セントアンナの奇跡

2009年07月29日(水) 20時19分
解説: 第二次世界大戦中のイタリアで実際に起きた虐殺事件を基に、兵士の葛藤(かっとう)と心の交流をサスペンスタッチでつづる戦争ドラマ。『マルコムX』のスパイク・リー監督が同名の小説を映画化し、リアルな戦闘シーンだけではなく、人種を超えた人間の尊厳と希望を見事に描き切った。主要な4人の若き黒人兵を、『大いなる陰謀』のデレク・ルークや『7つの贈り物』のマイケル・イーリーらが好演。戦争の無意味さや、人間の温もりがダイレクトに伝わってくる。(シネマトゥデイ)

あらすじ: 1983年、平凡な黒人の郵便局員が客を射殺する不可解な事件が発生。この事件の背景には、第二次世界大戦中のイタリアでのとある出来事が隠されていた。黒人だけで組織された“バッファロー・ソルジャー”の4人の兵士は部隊からはぐれ、イタリア人の少年(マッテオ・シャボルディ)を保護する。4人はトスカーナの村でつかの間の平和を感じるが、ナチスの脅威はすぐそこまで迫っており……。(シネマトゥデイ)


上映時間163分。長いです。
そして映画間はまたもや満員。

さてこちらの作品ですが、イタリアで実際に起きた大虐殺事件をもとにしたものです。
その中にスパイクリー監督が、黒人兵士部隊”バッファローソルジャー”を中心にした物語として仕上げています。

この2つが軸となるはずですが、タイトルにある「セントアンナの奇跡」というのが何が何でもいれたかったようで、そこにイタリアの少年、アンジェロが絡んできます。

はっきり言えば、タイトルにはなってますが、それほどこの少年の役割もわからなかったしむしろ必要なかったようにも思えますが、2/3は戦争映画のリアルな殺し合いのシーンも多く思わず口をおさえてしまうことも多、くその中で、このアンジェロがこの悲惨な戦争(というか大虐殺)を和らげてくれています。

2/3の戦争のシーンはよくできたドラマになっていて、ここで黒人、という人種について大いに語ってくれています。
4人のバッファローソフジャーがイタリアの村に迷い込むわけですが、その中で、イタリア人が黒人を差別せずに受け入れてくれることに感動します。
ここでは人間として受け入れられ、恋愛の対象としても扱ってくれるイタリア人。
国で考えればイタリアとは戦争していましたが、同じアメリカ人の白人よりもよっぽどイタリア人の方が人間として見てくれている、そんなことを表現しています。

この2/3あたりは非常に見ごたえがあり、私はあまりこのイタリアの歴史だとかに明るくないもので(特にこの日独伊三国同盟あたりの時代)ナチがイタリアの大虐殺をしたこと、黒人のバッファローソルジャーがあったこと、など知らなかった事実を知るきっかけとなりました。
そしてこの事実と人種差別なんかもうまくからめうまいこと仕上がってると思います。


ただ、163分。
内容が詰め込みすぎていて、重要な部分が理解できないところがありました。

★★★☆(3.5)



ネタばれになるので追記します・・。

人生に乾杯!

2009年07月26日(日) 12時09分
解説: 幸せをつかみ取るために強盗となった老人とその妻の逃避行を描き、本国ハンガリーで熱い支持を集めたハートウォーミング・ストーリー。年金だけでは暮らしていけず、借金取りに追われる毎日となった老夫婦が、高齢者に冷たい世間に怒りを覚えて次々と強盗を重ねていく。出演は『反恋愛主義』のユーディト・シェルら。ハンガリーの現状に疑問を投げかけ、解決すべき社会問題を浮き彫りにしながら、心温まる展開で魅せる珠玉の一作。(シネマトゥデイ)

あらすじ: 運命的な出会いを経て結婚し、今や81歳となったエミル(エミル・ケレシュ)と70歳のヘディ(テリ・フェルディ)の老夫婦。恋に落ちていた頃のことなどすっかり忘れた二人は、年金だけでは暮らしていけず、借金取りに追われる毎日の中、出会いのきっかけだった思い出のダイヤのイヤリングも借金のカタに取られてしまう。(シネマトゥデイ)


やっと観に行くことができました。
当日はほぼ満席状態。

映画自体は、評判通りとても良かった。

映画っぽすぎる設定なのについつい引き込まれて、ハンガリーの老後も日本と変わらないぐらい大変で、しかもこのおじいちゃんが共産主義の時代にも生きていたことなんかもうまく取り入れています。
共産主義の方が、むしろ良かったんじゃないか?
そんな嫌みまで入っているのです。

警察の間抜けっぷりは笑えますが、ここでは、刑事の若い壊れそうなカップルが登場し、この老夫婦を追跡し、関わっていくことで本当の「夫婦」や「愛」を再確認するという設定もあったりします。

そもそも別れる理由が相手の男が、ストリッパーを呼んで、職場の男たちとはしゃいだ、みたいな理由だったと思うんですが、それがどうしても彼女は許せなかった。
関わる中で、老夫人に「旦那さんが娼婦の方を買ったんですよ」と話した時、70歳のへディが「そんなことどうでもいいわ」とさらっといいのけてしまったところに、何か感じで、気づいたんでしょうね。
生きていくのに、そんな些細なことどうでもいいんだ、っていうことに。
もっと生きていくには大切なものがあるんだ、ってことに。


地味な作品ですが、テーマは深く、それでいてメッセージ性も高い。


ラストもなんとなくそうなるかな、と思っていたけれど、すごく好きなラストでした。


評判が良いのか上映されている劇場が拡大されているようです。
是非、観てください。おすすめです。


★★★★★

そんな彼なら捨てちゃえば?

2009年07月25日(土) 10時11分
解説: 映画版も世界的に大ヒットしたテレビドラマシリーズ「セックス・アンド・ザ・シティ」の脚本スタッフによる同名ベストセラーを映画化した恋愛群像劇。20代から30代の男女が織り成すさまざまな恋模様を、『旅するジーンズと16歳の夏』のケン・クワピス監督がコメディータッチで描く。ベン・アフレック、ジェニファー・アニストン、ドリュー・バリモア、スカーレット・ヨハンソンといった豪華キャストが、恋愛における男女の本音や勘違いを等身大に演じる。(シネマトゥデイ)

あらすじ: いつも自分が空回りしてしまい、一向に運命の相手に出会えないジジ(ジニファー・グッドウィン)、同居して7年になるのに結婚する気のないニール(ベン・アフレック)と、本音を隠しつつも実は結婚したいベス(ジェニファー・アニストン)……。メリーランド州ボルチモアを舞台に、さまざまな事情を抱えた男女9人の恋模様が交錯していく。(シネマトゥデイ)


ヤプログさんの試写会に当選し、一足先に鑑賞させていただきました。
いつもありがとうございます。
当日は、金曜日の夕方ということもあったせか話題の映画なのかいつもよりも人が多かったです。
以前の「おとなり」ほどではなかったですが。


映画自体は知っていたけど予告は観てなかった気がします。
あんなに映画館に行ってるのになぜでしょう。

ですからなんとなくラブコメなのかなーとか思っていた程度で、私の大好きなSATCの脚本スタッフがなんたらという売り込みは全く知りませんでした。


私が一番好きな映画のジャンルはラブコメなのです。
いい年して、と突っ込まれそうだけど、好きなんだもん。

感情が主人公に移入して、コメディを観てるのになぜか涙が出ちゃうなんて最高ではないですか!

またお国が違うとどうしても笑いのツボがずれてしまっていることもあるので、これもまたラブコメ好きとしては笑えないコメディはコメディのジャンルに属されていたとしても私としてはその時点でだめです。
大好きなジャンルなだけにラブコメには相当うるさい私です。


さてこの作品はどうでしょうか。

ずばり、合格!!

登場人物が多くてしかも良い役者さんを揃えているので、ストーリーがばらばらになってしまいそうだな、と思っていたのですが、1つ1つの登場人物の性格や恋愛観もわかりやく描いてくれています。

そして笑える。

最後に涙が出ちゃったり。(ベスの恋愛にほろっときちゃった)

そしてもちろん感情移入はばっちりです。
もちろんこの女うぜーーというジジという登場人物もいましたが、、恋愛してたらいつだってプラス思考に相手の行動を考えちゃうのもわかる気もします。
ちょっと大げさに映画だからジジってキャラで作っているけれど、良い意味で、「きっと忙しいんだ」と自分の気持ちを抑えるってのもあるもんね。

それからメアリーが言ったセリフもぐっときちゃいました。
「昔みたいに電話1本でさっさとわかんないかな。携帯、留守電、Eメール、最後の言葉をみつけるのにこんなに時間がかかるなんて」
みたいなニュアンスのセリフだったんだけど、これも共感。

同世代だぜ、ドリュー笑

年齢からしても、真剣に恋愛を考える、年代向け。
大人の恋愛です。
だからこそ悩んだり変な先入観にとらわれたり、恋愛における定説にこだわったり、友人との恋愛の話と自分を比較したるすることができるのです。
数多く、周囲や自分の恋愛が多くなればなるほど変に凝り固まっちゃう。

新しい恋愛はもうする予定はないけど、いつアンナ(スカヨハ)のようなセクシーでどんな男が見ても彼女と寝たいと思わない男はいない、って最強女が現れてしまうかもしれない。

ま、でもアンナぐらいの女性に浮気したんだったら、ある意味納得してしまうかな。


いくつ感想を書いても書き足らないぐらい感情移入ができ、笑って泣いて。

お気に入りのラブコメがまた1つできました。

DVDが出てら絶対、買うんだー

しかし、邦題の「そんな彼なら捨てちゃえば」というタイトルはどうなんでしょう。
これ女性向けっぽく思えるけど男性がみたって十分楽しめるし、女性限定に感じてしまいます。

He's just not in to you !・・・ 彼はキミにそれほど夢中じゃない


こっちの方がいいと思うんだけど、それほど夢中じゃない、って日本語、変だもんね。
だからかなー。


友達数人、カップル、誰と行っても楽しめます。
その後、皆でこの映画で盛り上がるのがおすすめ。

ちなみに私は一人でしたけど。笑

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

2009年07月21日(火) 16時42分
解説:  本国ドイツで大ヒットとなったアクション・ロード・ムービー。余命わずかと宣告され、たまたま末期病棟の同室に入院させられたマーチンとルディ。二人は死ぬ前に海を見るために病棟を抜け出し、ベンツを盗んで最後の冒険へと出発した。その車がギャングのもので、中に大金が積まれていたことも知らずに……。道中、残り少ない命の彼らに怖いものなどなく、犯罪を繰り返し、ギャングのみならず、警察からも追われる身になるのだが……。(allcinema ONLINE)

今、TSUTAYAで不朽の名作に値する作品を100円でレンタルしてくれるサービスがあり、なかなか良い、いんやー、かなりナイスな(←この表現はナイスではない)チョイス。
その中でなぜだか見忘れている作品やもう1度観たい!!っていう作品を借りてきています。
わりと昔の作品で見逃しているものが多いのですが、今回の「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア 」はその名作100円シリーズの中でもやや新しい方なのかな。

この特集の棚にはだいたいはずれのないものがずらりとあるので、映画をあまり観ないんだな、って人は100円で良い映画をこの機会にぜひ、観てほしいな。


さてこの「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア 」ですが、やっぱり良かった。
ありえないだろ、って設定で普段の私の性格なら絶対に許せない範囲の映画の中の破天荒ぶり。
なのに妙にかっこよくてセリフもかっこいい。

イチイチ映画っぽい「ロマン」仕立てにして、死にむかっていく男をかっこよくそして人間臭いキャラクターを持ちつつ、ありえないけどありえる、という気持ちにさせてしまうのです。
この作品をベースにいろんな作品がここ数年出てきてるけどやっぱりこれにはかなわない。
多分、この監督のカメラワークだとかその他のセンスだとかが抜群に良いというのもあるけれど。

映画っぽい映画なのに妙にリアルで自分がもしも主人公だったらどんなことを死を前にかなえたいと思うのか。

「あっちじゃ(天国)海の話をするのに海を見たことがないから話せない」なんてキザったらしい話だけどほんとにほんとにかっこいい!

ラストはやっぱり良かった。

見逃した人はTSUTAYAの名作100円レンタル棚へGO−−

扉をたたく人

2009年07月15日(水) 21時11分
解説: 主人公の大学教授を演じた名優リチャード・ジェンキンスがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた感動ドラマ。911以降、移民希望者や不法滞在者に対して厳しい措置を取るようになったニューヨークを舞台に、孤独な初老の大学教授と移民青年の心の交流を描く。監督は俳優としても活躍中のトーマス・マッカーシー。共演は『シリアの花嫁』のヒアム・アッバス。人間関係を丹念に描いた心揺さぶる展開と、現代社会を反映した考えさせられるラストに注目だ。(シネマトゥデイ)

あらすじ: 妻に先立たれて以来、心を閉ざして生きてきた大学教授のウォルター(リチャード・ジェンキンス)。出張でニューヨークを訪れた彼は、マンハッタンの別宅で見知らぬ若いカップルに遭遇。彼らはシリアから移住してきたジャンベ奏者のタレク(ハーズ・スレイマン)と彼の恋人でセネガル出身のゼイナブ(ダナイ・グリラ)だと名乗るが……。(シネマトゥデイ)


今あるアメリカの移民問題がテーマとなっていますが、これ、どちらかというと生きているのに心あらずの大学教授ウォルターがこの不法滞在の人々を通して心を開いていき「生きている」実感を再確認する映画のように思います。

原題は見忘れましたが邦題の「扉をたたく人」というのはぴったり。

ここでいうたたく、とは、

ジャンベをたたく、心をたたく・・。

この2つのたたくがうまく織りなし前半は孤独に生きているウォルターがタルクとジャンベの出会いにより潤いのある生活を送れるようになります。
ウォルターが楽しんでいる様子がひしひしと伝わってくるんですよね。
今まで活気のなかった生活が一気に生きてることの楽しさを味わっているみたいな。
思わず私もほっこりとしてしまいます。

後半は、この作品のテーマである移民問題です。
というか移民問題をメインにしたかったんだろうな、と思うのですが・・。

そのわりにはあまり移民問題の髄の部分が少なくタルクの母親との関わりに多くの時間を割いているのです。

ここでもやはりウォルターがどんな性格でまたタルクがどれだけ彼に生きていく楽しさを教えてくれたかというのがよりわかりやすくなったというか・・。

移民問題に関しては、現状のみで何がこの移民問題の問題なのかもわかりにくかったしそれほど重要には思えてこなかったのです。

母親の登場も移民問題を軸にしたいのであれば、必要なかった気がします。

ウォルターがタルクのために必死に問題を解決するため奔走して、あのラストにしても良かったんじゃないかな。

アメリカ映画にしては地味な作品ですが、リチャードジェンキンスはすごくいいし、ラストもすごくいい。


★★★☆(3.5)


タルクの恋人のセイナブの褐色すぎる肌に原色のファッションがとても素敵でした!

サンシャイン・クリーニング

2009年07月13日(月) 21時03分
説: 2006年アカデミー賞2冠に輝いた『リトル・ミス・サンシャイン』のプロデュースチームが手掛ける心温まる人間ドラマ。人生の負け組だった姉妹が新しいビジネスを通して成長し、ぶつかり合いながらもきずなを深めていく様子を繊細(せんさい)につづる。『魔法にかけられて』のエイミー・アダムスが生活に疲れた姉を好演。その妹を『ジェイン・オースティンの読書会』のエミリー・ブラントが演じている。誰もが観た後少しだけ笑顔になれる元気印の感動作。(シネマトゥデイ)

あらすじ: シングルマザーのローズ(エイミー・アダムス)は、ハウスキーパーの仕事をしながらオスカー(ジェイソン・スペヴァック)を育てている。彼女の妹(エミリー・ブラント)はいまだにアルバイト生活をしながらの実家暮らし。ある日、息子が小学校を退学になったのをきっかけに、姉妹は事件現場のクリーニングというヤバそうな仕事を始める。(シネマトゥデイ)


「リトルミスサンシャイン」のプロデュースチームであって監督も脚本も「リトルミスサンシャイン」ではないのですね。
解説を読んで気づきました。
そしてなんとなく納得しました。

テーマはやはり家族だとか信頼だとかそんなとこだろうけれど、どうもちぐはぐ感が否めませんでした。

一人一人のキャラクターが非常に良いのに個性が強すぎてまとまりきらなくなってしまったみたい。
主役のローズ、妹のエミリー、息子のオスカー、そして父親。
それぞれが人生において自分だったら逃げたくなちゃうぐらいの日常を送って、ありえない仕事をはじめてその中で関わりながらどんな風にこの主人公が自分自身と向き合っていくのか、家族や不倫相手と向き合っていくのか、成長していくのか。。
そんな映画だったらもっと共感できただろうに、すべての個性のある登場人物が主役級にでしゃばり過ぎてしまった感じ。

とっても良いキャラクター揃いなのにもったいない。

出ている役者さんはすべて素晴らしい演技を見せていました。

やっぱり「リトルミスサンシャイン」のおじいちゃん役のアラン・アーキンは良かった。
このアラン・アーキンを観に行く、というのもありかなと思うほどでした。

★★★☆☆

ディア・ドクター

2009年07月10日(金) 19時34分
解説: 『蛇イチゴ』『ゆれる』の西川美和監督が、へき地医療や高齢化など現代の世相に鋭く切り込む人間ドラマ。本作で映画初主演を務める笑福亭鶴瓶が無医村に赴任した医師を演じ、その医師の失踪(しっそう)をきっかけに浮かび上がる彼の人物像を軸にした心理劇が展開される。『アヒルと鴨のコインロッカー』の瑛太のほか、八千草薫、余貴美子など、若手やベテランともに実力のあるキャストが集結。人間の複雑な内面をえぐり出すことに定評のある西川監督のオリジナル脚本に期待したい。(シネマトゥデイ)

あらすじ: 村でただ一人の医師、伊野(笑福亭鶴瓶)が失踪(しっそう)する。村人たちに全幅の信頼を寄せられていた伊野だったが、彼の背景を知るものは誰一人としていなかった。事件前、伊野は一人暮らしの未亡人、かづ子(八千草薫)を診療していた。かづ子は次第に伊野に心を開き始めていたが、そんな折に例の失踪(しっそう)事件が起き……。(シネマトゥデイ)

観るのどうしようかなーと思ってました。
前回の「ゆれる」は非常に良かったけれど、すごく重くてしかも予告を観てすぐにこの映画の「嘘」がわかってしまったんだもん。
鶴瓶が出ていて、あの高齢者ばかりの過疎が進む村の診療所の医者の物語、なんて言ったらすぐにぴんときてしまいました。

なんとなくこのじんめりした梅雨の時期にこの人の映画、観たくない、って気分になってしまったのでした。

ところが前半は、鶴瓶、使いました、といわんばかりに軽快なリズムと絶妙な「間」。
いつもお笑いの人が俳優をこなすときにこの「間」に笑ってしまうんですよね。
今回もやはり鶴瓶の絶妙な「間」に笑ってしまうことしばし。

後半はシリアスな西川美和子節全快。
いろんなものを絡ませつつそしていろいろなことを考えさせられつつ・・。

現代社会では誰しも「こうありたい」「こうでいたい」という気持ちの中で何かになりきりながら、そしてそれをいつしかやめることができないところまで行きすぎてしまってる人ってきっとたくさんいるんだろうと。
そしてその結果、「嘘」ということになってしまうことがあるのではないかと。

何が一体正しくて、何が一体間違いなのか。

この作品を観て考えさせられました。

研修医相馬が伊野にスイカを持ってきたときに会話したこと。
ネタばれになるので書きませんが、ここが一番の見どころと思います。

相変わらずテーマは深く、相反するテーマの是をいくつも投げかけ考えさせる映画を作ってしまう西川監督。
やっぱりこの人すごいです。

★★★★☆

高齢化社会、医師不足、過疎化・・など日本が抱える問題も多く取り込まれています。

映画館は満席でした。
高齢者の方が多かったのがびっくりしました。
この作品を観て、高齢者の方は何を思ったのでしょうか。

気になります。

この自由な世界で

2009年07月03日(金) 21時57分
解説: 2006年に公開された『麦の穂をゆらす風』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したイギリスの社会派監督、ケン・ローチの最新作。ローチ監督とのコンビはこれが8作目となるポール・ラヴァーティが脚本を手掛け、ロンドンで不法移民の人材派遣業を始めた女性を主人公に、自由市場と呼ばれる現代の競争社会や移民労働者問題を描き出す。自分の幸福のために誰かを犠牲にすることも辞さないヒロインの姿に、自由という言葉の意味を深く考えさせられる。(シネマトゥデイ)

あらすじ: 一人息子を両親に預けて働くアンジー(カーストン・ウェアリング)は、勤め先の職業紹介会社をクビになる。彼女は自分で職業紹介所を立ち上げようと決意し、ルームメイトのローズ(ジュリエット・エリス)を共同経営に誘う。アンジーは必死にビジネスを軌道に乗せるが、ある日不法移民を働かせる方がもうかることを知り……。(シネマトゥデイ)


これも昨年、見逃した作品でした。
ケンローチ様の作品なので私としては何が何でも観なくてはいけなかったはずだったのにタイミングを完全に逃してしまったようです。

やはりこのケンローチ作品もやはりケンローチ作品。

テーマが実に深く、そして重い。

あまり日本では考えられない現実が別の国で深刻な問題となっているんだな、といつも考えさせられることが多いケンローチのメッセージですが、今回は実に、現在の日本にもありうる、というか実際に問題となっている日雇い派遣であったり、不法就労、シングルマザー・・。

主人公のアンジーは、シングルマザー。
でも、両親も健在で、多感な時期な子供を両親に預け、自分は働くという日々。

とにかく見ていて私とは正反対のこのアンジーにほんとにむかついてむかついてたまんなくなってくるわけですよ。
でも、このアンジーってば、むかついてむかついてたまんないキャラでもちろん道端で男にぼこぼこに殴られたり、お金をとられたりとか自業自得の上に起こった事件なのにそれにも懲りずに、この仕事からは足を洗わないのです。

シングルマザーだからこそ強い?

そう思うなら別に電話の交換手を子供が小さいうちだけでもやっていればよいのではないかと思いますが、アンジーはやはり底辺の生活では嫌。
上流社会に一員になりたい、という野望と常に自分は賢い女、できる女、という気持ちが人一倍強いんですよね。
どうして彼女がそこまでなってしまったのかは、堅実な両親からは想像はつきませんし、勝気な性格だからですまないもっと深いものがある気がします。
このアンジーというやりすぎな英国女性が現代の英国女性の多くを体現しているのかと思うのです。

そしてラストは・・。

ケンローチらしい皮肉な結末と現実で、映画の世界のファンタジーなど全くなく最後まで強く逞しくしたたかに生きるシングルマザー、アンジーがいるのでした。

とても深く重いテーマですが、現在の日本にも通じることも多くいろいろ考えさせられたな。

★★★★☆


アンジーの雰囲気がなんとなくケイトモスの雰囲気だったな。
服装がケイトっぽいということと顔つきも似ていた気がする。