ふたりの女王 メアリーとエリザベス

2019年03月24日(日) 11時36分
解説:スコットランド女王メアリー・スチュアートとイングランド女王エリザベスI世の波瀾(はらん)万丈の人生を描いた伝記ドラマ。『ブルックリン』などのシアーシャ・ローナンがメアリー、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』などのマーゴット・ロビーがエリザベスI世を演じるほか、ジャック・ロウデン、ジョー・アルウィン、ガイ・ピアースらが共演。数多くの舞台演出を担当してきたジョーシー・ルークが本作で長編監督デビューを飾った。 シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ:18歳で夫のフランス王を亡くしたメアリー・スチュアート(シアーシャ・ローナン)は、スコットランドに帰国して王位に就くが、故郷はイングランド女王エリザベスI世(マーゴット・ロビー)の支配下にあった。やがて、メアリーが自身のイングランド王位継承権を主張したことで両者の間に緊張が走る。さらにそれぞれの宮廷で生じた内部抗争などにより、ふたりの女王の地位が揺らぐ。 シネマトゥデイ (外部リンク)

みなさん、レビューにも書いてますが
2人の女王というタイトルですがメアリー、シアーシャ・ローナンが主人公です。
恐らく、エリザベス女王という日本でもおなじみのキャラクターと
エリザベスを演じたマーゴット・ロビーが日本では人気があるから
そうしたのかもしれません。

作品を観てからネットだけですが
メアリーについて読み直してみると
なかなか忠実に映画としていたようです。

気位が高く王位の「血」という意味では
誰よりも純潔で
エリザベスのブーリンのような血は入っていない。
そこが気位の高さ、エリザベスに「王位は私に」という理由でもありました。

対象的な二人の女王。
人生を仕事にかけ男を作らず子も持たない政治家は今でも多いですが
そのあたりのプロ根性はエリザベス。
だからこそ歴史に残る女王なのでしょう。

作品の中でもラストで
やっとエリザベスとメアリーが対面し
メアリーが同じ女王同士の苦悩がわかるエリザベスに
助けてほしいとお願いをし
結局、エリザベスがメアリーの命を守るために18年だか幽閉します。
そのあたりは長い歴史の中での幽閉は描かれておらず
さらっとラストにエリザベスを暗殺する、という動かぬ証拠が出てきたため
エリザベスがメアリーの殺す、というかサインする、という結末でした。
どの国の歴史ものでも
後継者をめぐった男性の醜い争いに
女性が巻き込まれていくといったストーリーが多く
主人公を女性にしつつも男性の権力争いに巻き込まれた話なのです。

だからこそ美人でもてたメアリー、そして子も授かり何もかも手にした女王より
美人とは言えないが男性に屈せずイギリスに一生をささげた女王がこの作品も
勝ったのだと思います。

ラストはメアリーの処刑で終わります。

映画というのはすっかり自分の生活からかけ離れた
時代や生活を考え教養を増やす良いものですね。

★★★★☆

天国でまた会おう

2019年03月19日(火) 14時26分
解説:「その女アレックス」などで知られるミステリー作家ピエール・ルメートルの小説を、ルメートル自身の脚本で実写映画化。戦争で全てを失った人々が国を相手に企てた詐欺計画を描き、第43回セザール賞で5冠に輝いた。画家を夢見る御曹司に『BPM ビート・パー・ミニット』などのナウエル・ペレーズ・ビスカヤート、彼の相棒を監督も務めるアルベール・デュポンテルが演じるほか、『エル ELLE』などのロラン・ラフィット、『パリよ、永遠に』などのニエル・アレストリュプらが共演。 シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ:1918年、御曹司のエドゥアール(ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート)は、戦場で生き埋めにされたアルベール(アルベール・デュポンテル)を助け出した際、顔に大けがをしてしまう。戦後パリに戻った二人は、戦没者をたたえる一方で戻ってきた兵士には冷淡な世間を目の当たりにする。戦争で何もかも失った二人は人生を取り戻すため、国を相手に前代未聞の詐欺を企てる。 シネマトゥデイ (外部リンク)

子どもがポスターに出ていたしファンタジーなのかな、と思ってましたが
冒頭から本格的な大戦のシーンから始まり
顔を失った芸術家を助けた巻き込まれていく男の話、といったところでしょうか。

私が好きなシーンは顔をなくしたエドゥワールが自分の気持ちを
作り出した仮面で表現するところ。
特に泣き面を笑い面にする口を上げたり下げたりするのが好き。
そこへ少女が通訳のように思いを伝えるのですが
そのあたりはなんともファンタジックともいえるし妖艶ともとれます。
ラストも真っ青な鳥のような仮面で父親にあったとき飛び立ち(つまり自殺)ますが
芸術的なとらえかたで観るのが正解に思います。

時代背景、第一次世界大戦だったり
わかりやすい悪者がエドゥワールの姉の夫だったり
詐欺の話もさらーーっと終わってしまったり
浅いといえば浅いところも多く
そもそも戦争で助けてくれたとはいえあそこまでエドゥワールを援助する必要があったかは
謎です。
そして父親をあれほど憎んでいる理由もわからないままラストは自殺してしまいますし
もろもろもっと深く知りたい出来事もさっと終わります。

エドゥワールが亡くなりこの話はどこへいく・・と思いましたが
大悪者(エドゥワールの姉の夫でもと主人公とエドゥワールの兵隊時の上官)
がある一人の若者にしかけた遊びめいた殺し方で
亡くなってしまい、偶然にこのような形で巻き込まれて死んでしまうのですが
その亡くなった若者の父親が偶然にも目の前で主人公がこの物語を語りはじめた
役人の息子で無罪放免でめでたし、めでたし、といったストーリー。

少し浅い部分もありもったいないな、とは思いますが
ラストになんとなく納得な偶発的なストーリーでつなげ
良い仕上がりになっていると思いました。
お金もかかってますしファンタジックなところなども好みです。

エドゥワールが自殺をしてしまうとはいえ
ハッピーエンドではあるので良かったかな。
第一次世界大戦という時代背景も久しぶりで良かった。

★★★☆☆(3.5)

運び屋

2019年03月13日(水) 12時39分
解説:「The New York Times Magazine」に掲載された実話をベースにしたヒューマンドラマ。麻薬を運ぶ90歳の男に待ち受ける運命を描く。監督と主演を務めるのは『ミリオンダラー・ベイビー』などのクリント・イーストウッド。イーストウッド監督作『アメリカン・スナイパー』などのブラッドリー・クーパー、『マトリックス』シリーズなどのローレンス・フィッシュバーンらが共演する。 シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ:90歳のアール・ストーン(クリント・イーストウッド)は、家族を二の次にして仕事一筋に生きてきたが、商売に失敗した果てに自宅を差し押さえられそうになる。そのとき彼は、車で荷物を運ぶだけの仕事を持ち掛けられる。それを引き受け、何の疑いも抱かずに積み荷を受け取っては運搬するアールだったが、荷物の中身は麻薬だった。
シネマトゥデイ (外部リンク)

イーストウッド作品は重くて辛い時があるので
少しためらいましたがこちらはどよーんとした気持ちにならなくて良かったです。

何よりもイーストウッドが作品に主演しまだ映画作品を生み出していることが感動的。
90歳の役柄がぴったりだしまだしっかりと歩き車も運転し
100歳まで生きてもっともっと味のあるものを作ってほしいと思いました。

作品はあらすじのとおりなおですが
ちょっとしたジョークなんかも入り暗いだけの作品ではなく
今のアメリカでも悪者扱いのメキシコ人の本物の悪党たちと
少しずつ心を通わせていく姿なんかも
なんだかしんみりします。
でも、主人公アールの一番心を通わせられなかったのは家族。

イーストウッドもやはり「家族」あってこそ。
そうこの作品は家族愛がテーマです。

最後に出てくるメキシコ人の下っ端は
アールになんとなく祖父のような感情を抱き始め
アールも孫のようにアドバイスをします。
そのメキシコ人は孤児で
ボスに拾われ親のように育てられた現在があります。
やはり悪いことでも裏切れない。

そんなちょっとした男同士や血縁関係のない親子関係も
うまいこと作ってますね。さすがです。

で、メキシコ人の大ボスはなんとアンディ・ガルシア。
めちゃセクシー。
殺されちゃって車のトランクに入れられちゃうけど
イーストウッドの作品だから引き受けたのかもなーなんて思います。

警察官はブラッドリークーパー。
最近では常連のように出ています。
彼の演技が好きなのかな、イーストウッドは。

手腕と慣れてるけど丁寧な作り込み
感情の持って行き方などはさすがです。

まだまだこの作品を見る限りでは監督としてもいけそうな感じなので
元気でたくさんの作品を作ってほしいと願います。

イーストウッド並みに俳優から映画監督でここまで成功してる人って
いないですよね?

いつもより辛く重くなくでも
メッセージは深くそんな作品。

おすすめ。

★★★★☆





グリーンブック

2019年03月10日(日) 18時55分
解説:黒人ピアニストと彼に雇われた白人の用心棒兼運転手が、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を手に人種差別が残るアメリカ南部を巡る人間ドラマ。『はじまりへの旅』などのヴィゴ・モーテンセンと、『ムーンライト』などのマハーシャラ・アリが共演。『メリーに首ったけ』などのピーター・ファレリーが監督を務めた。アカデミー賞の前哨戦の一つとされるトロント国際映画祭で、最高賞の観客賞を獲得した。 シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ:1962年、ニューヨークの高級クラブで用心棒を務めるトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は、クラブの改装が終わるまでの間、黒人ピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)の運転手として働くことになる。シャーリーは人種差別が根強く残る南部への演奏ツアーを計画していて、二人は黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに旅立つ。出自も性格も違う彼らは衝突を繰り返すが、少しずつ打ち解けていく。 シネマトゥデイ (外部リンク)

これが今年のオスカーか、と思うと物足りなさもある気もしますが
良かったと思います。
主人公が ヴィゴ・モーテンセンとは!!!驚き。
ちょっとセクシーなイケメン役が多かったのに久しぶりに観た彼は
お腹の出た中年男。

ストーリーはあらすじのとおりなのですが
主人公のトニー・リップ。
差別主義者だったトニーリップが一人の人間として友人として
黒人のピアニスト・ドクターを通じて変わっていくロードムービー。

人種差別をもう何度も映画化されてますが
この作品では今までとは少し異なる境遇にある実在した人物ドクターという才能ある黒人のピアニストという
設定。
彼はお金にも才能にも何1つ困ることはありません。肌の色が違うということをのぞいて。
そして彼は家族もなく友達もなく孤独です。

トニー・リップは肌の色こそは白く家族と友達にも恵まれてますが
職もなく学もない男です。

このお互いがどうしても得たいものがどうにもならない境遇の中で
マイナスの部分を補いながら人種差別がもっともある北へ向かう旅をします。

号泣することはないけれど
ちょっとしたことにうるっとくるセリフがあったりします。
一番、涙が出たところは
なんと、NHKに監督のインタビューの中でプレビューされたんですが
あんなに良いシーンばかり出して良かったのか、NHK,という感じでした。

ドクターが言います。
「私を受け入れてくれるのは自分に学があると見せつけるためだけだ」と。

才能がありお金があっても満たされないのは他の黒人とは異なり
才能があってお金があること。それにより彼はより孤独です。
そこで明るく陽気でドクターが持たない家族、友人を持ち
肌の色も白い。そしてダークな世界で生きもがき金のために早食いをときには
してみたりします。

そんな二人が1つになり最強になってくるステップがとても丁寧に作り上げられ
感動だ、これはと言い切れなくても
どちらの人生が幸せなのか、考えさせられる。
人種差別はもちろん歴史認識という意味で大きいですが
本当に大切なものは何か。

そんなことを考えさせられた作品でした。

良作です。

★★★★☆