企画SS《44-3》

August 30 [Mon], 2010, 12:48
企画SS《44-2》の続きです。



***
「謝らないでください。私、お嬢様に頼られて本当はとても嬉しかったんです」
「そうなん?」
「ええ…私のこと"強い"と褒めて頂きましたし。しかし、やはりお嬢様に稽古をつけるというのは私には荷が重いですし…それに、私は…」

そこで二人の視線が交じり合う。
刹那は言い辛そうに視線を逸らし、それからゆっくりと木乃香を抱き締めた。

「私は、こうして貴女をお護り出来れば幸せなので…貴女が強くなってしまっては…私の…存在意義…が……」

抱き締めていたはずの手が、いつのまにか縋るように木乃香の背に回され、刹那の想いが木乃香の肩口に零れていく。
木乃香はこの時やっと刹那の気持ちを理解出来た気がした。
それと同時に愛しさが溢れてくる。

「せっちゃんの気持ち、よう分かった」
「すみません…」
「謝らんで。それとな、やっぱりこれはアカンと思うんよ」

木乃香は言い聞かせるようにゆっくりと落ち着いて言葉を紡ぎ出す。
刹那はそれを聞き逃さないように耳を澄ませていた。

「これやとせっちゃんが狙われてもウチ見てることしか出来ひん。せっちゃんかて身動き取りにくうなって敵に不意を突かれるかもしれんやろ?そんなん危険過ぎる。アカンよ」

木乃香は体を離して刹那を見つめる。
刹那は眉を八の字にして木乃香を見つめ返した。

「心配せんで…せっちゃんは誰よりも強い。ウチが保証する。そんなせっちゃんのお荷物になるのだけは嫌や…ウチも大切な人、護りたい」
「お嬢様…」
「二人で強うなろ?せっちゃんとやったら出来る気がする」

ニッと笑って見せた木乃香の右手は微かに震えていた。
刹那はゆっくりとその手を包み込むように握る。

「かなわへんな…」

そう小さく呟いた刹那は、一瞬だけ困ったような、それでいて嬉しそうな笑みを見せた。

「せっちゃん…?」
「お衛りします。貴女が強くなるのでしたら、私はもっと強くなって貴女のお側にいます」

それは誓い。
二人がパートナーとなるために乗り越えなければならなかった壁。
それを今、二人は認識して共に在り続けるために必要なことを見つけたのだった。



End.
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