ルワンダの涙

October 07 [Sun], 2007, 15:30
「ルワンダの涙」 英/独

★★★★★

ご存知「ホテル・ルワンダ」で衝撃を受けたルワンダ国内における大量虐殺事件。
主人公は、公立技術学校の教師ジョー(ダンシー)。白人目線で「ホテル・ルワンダ」
とはまた別の視点から史実を、切り取り描いている。

30年に及ぶフツ族による、少数派民族ツチ族への迫害に、国連は「平和監視」という名目
で、首都キガリに小隊を派遣していた。
時は1994年。フツ族によるツチ族虐殺事件が発生したが、学校では、生徒のマリー
アシティ)が走る模様を新米教師のジョーが実況中継を真似て、盛り上がっていた。
子供達は良く笑い、神父のクリストファー(ハート)の説く信仰に耳を傾け、空は青く
緑の多いこの地域に、徐々に迫り来るフツ族の暴挙を全く感じさせない明るく穏やかな
日々だった。

学校内には、整備係でフツ族のフランソワもいて、彼の生家に招待されるほど、ジョー
は親しくしていた。「ここは賑やかで、平和な国だね」などと暢気に話すほど。
が、街のあちこちで「ツチ族のリスト」を探っている不穏な動きが見受けらていた。
そして事態は急変。
フツ族のルワンダ大統領が何者かに暗殺され、フツ族の怒りが爆発。軍人のみならず一
般の民兵らが次々とツチ族を狩りはじめる。

学校に助けを求め、押し寄せるツチ族の民達。
ベルギー部隊のシャルル大尉は、門を閉め難民達を保護するが、クリストファーに何度
詰め寄られても「上の命令に従うだけだ、俺たちはツチ族を庇護する立場にはない。あ
くまで“監視”が任務だ」の一点張り。

言っては何だが、何のための監視やねん!莫大な国家予算の一部をつぎ込まれて来て
いるんだろう?

なす術もなく、混乱する民らを励ます以外にないジョーは、危険な学校の外へ1人で英
国BBCのTVクルーを探しに行く。
フツ族に虐殺された死体が転がる悪路を、ガタガタ震える心を抑えつつTVクルーと合流
するが、検問で止められ、銃口を向けられる。
ツチ族の黒人青年が、傷だらけで見つめていた。彼は首を横に振る。「こっちを見ては
いけない」

その直後、彼は草むらに引きづられてナタでメッタ切りにされる。
血のついたナタを持ち、現れたのはフランソワ。彼のお陰でその場は切り抜けられるジョ
ー達だが、フランソワも「ツチ族のリスト」をリストアップするために学校へ潜り込んだス
パイだった訳だ。

主な舞台がその神学校なのが、痛ましい。
「ホテル・ルワンダ」では、この国に神はいるのか?と思っただけに皮肉な話だ。
TVクルーのジャーナリスト、レイチェルが「不思議ね・・・。ボスニアを取材した時は
虐殺された白人女性が自分の母親なら・・・と心を痛め毎日泣いたけど、ここでは何も
感じないの。転がっている死体がアフリカ人だから」と言う。

彼女だって、人が殺されるのが面白い訳ではない。アフリカにはお手上げなのだ。
このレイチェルが普通のオバサンっぽかったのが、リアリティがあって良かった。
「ブラッド・ダイヤモンド」では、ジェニファー・コネリーでジャーナリストとは思えない程
の美女だった。絵的にはOK、あっちは同じアフリカを題材にしていても綺麗な上
っ面を描いた映画だからそれでいいけど。

国連も見て見ぬふり。静観する以外になかったのかもしれないが・・・。

その時産気づいた妊婦が出産した時には、涙が止まりませんでした。こんなに絶望的な
世に産声を上げても、な〜んにもいい事なんてないのに。そう思ったら涙が止まらず・・。
やがてフランス軍のトラックがやってきて、ツチ族達に束の間希望が齎されるが「白人
だけ、乗せて帰る」と無情にも去っていく。(一説にはフツ族をフランス軍が支援して
いたとか)

ジョーは不安で一杯のマリーに「絶対に大丈夫だから。ずっと君を守るよ」と言うのだ
が状況が悪化するうちに、またその目で惨殺シーンを目の当たりにし、心が揺らいでいく。

聞くのと見るのでは大違いだ。聞いただけでは、その悲惨さは解りきれない。

クリストファー神父も、また赤ん坊の薬を求めて1人で学校の外へ出て、ゴロゴロと転
がる死体、親しくしていたシスター達の、惨殺死体(犯された後に女性器を撃たれたよ
うだ)また、飢えた犬達が(元はツチ族が飼っていただろう、犬達)腐敗した死体の肉
を食っている。そんな現実を目の当たりにし、激しく動揺する。
神父はアフリカへ来て30年、「共存」という希望だけを持って生きてきたが、迷い始
める・・・・。果たして「信仰」が齎したものは全て「無意味」だったのではないかと。

しかし、マリーが神父に涙顔で、言う。「私達を見捨てないわよね?」
神父にできる事・・・。

ベルギー部隊の撤退が決まった。30分後だと言う。ジョーは、何もできない自分の不
甲斐なさに、うなだれたままトラックに乗ると、マリーに「私達を置いて何処に行くの?」と
責められ、ただただ「アイム・ソーリー」としか言えずいた。

だけどフツ族以外の人間の誰も責められない。
シャルル大尉も、“昔ユダヤ人を20人も匿っていた祖父母が誇り”な人間である。

マリーの父が「俺たちは、家族として死にたい。撤退する前にどうか射殺してくれ」と
シャルルに懇願する。「俺たちが無理ならせめて子供だけでも・・・ナタで切り殺され
るよりは、銃で一発でしとめられたい。」と。

そんな事をしたら国連で大問題になる。
せめて、銃を何丁か置いていってくれたら・・・が、それもまたフツ族との撃ち合いに
なると困る。

神父は、晩餐会のミサを行い「神は苦しいこの私達と一緒にいる」と解き、民の心を穏
やかにさせ、自らが犠牲となって数名の子供達を逃がすのだった。

薬屋の男に「不思議だ。こうしていても(殺される寸前)君の瞳に愛情を感じるよ」と
言った。勿論、時間稼ぎもあっただろうが、彼は信仰心をかざす神父に逆ギレしただろ
うか?ナタではなく、彼らには貴重な銃で神父を撃つ。

せめてもの、愛情だったのだろうか?
その辺は、当人にしかわからないが・・。

5年後、学生相手に指揮棒を振っていたジョーの元にマリーが現れる。
「あの時、どうして逃げたの?」

私でも逃げた。一緒に死ねば満足するのかい!と逆に言いたかった。
あの後、フツ族の民兵はどうしているのだろう?80万に近いツチ族を殺し、それでも
「共存」を続けているのだろうか? ツチ族は元々少数派だったのに大量虐殺され、今
はどのように生活しているのだろう?

フツ族に対する恨みや怒りは永遠に消えないとは思うのだが・・・組織的な多数派民族
には対立できないで泣き寝入りなのだろうか?

映画そのものの技術的な問題など全く素人の私ですが、秀作だと思います。
神父のたどり着く犠牲愛の精神や、ジョーの葛藤など手に取るようにわかり、胸にズシ
ンときました。

この映画の裏方には、生き残ったツチ族の数名が参加しているようです。


原題 SHOOTING DOGS/BEYOND THE GATES
製作年度 2005年
上映時間 115分
監督 マイケル・ケイトン=ジョーンズ
出演 ジョン・ハート 、ヒュー・ダンシー 、クレア=ホープ・アシティ
   ドミニク・ホルヴィッツ 、ニコラ・ウォーカー 、ルイス・マホニー

【DVD観賞】
  • URL:https://yaplog.jp/tonton119/archive/388
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