「どこから行っても遠い町」知り合いの誰かに会えそうな本

2009年04月10日(金) 7時38分
「どこから行っても遠い町」★★★★★
川上弘美著、294ページ、1500円




「雑誌ダヴィンチの
今月のプレミア本に選ばれていたので
注文し、やっと読み終えた本、
小さな町の歩ける範囲で暮らす人達を
短編のそれぞれの主人公にした作品、
『誰もが自分の物語では主人公』と
どこかで聞いた気がするが
まさにそのような、
誰もが宇宙の中心となんとなく思える11編」



自分の生き方に明確な「何か」をもって
迷わず突き進むような人は出てこない、
大袈裟な仕掛けもないし、
波乱と思えるほどの波風も立たない、
でも散歩で歩く範囲、顔見知りの人々と
同じ時間を過ごしながら
それぞれの人に当然ながらそれぞれの日々があり、
どれもかけがえのない、愛しい日々を送っている。

誰も強く自分を主張しない替わりに
様々なことをしなやかに受け止め
顔見知り、ちょっと話す程度の人
そんなご近所さんとともに
過ごす日常をさりげなく語った本だ。


平凡な毎日を送っていると
本や映画の中では
ドラマチックな展開を見たくなる、
そして自分とはかけ離れた暮らしや
事件、事故などを読んだり、見たりして
ちょっとした刺激をもらうことが多いが、
この本からはじんわりと
さりげないリアルな生活の手触りのようなものを
感じた。

本の中に出てくる誰かに共感したり
何かしら強く感じるということは無いが
全部読み終えて感じるのは
ここにはすべてがあるということ

きっとこれまでと、これから感じるであろう
全ての感情がここで読みとれるような
不思議なそしてとても愛しいような作品集だ。

なんだろうこの心が波立つような感じは、
心を揺さぶられ、長くそのことに捕らわれるような
そんな劇的な何かは無い、
でもだからこそここには穏やかな日々の中で
人が感じることのほとんど全てがあるような
気がしてならない。

読み終えてしばらくたっても
きっとまた登場人物の誰かを
折に触れて思い返すだろうな。

★100店満点で90点

久々に人に勧めたくなる本と出会った。

soramove
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しかし寒そうな土地だ、気候の良い時なら
行ってみたいが、冬はやめておこう。

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