ミュンヘン

August 20 [Sun], 2006, 9:15
「ミュンヘン」 2006年 米

★★★★

1972年西ドイツのミュンヘン・オリンピックで、テロリスト“黒い9月”
のメンバーがイスラエルの選手団11人を人質にイスラエル政府に収監
されているパレスチナ人234名の解放を要求するたてこもり事件発生。

イスラエルの首相ゴメダ・メイアはこれを拒否。選手11人は皆殺しにされる。
世界中が注目する平和の象徴オリンピックで、国を追われ難民と化した
パレスチナ人は強行手段により、自分たちの存在を世にしらしめた。

イスラエルも報復に出るが表向き「テロを禁じている」ため、秘密裏で動く。
暗殺チームにはモサド(イスラエルの情報工作機関)の一員で英雄の父を持つ
アヴナー(エリック・バナ)をリーダーに、カール(キアラン・ハインズ)、ロバート
マチュー・カソビッソ)ハンス(ハンス・ジシュラー)、スティーヴ(ダニエル・クレイ
)の5人が「欧州各国に潜伏しているパレスチナ人テロリスト11名」を狙う。

地下の情報網ルイから高い金で情報を得、殺しの経験のないアヴナーをはじめ、
爆弾作りも実は素人の玩具屋や、心配性の初老男などにわか結成のチームは
「リスト者」に迫るが、銃での狙撃に一瞬躊躇したり、電話に仕掛けた爆弾が
即死に繋がらなかったり、逆に火力が多過ぎてアヴナー自らも危ない目に
あったり・・・ぎこちなく、映画のようにすんなりいかない(これも映画だけど^^)
所がリアリティのある作風になっている。

5人の心の動きも見所。 

最初の暗殺成功では酒を呑み祝杯をあげていたが
2人目を暗殺したあたりから、パレスチナ人も報復に気づき、その返答に
ロンドンのイスラエル大使館に手紙爆弾だの、旅客機ハイジャックだの、空港で
観光客を乱射だの敵もエスカレートしていく。

4人目か5人目のリスト者がベイルートにいるとの情報を入手。 
モサドと彼らの連絡係エフライム(ジェフリー・ラッシュ)から「軍がやる」という
猛反対を押し切ってベイルートに入る。
チーム結成当初、「アラブ諸国と東欧には近づくな」と言われていたのに、
危険な敵地へ、目をギラつかせる5人だった・・・。
言葉は悪いが「味をしめた」といったところだろう。

ベイルートでの暗殺に成功した直後に、ルイの情報により、最初のリストには
なかった(彼らが殺した1人の後釜でより凶悪)相手を暗殺するために今度は
アテネへ向かう。
ルイの用意した“隠れ家”(すげ〜おんぼろアパート)にWブッキング?で
アラビア語の若者数名が現れた時は緊迫した。
素性を隠しパレスチナ人らと一夜を過ごすが、アヴナーと、若者アリとの
会話がテロリストの言葉を伝える。

「国を持たない我々の気持ちはわかるまい。国家を樹立したい。
  祖国こそ全てだ


(※説明不要かとは思いますが47年にパレスチナにユダヤ人国家イスラエル
 を建国したため 多くのアラブ人が難民として土地を追われたのです)
翌日の夜、アリの手引きで、例の後釜とロシア人(KGB)が現れるが
アヴナー達が仕掛けた爆弾が起動しない! 
ロシア人を巻き込む事は懸念されたが業を煮やしたハンスが勝手に手榴弾を
持って部屋に押し入りターゲットを殺す。
アパートの外に居たアリやロシア人と撃ち合いになる。
前日の夜、涙目で「祖国をとりもどしたい」と言っていたアリも死ぬ。
ハプニングだらけだ。
ルイの次の情報。彼らが最も憎むミュンヘン事件の首謀者、黒い9月の
リーダー、サラメがロンドンにCIAとコンタクトをとるという。

この頃の5人は、グラグラと揺らぎそうな思いを奮い起こすため、サラメ暗殺
だけに全神経を傾けていたように思う。
が、酔ったフリをしたCIAに行く手を阻まれ暗殺失敗。

アテネで、KGBを1人殺してしまったために追われる立場となってく・・・。
カールが女に殺され敵を討つが、ハンスも殺され、精神的に追い込まれて 
休養していたロバートも隠れ家ごと爆弾で吹き飛ばされる。

アヴナーは、自分が暗殺される番だといい知れぬ恐怖に徐々に精神を蝕まれて
いく。アパートの電話機やベットの下、車などあらゆるところに爆弾が仕掛けられ
ていないか?
・・・・・・自分たちのした事は「殺人」ではないのか? 

妻に電話をして、子供の声を聞き泣くアヴナー。
何のために、家族と離れ異国の地で暗殺計画の日々を送らねばならないのか?
テロリストは叩いても叩いてもより強靭な人材が頭角してくる。
報復の連鎖。
アブナー達は結果的に11人のリスト中、7人を暗殺し故郷の若い軍人には
「英雄」扱いされるが、モサドは彼らをよくやったと言うだけで都合の悪い事には
関与しない姿勢は変わらない。仲間の3人は国の誇りのために犠牲になった
ような物だ。

NYに暮らす妻子の元に戻るアヴナーだったが、黒塗りの車にびびり悪夢に
魘される日々を妻がしっかりと、大きな愛で受け止めるのだった。

戦争と同じで虚しさだけが去来する。
70年代前半に こうしたテロが横行した事を私は知らなかった。
93年にイスラエルと、PLO(パレスチナ解放機構)は協定を結ぶが今もって
協議違反やテロが相次ぐ。
国を奪われた者の執念は永久に続くのではないだろうか?
ユダヤ人によって住む土地も自分たちの文化も国の名も奪われた彼らは 
その土地で異教徒のユダヤ人が息をしているだけで憎い筈だ。しかし欧州で
多くが虐殺され、長い年月の果てにやっと「安住の地」を得たユダヤ人(古代に
遡るとそこはユダヤ人の地でもある)には共存を許さないアラブ人を「共存する
義務はない」とやはり憎む。

憎しみが憎しみを生み、果てしなく連鎖が続く・・・・。
ラスト、アヴナーが佇む景色は近年を示唆しているのかもしれない。

中東に混乱を来たし、その合間に石油の利権を奪おうとする先進国の目論み・・・・。
その結果招いた911同時多発テロ。
どうも、米・英などに「いいように操られている」ような気がしてならない。

今頃になって観て(DVD化を待った待った)しかも、またも ダラダラと無駄に
長くてすみません。いい映画でした。

【DVD観賞】
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