企画SS《104-3》

October 24 [Mon], 2011, 7:34
企画SS《104-2》の続きです。



***
「すみません」
「もう謝らんで。ほら、電車きたえ」

離れないように刹那に寄り添う木乃香。
刹那もその肩を抱く。

程なくして電車がホームに到着し、目の前の乗降車口が開く。
降りる人は殆どいなく、車内は座るところも掴む吊り革もないくらいに満員だった。

やっとの思いで乗り込んだ二人は後から乗ってきた生徒の波に追いやられてしまい、電車の中腹部まできてしまう。

「苦し…」
「お嬢様っ!」

刹那は人混みに押されてはぐれそうになっている木乃香の脇に腕を差し入れると、そのまま引き寄せてその腕に抱き留める。

「おおきに、楽になったわ」
「いえ」

隙間がないくらいしっかりと抱きしめ合う二人。
刹那はこの満員電車の中でも木乃香の柔らかさや体温、匂いを感じて幸せを感じていた。
木乃香の首筋に顔を埋めては肺一杯に香りを吸い込んで深呼吸をする。

数回それを繰り返すと刹那の意識が霞んでいき、そして気が付けば木乃香の体のラインをなぞっていた。

「…っ」

木乃香の肩が小さく揺れる。
刹那を掴む手に力が入る。

「お嬢様?」

とぼけた表情で問いかける刹那に、木乃香は視線を外して「何でもあらへん」と力なく言った。

木乃香の位置からは触っている人物が特定できないため、故意なのか事故なのか判断がつかなかったらしい。

それを良いことに刹那は行動をエスカレートさせていった。
今は臀部をスカートの上から撫でている。持ち上げるように掬ってみたり、指先に力を入れて握ってみたり…己の欲望の赴く儘触れていると、不意に木乃香の視線が刹那に向けられた。

バレたか…と内心刹那は焦ったけれど、実際はそうではなかった。

木乃香は今にも泣き出しそうな表情をしていた。

「せ、ちゃ…」

それ以上言葉が出ないのか唇を噛みしめて下を向く木乃香を見て、刹那のなけなしの良心が痛んだ。

触れていた手が離れる。



「怖い思いをさせて、ごめんなさい」



刹那がその言葉を言うのとほぼ同時に、電車は麻帆良学園へと到着し生徒を一斉に放出する。

二人もその流れに乗って麻帆良学園中等部までの道を走り抜けた。






***
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