企画SS《122-2》

February 28 [Tue], 2012, 7:57
企画SS《122-1》の続きです。



***
(一応用意してきて正解だったな)


バックからサイズの少し大きい洋服を取り出して、刹那はそれに着替える。


(よし、何処からどうみても中学生には見えないな)


その状態で受付に並ぶと、店員の人は疑うことなく座席表を指先して空いている席を知らせてくれた。

刹那はあまり映画館のシステムが分かっていなかったので、取り敢えず目立たない端の方を指定してチケットを購入した。

上映時間ギリギリのタイミングでホールに入ると、中は薄暗くてスクリーンには藍色の空に鬱蒼と生い茂る木、そして生気のない人々が映し出されていた。

所謂ホラー映画というもので、入った瞬間に刹那が頬をひきつらせたのは言うまでもない。

取り敢えず親切な店員さんが席に案内してくれたので、刹那はお礼を言いつつもその席に座った。


(まぁ…お嬢様の御趣味だからな…)


治癒系の魔法を得意とする木乃香は、白き翼では後方支援を担当してみんなの癒しの存在ではあるが、その実、オカルト研究部の部長という肩書きを持っていたりするほどの大のホラー好きだったりもする。

その愛らしい見た目に反して怖いものやグロいものに耐性があるのは、魔法世界の戦いの中では有利に働いた面もあるから、きっと木乃香の長所なのだろうと刹那も最近では考えられるようになっていた。

「何だか怖いですね」
「ま、まぁお子ちゃまにはまだ早いかもね〜」
「指定もんやしな。明日菜も相当やん?」
「何がよ」
「んーん、なぁんも」

ふとそんな会話が小声で聞こえてきて、反射的にそちらを見ると刹那から順に木乃香、明日菜、ネギの順番で座っていることが把握できた。

(〜っ!?)

今ここで叫ばなかった自分を手放しで誉めたいと刹那は思った。それくらい驚いたということだ。

そんなに狭くない映画館の座席で、まさか木乃香の隣を指定するとは予想外の事態に頭はショート寸前である。

(ど、どどどどうしよう…席を立つか、うん、それしかない)

刹那が極力物音を立てないようにそぉっと腰を浮かせたとき、脊髄で反射を起こさせるような悲鳴がホール内の至る所から一斉に聞こえた。

そして、刹那の左腕にまとわりつく何か。

「っ!?」

今度こそ息を飲むくらいの声を出してしまった刹那は、それに気付いて慌てて自由な右手で口を塞ぐ。

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