「変わらぬ哀しみは」大絶賛に異議アリ

2008年08月03日(日) 0時13分
「変わらぬ哀しみは」★★★
ジョージ・P・ペレケーノス著
ハヤカワ文庫、542ページ、952円



アメリカを代表する、今最高のハードボイルドという
コピーと池上冬樹、マイケル・コナリーらの大絶賛の帯が
本の半分くらいの大きさで目を引いた。

60年代のアメリカが舞台、
主人公は黒人、
時代はそれまでの価値が激変し
黒人であることや白人であることに
意味を必死に見出すようなムードに満ちている。

この本はミステリーでもなんでもない、
確かに事件は起こるが、
それよりも登場する人物の持つ苦しみや
真っ当に生きることを許さない
周囲の環境など
考えさせられることが多く、
謎解きや事件の特異性に考えをめぐらすような
本ではない。


玄人向きかもしれない、
連続殺人の動機が陳腐で
ラストに苦笑したり、
展開がボロが出すぎでついていけなかったりと
ミステリーには落とし穴が一杯ある。

でもこの作品は、黒人である主人公が
生きにくい時代をなんとかして
人間らしく、自分らしく生きようとする
時代小説となっている。

確かにその部分で
心の微妙な変化や、その時々の時代の様子は
読んでいて興味深い、
でもこれをミステリーとして読もうとすると
その部分では失望する。


もちろん本のジャンル分けに意味は無いかもしれない、
作家は自分の力の及ぶ限り
書きたいこと、伝えたいことを
ページを費やしてこちらに届けるわけで
心を揺さぶる部分もあったが
やはりミステリーとして「大絶賛」の帯に惹かれて
読み始めたからか、何度も「大絶賛」の帯を
信じられない気持ちで見ることになった。

60年代から始まる
アメリカの人種問題や白人の格差など
興味深いテーマをちりばめた時代小説として
読むのがハズさない読み方だ。

帯も気をつけてもらいたいものだ、
こっちはミステリーには人間の心の底の
残虐性や訳のわからない行動を
ページの向こうに期待して読むのだから。

海外モノの小説としての完成度は高い、次も読みたいけどね。

★100点満点で65点

soramove
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「大絶賛」の帯を付けるなら、どんな部分なのか位は
ちょっとだけでも知らせて欲しいものだ。

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変わらぬ哀しみは (ハヤカワ・ミステリ文庫 ヘ 4-12)

ジョージ P.ペレケーノス 横山 啓明

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