デモンドリーム・マンハッタンの悪夢ー350 マリコの元に連れて行ってくれ!
February 14 [Thu], 2019, 10:00
小王国はヨーロッパの端にある小さな古い王国で、低い山の上を切り崩した場所に建てられた
王城から見下ろすように森と王都が広がり、古い建築と街並みをそのまま過去から
残した王都自体が観光資源であり、国民は伝統を守ること自体が生計に繋がると分かっていて、
国を愛し歴史を守っている。
王国は森が多く、自然が美しい。その森の中にいくつも古い歴史遺産がある。
万里子が住む屋敷も、そもそもは王家の古代の宮殿を改築したものを買い取って
万里子が快適に住まうように改造された屋敷だ。
クリスの白いジェット機の窓から小王国が見えてきてそのおとぎの国のような森の都が
近づいてくるとクリスはなんともいえない緊張したような表情でその美しい国に魅入った。
今は紅葉の終わりで木々がほとんど枯れて冬が近いことが森に現れている。
ハーバートは機内でのクリスの様子を冷静に観察していた。
しかしクリスらしからぬ出来事があっても何も指摘せず、困っている様子のクリスを
さりげなくフォローした。また他の従業員がクリスの普段と違う行動を目にして戸惑うことが
あってもとても上手に取り繕って助けた。
レオンがクリスを装っているとハーバートはとっくに見抜いているが、ハーバートもそれを
指摘はしない事で取引しているつもりというか、
何とか万里子の元にクリスを届けてほしい希望を優先しているのだ。
だからある意味積極的にレオンに協力してやった。
空港にクリスの自家用機が到着しても同じだ。
ハーバートはクリスが万里子の屋敷にいる間小王国空港付近にある最高級ホテルに宿泊する。
レオンはニューヨークでそうだったと同じようにハーバートが全部世話をするものだと
思い込んでいるようで自分は空港のロビーで座って待っているが、
小王国でのクリスはちょっと違うのだ。
クリスは小王国に来ると自由に動き出し、自分の車を置いてある駐車場にも
ハーバートに一言も言わずに自分勝手に行ってしまう。
しかしクリスのふりをするレオンは何もわからない訳だから、クリスの愛車の準備はもちろん、
ちゃんと車に乗り込むまでハーバートがやらなければならない。
やってくれるものだと思って待っているレオンを斜めに見て、それでクリスのつもりを
演じているんだろうが、やはりお前はレオンだな…とハーバートは冷ややかに思う。
しかし何故小王国に到着してまでレオンが自分を隠すのか謎だ。
しかも今回、万里子の屋敷に連絡する際に万里子に部屋で待っていてほしいという注文を
ハーバートを通してしたのだ。小王国に来るとクリスは連絡も自分でする。
ハーバートに万里子の家に連絡させたくもない。
ハーバートと万里子が同じ空気を吸ってさえほしくない程嫉妬深いクリスだ。
それがハーバートに連絡させるものだと勘違いしたレオンはそう命じてきた。
そもそもクリスはあくまで万里子の行動にとやかくいわない。
嫌われたくないクリスが言えるはずもない。愛の前にクリスは弱者なのだ。
愛の女神が自らの意志で迎えに来てくれるなど羨ましい限りなのに、
何故玄関に迎えに来ないで部屋で待てと言うのか?それに何の意味があるのか?
レオンの目的が何なのかわからないが、レオンはどうでもいい。
願いは一つだ。クリスの魂の救済だ。
必ず万里子の力でクリスは目覚める。ハーバートは確信していた。
小王国の駐車場に置いてあるクリスの愛車をホテル車寄せまで運転してきたハーバートは
親切にナビに目的地を設定しておいてあげた。
ハーバートが運転席からでて、クリスが代わりに座ると説明した。
「マリコの屋敷まではナビが教えます。」
本物のクリス本人ではないとハーバートが思っているのがよくわかる言い方だ。
少しだけクリスの眉がしかめられたが、すぐに感情は抑えられ、
ハーバートのいやらしい探りにも反応しなかった。これもまたクリスらしくない。

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王城から見下ろすように森と王都が広がり、古い建築と街並みをそのまま過去から
残した王都自体が観光資源であり、国民は伝統を守ること自体が生計に繋がると分かっていて、
国を愛し歴史を守っている。
王国は森が多く、自然が美しい。その森の中にいくつも古い歴史遺産がある。
万里子が住む屋敷も、そもそもは王家の古代の宮殿を改築したものを買い取って
万里子が快適に住まうように改造された屋敷だ。
クリスの白いジェット機の窓から小王国が見えてきてそのおとぎの国のような森の都が
近づいてくるとクリスはなんともいえない緊張したような表情でその美しい国に魅入った。
今は紅葉の終わりで木々がほとんど枯れて冬が近いことが森に現れている。
ハーバートは機内でのクリスの様子を冷静に観察していた。
しかしクリスらしからぬ出来事があっても何も指摘せず、困っている様子のクリスを
さりげなくフォローした。また他の従業員がクリスの普段と違う行動を目にして戸惑うことが
あってもとても上手に取り繕って助けた。
レオンがクリスを装っているとハーバートはとっくに見抜いているが、ハーバートもそれを
指摘はしない事で取引しているつもりというか、
何とか万里子の元にクリスを届けてほしい希望を優先しているのだ。
だからある意味積極的にレオンに協力してやった。
空港にクリスの自家用機が到着しても同じだ。
ハーバートはクリスが万里子の屋敷にいる間小王国空港付近にある最高級ホテルに宿泊する。
レオンはニューヨークでそうだったと同じようにハーバートが全部世話をするものだと
思い込んでいるようで自分は空港のロビーで座って待っているが、
小王国でのクリスはちょっと違うのだ。
クリスは小王国に来ると自由に動き出し、自分の車を置いてある駐車場にも
ハーバートに一言も言わずに自分勝手に行ってしまう。
しかしクリスのふりをするレオンは何もわからない訳だから、クリスの愛車の準備はもちろん、
ちゃんと車に乗り込むまでハーバートがやらなければならない。
やってくれるものだと思って待っているレオンを斜めに見て、それでクリスのつもりを
演じているんだろうが、やはりお前はレオンだな…とハーバートは冷ややかに思う。
しかし何故小王国に到着してまでレオンが自分を隠すのか謎だ。
しかも今回、万里子の屋敷に連絡する際に万里子に部屋で待っていてほしいという注文を
ハーバートを通してしたのだ。小王国に来るとクリスは連絡も自分でする。
ハーバートに万里子の家に連絡させたくもない。
ハーバートと万里子が同じ空気を吸ってさえほしくない程嫉妬深いクリスだ。
それがハーバートに連絡させるものだと勘違いしたレオンはそう命じてきた。
そもそもクリスはあくまで万里子の行動にとやかくいわない。
嫌われたくないクリスが言えるはずもない。愛の前にクリスは弱者なのだ。
愛の女神が自らの意志で迎えに来てくれるなど羨ましい限りなのに、
何故玄関に迎えに来ないで部屋で待てと言うのか?それに何の意味があるのか?
レオンの目的が何なのかわからないが、レオンはどうでもいい。
願いは一つだ。クリスの魂の救済だ。
必ず万里子の力でクリスは目覚める。ハーバートは確信していた。
小王国の駐車場に置いてあるクリスの愛車をホテル車寄せまで運転してきたハーバートは
親切にナビに目的地を設定しておいてあげた。
ハーバートが運転席からでて、クリスが代わりに座ると説明した。
「マリコの屋敷まではナビが教えます。」
本物のクリス本人ではないとハーバートが思っているのがよくわかる言い方だ。
少しだけクリスの眉がしかめられたが、すぐに感情は抑えられ、
ハーバートのいやらしい探りにも反応しなかった。これもまたクリスらしくない。

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