桐生親子の育児録ー6 俺んちには悪魔の赤ん坊がいる

January 01 [Fri], 2016, 12:37
 あけましておめでとうございます。
 本年が皆様にとって発展の年になりますように!
 桐生親子の育児録、なんと去年正月の続編になります〜。あけおめ〜
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 東京都内、晃のマンションでは1歳になった旬がシッターを追い出して生き延びた
 いい気分で師走とやらを迎えようとしていた。
 朝、ダイニングで赤ちゃん用の椅子に座って旬は去年、生まれたての初正月を
 思い出している。
「おれ、正月2回目。きょねん晃はかぜひいて倒れた。ざまーみろ。」
 大きな黒い瞳のめちゃめちゃ可愛い顔なのに、皮肉な笑顔を浮かべた
 赤ん坊はスプーンで離乳食を食べる。
 しかし口も手も汚れまくり。
「知ってたのか…。怖ろしい…。」
 朝シャワーを浴び、シャツにネクタイ、ふんわりした茶髪でどう見ても
 親に見えないスーパーイケメンはトーストを食べ食べコーヒーを飲みつつ、
 赤ちゃんの顔を軽くナプキンで拭き思う。去年さんざんだった正月。
 親父・晃のほうは来年正月もこいつと二人っきりかと思うと年末が近づく毎日が憂鬱だ。
 最近歩き出した赤ん坊はまるで大人のように
 文章をしゃべり、歩いた途端二人のベビーシッターを抹殺する計画を実行した、
 実は悪魔の赤ん坊なのだ。
 家に帰れば悪魔が待っている。そんな秘密を抱えて、心休まらない毎日だ。
 旬は虐待されていた時にはあまりミルクも貰えず痩せていたが、最近は離乳食を
 ばくばく食べて、だいぶ艶々ふっくりしてきた。
 もう自力でオムツを卒業し、オマルに用を足している。
「おしっこ。」
「はいはい。」
 旬が両手を晃に向けると晃は旬の脇を抱えて椅子から床におろす。
 旬はぺたぺた歩き、自分用オマルに向かい、その小さな姿を気味悪そうに見る晃。
「手間かからないっちゃ、かからないけどさあ。怖いよね。」
 と本音を呟いた。仕度を終えると晃は1歳児を放置して仕事に行く。
 で、帰ってくるとオマルの中身を捨て、離乳食の食べ終わった皿を洗う。
 それくらいしかしないくせに、大変だー大変だーとグチるバカ親父に旬はイラついた。
 親父が仕事に行ってる間、赤ちゃんは床に座ってお留守番。
 床暖房入ってるから床に直でもお尻はあったかだし、
 エアコンも旬の好みの温度設定で快適だ。
 毎日テレビのリモコンでチャンネルを変えて、情報番組をみてる。
「ことしも終わりか。げきどうの一年だったな。」
 生意気にも自分の肩を小さな手でぽくぽく叩き、はーと溜息をつく赤ん坊。
 去年は生まれたてのほやほやで世の中の何も知らなかったが、今年はテレビからの
 情報で年越しとか、歳末バーゲンとか、アメ横の激安とか、主婦感覚を研ぎ澄ます
 話題を集めていた。
 しかし旬の成長は激しくチグハグだ。




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桐生親子の育児録ー7 おれ歯がない?

January 02 [Sat], 2016, 12:08
 頭脳は万里子が妊娠中で既に天才に成育し、胎児の旬を堕ろしたがる万里子の
 拳との攻防も乗り越えた。
 俺って天才、生まれた途端に何でも出来る。旬はそう思ってぎゅうぎゅう詰めの産道を
 死ぬ思いで通り、劇的にひねくり回されて生まれでた。
「ふ〜、死ぬかと思ったぜ、疲れた。」
 晃を初めて見た時、万里子のお腹の中でアホ父とバカ母の夫婦喧嘩にイライラした怒りを
「おう、てめえがあきらか?てめえおやのせきにんどう考えてるんだ?あー?」
と吐き出すはずだった。
 しかし、ふにゃっともひとっこともしゃべれない。仕方ないからガンを飛ばした。
 晃も名前もない新生児をにらみ返し、長い戦いの始まりだった。
 誕生間もなくわかったのは、自分の体が自分の思いどうりにならないことだった。
 何でも出来ると思った思い上がりが生まれた途端に早速挫折した。
「おれってガキだ。」
 頭の中では会話もできるほどの知能なのに、舌がうまく回らずしゃべれないわけで。
 自分の意思を伝えられないのは辛いものだと乳児は思った。
 それからあんよも中々歩けなかったが、ハイハイをベビーベッドで訓練し、
 立ち上がった途端に歩き出し、歩き出したら、一気にパタパタ走れた。さすが天才。
 そして小さなお手手で物を掴んだりもできる。
 旬は自分でもそこそこできるようになった、と胸を張る。ただ、歯がまだない。
 実は晃の白い歯を見ても、自分にも生えている物だと思っていたので判らなかったが、
 この間晃にお風呂に入れてもらった際、たまたま鏡に気づいて、自分の顔が赤ん坊だと
 知ったし、歯がないのにも驚いた。
 脱衣所で湯上りで旬を抱っこした晃がミラーの前を過ぎると旬が手を伸ばした。
「あきら、ちょっともどれ。」
「どうした?」
 悪魔のおっしゃるとうりに晃は後ろ歩きでちょっと戻ってミラーの前に立つ。
 旬の黒髪も晃の茶髪は濡れている。
 クリクリの目で鏡を見る晃に抱っこされる赤ん坊を手で探る。
「これ、お前とおれか?」
「ああ、そうだ。そうかお前鏡を初めて見たのか?」
 バスタオルを腰に巻いた晃に抱っこされたすっぽんぽんの旬。
 旬は鏡の自分を珍しそうに見回し、晃の顔と比べ、口をあーんと開けた。
「うん。俺、口に歯がない。」
「あははは。すぐ生えてくるよ。」
 大口あけて笑う晃を見上げて尋ねる。
「お前いつ生えた?」
「は?」



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桐生親子の育児録ー8 晃にお仕置き

January 04 [Mon], 2016, 12:20
 普通の赤ん坊だった晃は赤ちゃんの記憶なんかミジンもないから考えずに即答。
「覚えてないよ。」
 役立たずなバカ親父にムカつく。
「お前バカだな。」
「うるせー。お前がおかしいんだ。」
「なんだとー。」
 睨みあう親父と赤ん坊。生まれて1歳の赤ん坊に本気でガンを飛ばす晃、親失格。
 晃ごときに歯が生えているんだからおれもすぐ生える、
 たぶんあさって生える、と思いたい。しかし明後日になっても生えなかった。
 自分の歯茎を手でひっぱる赤ん坊は悩みを吐露した。
 もうミルクは卒業し、離乳食なのだが、硬い物は噛めない。
「おれって、もしかしてほかのやつらより遅れてるのかな?」
 テレビを消した向こうの黒い画面を鏡代わりに自分の口をあけて悩み、心配になった。
 夜、晃は仕事の付き合いと称して酒を飲んで帰ってきた。まあいつものことだ。
 ふらふらして床に這いつくばり、ハイハイで寝室に向かう晃は旬がタオルケットを
 ソファーに敷いて、畳んでいない洗濯物に囲まれてねんねしていたのに、シカトだから、
 腹を立てた赤ん坊はハイハイする親父の足にガシっとしがみつき、
 動くふくらはぎを思い切りかじった。
 しかし晃の足をかじっても晃はくすぐったがるのみ。
「ぎゃはははははははは。」
 歯がないので攻撃力ゼロだ。むしろ楽しいだけ。
「ぎゃははははっははは、やめろ、くすぐったいって。」
「ちゅうちゅう。」
 可愛いものだ。だが旬本人は男のプライドをかけて悔しがる。
「ちくしょう。」
 酔っ払い晃は寝室に辿りつき、ベッドに顔を乗せて寝た。
 その足に旬もくっついて寝た。朝、二人は寝室の床で二人大の字になっていた。
 次の日晃が会社に行くと、旬はチコチョコ歩いてテレビではなく、
 床に置いてもらってある晃のノートパソコンの前によろっとしてからペタンと座って、
 小さな手でよちよち開けた。小さな指でネットで検索。「あかちゃんのくち」で調べる。
 検索ページを上から順にネットサーフィン。
「むー。」



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桐生親子の育児録ー9 ケーキは物凄く硬いんだぞー

January 05 [Tue], 2016, 13:20
 自分がまだ「赤ちゃん」らしいという事は、生まれた病院で旬をみんなが
 赤ちゃん呼ばわりしたから、俺赤ちゃんなんだとわかってる。
 3日で大人になると意気揚々だったが、1年たっても赤ちゃんのまま。
 検索したページを開けるがしかしまだひらがなだけしか読めずところどころ
 読めない。
 最近歯茎がむずむずする。これはなんなのか。調べたいのにわからない。
 今日は酔っ払わないで帰ってきた晃の足元に寄って口を指でさす。
「あきら、おれ、くちが変だ。」
「いーってしろ、どれ?」
 いーってした後にお口をあーんとあける。
 開けたおくちを晃は指でなぞって判断した。
「あー、歯茎に歯っぽいのでてるな。もうすぐ生えるぜ。」
 旬の大きな目がぱっと輝いた!
「やっぱり!歯がはえるのか!」
 これでおれも大人の仲間入り。そんな誇らしい気分だ。
 そうこうする間に世間ではクリスマスという行事で騒がしい。
 旬はテレビでケーキの特集を見て目を輝かせた。誕生日だって旬は知らない。
 旬の誕生日なんて晃は基本覚えていない。旬もまだ世間の一般常識を知らない。
 お誕生日は祝って貰える日というのも知らなかったから、
 とっくに過ぎた1歳の誕生日も何事もなく終り、
 自分にもそういう日があるという自覚がないまま、とりあえず面識のない人物の
 誕生日にあやかろうと思った。
 生まれてからまだケーキを一度も食べたことのない旬は晃に命令した。
「これかってこい。」
 パソコンで検索した画像、大きなデコレーションの画像をみせる。
 晃もケーキは大好きだ。しかし、
「いいか、これはとんでもなく硬いんだ。お前まだ歯が生えてなからまだ
 食えねえよ。大人がガシガシかじって食う物なんだ。」
 などと言う、実はクリスマスは連日飲み会の晃は都合悪いので嘘を教えた。
「かたいのか…。」
 じゃあしょーがない。がっかりしながら旬は諦めた。



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桐生親子の育児録ー10 片付けられない男、片付ける赤ん坊

January 07 [Thu], 2016, 13:14
 歯がない赤ちゃんは硬いケーキをかじれない、と真に受けて
 ちょっとうな垂れる旬を見下ろし、うまく騙せてにっこり笑う晃。酷い親。
 旬は天邪鬼なので、寂しさなんか意地で見せないし、
 赤ん坊でも一人でやれるんだという意地を見せたがるので遊びに行きたい晃の
 思うツボ。
 寂しい赤ん坊を放置して、クリスマス飲んで遊んで晃は飲みまくった。
「俺独身だから彼女になりたいなら今がチャーンス!」
 などと喚いて周囲から女の子に抱きつかれてエロ祭りに燃えた。
 独身だが赤ん坊はいるとは言わないところがずるかった。
 晃の家は大きい部屋が4つ、もっと大きいリビングとダイニングキッチンと
 廊下の延長のような旬の子供部屋がある。
 ベビーシッター兼ヘルパーが来なくなると広い部屋は洗濯物や色々な物など
 片付けられない男・晃は放置を続けた。
 旬もまだ赤ん坊なので、掃除なんて出来ない。これまできれいだった部屋がどんどん
 汚くなってきた。こんな小汚い家で新年を迎えたくない、と旬は苛立っている。
 よちよち歩いて、キッチンを見上げる。なんか臭い。
「あきらの奴、なまごみ捨ててないな。」
 鼻にしわを寄せて旬はテーブルの上に立ってゴミをすてたいと思ったが、
 椅子の上に乗るのも危ない感じだ。赤ん坊はなんにも出来ない。
 情けない気分。
 どうしようもない気分でキッチンシンクを見上げ、リビングに歩いて、
 晃が脱ぎ捨てたシャツとかズボンとかを持ってみた。もう重い。両手に持って
 晃の寝室に捨てたいのに、前が見えない。歩くのもやっとだ。
 赤ん坊は使えない。仕方なく晃の服をなんとか丸めて寝室前に置いた。
 晃の下着はゴミ箱に捨てた。
 気持ちよく暮らしたい旬はせめてもと、自分の部屋だけは物を
 置かないように、もしくは隅っこに並べるようにしている。
 だからオマルも端っこ。使った皿も端っこ。着替えのきぐるみも端っこ。
 赤ん坊が自分の服を畳むの図が中々シュールだ。
 なのに晃は旬の排尿便の始末の後は適当に部屋の真ん中に置く。頭にくる。
 晃が掃除しないと正月といってもあちこち物が散らばった落ちつかない家で
 迎えるしかない。
 


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ナンバー間違えてた・・・
P R
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