「わたくし率 イン 歯ー、または世界」ほとばしる情熱をどどうやって決着させるか

2008年02月09日(土) 0時09分
「わたくし率 イン 歯ー、または世界」★★★
川上未映子著



少し前に読み終えたところに
作者の新作が芥川賞を受賞した。

こうなると、この本も同じ候補に上げられていて、
偉い先生方に純文学の
お墨付きをいただいた訳で
感想が書きにくくて躊躇してたのに、
さらに難しいことになったなぁと。

朝日新聞の「文化」欄に
詩人の加島祥造さんのことが載っていて
読むと、
「次作の予定は?」の問いに
「ありません、エナジーが出るのを
待たなければなりません、待つ間も欲張らず
何日も無駄にする。
芸術とは自分の無意識が出てくるものだから、
思いどおりにはならないんだよ
」と。

この文章を読んで、はっきりした。

そうだ、川上未映子のこの本は、
無意識のなかからほとばしるように出てきたものを
ただ本人の手を借りて、
文章に形を変えただけだと。

一見、まとまりなく、
言いたいことや伝えたいことを
相手にうまく伝えようとか
そんな親切心も無く、
ただただ心の内から溢れんばかりに
次から次へと出てくる言葉を
もうただ書き留るだけ。

では、読んでみてどうだったかというと、
文学的な心の震えを感じることは無かった、
新しい才能という点では、これも
この作品だけでは判断できないと感じた。
これがこの人の文体と言ってしまえば
それまでだけれど、
未整理で幼稚な部分と
訳の分からない、うまく伝わらない
もどかしい部分を
文章の勢いだけで強引に決着つけてるような
ところがいかにももどかしく感じた。

ただ、この人の内なる部分から
きっと言葉は溢れていて、それをこれからも
色々な形で見せてくれるのだろう
なという
期待を持たせてくれる作品だった。

彼女は新聞に
「作家は物語を伝える道具に過ぎない」ような
事を書いていた。

きっとあの華奢な体の中に
様々な物語がスタイルを見つけながら
外へ生み出される時を待っているのだろう、
だとしたら自分だけがよく分かるものでなく、
大衆に向かってその物語を
是非伝えて欲しいなと、
新作は今月末に出版される、さっそく予約した。

新しい才能に出会うと、気分は高揚し
早く次が読みたくなる。
でも待つ時間もいいものです。

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期待できる作品を書いてもらいたい。

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