このせつSS『それでも、あなたがそれを信じているというのなら。』1

July 07 [Wed], 2010, 0:00
このせつで七夕SS書いてみました。

良ければどうぞ。



***
貴女のためなら…何だって手に入れられる気がした。

例えそれが、満天の星空だろうとも…




『それでも、あなたがそれを信じているというのなら。』




今日は、年に一度…
織り姫と彦星が夜空で逢う瀬をする日。

世間ではそのように騒がれるけど、実際の天の川はいつでも宇宙空間に存在していて、ロマンチックなことなんてこれっぽっちもありはしない。

刹那にとって、七夕というものの認識はその程度だった。

「今日は曇りやなぁ」

学校の帰り道。
ポツリと木乃香が漏らすその言葉には、明らかに寂しそうな感情を含んでいて…

そんな木乃香の顔を見たくなくて、刹那はつい確証のない言葉を言ってしまった。

「夜には晴れますよ」
「なんやせっちゃんがそういうと、ほんまに晴れそうな気するわ」

そう言って屈託なく笑う木乃香が曇り空に負けないくらい輝いていて、刹那は目を細めて微笑んだ。

(夜になれば晴れる…なんて、天気予報でも言っていないことくらい、あなたなら分かっているでしょうに…)



「ウチな、お願いごと書こう思て…」

突然木乃香が立ち止まり、鞄の中に手を差し入れて何かを探しだした。

刹那もそれに合わせて歩みを止める。

程なくして取り出した物は、長方形の色紙だった。

「短冊…ですか?」
「せや。せっちゃんの分もあるえ」

笑顔で差し出されたソレは、木乃香の黄色とは色違いで橙色だった。

「寮に戻ったら一緒に書こ?」
「ええ、そうしましょう」
「…せっちゃん、今笑うた?」
「い、いえっ」
「嘘!絶対笑うた!ウチが子供っぽいって思ったんやろ!」

一瞬で拗ねた表情を見せる木乃香に、刹那は慌てて弁解する。

「本当に違うんです!信じて下さい!」
「どうやろなー」

そんな押し問答をしながら寮までの帰路を歩く。

刹那が木乃香にからかわれていると分かるのは、部屋の前に着いた時だったという。



***

「いらっしゃい。さ、せっちゃん早よ書こ?」
「は、はい。お邪魔します」

着いて早々リビングへと通された刹那の目の前には、十数枚の短冊がちりばめられたテーブルと、ペンを持ち唸っている明日菜の姿があった。

「…あ、刹那さん。いらっしゃい」
「お邪魔します」

刹那に気付いて軽く挨拶を交わすと、また短冊と向かい合い「やっぱ、これは捨てがたいわよねー」などと言いながら何か書き入れている。
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