企画SS《152-2》

September 15 [Sat], 2012, 9:42
企画SS《152-1》の続きです。



****
――いつか終わりが来るのなら、これ以上貴女を好きになる前に貴女の手で私を殺して下さい。


そんな身勝手な願いを口にしそうになって慌てて口を噤む。抑えきれない衝動は腕を噛むことで無理矢理鎮めた。



「噛んだらアカンよ」

とても小さな……でも、優しく澄んだ声が聞こえたかと思うと、噛んでいた腕が取られて歯形の残った箇所をお嬢様がその小さな舌で舐め始めた。いつの間に起きたのか……私が呆然とその様子を眺めていると、今度はその舌が私の唇をくすぐってきて暫く堪能した後に離れていった。

「おおきに。気持ちよかったえ」

間近で笑顔を見せられて気が動転した私はどもりながら何とか答える。

「む、無理矢理されるのがですか?」
「同意の上やん。無理矢理とちゃうよ」
「最初は…でしょう?」
「最初から最後まで全部。ウチはせっちゃんに身体を預けているんやから」

私の皮肉なんて全く意に介していないようで、お嬢様はその言葉通り身を預けてきた。

「せっちゃんにしてもらえてウチは幸せやよ」
「嘘つかなくて良いですよ」
「ほんまやもん」
「……辛くないのですか?」
「あー…あれ、やっぱりわざとやったん?」

八の字に眉を下げてお嬢様が言う。苦情と言うには些か苦笑混じりな声で。

「辛いには辛いんやけど……そういう時って決まってせっちゃんの方が辛そうな顔しとるから、ウチ、受け止めたいって思うんよ。我慢なんてしないでしたいこと全部して……それでも足りないんやったらウチの胸を貸すから、一晩中抱きしめて安心させたいって思うんよ」

お嬢様の瞳は澄んでいてなんの愁いも驕りも感じなかった。だからこそ私は困惑した。

「あ、貴女は何も分かっていない!私が常日頃何を思い、何を感じて生きているのかっ!」

肩を掴み体を引き離して訴えかける。
こんな現実はあってはいけない、こんな都合の良いことがあるわけ……

「なぁ、せっちゃん。ウチはいつになったらせっちゃんに認めてもらえるんやろか」


――え……?


「ウチはもう昔のウチやない、変わりたいと思っておる、その努力もしておる……でも、まだ足りひん?せっちゃんの隣を歩くにはもっともっと頑張らなあかん?」

お嬢様が肩に置いた私の手を外して頬に当てる。体温とか感触を確かめるような優しい動作で。

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