帰ってきたヒトラー

2016年06月29日(水) 21時40分
解説:ティムール・ヴェルメシュのベストセラー小説を実写化したコメディードラマ。独裁者アドルフ・ヒトラーが突如として現代に出現し、奇想天外かつ恐ろしい騒動を引き起こす。舞台を中心に活躍するオリヴァー・マスッチがヒトラーを演じ、「トレジャー・ハンターズ アインシュタインの秘宝を追え!」などのファビアン・ブッシュや『ビッケと神々の秘宝』などのクリストフ・マリア・ヘルプストらが脇を固める。21世紀の民衆が、知らず知らずのうちにヒトラーに扇動されていくさまに注目。 シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ:ナチス・ドイツを率いて世界を震撼(しんかん)させた独裁者アドルフ・ヒトラー(オリヴァー・マスッチ)が、現代によみがえる。非常識なものまね芸人かコスプレ男だと人々に勘違いされる中、クビになった局への復帰をもくろむテレビマンにスカウトされてテレビに出演する。何かに取りつかれたような気迫に満ちた演説を繰り出す彼を、視聴者はヒトラー芸人としてもてはやす。戦争を体験した一人の老女が本物のヒトラーだと気付くが……。 シネマトゥデイ (外部リンク)

面白かったですねー。
最近では映画的にもうナチやヒトラーはいいだろ、ってところもありますが
この作品では自虐のように「もうナチネタは・・」と言ってるところなんかも
作り手の先手先手の読みやシニカルさに脱帽します。

前半はヒトラーが現代に降り
現代に奮闘するヒトラーがいますが
このあたりはコメディタッチに笑える要素で作られています。
あのヒトラーが21世紀で何に感動し、何に興味を示し
何に激怒するのか、そんなところも楽しめますが

犬を殺す以外にももうちょっとこの人、あるでしょうよと思いましたけどね。
それだとストーリーが続きませんから。

前半にあのヒトラーが間抜けすぎて笑えますが
実際はドイツにはびこる政治的問題にヒトラーがもしもいたら?そんな
見えない問いかけも多く含まれ

ドイツでは難民問題が目下の問題ですが
日本と変わらぬ貧困やらそのあたりもクローズされ
こんなときにアメリカの次期大統領候補となってるあの方の
饒舌で強いリーダーシップを求めやがてや
ヒトラーのような独裁者が生まれる
危うい構図も見え隠れします。

コメディタッチにしつつも
風刺映画としては最高にうまく作られていますし

痴ほうの老婆が彼を見た瞬間に
何もかもを思い出す様を入れるところも
忘れてない。

ラストはこれが現実なのか、と切なくなります。
残念ながらどの国も
実はヒトラーのような「これをしたら国は良くなる」、と言い切る
独裁者を人間自体が欲してるのかと考えてしまいます。
前述したアメリカ大統領候補も然りです。

とても良くできた現代だからこそ必要と思える作品。

必見です。


★★★★☆




10 クローバーフィールド・レーン

2016年06月25日(土) 12時01分
解説:『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』などのヒットメーカー、J・J・エイブラムスが製作を担当した異色スリラー。思いがけずシェルターの中で過ごすことになった男女を待ち受ける、想像を絶する出来事が展開していく。『リンカーン/秘密の書』などのメアリー・エリザベス・ウィンステッド、『バートン・フィンク』などのジョン・グッドマン、テレビドラマ「ニュースルーム」シリーズなどのジョン・ギャラガー・Jrらが出演。手に汗握る心理劇と、一気になだれ込む衝撃の展開に息をのむ。 シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ:ミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)は目覚めると、自分が見ず知らずの2人の男性とシェルター内にいることに気付く。その日を境に、彼女を助けたと主張するハワード(ジョン・グッドマン)とエメット(ジョン・ギャラガー・Jr)との奇妙な共同生活がスタートする。ミシェルは、外は危険だという彼らの言葉を信じるべきかどうか悩んでいた。 シネマトゥデイ (外部リンク)

予想以上に面白かったです。
密室サスペンス化と思いきや
実はラストの20分でそれまでのすべてと変わってきます。
この構成に異論がある人もいそうですが

その前の密室サスペンスもはらはらドキドキ。

シェルターの中にいる管理リンハワードは
善の人なのか、悪の人なのか
同居人となったエメットは善人なの?

本当にシェルターの外は
核で汚染されてるの?

そんな主人公の疑心と
彼女のちょっとしたアクションにも面白さがあったり
映画としての見ごたえは十分。

ベテランの太っちょ俳優・ジョン・グッドマンの演技も
どっちなのかと戸惑うような素晴らしい演技。

最後まで疾走して
ラストの20分にええええ??の展開。
これがずっこける人もいそうだけど
なんか今までにない?ってそんな印象だし
これ続編がありそうな予感もありますね。

予想以上に楽しめました。


★★★☆☆(3.5)

マネーモンスター

2016年06月22日(水) 18時38分
解説:『リトルマン・テイト』『それでも、愛してる』で、監督としても高い評価を得ているジョディ・フォスターがメガホンを取ったサスペンス。拳銃を手にした男による財テク番組占拠事件の行方と、その裏に隠された驚がくの真実を活写していく。『マイレージ、マイライフ』などのジョージ・クルーニー、『エリン・ブロコビッチ』などのジュリア・ロバーツ、『不屈の男 アンブロークン』などのジャック・オコンネルらが顔をそろえる。彼らが織り成す濃密なストーリー展開が観る人を引き付ける。 シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ:リー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)が司会を務め、その巧みな話術で株価予想や視聴者への助言を行う高視聴率財テク番組「マネーモンスター」。番組ディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)の指示を聞かず、アドリブ全開でリーが生放送に臨む中、拳銃を手にした男カイル(ジャック・オコンネル)がスタジオに乱入してくる。彼は番組の株式情報によって財産を全て失くしたと憤慨し、リーを人質に番組をジャック。さらに放送中に自分を陥れた株取引のからくりを白日のもとにさらすようパティに迫るが……。 シネマトゥデイ (外部リンク)

人気者が監督、主演しているこの作品。
あまり期待していなかったのですが
展開も早く楽しめました。
犯人の気持ちやら動機などが気になるとちょっとそこは違うかも。

映画を知り尽くしたJフォスターが
女性監督らしい
男の情けなさをこれでもかってぐらい女性目線で描いてるのがいいですね。
すべて男の情けなさがこの作品の面白さを作っていて
Jロバーツはひたすらかっこいい。

Jクルーニーも犯人も そして株取引のからくりを仕組んだCEOも
金があってもなくてもくだらなくて
これを陳腐な猿芝居といってしまえばそれまでだけど

私はサスペンスタッチな展開も好きだし
きっとラストはこうなるかな、と思った予想通りなところも良かったです。

★★★☆☆(3.5)

教授のおかしな妄想殺人

2016年06月15日(水) 16時59分
解説:『ミッドナイト・イン・パリ』など数々の傑作を生み出してきた巨匠ウディ・アレン監督が、人生における不条理さを独自の考えのもとに描いたブラックコメディー。人生とは何かがわからなくなった哲学教授が奇妙な生きがいを見つけたことで、生きる喜びを取り戻していくさまをつづる。犯罪計画に新たな生きる目的を見いだす主人公には、アレン監督とは初タッグとなるホアキン・フェニックス。彼に恋心を抱く女子大生を、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』などのエマ・ストーンが演じる。 シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ:アメリカ東部の大学。孤独で気力のない哲学科の教授エイブ(ホアキン・フェニックス)は、ある日不快な判事についての話を聞く。自分がその判事を殺害するという完全犯罪を妄想した途端、よどんでいた彼の人生は鮮やかに色づき始める。一方、エイブのことが好きな教え子ジル(エマ・ストーン)は、教授が奇妙な殺人妄想に夢中になっているとは知らず、恋心を募らせていくが……。 シネマトゥデイ (外部リンク)

ウディ・アレンなので楽しみに。
しかし上映している劇場も少なく嫌な予感も・・。

すっかりウディ・アレンの新しいミューズになったエマ・ストーン。
数年前の肉厚美女に心を奪われていた時期もあったようですが
やはり華奢な金髪美女がお好きなようですね。

ストーリーは前半はとにかく眠かった。
教授エイブの破たんしている性格だとか
性不能だとか人格を紹介したかったんだろうけど

哲学の教授だから何せくどくどめんどくさい。
ウディ・アレンのだらだらくどくどが目に浮かび
途中うんざり。
きっとウディ・アレンはもっと若かったら
女性に誘われたいタイプなんだろうな、と思いながらみてました。
だって二人の女性に誘われちゃうし、
映画の中だからありえる
女子大生が教授を誘っちゃうとか
私的にはホアキンが好みでないのでどうにも
魅力のある男に見えなくてねえ・・

ラスト、殺人からその経緯、
登場人物の感情や性格が出てきたころにだんだんと
楽しめてきたでしょうかね。

この手のものだと「マッチポイント」のほうが
ウディ・アレンだったらよかったかなあ。

悪くないけど前半の退屈感と
だらだら哲学ぶりとか
ホアキンが全然、かっこいい中年じゃないとか
そんなのも含めると普通かな。

★★★☆☆

オマールの壁

2016年06月08日(水) 22時08分
解説:第86回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、『パラダイス・ナウ』などの鬼才ハニ・アブ・アサドが監督を務めた社会派ドラマ。対立するイスラエル軍に捕らえられ、命と引き換えにスパイになることを迫られたパレスチナ人青年の運命が描かれる。主人公を演じるアダム・バクリを筆頭に、映画出演経験のほとんどないパレスチナ人の新進俳優たちが熱演を披露。人間の尊厳や愛をテーマにした重厚で深遠な物語に加えて、大規模ロケを敢行して撮られたパレスチナの風景が同国の置かれた状況を生々しく観る者に訴え掛けてくる。 シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ:ひたむきに仕事をこなすパン職人でありながら、仲間たちと一緒に反イスラエルの闘士として活動するパレスチナ人青年オマール(アダム・バクリ)。彼は監視塔から撃ち込まれる銃弾を回避しつつ分離壁を乗り越え、恋人ナディア(リーム・リューバニ)のもとに通う日々を送っていた。そんな中、彼はイスラエル兵士を殺害したとして拘束されてしまう。イスラエル軍から壮絶な拷問を受けたオマールは、解放を条件にスパイになるように迫られる。幼なじみでもある仲間との絆を壊され、ナディアとの仲も引き裂かれたオマールは……。 シネマトゥデイ (外部リンク)

見ていてしんどい作品かと思いきや
イスラエルの占領下にあるパレスチナとそこを隔てている「壁」を
中心にストーリーは回ります。

この「壁」をのぼって彼女に会いに行くわけですが
彼女に会うために一気に上り詰める瞬間のオマールの感情と
エンディングに近い瞬間、登れなくなり
杖をつく老人に支えてもらいながらやっと上り詰める
シーンがオマールの感情を表しているかのようにうまく使われています。

冒頭はこの「壁」をのぼり
おいかけられるシーンから始まり
サスペンスチックになるかと思いきや
オマールと彼女の純愛過ぎるほどのラブストーリーに転じたり
投獄されてスパイを命じられたりと
パレスチナの若者の今はこんなんなのかと考えさせられます。

スタッフが俳優陣を含めすべてパレスチナ人とは驚きました。
歴史、世界の情勢を見るのに
映画とは必要なものだと改めて感じます。

作品は細部にまでこだわり非常によくできていて
音楽は全くなく
ラストも無音。
やられてばっかりいられない、そんなラストの映画らしさに
すっきりするようですっきりしない、そんな事実に
もやもやしながら劇場を出ました。

★★★★☆

幼馴染の3人が最初は同じ顔に見えてしまいました。
オマールがやはり抜群にイケメンですけど
系統はすべて同じでわかりにくかったかな。
だんだん慣れてきましたけどね。



ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出

2016年06月04日(土) 20時16分
解説:19歳のエリザベス女王が非公式に外出を許可された実話をベースに、お忍びで自由を満喫した一夜限りの冒険を描くドラマ。戦勝記念日に沸く街中で、庶民の生活に初めて接した王女が数々の出会いを通じて統治者として果たすべき責任を自覚していく姿を映し出す。王女を演じるのは『アンチヴァイラル』などのサラ・ガドン。史実を織り交ぜつつ語られる、王女の最初で最後の心躍る体験に笑みがこぼれる。 シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ:1945年5月8日、ドイツとの戦争に終止符が打たれたロンドンでは、人々が戦勝記念日を祝っていた。この機会を逃せば二度とチャンスはないと察した19歳のエリザベス王女(サラ・ガドン)は、父親の国王ジョージ6世(ルパート・エヴェレット)に対して宮殿の外に出たいと懇願する。何とか許可をもらえた彼女は、妹マーガレット(ベル・パウリー)と共にオシャレしてお忍びでホテルに向かうと……。 シネマトゥデイ (外部リンク)

恐らくこの作品の中で史実と同じところは
19歳にお忍びで非公式で戦勝記念日に外出したこと、
国王に許可を得るのに苦労したことぐらいで
あとはそれらをベースに
ストーリーをロマンティックに演出し
ちょっとおてんばな妹マーガレットを探す初めての外出、といったところです。

偶然出くわす将校が
そんなにジェントルマンで良すぎるほど人が良いし
娼館にいるのに娼館の元締めが
ロイヤルファミリーの信者(?というのか)だったり
護衛が戦勝記念日だからといって
任務をほったらかして
遊びに出てしまったりなんてありえるはずはありません。

あくまでもフィクション。
でもこれが実在するエリザベス女王が19歳のとき、と考えると
なんだかすべてが本当で

「私は外に出たことがない」という普通のことを夢見る
女性が初めて外出した経験、
外の世界での父・国王の威厳を国民の立場で見たり、
国民の酔いしれる時や娯楽を見たり
頭の良い彼女はきっと多くをこの1日で学んだことでしょう。

コメディタッチで軽く見れるけど
威厳のあるエリザベス。
やっぱり外の下々の者たちとは空気やら品格が
まるで違うと思うんだけどなあ・・
そこは映画ですからね。

ローマの休日とはちょっと違うけど
実在し、今もお元気に英国王女である彼女だからこそ
真実味があるのかもしれません。

★★★☆☆


コメディタッチでゆるーく休日見るのにおすすめ。
退屈はなく
わかりきってる作品なので
安心して鑑賞できます。

神様メール

2016年06月02日(木) 20時59分
解説:カンヌ国際映画祭やゴールデン・グローブ賞など、世界各国の映画祭、映画賞で称賛を浴びたコメディー。パソコンを駆使して世界を翻弄(ほんろう)する神と、そんな彼に愛想を尽かした娘が巻き起こす騒動を描く。メガホンを取るのは『ミスター・ノーバディ』などのジャコ・ヴァン・ドルマル。『チャップリンからの贈りもの』などのブノワ・ポールヴールド、名女優のカトリーヌ・ドヌーヴ、『エール!』などのフランソワ・ダミアンらが結集。奇想天外なアイデアと設定、予想もつかないストーリー展開に圧倒される。 シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ:ベルギーのブリュッセル。とあるアパートに家族と共に生活している神は、慈悲深いという人々が抱いているイメージとは真逆の嫌な人物であった。自分の部屋に置かれたパソコンを駆使して世界を管理しているが、いたずらに災害や事故を起こしては楽しんでいた。そんな父親に怒りを覚える10歳の娘エア(ピリ・グロワーヌ)は、家出を考える。立ち入りを禁じられている父親の部屋に忍び込んだ彼女は、全人類それぞれの死期を知らせるメールを送信して家を飛び出してしまうが……。 シネマトゥデイ (外部リンク)

宗教関係疎いのでまたもや残念な浅い感想になりそうです。
キリスト教についてしっかりと理解していると
この作品ももっと楽しめるのかなと思います。

ただキリスト教抜きにしてどうかというと
コメディタッチにしていますが
そこそこにくすっと笑えます。

キリスト教と宗教の全体像が理解しているのであれば
製作者の強いメッセージや皮肉が読み取れるかもしれないのにとやっぱり残念。

10歳のエマが父親にうんざりし
神である父親のパソコンから
人間の寿命を人間に送信し
エマが人間界に落ちて
6人の使徒を探しながら新・新約聖書を作る話。

6人の使徒の人生をそれぞれの視点で
丁寧に描いているのもこの作品の良さと思う。
ちょっとした回想シーンにも手を抜かない。

くるみをわる音を表現するのに
イチイチくるみを割ってるシーンが登場するなど
細部へのこだわりも良いし
殺し屋が殺そうとした美しい女性の腕が義手で
彼女が死なないところなど
コメディながらになんども美しく仕上げている。

結局のところ「愛」なんだろうな、と思うけど
6人6様の愛の形にもきっと
キリスト教を知っていたなら深い意味が分かったのかもしれない。

エアの母であるつまり女神が
冒頭からなんとも言えない存在感。
セリフもほとんどないのに
個人的に助演女優賞を彼女にあげたいほどの
癒される演技。

かなりのメッセージが込められてるはずのこの作品ですが
残念ながら私は宗教に疎いため
奥深いメッセージまでは理解できなかった。
でも作品1つとしては
丁寧な回想シーンや6人もいる使徒の現在と死期までの人生を
うまく時間内で仕上げていた。

★★★★☆