「追憶のかけら」正月一気読み

2009年01月06日(火) 18時07分
「追憶のかけら」★★★☆
貫井徳郎著
659ページ、860円



「読み易く正月休みに一気読み、
ミステリー仕立てのどんでん返しがあるが、
それよりは戦後の日本の描写などが印象的。
傑作にはもうひとつ。」


大学講師の主人公は、
無名の小説家の手記を手に入れたことから
悪意ある策略にはまっていく。

小説家の手記の部分は興味深かった、
なにもかもが溢れんばかりの
現代と違い、
まだまだその日一日を生きることが
とても大変な終戦直後、
そんな状況は作家の描くものにも
もちろん影響を与えていく。

それって作家にとっては幸福なことにも
思えるのは、この平和ボケの現代では
心の内を描くことに執着し
「生きる」という欲求は強くは感じない、
でも惹きつけられるのは
荒々しくも心を揺り動かされ、
大変な現実を生きる姿を見るからだ。

この本の後半部分は
誰が主人公を陥れようとしたのかという
謎解きが二転三転する、
それらはその頃には自分にとっては
重要にも感じられず、
読んでいる小説が提示するものとは
全く別のところで同じ小説をあれこれ考えるという
なんとも不思議な体験をした。


ミステリーというより、
人の心の「悪意」の存在をぼんやり考えた、

生きている限り、
人は自分と他人を絶えず比べている、
関係ない、自分は自分と言いつつも
他人の目が気になって仕方ないのだ、
そしてそれが他者を傷つける方向に向かうのは
本当に不幸なことだと感じた。

長い小説ながら一気に読めるは
作者の慎重に選ばれた言葉や
ストーリー展開にあるのは言うまでも無い。

★100点満点で70点

soramove
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名作「慟哭」には届いてなかった。

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