沼地の記憶

2010年08月12日(木) 8時54分
本は常に読んでいるけれど
記しておきたいと思うほどの作品に
ここのところ出会っていなかったため
書いてませんでした。

久しぶりに良作に出会ったので記録しとこうかなと。

翻訳本だと名作、秀作、と言われた作品でさえも
読みにくかったり感情移入できなかったりすることが
多いのだけど
この作品は翻訳でありながらすんなりと物語の中に入り込み
主人公の「私(ジャック)」の語り口で語られ
「私」との意見の違いに苦しくなることもなく
なるほど、そうか、そういうことか、と自己対話もでき、
非常に満足できる作品でした。

途中に入る裁判の状況などのフラッシュバックが入ったりなど
現在と回想をうまいこと混ぜ合わせ
それでも苦痛にならない、すぐさま次が読みたくなる
クックの技法に唸らずにはいられません。

本作品はミステリーというカテゴリーながら
非常に地味で
ミステリーにありがちな大きな殺人や事件などは
ありません。
登場人物の持つ一人一人の心の動きが丁寧に描きだされ
ちょっとした気まぐれや行動で人生を狂わせてしまう。。
「血筋」「生まれ持った何か」がメインかのようですが
実はちょっとした一言で人生を大きく狂わすことすらある、がテーマ
なのかもしれません。

やはり「血統」というベースは常に
浮きぼらせていますし
日本では近年、この感覚は
薄れがちですが
常に「平等」と意識しつつも根底にある
生まれ持った何かはやはり拭い去ることはできないのかも
しれません。

ちょっとした一言で人生を狂わす・・。

久しぶりに読んでいて文学的な印象を持つ語り口調でありながら
どんどん吸い込まれ先が読みたくなる作品に出会いました。

翻訳と毛嫌いせずに手に取ってみてほしい。

おすすめです。★★★★




ミスター・ピップ

2009年12月22日(火) 10時27分
数年ぶりに本のレビューを書こうかと思いました。
こんな拙い文章ですが、
本もぼちぼち読んでいます。

本の感想も書こうと思ったきっかけは
久しぶりに小説らしい小説に出会い、
小説の中で複雑な気持ちができたから。

今回読んだのは「ミスター・ピップ」。

ピップと聞けば
「大いなる遺産」を思い出せばなかなかのもの。
私は「大いなる遺産は」読んでますが、
こちらの作品を読み
久しぶりに長編を冬休みに再チャレンジしてみたいと
感じました。

まず
パプアニュギニアでのこの事件は私は知りませんでした。
映画でもよくあることなのですが
今でもどこか遠くの世界で起こっている
争いや間違い。
そしてどうして情報化社会にそれらの事実が入ってこないのかということも
私の責任を含め感じます。

この作品は英連邦作家賞ということで
翻訳もの。
非常に読みにくい翻訳のものが多いけれど
非常に読みやすく
そして心の中にすっと入ってくる
胸を突く言葉。

主人公のマティルダが多感な時期に出会った
「ミスターワッツ」という白人の教師を通して、
ミスターワッツから聞いた「大いなる遺産」を通して、
マティルダの気持ちと
ブーゲンヴィル島での生活が痛いほど伝わってくるのです。

前半は、南の島のほんわかしたブーゲンヴィル島での
生活がかかれていて、
癒しすら伝わってきます。
またその中に出てくる「大いなる遺産」も
主人公マティルダとこの小説には欠かせないキーワードとして
描かれています。

後半は、やはり辛い。
読んでて辛い。
小出しにして読まずに一気に辛い部分を読んでしまった。

あれだけの辛いことがあったのに
マティルダがどうやってトラウマを克服したのかというのが
少し足りない気もしたけれど、
そこは「大いなる遺産」。
ミスターディケンズが救ってくれた、
ミスターワッツが救ってくれた、
という安直な解釈でいいのかな。


久しぶりに小説らしい小説に出会い、
震えた。
サスペンスで事件だけを追ってさーっと読むのもいいけれど
小説らしい小説はずっしりきます。

ただある意味、
この事件は実際にあったこと。
だからこそ「大いなる遺産」という小説を絡めながら、
小説らしい小説にすることで
この悲しい歴史を柔らかくしてるのかもしれない。

来年からは本の感想もできるだけ書くようにしようかな。





ブリジットジョーンズの日記

2005年12月25日(日) 16時28分
映画では観たことがあったのですが、本で読んだのはこれが初めて。
BOOKOFFで100円だったから、今さらながら読ませていただきました。

これが大ヒットし、映画化になるのもうなずけるほどの作品。
これがブログ上でこの日記を公表してたら、まさに真鍋かおりを抜くに違いない。笑

ブリジットの主観や視点だというのに、ブリジットを取り巻く脇役たちの性格もわかるし、何よりもブリジットが、まんまの姿。日記なのに日記でないんです。

ブリジットがとにかく、設定上、年齢30過ぎのキャリアなんだけど、見た目もダイエットをしなくてはいけないほどのぽちゃり、そして、かなりドジで、「こいつ(ブリジット)よりは、私のほうがましだわ〜」と思わせるぐらいの激しさ!
なのに、「あー、わかる、わかる。そういう気持ちってあるよね〜」と同世代だから共感できるところも多い。
恋愛に関してはいくつになっても同じで、「私もそういうことしちゃうかもー!!」という私のほうがこいつ(ブリジット)よりマシだけど、ある、ある!とここでも共感。

本格小説

2005年12月18日(日) 19時31分
最近、読み終わったばかりで、ずっと読みたかったんだけど、ハードカバーしかなくて、でも読みたかったので思い切って久しぶりにハードカバーを購入して、読みました。

そしたら、なんと、ほんとについ最近この文庫本が出てて。。ほんとにショック!!
しかもちょうど読み終わったと同時ぐらいに!!・・がっくり。
重たい思いしてバックに入れて、値段も倍ぐらいするし

久々のショックだった・・博士の愛した数式は図書館だったから、文庫本が出ても問題なし!だったんだけどな。

さてさて、今回のこの本格小説。
著者が、本当に小説っぽい小説を書こう、と決意して書いた小説です。
そうですね、ほんとに、最近の小説にはなかったような、文章と鋭い感性、そして洞察力までもが素晴らしく表現されています。
この小説は、現代の作家が書いたもの?と思い、時代背景などをとると、やはり現代なんだな〜と。

一体何が、どう素晴らしいのか・・というと内容にしてみると、本当にあった?かもしれない出来事を小説らしくまとめた、というと生意気な言い方でしょうか?
しかし、こういう話って、あるようでないような・・
上下あるうちの上はほとんど、本格小説に入るまでの挿入の部分です。
これがかなり退屈な感じもあるけど、ないと話が最後までつながらないし、反対に気持ちの持ち上がりにも欠けちゃうんだなー。
ということで上は必要。

読んでいて一番に思い出したのが谷崎潤一郎の「春琴抄」かな。
むかーしの日本は、男性を立てなくてはいけない時代が長くありました。
しかし家族の中ではそうであっても、男女の順位よりも身分の順位が強かった時代があったのも確かです。

ネタバレしそうなので、追記します。

疾走

2005年11月14日(月) 16時35分
今度、これも映画になるみたいですね。
読んでる途中で、知りました。

小学生から中学生の少年の生い立ち?というか人生を書いているというのが本当に簡単なあらすじです。
走ることが好きな少年が生きることを無我夢中で、ただただ走り抜けたような話。

今、気づいたのですが、疾走って、変換すると失踪という感じもあるんですね。
重松清さんはこの2つの意味を上手に題名として使ってます。

かなりネタばれしそうなので追記で・・

砂の器

2005年11月12日(土) 19時31分
松本清張氏のあの有名な砂の器です。
実は、松本清張氏の本を手にするのが初めてで、どのような文章の書き方か、またどのような表現や物語の組み立てなのかすごく興味がありました。

その観点から言わせていただくと、もう見事としか言いようがない。
まあ、かの松本清張をつかまえておいて、何を今さら、という感じですが、とにかく、吸い込まれるような内容とどんでん返し。
そのどんでん返しや物語の登場人物とすべてのものやことにおいて、全く無駄がないのです。

おそらく、(研究をされていたり、松本清張が自ら明かしているかもしれませんが)相当、綿密に取材とプロットを長い期間で立て、一気に、小説を書く、という方法をとっているように感じました。

とにかく1つ1つの主人公や登場人物の言動に無駄がなく、最初はあまりにも何かするたびに、数ページ後に結びついたので、最後のあたりでは、「これも何かのキーワードなんだろうな」と考えるようになりました。
そのぐらい無駄がないんです。
でも、少し、無駄があるのもわりといいように思うけど。
あれって全然関係なかったんだーとか。
しかし不良消化がないので、とにかくすっきりしますね。

ネタバレあるかもしれない感想は追記で。

幸運の25セント硬貨

2005年10月30日(日) 17時35分
Sキングの短編集、幸運の25セント硬貨を読みました。

Lucky Quarterの方が音もいい感じだけど、日本語にするとちょっとださい。笑

さすがにキング様。
面白い
それぞれの話を翻訳している人が違うんだけど、どれもこれも面白い。

何もかも突発的・・突然、ある機密組織から任務?を受け、生活を始めた。さてその任務とは??
道路ウィルスは北に向かう・・ガレージセールで一目で気に入った、絵の招待は??
ゴーサムカフェで昼食を・・離婚するカップルが話し合いのために行ったCAFEのウエィターがとんでもない男だった!!
一四〇八号室・・この数字をすべてたすと「13」そしてこの部屋ではさまざまな奇怪な事件が起っていた!!

の4つが特に好き。

挙げた3篇はキングの独特感もあり、読むスピードを衰えさせない。
読み終わるのが惜しいほど楽しめる。

面白かったー!!
キング、初めての人はここから入ってもいいかも。

回想のビュック8

2005年10月22日(土) 20時32分
久しぶりのSキングさんです。
文庫で新しく出たので、読みました。

結構、すいすい読めちゃう感じです。
ただ、ちょっと同じことの繰り返しが多くて、もうわかった、いいから、先に進んで!!ってところも多かった。
でも、この話を書いている途中で、キングが交通事故に遭い、一時、執筆を中断したのもなんだか変な因果関係を思います。

翻訳もので、久しぶりのキングだったけどさくさく読めてよかったかな。

あんまり感想とかそういうのが残らないというか・・そういうタイプの話で、上下あったけど、うーん・・
退屈はしないところがキングのすごいところです。しかし話はあくまでも、導入部分のインパクトと比べて途中からラストまでは、同じことの繰り返しだった感じでした。通勤なかったら読んでないかもー。ほんとに暇なら!キングの良さはあんまり出てない・・

春の雪

2005年10月10日(月) 20時02分
久しぶりに本です。
読んでることは読んでるんだけど、雑誌とかエッセーとかは書いてない。
小説をここに書いてるんだな。雑誌とエッセーをあわせたらかなりの量かも。

今回読んだのは三島由紀夫の春の雪。
近々、映画もロードショー。妻夫木くんと竹内結子さん主演みたいね。
イメージどおりか・・というと日本の美しいといわれている男優・女優さんであればイメージにぴったりきそうだな。
妻夫木くんの代わりにジャニーズの若手とか使ってもおばさんとしては嬉しかったかも。
しかし妻夫木くんは大好きだけど、この役は優男すぎる気がする。
竹内結子さんは、決して美人系の顔ではないから・・もしほんとの美形さんということであればちょっと違うかな〜魅力的な女優さんですけども。
ほんとに人形さんみたいな感じが個人的には良かったんだよな。ま、いいけど。

とにかく美しすぎる文章に私は、イチイチ感動してしまいました。
1文1文読むたびに、どうしてこのような表現ができるのか。とてつもなく美しいのです。
このような文章を書ける日本の作家はいないのではないでしょうか?
詳しく書くとどうも自分が陳腐に思える(三島文学の研究をしているわけではないし)。
もう全部が全部美しい。たとえがこう、日本の美しさの1つを挙げているのね。

小説の内容は、といいますと、三島って私意見合わないの。正直言って。
読んでて、文章がうますぎるだけに吸い込まれざるを得ないから他の小説家なんかよりも数倍労力がいるのね。
でも、これに関しては、ややマシ。
やっぱり三島との意見の一致は私には難しいようだけど、一つ一つの描写にすくわれる内容だったと思う。

顔にかかる雨

2005年06月16日(木) 21時55分
桐野夏生の長編です。
まあ、結構面白かったですよ。電車で読むには娯楽として最高〜

でも、まあ、相変わらず、何でそうなるの
ありえないだろみたいなことはまま、桐野さんはあります。

最近気づいたこと