倦怠と不条理。

May 04 [Mon], 2015, 18:19

中之島春の文化祭2015に、Patchの作・演出として参加。一昨年にピースピットの『馬鹿と天使』で参加して以来、二年ぶりの参加。

Patchの演目は『冬の来訪者たち』。

当初、運営からは「派手で元気なアクションものを」とオーダーをいただいていたのだけど、稽古前日に脚本データなどの一切合切が入ったPC(を入れていたかばん)を新幹線の中に忘れてしまうという失態をやらかし、急遽稽古場で考えた作品だった。

物語はこうだ。

ある冬の日。恋人との倦怠期を迎えていた男。自宅で鍋の準備をしていたが、恋人からドタキャンのメールが届き、男は気落ちする。そこに奇妙な来訪者たちが次々と現れ、男を混乱に陥れていく。

ベケットの『ゴドーを待ちながら』やカフカの『変身』のような、不条理劇だ。

賑やかなお祭り企画にこのような実験作を出品するのは些か躊躇もあったが、一昨年の『馬鹿と天使』も相当な実験作であったから、今更怖いモノなどない。

来訪者たちの一見意味不明な振る舞いは、男の心中に渦巻く混乱そのものである。恋人と一緒に食べるはずだった鍋。それは男と恋人の間に横たわる「倦怠」の象徴であり、ある来訪者はその鍋の中身を喰らい尽くす。そして最後に男は、「終わった……」と呟く。あの台詞は、男の胸中に訪れた心境にほかならない。

恐らく、あのあと男は恋人と別れることになるだろう。そして男はまた自分の人生を歩きはじめる。そういったある種のおわりとはじまりの予感の中で、劇は幕切れとなる。

「20分とは思えないくらい、面白くてあっという間だった」と言ってもらえた。実際、上演時間は8分ほどであったが、そのように言ってもらえてよかった。

写真は、ABCホールで出会った猫の扮装の人たちとの一枚。なんか、ふざけたパロディコントをしていたね。

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  • アイコン画像 ニックネーム:末満健一 Suemitsu Ken-ichi
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脚本家・演出家・構成家・俳優・グラフィックデザイナー

1976年6月18日生。大阪府出身。39歳。2002年演劇ユニット「ピースピット」(現在活動休止中)を立ち上げ、大阪・東京にてボーダーレスに活動を行う。趣味はグラフィックデザイン、漫画読書、映画鑑賞、歌舞伎鑑賞 他。大槻ケンヂと桜玉吉とティム・バートンを愛す。

連絡先:peacepitweb@hotmail.com

《2015年の予定》
3月 SPECTER(大阪)
4月 羽田劇場(東京)
4月 GOLD BANGBANG!!(大阪)
5月 冬の来訪者たち(大阪)
5月 或る扉師の生涯(ラジオ日本)
6月 ラブラブROUTE21(神戸)
7月 Equal-イコール-(東京)
8月 舞台『K』 第二章(東京/大阪)
8月 LILIUM感謝祭(東京)
10月 夕陽伝(東京/大阪)
11月 TRUMP(東京/大阪)
12月 幽悲伝(大阪)

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