真木栗ノ穴

2009年09月26日(土) 13時01分
解説: 気鋭の恋愛・ホラー小説の女流作家として活躍する山本亜紀子の「穴」を映画化した異色ファンタジー。自室の壁の穴から若い女が住む隣室を毎日のようにのぞきこみ、その女のとりこになっていく小説家の姿を、『同級生』の深川栄洋監督が描き出す。主人公の真木栗を『休暇』の西島秀俊が好演するほか、『夕凪の街 桜の国』の粟田麗、テレビドラマ「怨み屋本舗」の木下あゆ美らが共演。現実と妄想の間で展開する不可思議なストーリーが深い余韻を残す。
シネマトゥデイ(外部リンク)

あらすじ: 築40年のアパートに暮らす作家の真木栗勉(西島秀俊)は、ある日部屋の壁に隣室をのぞき見できる2つの穴を発見。片方の部屋には若い男が住み、空いている部屋に若い女が引越してくるのを期待した彼は、その妄想を小説に書き始める。期待通りに女が越してきたとき、真木栗は毎日のように穴をのぞき、その女のとりこになっていく。


最近、上映中の作品で観たいな、というものがなくDVD鑑賞が多い日々が続いております。
来週ぐらい(今日から上映のもの)からぼちぼち映画館での作品で観たいものが多くなりそう。

この作品、あらすじを読んだときにぱっと思いだしたのが江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」。
乱歩は屋根裏からのぞくというものですが、これは偶然目にした「穴」。
屋根裏を上がってまでのぞこうとは思わないけど自分の生活範囲に穴があればどんなものか覗いてみようと一度は考えるのが人間の心理というもの。

ファンタジーといえば言葉が良すぎるほど決して清潔ではない描写と主人公。
清潔ではない穴から見える人間の欲望と現実。

地味な作品なのに「最後はどうなってしまうのだろう」といくつも思いめぐらせてしまうラスト。

前半はリアルな心理をつき後半はホラーな作品でした。

日本映画らしい人間の心理と地味な設定。
なかなかおもしろかったと思います。

前半にある45歳の女性とのシーンは女性としてはあまりいただけなかったし、自分もあのぐらいになったらあんな気持ちになってしまうことがあるのかな、とか考えると身の毛がよだちました。笑
多分、あの女優さん、よく見かけますが、45歳より上なんだろうな・・と。

品がなくそしてついついみずにはいられない不思議な作品でした。
怖いもの見たさという言葉がぴったりかもしれない。
やはり江戸川乱歩の世界をじんわり感じた。


★★★★☆

接吻

2009年09月24日(木) 19時46分
解説: 映画『UNloved』の万田邦敏監督が殺人犯に共鳴し、心に惹(ひ)かれていく女性の姿をスクリーンに焼き付けた究極の愛の物語。殺人事件を通して出会った死刑囚と平凡な女性、そして弁護士の奇妙な緊張関係をじっくりと映し出す。映画『犬猫』の小池栄子がこれまでのイメージを一新し、ヒロインを鬼気迫る演技で熱演。豊川悦司や仲村トオルらベテラン相手に堂々と渡り合う。一生に一度の愛にすべてを賭ける主人公が選んだ驚きのラストシーンに注目。
シネマトゥデイ(外部リンク)

あらすじ: 坂口(豊川悦司)は一家惨殺事件の犯人として自ら名乗りを上げ、テレビの生中継で自身の逮捕劇を放映させた。そのニュースを見ていたOLの京子(小池栄子)は、坂口がカメラに向かってほほ笑んだのを目の当たりにした瞬間、自分たちは同類だと直感する。それまで孤独と絶望の中で生きてきた彼女は仕事も辞め、無我夢中で事件を調べ始める。


DVDで観たものに関しては良かったものを中心に書き留めるようにしています。
今回のこの「接吻」に関してもそうかな。

観ようと思っていたのに手軽な場所で上映がなかったので劇場で鑑賞することができなかった作品。

なんとなくあらすじを知ってましたが、全く知らないで鑑賞すると主人公の狂気のような一途さについていけなそうになります。
でも前半はひたすらこの人(京子)、おかしい、変わってる、という客観的な観方しかできないのですが、いつしか京子の思いが伝わってきて共感となってくる。
どうしても一致できない意見には観ていても苦しくなるけれど京子が坂口と「同じ」と思う気持ちになぜかしら納得させられてしまうのです。

私も孤独なのかしら。笑

今回は、やはり小池栄子主演というところが注目すべき点ではないでしょうか。

皆さん、書いてのとおり非常にすばらしい怪演。
マスコミに囲まれたときにニマっとしたあの不敵な笑み。

そしてこの監督がこの作品で決して女優としては主役クラスではない小池栄子を起用したこともまたすごいと思いました。

しかし夏の設定で薄着のせいか小池栄子さんのあの豊満なお胸が女性の私でも目がいってしまいます。
というかそれで売っていた人なのでそこに目がいっちゃうのかもしれません。

体のバランスはほんとによくて、ヒップもほどよい大きさ。
あー、あんな体系に生まれたかったと思いました。

とか書いてますが別に水着になるとか濡れ場があるとかは一切ありません。


ラストがああきたか、ということを多くの人が感想に書いていましたが、なんとなくあんな気がしました。
なんとなくミステリーをよく読んでいたりすると想像がついたかも。
でもタイトルにもある接吻は謎のまま。


★★★★☆

これからも小池栄子さん、女優として活躍されるんでしょうね。

ひゃくはち

2009年08月13日(木) 17時50分
解説: 万年補欠の野球部員たちにスポットを当て、彼らの汗と涙と友情をリアルに映し出す青春ドラマ。レギュラーにはなれなくても、夢中で夢を追い続ける青年の真っすぐな野球への情熱を余すところなくみせる。今回映画初主演に挑んだのは、斎藤嘉樹と『恋空』の中村蒼。実際にクラスメートだった2人の演技と、これがデビュー作となる森義隆監督による部活並みの訓練が生かされた野球シーンは必見。
シネマトゥデイ(外部リンク)

あらすじ: 野球の名門校、京浜高校の補欠部員の雅人(斎藤嘉樹)とノブ(中村蒼)は甲子園出場を夢見ていた。親友同士の2人はお互いに励まし合いながら猛練習に励むが、上級生が夏の大会で引退してもなかなか彼らにレギュラーの座は回って来ない。雅人は監督(竹内力)に何とか認めてもらおうと、寮長に立候補したりして自分をアピールするが……。


これ昨年、見逃した作品でした。
なぜ見逃したか理由は不明。
単館上映のようだったけど行きつけの映画館では上映していたのに。

そして私、DVD鑑賞は気持ちが入った作品のみブログにUPしてるんだけど、これはもう間違いなく私の好みの映画。

号泣ではないけど節々にある切なさにほろっとしてしまうシーンがあるかと思えば高校生らしい笑っちゃう言動に大笑いしてしまったり。
ラブコメが一番好きなのもやはり笑っちゃうけど泣かせるよね、ってところ。

この作品の主人公は、レギュラーにはなれるはずのない補欠部員二人が主人公の話。
この視点からしても今までのヒーロー野球映画とは一線を画していて、やはりほとんどの人が補欠な気分を味わったことがあるんだろうと思う。
私を含め。
野球じゃなくても、「あいつにはなれないよな」と思う瞬間が仕事でも何でもあるはずなのです。
だからこそこの補欠の二人の気持ちが痛いほどじんわりくるのです。

もちろん友情や彼らの持つジェラシーや思い、でも根は高校生の男の子。
とにかく高校生男子らしい明るいノリがすごく好き。

ほんとに「こういうのやるよねー」と思うことを徹底的にやってくれて笑えます。


一番良かった笑いは、ラスト。
あれは良かった。

そして湘南乃風の歌もジーンときました。


今、高校野球が始まっています。
楽しく遊ぶのも青春だけど、高校野球に打ち込んだ夏は一生の思い出となるし人生の糧にもなる。

夏休みDVDでも観よっかなー、なんて人は、是非!
おすすめです。


★★★★★


ラブコメが一番好き!とかほざいてますが、実は青春映画のきゅんとくるようなものも好きなんだと、認めます。
私も青春を謳歌していた時期があったんだわな。

この自由な世界で

2009年07月03日(金) 21時57分
解説: 2006年に公開された『麦の穂をゆらす風』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したイギリスの社会派監督、ケン・ローチの最新作。ローチ監督とのコンビはこれが8作目となるポール・ラヴァーティが脚本を手掛け、ロンドンで不法移民の人材派遣業を始めた女性を主人公に、自由市場と呼ばれる現代の競争社会や移民労働者問題を描き出す。自分の幸福のために誰かを犠牲にすることも辞さないヒロインの姿に、自由という言葉の意味を深く考えさせられる。(シネマトゥデイ)

あらすじ: 一人息子を両親に預けて働くアンジー(カーストン・ウェアリング)は、勤め先の職業紹介会社をクビになる。彼女は自分で職業紹介所を立ち上げようと決意し、ルームメイトのローズ(ジュリエット・エリス)を共同経営に誘う。アンジーは必死にビジネスを軌道に乗せるが、ある日不法移民を働かせる方がもうかることを知り……。(シネマトゥデイ)


これも昨年、見逃した作品でした。
ケンローチ様の作品なので私としては何が何でも観なくてはいけなかったはずだったのにタイミングを完全に逃してしまったようです。

やはりこのケンローチ作品もやはりケンローチ作品。

テーマが実に深く、そして重い。

あまり日本では考えられない現実が別の国で深刻な問題となっているんだな、といつも考えさせられることが多いケンローチのメッセージですが、今回は実に、現在の日本にもありうる、というか実際に問題となっている日雇い派遣であったり、不法就労、シングルマザー・・。

主人公のアンジーは、シングルマザー。
でも、両親も健在で、多感な時期な子供を両親に預け、自分は働くという日々。

とにかく見ていて私とは正反対のこのアンジーにほんとにむかついてむかついてたまんなくなってくるわけですよ。
でも、このアンジーってば、むかついてむかついてたまんないキャラでもちろん道端で男にぼこぼこに殴られたり、お金をとられたりとか自業自得の上に起こった事件なのにそれにも懲りずに、この仕事からは足を洗わないのです。

シングルマザーだからこそ強い?

そう思うなら別に電話の交換手を子供が小さいうちだけでもやっていればよいのではないかと思いますが、アンジーはやはり底辺の生活では嫌。
上流社会に一員になりたい、という野望と常に自分は賢い女、できる女、という気持ちが人一倍強いんですよね。
どうして彼女がそこまでなってしまったのかは、堅実な両親からは想像はつきませんし、勝気な性格だからですまないもっと深いものがある気がします。
このアンジーというやりすぎな英国女性が現代の英国女性の多くを体現しているのかと思うのです。

そしてラストは・・。

ケンローチらしい皮肉な結末と現実で、映画の世界のファンタジーなど全くなく最後まで強く逞しくしたたかに生きるシングルマザー、アンジーがいるのでした。

とても深く重いテーマですが、現在の日本にも通じることも多くいろいろ考えさせられたな。

★★★★☆


アンジーの雰囲気がなんとなくケイトモスの雰囲気だったな。
服装がケイトっぽいということと顔つきも似ていた気がする。

BOY A

2009年06月24日(水) 22時14分
解説: 重く暗い過去を背負う青年が、新たな人生を歩み始めるヒューマン・ストーリー。イギリスの若手作家ジョナサン・トリゲルの同名小説を、『ダブリン上等!』で高い評価を受けたジョン・クローリーが映画化。『大いなる陰謀』の新星アンドリュー・ガーフィールドが、秘密を抱えたナイーブな青年を好演している。共演は『マイ・ネーム・イズ・ジョー』のピーター・ミュラン。人間の過去と罪、さらには先入観を問う深遠なテーマを感じ取りたい。(シネマトゥデイ)

あらすじ: 生まれてきてから24年、そのほとんどを社会から離されて過ごした青年ジャック(アンドリュー・ガーフィールド)。ケースワーカーの中年男性テリー(ピーター・ミュラン)の指導のもとで新しい人生を歩み始めた彼は、運送会社で働くことに。やがてジャックは職場で知り合った女性ミシェル(ケイティ・リオンズ)と親密になるが……。(シネマトゥデイ)

久しぶりにDVD鑑賞のレビューを書きます。
今年のDVD鑑賞はこれがお初か。

こちらの作品は、劇場で観ることができなかったものでした。

どんな話かも全く知らずに借りたのですが、すごく重いテーマでした。

BOY A=少年A。

つまり日本と同様に未成年で犯罪を犯した少年につけられる少年Aと同じ意味合いだったんですね。

映画全体としては、当初この青年がどんな罪で「BOY A」になったことなど明かされておらずストーリーを追っていく中で、名前を変え新しく生まれ変わりながら生きていく過程の中で、彼が苦悩したりその頃を思い出したりして少しずつどうして「BOY A」となってしまったかが回想シーンと合わせながら小出しされます。

これがうまい。

少年時代のフィリップとの友情関係とどうしてこんなことになってしまったのか、という回想がサスペンスタッチで描かれていて、青年である今は、いつ彼がエリックとして身ばれしてしまうか、というところもある種のサスペンスとして同時進行で描かれています。

青年の犯した罪はどんなに幼くとも許される行為ではありませんが、その過去と戦いながら生きていこうと悩む姿勢などもうまい。


この映画のテーマとは・・。

幼いが故に犯してしまった許されないこと。


★★★★☆