いているのは、それはそれで、やっぱり気持ちの良いものです。

超複雑時計

September 21 [Thu], 2006, 23:19


上の写真をよ〜く見てください。はい、これはどこでしょう・・・。と質問されて、答えられたアナタ、相当な買い物好きor新しい物好きですね?はい、答えは表参道ヒルズです。「だからナンだ?いまさら」とつぶやいているアナタ、店長のことをよく知りませんね?私がこんなおしゃれな場所に出没するのは、きわめて異例のことなのです。

なぜこんなところに出かけたのかといえば、好きな時計のイベント(展示会)が行われたからです。写真(上)は、ヒルズの中央吹き抜け部分にかかっている、その広告。写真に写っているのは、スイスの『ジャガー・ルクルト』というメーカーの『レベルソ・スクアドラ』というシリーズ。このモデルのプロモーションを兼ねた展示会、というわけです。



吹き抜け部分にある大階段も、下から見ると、こんな具合。ちなみに、ヒルズの建物の外側にも、ずらりとこの時計の吊り広告が並んでいました。完全に、ジャガー・ルクルトが表参道ヒルズをジャック、という感じでした。

スクアドラも良いのですが、店長が一番見たかったのは、これ(写真下)。『ジャガー・ルクルト・レベルソ・グランド・コンプリカシオン・トリプティック』という長い名前がついています。名前が長いだけではありません。この時計、数多くの精緻にして特別な機構を、この小さな機械の中に組み込んだ、超複雑時計というやつなのです。
まず、この時計は文字盤が反転して、裏側が表にもなる、リバーシブル構造になっています。写真は、表の第1面です。



文字盤右下の、丸い穴の中から機械が覗いているのは、『トゥールビヨン』という特殊な仕組みで出来た、時計の動きを制御する心臓部です。『トゥールビヨン』というのは、時計にかかる重力の偏差により、計時に誤差が生じることを防ぐ装置。これがついただけで、スイス製の場合、お値段が1千万円に近くなってしまう、というしろものです。
そして、表面をひっくり返すと、下の写真のようになります。



リバーシブルの第2面が、いくつもの特別な用途の表示に使われているほかに、その下にある第3の面にも、何かが表示されているのがわかります。三つの表示面を使って、この時計には、何と合計18種類もの複雑機構が組み込まれています。たとえば、自動的に「大の月=1月、3月など」と「小の月=2月、4月など」を判別して今日の日付を表示する「永久カレンダー」や、その夜の星空を映した「天空図」、などなど。珍しいものでは「均時差表示」というものもあります。これは、毎日違っている地球の自転のスピードから割り出される1日が、その平均値と、今日はどれだけずれているか、ということを表示する機能です。そう、天文学者でもない一般人の日常生活には、全く関係のない機能です。なんで、そんなものを作るのか・・・?多分、何で、人は危険を冒して山に登るのか、という問いと似ているかもしれません。ばかばかしいと言ってしまえばそれまでですが、しかし、こういう物も作れるんだぞ、というのは、そのメーカーの「技術力」を誇示するためのデモンストレーションにもなりますから、あながち無駄でもないのでしょう。ちなみに、お値段は、これ一個で立派なマンションが買えてしまうくらいです。

この他の展示品にも、反転させた第2面に、それはそれは精巧で美しい、エナメル細密画が描かれていたり、彫金=エングレーブの技法で、すばらしい浮き彫りがされていたりする時計が展示されていました。もはや工芸品の範疇を超えて、ほとんど芸術作品といって良いようなものも、たくさん。

余談ですが、店長のいとこの一人が、イタリアのフィレンツェで、宝飾・貴金属加工の工房に職人として勤めています。彼にこの時計を見せてあげたいな、と思いました。彼もなかなか腕の立つ男で、イタリアでは非常に珍しい、「正規雇用の社員」として、正式の「就労ビザ」を持って働いています。キャラクター的にも本当におかしな奴で、数々の「武勇伝」があるので、いつかご紹介します。

とにかく、時計好きには「眼福、満腹、ご馳走様でした」という展覧会で、大満足。ついでに、あの界隈をぶらぶらしてきました。歩いていると、ローズマリーの良い香りがするので、それに誘われて路地裏に入ると、こんな素敵なハーブのお店があったりして・・・



やっぱりおしゃれな街だなー、と改めて感心して、帰って参りました。
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