デモンドリーム・マンハッタンの悪夢ー238 人類への警告音

November 01 [Tue], 2016, 12:47
 キルユーをアマグリから引き離せば、
 あの子供はブレーキを失い一気に悪に転がり落ちるとは考えられないか?
 そうなればあの子供は何をするんだろう?人類を半分にすると豪語したが、
 半分どころか人類を滅ぼす方向に向くんじゃないか?
 そもそもあの子自身人間として、良くなるか悪くなるかこの決断で決まるかもしれない。
 よく考えろ、私は人類の未来を選択する分かれ道に立っているかもしれないぞ?
 既に事件が起きている。彼は恐るべき能力を持っている。
 あの天才が何を作ったかを米政府に知られていいのか?大丈夫か?
 それは本当に正しいのか?
 間違うな、正しい方向を選ぶんだ。
 スミスは警察分署の前で立ち尽くしたまま足は動かなくなった。
 遠くからパトカーのサイレンが聞こえ近づいてきた。真夜中でも犯罪者が
 捕まったのだろう。
 そのサイレンの音がスミスの心には警告音に聞こえた。
 
 マッドが抗生物質の副反応で発熱し、ガタガタ震えだしたので甘栗と旬は
 毛布で包んで暖めた。
「しっかりしろマッド。」
 旬はマッドの汗を拭いていた。すると着信が鳴った。スミス教授だ。
 スミスは大学院生である旬の連絡先をチェックしていた。
「キルユー、扉を開けてくれ。」
「わかりました。」
 警察を連れてきたと覚悟して扉を開けたが、スミスは一人きりだった。
 スミスは警察の前まで行ったが、結局やめた。
 一番恐れたのはアメリカ政府があの天才を手に入れたら、そのほうが人類にとって
 危ないという想いだ。
 旬の入学論文でも判っている。政府に捕まればとんでもない殺戮兵器を
 作らせてしまうかもしれないし、あの化け物を量産して人間兵器として
 戦争に投入する可能性もある。
 あまりにも危険極まりない天才を政府から隠すべきだと判断した。
「色々考えて、警察には言わないことにしました。」
 旬と甘栗は顔を見合わせた。
「ありがとうございます。」
 甘栗が感謝し、握手を求めるとスミスは応じてがっちり手を握った。
「ひとつだけ条件があります。私をこのチームに入れて欲しい。」
 仲間になる事で自分がこの事件の成り行きを見張っていこうとスミスは決めた。
 どうしようもないと判断したら警察に行かざる終えないが、自分も手伝えば
 希望がもてる。スミスの決断に甘栗はにこにこした。
「協力に感謝します、スミス教授。あなたのおっしゃるとおり、
 ぼくらだけでは限界でした。」
 年齢が近く、専門知識もある仲間ができて、子供たちを守らなければならない責任ある
 甘栗も精神的に楽になった。
「ミスター、アマグリ。」
 二人はもう一度固く握手を交わし、旬もかなりホッとした。
 そのまま朝までスミスは家に帰らずに真夜中もマッドの治療を助けてくれた。
 マッドは抗生物質の点滴投与で強い副反応を起し、数時間毎に怖ろしい程苦しみ悶えた。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「くそおおお、しっかり抑えろキルユー!!」
 再びスミスは全力で旬たちを助け、朝が来て、マッドがやっと落ち着くと、
 くたくたになった3人はぐったり座り込んだ。



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デモンドリーム・マンハッタンの悪夢ー239 目覚めるクリス

November 06 [Sun], 2016, 10:54
 でも今日はまだ大学院があるのに眠れないままで講義をしなければならない。
「参った。」
 確かにこれでは講義を全部寝る訳だと、スミスは旬に対しやる気がないと誤解し、
 怒った事を少し後悔した。
 ちなみに横嶋は知らないおっさん・スミスがやってくれているので
 周囲の騒ぎを余所に寝袋でぐーぐーよく寝て朝起きると
 顔を洗って朝飯のカップヌードルにお湯を注いで食べていた。

 美しい森の中をクリスは彷徨っている。鏡のように美しい湖には大きな魚がいるが、
 いくら待っても現れない。
 ぼんやり待っているクリスにとってはここは時間の流れがない世界。
 いつからいたのか、何故ここにいるのか、ふと、湖のほとりに自分以外の人がいるのに
 気づいた。
 この世界には自分しかないかったはず…。
 クリスと違ってくるくる巻き毛ではないが金色の髪の青年。スリムなシルエット、
 自分によく似ている。
 その青年は、片膝を抱えて俯き、足は湖に投げ出し、じっと湖面を見つめている。
 顔は見えないがしかし、男が泣いているのがわかる。
 何故なら湖に涙が落ちて、湖面が波立っている。
 鏡のような湖に映る男がどんな顔をしているのかクリスは興味を持った。
 ひとりぼっちで涙する金髪の男は自分を見るようだ。
 いや、もしかしたら、自分自身の影かもしれない、そんな考えに動かされて傍に寄った。
「どうして泣いている?」
 もう会えない…。
「誰に?」
 クリスは俯く男の顔が見たくて、足元の湖面を見下ろした。
 男の顔が、自分の顔なのか、違うのか?
 しかし湖面には男の顔は映っていない。男が見ているのは女の姿…。
 ウエーブのかかった長い黒髪、顔は水面が揺れてよく見えないが、クリスの心が震える。
 すると透き通った音が聞こえた。誰かの声…可愛らしいか細い声。
 ク …リス。
 顔を上げると湖の向こうにさっきまでなかった古代ローマの宮殿を小さくしたような
 屋敷があり、向こうに麗しい女神の影がある。
 クリス…。
 私の名前だ。これは私の名前だ!私の女神が私を呼んだ!
 クリスの顔は喜びで輝いた!その瞬間、湖面がバシャーンっと波立ち
 大きな水柱を作った。
 湖から虹色の鱗を持つ大きな魚が飛び上がった、そのしぶきをクリスは全身浴びた!
 その水が光輝き、クリスの全身も輝いた。
 水を全身浴びたと思ったクリスはハッと目を覚した。
 目を開けたクリスの濃い青い瞳はまず天井を見た。そうしてすぐに誰かの気配を横に
 感じた。柔らかさとか、香りとかで女だとすぐに感じた。
 マリコ、…いつ小宮殿に戻ったのか、全く覚えていない。
 記憶がどこかで途絶えた。知らぬ間に万里子の側に戻り、万里子を愛したのか、
 そう思ったが、どうも天井がいつもの万里子の屋敷と違う。全然違う。
 万里子の寝室は大きな天蓋付ベッドがあるし、天井には白い装飾がある。







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デモンドリーム・マンハッタンの悪夢ー240 なんだこれは!!!

November 07 [Mon], 2016, 12:59
 なのに目上の天井は汚れてどこかみすぼらしいし、それに万里子とは思えない安っぽい
 香りがする。そして横の女はクリスに声をかけた。
「レオン…。」
「……?」
 クリスはまだ意識がぼーっとしながら戸惑う、レオン…誰だそれは?
 と思うのと同時に万里子の声に思えない低めの声に困惑し、強張った。
 まさか…。
 不安なクリスの首に横の女は寝ぼけながら甘えて腕を絡め、顔を寄せたので
 クリスは横目で見て、びっくりした!全然知らない顔の女だ!!
 マリコ、ではない!!??
「うー…ん…。」
「??!!!!」
 もう片側からも女の声がし、柔肌をクリスに押し付けた。 
 すぐにその肌の熱で二人の女が全裸であるだろうと気づいた!
「何!???」
 驚愕し、濃い青い目を大きく見開くクリスの両隣に長い茶髪と黒髪の平凡な女が
 寝そべっている。まさにクリスは両手に女を抱いた状況。
 クリスを真ん中に挟んで両側にいる女たちの柔らかく熱い肉体がみじろぎ、
 全裸の女が両方からクリスに密着し、同じく全裸のクリスは、信じられない現実に
 がばっと上体を起き上がった!!!
「わああああああああああああああああああああああああああああ!!」
 絶叫したのはレオンだ。クリスも驚いて上半身を起こしたが、
 寝ている両隣の女を起こさないように叫びたいのを堪えて声を上げなかった。
 叫んだレオンは自分の絶叫に驚き、自分で自分の口を両手で押さえて、
 目だけで部屋の左右を見た。
 ベッドにいるクリスと女たち、それをベッドの傍らで全裸で、自分の口を両手で
 抑えるレオンが立ち尽くしている。
 つい朝方まで確かに自分が支配していたクリスの肉体をベッドのこちら側で
 見るレオンはショックで怒り出したかったが、その前に部屋の空間に
 異変が起きなかったかに緊張した。
 レオンは肉体を失っている。うっかり地獄につながる空間亀裂を起こしたら
 そのまま引きずり込まれて地獄に逆戻りだ!
「ムムム。」
 地獄から親父がやって来る!
 両手で口を押さえ、周囲をキョロキョロ見回し、
 空間が裂けなかったかを恐怖におののきながらも安全確認して、それから、
 やっと怒鳴った。
「嘘だろ!マジか!!!ウワアア、ボクは、どうして!!
 なんで体から出ちゃったんだヨ!!」





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デモンドリーム・マンハッタンの悪夢ー241 ボクに身体を返せ!!

November 09 [Wed], 2016, 13:36
 ベッドのクリスもショックで固まっている。レオンと同じく記憶を探っている。
「クリス、お前は消えたんだ!その肉体を手放せ!クソ、いいか、
 そのカラダはもうお前のものじゃない!ボクのものなんだ!」
 クリスのいるベッドの前をレオンは大きく両手を振り、汚い悪口を
 罵りながら歩き回った。
「とにかく落ち着くんだ!どこでいつ、交替したのか思い出せ!!」
 朝方、寝る間際までは完全にクリスの肉体を支配していた。
 安いバーでスケベな女二人をナンパし、ホテルにしけこんで、二人同時に交尾した。
 二人の女を交互にイカせて、孤独や辛い気持ちを慰め、それでも悲しくて泣いた。
 泣きながら眠ったのまで覚えている。たぶんそれがいけなかったんだ。
 本質的にはジュードとの永遠かもしれない別れのダメージがちょっと女と遊んだくらいで
 癒えるはずもなく、その精神的打撃がクリスの肉体の支配を緩め、
 そのスキにクリスの意識が蘇り、本来の自分に戻った、レオンはすぐにわかった。
 クリスが己の肉体を放棄したのも、精神的ダメージが理由だ。
 レオンも精神打撃で自分の意思が弱くなってしまったのと
 クリスの方も数日眠って休んで少し精神的に回復してきたタイミングが不味いことに
 丁度ピッタリ合ってしまったんだ。
「ガッデム!!!」
 レオンは呪った。
「冗談じゃないゾ!!クリスの肉体を失ったら、いつオヤジが迎えにくるかわからない。」
 とはいえ実の父・アマデウスはスネークマンと遊んでいるからまだ当分大丈夫だろうが、
 地獄の様子が見えないから事態の変化もわからない。
 このままクリスの肉体という拠り所がないといずれ地獄の結界に呼び戻される!
 なんと言っても、クリスの肉体を奪って、堂々正面から
 小王国のマリコの屋敷に会いに行き、マリコに跪いて結婚を申し込み幸せに暮らす
 御伽話がご破算になってしまう!!!そう思ったら腸が煮えくり返った。
「ふざけるな!!」
 ベッドのクリスに近寄り、その首を絞める真似をして怒鳴り散らした。
「なんで出てくるんだこの男娼!!お前みたいな汚らわしい男の肉体なんか、
 ボクだって本当は嫌なんだよ、この、汚いおじさん相手に犯されまくった
 汚い体なんかホントならお断りだ!!それでもマリコとすぐに結婚できるのは
 お前だからだ!!悔しいけどマリコとお前は嘘でも恋人だ!!!
 ボクがお前に成り代われば、そのままボクがマリコの恋人になれるんだ!!!
 とにかく早く眠れ、意思を放棄してそのカラダをこのボクに渡せー!!」
 レオンがどんなに怒鳴り散らしても当然クリスには聞こえない。
 




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デモンドリーム・マンハッタンの悪夢ー242 何故知らない女と寝たんだ?!

November 10 [Thu], 2016, 12:54
 肉体を失ってレオンはもう大混乱だが、同じくクリスもパニックを起こしている。
 静かにしているが、声も出なくなるほど頭の中は大パニックだ。
 自分も二人の女もベッドで裸だという恐るべき自体にショックを受けた。
 私はマリコ以外の女を抱いてしまった!!
 全裸、自分も女も全裸…なんという事だ!!
 二人の女を同時に抱く、そんな破廉恥な真似をこの私がしてしまったというのか?!
 もちろん3人でプレイなんて、誇り高いクリスはそんなゲスな事は
 一瞬も考えた事はない。嘘ではない。
 しかも万里子を愛してからは、軽い遊びも戒めた。
 クリスの純潔を女神・万里子に捧げ、一生、絶対に、他の女を抱かないと決めていた。
 最愛の女への純愛ではあるが、実は
 過去に一度だけ酔った勢いで恋人ではない女を抱いて、その後妊娠騒動を起こして
 スキャンダルになった苦い記憶があるから、もしまさかの場合、愛する万里子に
 知られ、最低の男だと軽蔑されるのを恐れているからだ。
 それなのに、マリコを裏切ったなどとは!自分はこんなに欲望に弱かったのか?
 愛ではなく、契約の恋人だと、脅迫して付き合い続けていると、自覚していながら
 クリスは万里子への自分の愛を自分で汚してしまったと悔やんだ。
 酒でも飲んで意識を失ったのか?だいたいこの女たちとどこで出会ったのだ?
 いったいどこでどうなって、こうなったのか、全く、微塵も思い出せない。
 などと思い巡らしつつも、クリスはこの女たちが目を覚ます前に逃げ出そうと思った。
「………。」
 まるで敵兵士に見つからないように戦場を移動するかのような緊張感で、
 クリスは静かに、女たちを起こさないように、そーっと動いてベッドを降り、
 焦りながら服を探した。しかし自分の服さえどこにあるかわからない。
 ショッピングバッグにぞんざいに服がはいっている、これかと手に取ると、
 色違いの花柄シャツにデザインがちょっと違うだけの半ズボンが数着はいってる。
「なんだこの服は!!」
 服を手に持って思わず怒鳴ったが、ハッとベッドを振り返り、口を閉めた。
 とにかくこの危険地帯から逃げ出さないといけないが、
 こんなチンピラの様な服をきてロンドンを歩いたら笑いものだ。
 冷や汗をかきながらクリスはバッグの中をひっくりかえして、少しはマシな
 シャツとズボンを見つけた。と一緒に携帯もあったので、直属の部下ハーバートに
 すがるように電話を入れた。
 連絡を待ってホテルで憔悴しきっていたハーバートはクリスからの電話に飛びついた。
「クリス!!」
「私だ!!」
 小声だが、クリスの声のトーンで、意識が戻ったのだとハーバートは喜んだ。
「クリス、貴方は今どこにいるんですか?」
「わからない!私は大変なことをしでかした!とんでもない事態だ!!」




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