おくりびと

November 25 [Tue], 2008, 19:17
【監督:滝田洋二郎 脚本:小山薫堂 出演:本木雅弘/広末涼子/山崎努 公式HP:http://www.okuribito.jp/

 オーケストラのチェロ奏者から一転、失業した大吾は、妻とともに郷里に戻り、そこでとある求人広告によってNKエージェントという会社を訪れる。
 旅行代理店と勘違いしたその会社は、実は《納棺師》――遺体を棺に納める仕事だった。
 妻に結婚式場の仕事だと偽りながら見習いをはじめる大吾だったが、幼い頃の記憶を引き摺りながら、様々な人々の最期の別れや境遇と対峙するうち、やがて仕事の意義を見出していく。

 第32回モントリオール世界映画最グランプリ受賞作品。
 感情にじわりとした変化を与える作品。
 派手な演出はなく、アップダウンの激しいものでもなく。
 むしろどこか淡々と、時に感情のすれ違いや軋轢、戸惑い、葛藤を織りませながらも、緩やかな変化の中にちょっとした笑いとちょっとした感動とちょっとした切なさが入り混じる。
 シリアスなヒューマンドラマ、というほどに肩肘は張っていない。
 ヒトは死と対面するようにできている。
 大切にしているもの、大切にしたいもの、大切にできなかったものへの想いは複雑に絡みあっていて、時には他者への怒りや地震への憤りに転換されることもあるだろう。
 それを、やんわりと受け止める。
 哀しいだけでもなく、切ないだけでなく、もちろん《死》を茶番に変えるのでもなく、ただ受け止めるために必要な何かを差し出してくれるような、そんな優しさがある。
 少しずつ、何かが変わる。
 少しずつ、何かが染み込んでくる。
 少しずつ、何かを得ていく。
 納棺師―その仕事はひどく厳かで、そしてひどく愛情に満ちていて、やさしい。
 その仕事を目の当たりにした時、言葉にならない愛情が沁みて、誤解と偏見と失望の感情が融けて行く。
 自分ひとりで抱え込み、なかなか他人に言い出せず、状況に翻弄され周囲に流されてしまう主人公が得た天職。
 職業への誇りと死者と残されたものへの敬意と思いやりに満ちた、非常に真摯な作品ではないだろうか。
  • URL:https://yaplog.jp/takatsuki/archive/515
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