ブレイブ ワン

March 16 [Sun], 2008, 22:39
「ブレイブ ワン」 2007年 米/豪

★★★★

法の番人のみ、制裁できる。
ならば、正義と悪の境界線は?

これは、評判がイマイチだったので期待せずに観たせいか、私はとても面白かった。
私って天邪鬼だね^^

ジョディ・フォスターの囁くような、吐息のような声が、憂いを感じる。

ラジオ番組のDJエリカ(フォスター)は黒人医師デイビッド(アンドリュース)と人生の
絶頂期にあり挙式も目前に控えていた。

そんなある日、愛犬を連れての夜の散歩中・・・3人組のチンピラに襲われ鉄パイプの
ようなもので殴打され、ディビッドは帰らぬ人に・・・・。

顔まで潰されたエリカは3週間も意識不明の重体だった。その間に最愛の人ディビッド
の葬儀も終わっていた。

平和ぼけしていた日本でも毎日のように殺人事件が起き、「去年の例の事件の犯人がさ」
などと話題にしても、一様に皆、「どの事件だっけ?」朧気でどんな事件が何処の県で
起きたのか、記憶しては次々と新しい事件が起こり、脳内メモリーがどんどん古い事件
を自動的に消去していく昨今。

まして舞台はNY。
意識を取り戻し、警察署へ事件の調査状況を聞きに行っても「被害届のナンバーは?」
などと言われ事務的に「大変でしたね。直ぐに担当者が来ます。お掛けになってお待ち
下さい。」マニュアルどおり。待合室には既にお掛けになって待っている者達が沢山いた。

目撃者もいない、NYでは数ある暴行殺人の1つに過ぎない事件は、警察署内でも既に忘れ
られかけていた。警察が悪いのではない、犯罪が多過ぎて手が回らないのだ。

当事者には、消えない傷も、多くの殺人事件の中に置いては、一片の塵のようなもの。
闇に怯え、階段や道端で後からついて来る人の足音にも怯えるエリカ。

エリカは、警察はあてにならん・・・と、自ら拳銃を買う。
最初は保身のために。しかし、偶々居合わせたコンビニの殺人事件の現場で、犯人を撃ち
殺す。

やらなければ、やられていた。充分、正当防衛が成り立つ。

一方、マーサー刑事(ハワード)は、ある大物アローを3年間追い続けてきた熱血漢。
ルーズベルト島で、裏社会のボス的存在マローの妻が頭を撃ち、担ぎこまれた病院で、
偶々同じ日意識不明の重体だったエリカを見たのだった。マーサーは、彼女のラジオ番組
の隠れファン。殺伐とした世界に生き、犯罪を追う度に使う車の中、渋滞に巻き込まれて
は、ラジオから流れるエリカの語るNYの街並みの情景“表の顔”に癒されていたのだ。

マローの妻が証人に立つといった矢先の「自殺事件」、残された妻の連れ子は何か知って
いる筈だ・・・親権を取ろうと必死なヤツに、娘を案じ別れた女房に、後見人になってく
れと頼む始末。事件ばかりを追って、家族をないがしろにしてきたバツイチ男のデカの顔
がここにも描かれている。

そんな時、地下鉄でのチンピラ殺人事件が同じ管轄内で起きる。
コンビニの時と同じく、金も取らず消えた犯人の動機が不明・・・使われた拳銃が同じ物
だという事で事件の関連性を疑うマーサー達。
犯人は「殺人現場に現れる」通りに、エリカが人垣の中に・・・・。

愛する者を暴力で失い、やり場のない怒りを持つエリカに接近するアーサー。

その場凌ぎで「貴方の単独インタビューがしたいの」と取り繕うエリカだが、刑事の前で
明らかに動揺を隠せない微かな怯えを、アーサーは感じ取っていた。

愛する者を殺された無念さは、ジョディ・フォスターの一挙手一投足で伝わってくる。
まさに、全身で演技をしていると言える。

拳銃は、実際に重い。
腕についた筋肉さえも、演技なのかと思えてくる。

そうして、エリカは犯罪者を成敗する事で、自らが負った心の傷口を塞ごうとする。

まるで、「タクシー・ドライバー」のようだ。
「タクシー・ドライバー」で、主人公に救われる14歳の娼婦役でジョディが出演した。
あれから30年ぐらい?今回は、彼女が男に拉致された少女を命がけで助ける。

人間のモラルを問うならば、私は人を暴力で傷つけ、時には死に至らしめても平気な顔
で笑っているクレージーな奴らは「人間」だとは思わない。
「悪魔」だと思えば、悪魔祓いは禁じられていない。法の番人じゃなくとも、殺しても
構わないような「悪魔」なら、制裁していいと思う。モラルがない?本当に?

この映画が、単なる「復讐劇・処刑人物」なら、見飽きていて退屈に思ってしまう処だが、
ジョディ・フォスターが、やり切れなさに戸惑いながら、“別の自分”になって悪を裁
いていく葛藤を見事に演じているので、めちゃめちゃそこにドラマを感じる。

哀愁を感じさせるジョディが兎に角素晴らしい。彼女の目の動き、口元の皺全てが、悲し
みを表現していて、心底惚れる。悪を制裁していく度に募る虚無感。小柄ながら、全身筋
肉で鍛え抜かれた体。押し殺した声。
他に誰がこの役をできただろうか?

そして物語は、自分達を襲ったチンピラの手がかりを得る所まで来る。
この日のための、「トレーニング」だったともとれる数件の処刑。
あのままじゃ、チンピラどもの住み家に、1人では近づけもしなかった筈。
成敗するのに、自分の命と刺し違えてももう後悔などないのだ。

マーサー刑事のとった行動は?
汚職刑事だらけのNYで、何か問題でもあるのだろうか?

もう元の自分には戻れない・・・そう言いながらその場を後にするエリカの元へ、愛犬が
走っていく。微かな希望。悪夢は終わったんだよ。
エリカは、人も救ったんだから、救世主扱いしてもいいと私は思うけどなぁ・・・?
もう、犯罪者を追わずとも、田舎にでも行って愛犬とのんびり暮らして欲しい。

今回、テレンス・ハワードを久々に観て、「ハッスル・フロウ」ではかなりしわがれた
声だったので、あっちでは「声」でも演技していたんだなぁ・・と妙に納得。


監督 ニール・ジョーダン
出演 ジョディ・フォスター、テレンス・ハワード、ナヴィーン・アンドリュース
    ニッキー・カット、ジェーン・アダムス

【DVD鑑賞】
  • URL:https://yaplog.jp/tonton119/archive/443
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