安楽椅子探偵と忘却の岬

October 30 [Thu], 2008, 23:59
【原作:綾辻行人/有栖川有栖 脚本:戸田山雅司 出演:津田寛治 製作:ABC 公式HP:http://asahi.co.jp/anraku/

 海馬地区近くを流れる渓谷で、頭から血を流し、倒れている男が発見された。
 宗谷家に運び込まれた青年は、自身を取り巻く人々の間にあって、自分が記憶喪失であることに衝撃を受ける。
 失われた記憶を取り戻そうとする彼――『潮野卓也』の周りでは、次々と不可解な出来事が起こり始め、ついには殺人事件へと発展してしまった。
 ひとりアリバイのない彼は、犯人として糾弾される羽目に陥るが――

 問題編と解決編に分かれ、それぞれに2時間を費やし、更に解答編は問題編の数日後に2時間の枠を取って放映、という、懸賞つき視聴者参加型本格ミステリドラマである。
 『忘却の岬』は、そのシリーズの第七作目に当たる。
 綾辻行人と有栖川有栖、ふたりのミステリ作家が作りだした世界は、まさしく、『本格』の色濃いドラマに仕上がっていた。
 閉鎖的な世界に伝わる、〈忘却の岬〉と〈忘却の椅子〉の言い伝え。
 過去の事件、フラッシュバック、記憶喪失、メッセージカード、不可解な言動、不可解な秘密。
 丁寧に作り上げられた舞台の上に乗せられた謎は、フェアであり、ミスリードにあふれ、趣向が凝らされ、観るものを奔走する。
 さらに、そこにほんのわずかなエッセンスとして、かすかなユーモアも折り込んでくる。
 そうした中で費やされていく時間は実に興味深く、惹かれずにはいられない。
 漫然と眺めているだけでは、解答には辿りつけない。
 かといってひとたび推理の袋小路に入り込むと、容易に抜け出すこともできないのだ。
 何をヒントとし。
 何を答えとするか。
 導き出される推理は『エレガント』でなければならない、らしい。
 ドラマとして楽しみながら、安楽椅子探偵達は、己の頭脳で挑戦する。
 この趣向は実にすばらしい。
 なお、問題編のシリアスなトーンから一転、驚くほどなにもない〈白い世界〉で登場人物たちがはっちゃけている解答編のギャップは凄まじいのだが、この落差ごと楽しめた作品である。
  • URL:https://yaplog.jp/takatsuki/archive/510
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