こわれゆく世界の中で

October 12 [Fri], 2007, 19:52
「こわれゆく世界の中で」 2007年 英

★★★★☆

何だか、どんよりと暗い世界観。
主要人物は、どの人も孤独を抱え、愛に飢え、どこかで人生を諦めている。

主人公のウィル(ロウ)は、10年連れ添った内縁の妻リヴ(ベン)との仲が
冷え切ったもので、心の中ではやり直したいとは思っているが、きっかけが無い。
一度狂いだした歯車は、中々元へ戻らないものだ。
2人の間には、リヴの連れ子のビー(ロジャース)がいて、統一障害というヤツ?

良く分らないけど(映画の中でもはっきりとした病名はでてこない)寝ないし、
叫ぶし、宙返りが得意で夜中中、逆立ちをしているという事も・・・・。

まともな時もあるのだが、数年前からずっとこうなのでリヴは才能あるキャリアを
捨てて愛する娘につきっきり。
ウィルも、ビーを自分の娘のように愛してきたのだが「リヴとビー」との輪に入れず、
また、その中にいるのが「檻」のように感じていたのだった。

建築家のウィルは友人と共同経営で、まわりの反対をよそに、治安の悪いキングス・
クロスにオフィスを構えるが、立て続けに空き巣に狙われPC機材などを盗まれる。

犯人は、ガラス張りの天井を壊して入り、宙返りでもして着地したようだ。
保険がおりるせいか、経営者の2人は、さほど怒りもしない。こういう場所と知って
建てたので、ある程度は覚悟していたのかな?

このオフィスの屋根が壊されてガラスが飛び散るシーンは、ウィルの心情と巧くリン
クされてると思った。何もかも、ぶっ壊してしまいたい。だけど良識のある大人だか
ら、それができない。

ことウィルは、仕事以外に楽しみもあまりないようなので、逆に見事な手口に興味を
持つほど。しかも、2度目の盗みの時には、ウィルの個人的なPCから家族の写真など
をバックアップして返すという律儀さだ。

しかし、キングス・クロスの大々的な再開発計画の仕事が捗らないのも困る。
2人は、車で自分達のオフィスを見張る事にした。
家に帰らなくてもいい、恰好の「言い訳」がたつ。正直言って叫ぶビーには辟易して
るのだろうが、そんな事はリヴには言えない。彼の優しさだ。
その辺を、言葉を濁されるリヴは心身ともに疲れているせいもあって、ウィルの脳天
気ぶりにイライラを隠せない。リヴは、娘に夢中でウィルの仕事の事にも無関心なの
だ。ウィルの淋しさがわかる。仕事一途になってしまう訳も・・・。
そんなある夜、オフィスの屋根を這い上がろうとしている少年の姿を発見。

ウィルは彼を追いかけ、集団住宅街の住み家を見届ける。
それは、数日前に公園で見かけた、母と息子のだった。あの屈託のない母親の笑い声
と、母を喜ばせるためにおどける少年。
扉には「仕立て・修繕を請け負います」と貼り紙がしてあった。
この扉の中には「愛」が溢れているのだろうな・・・・。ウィルが興味を持つのもわかる。

リヴは、スウェーデン生まれで、北欧の香りがする金髪長身の女だが、この泥棒少年
の母アミラ(ビノシュ)は、ボスニア人で、黒髪の戦争未亡人だった。

男というものは、妻(この場合結婚はしていないが)とは、また別のタイプの女性に
惹かれるものである。男だけじゃないか^^

ウィルは、破けたジャケットを持参し、アミラに接近。アミラも警戒しつつも、紳士で優しい
ウィルに惹かれていく。

つうか、またまた私の独断と偏見ですが、ジュード・ロウのように美しい男が、自分
に興味を示している風だったら、誰だって恋に落ちますとも。

余談ですが、この前のスマ×スマ・スペシャルにアラン・ドロンが出ていましたね^^

「太陽がいっぱい」の頃のアラン・ドロンに敵う程の美男は、まだ見た事がないです
がジュード・ロウは、毛深いのが難点だけど(失礼!)顔だけでいったら、NO1じゃ
ないですかね??

その上に、優しいときたら・・・・。何故故、リヴに固執して、諦めた人生を歩いて
いるのか?そこは映画には描かれてはいない、「10年」の年月の賜物なのか。

アミラは異国の地で、ボスニアで死んだ夫を思い、その夫の弟のせいで大事な息子の
ミロがグレはじめている。悲しい中年女性の悲哀をアミラ役のジュリエット・ビノシュ
が、物凄く上手く演じている。

ミロが、自分のした事(=泥棒)を母に白状し、ウィルが何のために自分に近づいたの
か、アミラの心が揺れ動く。

そして、「こんな体でも、許して貰えるなら」とウィルとベットを共にするが、アミラ
の指定した友人の部屋で、眠りにつくウィルと自分の写真を「切り札」として撮っておく。

この時、協力したアミラの友人は「太陽に恋して」に出ていた女性だ。
う〜ん、綺麗なのに今回も脇役で勿体無いなぁ^^

ミロを責める気持ちも全くなく、そこに付け入るつもりもなく、ただ同じような「孤独」
を抱えた女に、安らぎを求めたウィルには、アミラのとった行動が不可解でしょうがな
い。もしかしたら、そこに新しい生活が生まれるのでは?と思った私も、何だかすれ違
うアミラとウィルに涙が出ました。

ウィルには幸せになって欲しいから。
実生活では築ける事が出来なかった、再開発計画。彼が建築家という所が大きな味噌で
す。未来予想図は描けなかったという・・・。

歯がゆい程、リヴとの生活にピリオドを打てない心優しい男が、街の娼婦の誘惑ももの
ともしない誠実な(?)男が、どちらも曖昧にしているうちに、ミロが警察に捕まって
しまう。

「息子を助けて!お願い!二度と貴方の前には現れないから」
一時だったにせよ、アミラとウィルとの間には「愛」が生まれかけてただけに、切ない
気持ちで一杯になりました。

アミラは、息子を救うためなら自分の全てを犠牲にしても構わないというような女性。
勿論、世の中には、こうした母親が多いものだと信じていますが・・・。

結果、リヴに真実を打ち明けるウィル。
ここ数年で初めて本音で話すウィルに、リヴも寛大になり(いやそう装い)、アミラと
のご対面。

自分の男を寝取られたら・・・冷静にはいられない筈。しかし、リヴにはリヴで、ウィル
とちゃんと向き合おうとしてこなかった(娘の事で一杯で余裕がなかった)負い目があっ
たのでしょう。ウィルを失いたくない気持ちが強かったからかな。

最後にミロだけが、挨拶に来る。アミラはこれ以上、迷惑はかけられないと遠くで見てい
る。アミラが「私と一緒になって」と言えば、ウィルの心は傾いたかもしれないのに。

最後は、リヴが本音を言いウィルも決意を固める。
いつも、相手に気遣って本音でぶつかりあわないと、(ぶつかってばかりでも駄目だけど)
大切な人を失うのかな・・・そんなドラマでした。

ウィルとリヴ・・・壊れかけていた男と女が、再びやり直すきっかけが、泥棒少年だった。
都市再開発計画で、こわれゆくキングス・クロスと、そこで生きていた悲しい男と女の物
語。私は好きですね。


原題 BREAKING AND ENTERING
製作年度 2006年
上映時間 119分
監督 アンソニー・ミンゲラ
出演 ジュード・ロウ 、ジュリエット・ビノシュ 、ロビン・ライト・ペン
   マーティン・フリーマン 、レイ・ウィンストン 、ヴェラ・ファーミガ

【DVD観賞】
  • URL:https://yaplog.jp/tonton119/archive/390
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