パフューム ある人殺しの物語

March 05 [Mon], 2007, 23:10
「パフューム ある人殺しの物語」 2007年 独/仏/米

★★★☆☆



18世紀のフランス。
人並みはずれた、嗅覚を持った孤児の男がいた。1738年
実の母親には、産み落とされた直後殺される寸でのところを助けられた
のだが孤児を(母親は絞首刑)、人並みの人間に育てようなんて余裕の
ある世の中ではなかった。

歴史などで、貴族が優雅に豪華絢爛な生活を満喫していたその裏で一般
市民達は、貧しさと飢えで混沌としていたと習っても、いざどっこい想像
などできる訳がありません。

冒頭で、恐ろしく不衛生でゴミ溜めのような魚市場を人混みに紛れて
子供を産み落とし、へその緒を慣れた手つきで切り、魚のはらわたなど
と一緒に捨てようとする女がいる。

嫌でも「マリー・アントワネット」のあの、マカロンの世界と対比して
観てしまいました。
ここまで、酷いのか・・・・。絶句です。
いかにも悪臭が立ち込めてきそうです。
お風呂に入る習慣もなく(多分)トイレも垂れ流し。服も取り替えない。
爪の中は垢だらけ・・・。

主人公グルヌイユ(ウィショー)は、特殊な唯一無二の“鼻”によって
あらゆるものの匂いをかぎ分けて少年時代を過ごした。
孤独で無学だったが、色んな匂いに囲まれた彼だけの「世界」があり、お
そらく「孤独感」が何かも知らずにいたような気がする。

彼は、孤児施設(とは名ばかりの人身売買組織)の経営者に、僅かな金で
皮なめし業の男に売られ、1日に17〜8時間も働いた。
彼らは奴隷なので、飯だけ与えられ、無給で仕事をするのだろう。

しかし、そんなものを取り締まる法律もなく(法を執行する人間らは現を
抜かしていたのでね)当然の事だったのだ。
奴隷達は一様に、皆、死んだ魚の目をして、人生をとっくに諦めている。
たとえ貧乏でも望まれ生まれてきて、親に愛された子とそうではない子で
は天と地ほど違う世界なんだろうな・・・(勿論現代でもそれは変わらない)

などと月並みな言葉で終わらせてはいけない。
グルヌイユの生い立ちに(この時代、そう珍しくないにしても)衝撃を受け
たので、つい能書きが長くなってしまった。

グルヌイユは、過酷な労働の合間ある夜、プラムを売る赤毛の娘と出会う。
白い肌を覗かせ、豊かな髪を靡かせていたこの娘の匂いが、グルヌイユを捉
えた。
娘に騒がれたために口を塞ぐとあっけなく死んでしまい、その芳しい娘の匂い
は、悲しい事に失われていった。

この香りを保存したい!
そうして、落ちぶれ香水調合師バルティーニ(ホフマン)の元に弟子入りを
果たしその驚異的かつ、天才的な才能をいかんなく発揮する。
バルティーニの店はたちまち大繁盛。

金になる木=グルヌイユ。
しかし、グルヌイユは生命のある物の匂いを保存したいと言い出し、南仏の町
グラースへ旅立つ事に。

面白いのが、グルヌイユを手放した途端、その保護者もどきは必ず不慮の事故
などに見舞われて死ぬ運命だった。

グルヌイユが生きていた軌跡を悉く奪い去っていくように・・・。

試行錯誤を繰り返し、やっとグルヌイユは、究極の香水を作るための「保存」
法を発見する。12種類の原料から、香水は作られるとバルティーニは
言っていた。4本がすぐさま感じる香りで、また4本がずっと持続する香り
、次の4本が残り香でいつまでも残るのだと・・・。

かくして12人の美しい娘達が次々と殺されていき、前代未聞の連続殺人
事件と町は恐怖のどん底に陥れられる。
この町へ来る途中、既に究極の匂いを発する美少女ローラ(ウッド)を観て
グルヌイユの作るパフュームのイメージは固まったのだろう。

町のあちこちに、髪を刈られた裸の娘の白い死体が・・・・。
不謹慎だが、白い肌に一糸纏わぬ死体は、エロチックだ。

娼婦もいたし、処女の双子もいた。
それぞれ、「妖艶」「純潔」などのエキスに必要だったのかもしれない。

町の娘の中でも一番の美貌を誇るローラの父リシ(リックマン)は敵の狙
いが最終的にはローラである事を察し、敵の裏をかこうとするが・・・。

犬並みに鼻のいいグルヌイユには、何処へ逃げても、もう逃げ切れない。

朝陽のあたる、海岸向きの部屋に泊めたローラをリシが発見する時の映像
が、素晴らしかった。
勿論、最大の見せ場となる広場でのシーン。

最後の調合をしてる時に、警察が何人も近づいていたのに、全く気づかな
いでいたのには、こうした訳があったのね。
“香水”を完成させれば、世界がひれ伏す事を、グルヌイユはわかっていた。

自分自身は、生まれてきた事に何も意味もなさないが、そして非力でいつも
不条理に体罰を受けてきたような青年だ。が、

その彼が、世間にその自分の力を見せる時が来る。

このシーンで、胸くそ悪くなる人もいるかもしれない。
余り綺麗な絵図ではない・・・・。 しかし、ここまで、「香水」の齎す
力が大きいなんて、有り得ない事だけど、ある意味ファンタジー。

そしてラスト。
彼は、生まれた地に帰っていく。
愛されなかった男が、愛という名の花を、退廃したその地に咲かせるのだ。
(肥やしになるというか)

ベン・ウィショーの演技力は見事でした。
映画的に観れば、悪くないけど、私の好みではないかも^^
しかし、このオドオドした表情・・・・。そして無表情に娘を殺すシーン。
スピルバーグ、スコセッシのオファーも断った原作者はトム・ティクヴバァ
を指名し、トム・ティクヴァ監督は、有名どころじゃなく、新星ベン・ウィ
ショーを主役に抜擢。 
彼の哀しみを帯びた目がなんとも言えず、そして足かせをして繋がれて歩く
シーンでは「ナルニア国物語」のタムナスとかぶって見えました^^

甘美な香りは人を幸福にする。
嗅覚だけで、トリップする事は不可能だが、媚薬のようなこの映画、他の
ブロガー様の意見が気になりますね〜〜☆

ローラ役の女の子も、まだ17歳の新星。とても綺麗な女の子で将来が
楽しみ〜

製作年度 2006年
監督 トム・ティクヴァ
出演 ベン・ウィショー 、ダスティン・ホフマン 、アラン・リックマン
   レイチェル・ハード=ウッド 、アンドレス・エレーラ
   サイモン・チャンドラー



【映画館での観賞】
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