おてがみ

June 17 [Sun], 2012, 21:05
「私、あの時しんどかったんだぁ」

いつも通りにこやかにあなたが言った。
うん、知ってたと私は頷いた。
そう、私は知っていたのだ。
あなたが、自分もつらいのに私の心配をしてくれていたこと。
私は自分のつらさでいっぱいだった、あの時に。
もしかしたら私よりもしんどかったこと。
ごめん、ごめん、ごめん。

「本も借りっぱなしにしててごめんね」

そんなことは、どうでもいいことだ。
私は首を横に振る。
私はあなたがくれる優しさやあたたかさを、きっとほとんど返せていない。
一緒にしんどいねって、言うだけできっと良かったのに。
側にいれば、きっと違ったのに。
私、自分の心配ばかりしてた。
苦しくて、自分のことばかりになっていた。
だからあなたからのメール、後でいいやって思ってしまった。
あの時、すぐメールを返したら何か変わった?

「しんどいこと、忘れたかったんだよね」

私はあなたを見つめるだけでせいいっぱい。
見逃さないように。
あなたのサインを、見逃さないように。
どうしてそんなに穏やかに話せるの。
これは私が見ている幻?
そんなことはないはず。
そんなことはないはず。

「心配かけてごめんね」

それは私のセリフだ。
じわりと目がうるんできた。
泣くもんか、私が泣くもんか。
「私こそ、心配かけてごめん」
私の言葉に笑って首をふる。
なんもだよ、と。
そんなあなただから、きっと色んな痛みが降り積もってしまった。
私は気付いてあげられなかった。
その痛みが自分の背丈よりも降り積もって、苦しいあなたの悲鳴に。
「1番しんどい時に、力になれなくてごめん」
私は頭を下げた。
多分、あなたは首をふり微笑んで私を見ているのだろう。
けれどその微笑を見れば、私はきっと心を少し軽くしてしまうだろうから。
その微笑みはみないでおこうと思う。

私の足元にうずくまって、ジタバタしたあなた。
朝抱きついてくるあなた。
思い出せば私も笑顔になれる。
おうちに呼びたいと思っていてくれたんだってね。
私も遊びに行きたかったよ。
夜通しおしゃべりをしてみたかった。
あなたのこと、他の呼び方をしてみたかった。
もっと仲良くなりたかった。
仲良くなれる予感がしていた。
あの漫画続き出たよ、面白かったよ。
貸してーなんて会話が、ずっとできると思ってた。
いっぱい本を読むよ。
いつかあたなに会えたとき、こんな面白い本があったよとたくさん話をしよう。
いっぱいお土産話を持って、いつか会いに行くから。
待っていてね、もう少し。

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