さあ世界を征服しよう!−806 愛を裏切り堕ちる

December 02 [Mon], 2013, 12:20
 鏡に映るエヴァンの仮面を付けた姿に、仮面を付けないレオンの姿が重なる。
 ジュード!
 無邪気な表情でジュードに甘えたレオンの笑顔…。
 鏡の中のレオンにジュードは自分の両手を付ける。
「レオン…。」
 呟いて、涙が零れて、頬を伝わり幾筋も流れていくのを感じる。
 愛している。しかし重荷が過ぎた…もうオレを楽にしてくれ、いいだろう?レオン…。
 ジュードの心は複雑だ。愛してはいるが、どこかで妬んでもいたレオンの死。
 失った絶望と間逆に安堵する自分も居る。
 仮面を外して、レオンと同じ自分の半分の顔を見る。
 それからジュードは旅団の友人ジオに連絡をした。
「ああ、オレだ…約束通りレオンは死んだ。これでもうお互い無益な戦争を止めよう。
 今日からオレが組織をまとめる。レオンはもう死んだからこのままニューヨークで
 今まで通りの取引を再開しよう。ああ。」
 電話の向こうで旅団のニューヨーク支部のリーダー・ジオがジュードとの友情を
 約束する。
「お前を信じていたジュード。レオンが死んで良かった。これからはお前の天下だ。」
 友人・ジオの言葉にジュードは馬鹿げたクーデターが終わって心底ホッとした。
「ああ、友情のしるしに武器の売買再開だ。凄い物が手に入った。
 ニュースを見たか?アレを旅団の武器にするといい。オレ達は仲間だ。
 ああ、そうだ。そう、その通り。その結果サム・ソング一族は…全滅さ…。
 これからは組織はオレ、ジュード・バレンタインが仕切る。」
 ジュードは鏡を見ながら無残な顔をエヴァンの仮面で隠すと、
 鏡には冷たい悪魔が映った。
 しかし、仮面の下のジュードの口はニヤリと笑った。
 ジュードは隠していた本心をレオンに見られたくないと顔を仮面で隠したのだ。
 それからジュードはあの危険な新兵器をいつまでも持っているのが怖かった。
 早く旅団に売り渡し、クーデターを忘れて安心したかった。
 旅団の友人と話を付けてジュードは泥の様にくたびれ切った身体をベッドに横たえた。
 ジュードは旬をどうするか悩んでいた…疲れた頭に旬の悪魔の様な笑顔が湧いた。
 あのレオンたちの凄まじい死に様を見て笑った顔。
「人形のあの笑顔…きっとレオンが酷い死に方をしたのが面白かったんだ…
 あんなに可愛い顔をして、恐ろしい話だ。恐ろしいガキ。
 マリコを模った悪魔…マリコ人形…シュン・キルユー…。
 キルユー(おまえを殺す)。…なんて変な名前だ。
 しかし旅団はあんな化学兵器をそもそも持っていないという。嘘だとは到底思えない。
 いったいあの化学兵器はなんなんだ?」
 レオンを狙った組織が旅団ではないとして、考えられるのはソージ・アマグリか…?
 しかし何の徳がある…?
 ふとジュードは突然万里子をアマデウスから奪った金髪巻き毛の男を思い出した。
 すでにジュードが正体を割り出し、それをレオンに教え、レオンが命を狙っていた男。
 クリス・スワン。スワン社社長、セオドア・スワンの長男。
 年齢は俺やレオンと同じくらいの若造だ…しかし暗殺集団を操る奴だ。
 マリコに対しての強い執着が見えた……。
 もしかしたらあいつが暗殺者に化学兵器を仕掛けさせたのか…?
 スワン社には化学薬品工場やラボがある。あり得ない話ではない。
 イギリス政府の裏で化学兵器を開発していた、そんな話も絶対にないとは言えない…。
 人を溶かす化学兵器はそこで開発されたものかもしれない…恐ろしい会社だ。
 ジュードは自分とはタイプが違うクリス・スワンの美しい顔を思い出してゾッとした。
 マリコを奪おうとしたサム・ソング一族への報復かもしれない。
 シュン・キルユーはマリコの係わりからスワンの手先になったのか?
 ジュードは全ての起点である万里子を想う。
 美しすぎる、可愛すぎる、魅力に溢れた美女。万里子は凄まじく危険な女だと思った。
 レオンは死んだ…。アマデウスも死んだ…ヨハンさんも、ハンスも…。
 みんなマリコの幻想にのめり込み、破滅した…オレは違う…オレは嫌だ…
 あんな…死に方をしたくない…。絶対に考えるな…望むな…。
 あの美しい女はあまりにも魅力がありすぎる…危険な女だ……美しいマリコ…。
 ジュードは疲れ切って深く沈むようにぐったり眠った。
 夢に万里子が現れた…夢の中でジュードは万里子と美しい森を二人で散歩している。
 綺麗な若葉の木々の合間に木漏れ日が優しく万里子を照らす…
 長いウェーブのかかった黒髪に光があたり、黒い瞳が輝く、
 とても綺麗だ。
 万里子はジュードに微笑み、寂しい笑顔で囁いた。
 私がいるからもう…何も怖くはないのよ、ジュード…。
 万里子の華奢な肩を抱いてジュードは生まれて初めて幸せを感じた。
 マリコ…愛しているよ…マリコ……。


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さあ世界を征服しよう!−807 万里子の世界デヴュー?

December 03 [Tue], 2013, 11:51
 レオンのせいで万里子はイギリスで世界中のテレビ局に追われる羽目になった。
 ハイツファイザーの屋敷の周囲はぐるりと世界中のマスコミと野次馬で賑わっている。
 屋敷を囲む壁にへばりつき進入しようとする人々をハイツファイザーが警察と
 警護に頼んで取り締まって何かのゲームの様だ。
 あちこちにテレビクルーが陣取り、朝から晩まで万里子の登場を待ち構えている始末。
「夫人は現れませんが、野次馬はどんどん増えています。」
「世紀の美女を一目でも見ようと集まって来ました。」
 外の騒ぎをテレビで見ながらハイツファイザーは万里子を守ろうと気合を入れた。
「私の女神を見世物になどしない!」
 屋敷の広く贅沢な自室に閉じこもる万里子は外が怖くてべそをかいていた。
 そんな妻の部屋に恭しく訪問したハイツファイザーは万里子の麗しい顔を見ては
 うっとり溜息をつく。
「あなた…わたし…怖い…。」
 震える万里子の華奢な身体を抱きしめて夫・ハイツファイザーは息巻いた。
「マリコは私が守って見せます!小王国に逃れればマスコミも入れません。」
 小王国は元々外部の人間を厳しく精査するが、その上今回の事件で外から入る
 マスコミを国民の暮らしを妨害するという言い訳で入国を禁止する予定であり、
 伯爵の考える通り小王国の王子も万里子を守って海外のマスコミを閉め出す気だ。
 本当ならハイツファイザーは愛する万里子とこのまま屋敷で一緒にいたかったが
 これ以上万里子が外部の見知らぬ者に見られてまた何処かのならず者に
 狙われる方が恐ろしく、できるだけ早く小王国の小宮殿に自分の命より大事な
 宝物をしまいたがった。
 そうして騒ぎの真っ只中、異常に多くのSPを雇いマスコミから万里子をガードし
 チャーターした飛行機で小王国へ帰す為、空港に連れていくと決めた。
 しかし途中で誘拐されたらどうしよう、ハイジャックされたらどうしようと
 ハイツファイザーはすっかり強迫観念を抱き、夜も眠れないくらい参っている。
 夫婦でありながら寝室は別。
 可哀相なハイツファイザーはベッドの上で眠れずに隈を作った顔でブツブツ呟く。
「はやく、はやく私のマリコを隠したい。」
 万里子は外の騒ぎを恐れ、レオンの死の罪悪感がありながらまたも死ぬ勇気なく
 生きている自分が恥ずかしかった。
 そうして悲嘆と脅えに暮れる万里子の小王国へ戻る予定日が来た。
 その日もハイツファイザーの邸宅前にはとんでもない数のマスコミで押し合い
 乱れて大騒ぎだ。
 ハイツファイザーの計画は漏れて夫人が屋敷を離れると報道している。
 イギリスで撮影できる最後のチャンスと大騒ぎで、屋敷の門を大変な数のカメラが
 並び撮影する為向けられている。
 その上野次馬も大騒ぎでうっかりすると事故が起きそうなくらいの数の
 人でごった返し、警察が事故を防ぐ為に人々を抑えている。
「下がって、下がって、そこ、出ないで!!」
 警察と野次馬の攻防も激しくなって、マスコミも各局スクープを争っている。
「マリコ・ハイツファイザー伯爵夫人はその麗しさで社交界の紳士を魅了した人物。
 白い悪魔の要求でマリコ夫人の美貌が世界中の噂の的になりました。
 別宅へ移るという情報で、是非ひと目その美貌を…!あっ、出てきました!
 マリコ!」
 門が開いて万里子の乗った高級車が目の前をゆっくり走り出す。
 その時凄まじいカメラフラッシュがたかれた。
 人が車の前に詰め寄り、車は動くに動けぬ事態。それを警察と警護が抑える。
 車の中は万里子を守って両脇にSPが座り、万里子は深く座って身を隠している。
 目の前を車が通った短い瞬間、万里子を自分の目で見られた男性リポーターは
 興奮して喚き散らした。
「撮って、アップにするんだ!美しい!素晴らしい!本当に美しいぞ!撮ったか?
 撮ってないのか?このバカヤロー!」
 万里子の乗る車が屋敷から出たほんの一瞬を捉えようと凄まじいフラッシュが
 たかれ追うが、テレビリポーターはとんでもない数が過ぎて、
 互いをぎゅうぎゅう押し万里子を結局撮影できず人々はおしくらまんじゅうになって
 やはり負傷者が出た。


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さあ世界を征服しよう!−808 晃涙・情けない桐生親子

December 05 [Thu], 2013, 12:31
 一局だけほんの少し車内の万里子の斜め横の顔を捉える事が出来、
 それが全世界のニュースに流れた。もちろんすぐにハイツファイザーやクリスの力で
 放送差し止めになるが…。
 美しい女…世紀の美女…もし歴史が変わっていたら独裁国家になったアメリカの
 女王になっていたかもしれない悲劇のヒロイン。
 万里子の殆ど見えない顔でもその類い稀なる美しさはわかる。
 もっと見たいという欲求を人々は抱いたが万里子は小王国に逃げ帰り、
 もう一切世間に出てこなかった。
 凄まじい数のマスコミに負けずに警察と警護に取り巻かれた車は人々の波を
 分けて走り去って行き、せめてもと走る去る車の後ろの窓からの万里子の後ろ姿を
 撮影した。
 その万里子のニュース映像をアメリカ・マンハッタンのコンドミニアムの
 自分の部屋で旬は見た。
 総司は美女がこの上なく嫌いなので仕事に埋没し見なかったが、
 世間の騒ぎの中を颯爽と?立ち去ったように見える万里子を褒めてやる旬。
「やるな〜、万里子の奴。」
 旬は呆れつつ呟いたが、隠れ気味の横顔や去っていく後姿で胸がきゅっと痛くなった。
 赤ん坊の頃、万里子が晃と別れ、家を出る万里子の後姿、最近再会し、
 クリスに抱きかかえられさらわれた万里子の長い黒髪、
 そうして走り去る車の中の万里子の後姿。
 いつも去っていく姿ばかりが印象に強く残る。
 録画した万里子を繰り返し見つめる旬の大きな黒い瞳は記憶に万里子を
 植えつけようとするようだ。
「どーでもいい。キョーミない。」
 旬は自分に嘘をつきつつテレビを見てる。
「言ってる事とやってる事が違うぞ旬、お前、もう少し素直になれよなー。」
 晃とロバートもテレビに釘付け。
 可愛すぎる万里子を見てはうっとり溜息をついている。
 でも晃は万里子がどんどん手の届かない存在になりそうで悲しかった。
「ハ〜…俺の万里子がー…ぐす。」
 万里子と俺は再婚したんだ、なんていっても夢の中…、
 万里子はただ夢を見ただけだと思っているんだ、そう考えると晃の気持ちは
 焦りまくる。
 万里子が死ぬまで待ってられねえよー!!!!
 頼むからさあ、心変わりなんかするなよおー万里子ぉー…。
 晃が両手を組んで走り去る万里子の画像にお祈りする。
 俺が万里子を待ってても、あのクリスって奴を好きになったら、もう俺のとこには
 来てくれないよな…。
 晃の乙女心が200%を越えて涙が溢れた。
 溢れた涙が止まらずに涙涙でテレビを見る晃と、こちらも食い入るように
 何度も何度も繰り返し万里子の映像を見る旬の複雑な表情。
 桐生親子はどちらも情けない顔だった。
 アメリカから遠いロンドンで万里子が立ち去る同じ映像をクリスも自分の家で見ている。
 クリスも泣きそうな悲しげな表情だ。
 クリスの家には同じ映像を一緒に見ている男がいる。
 年は20歳くらいの銀髪の美青年のその顔は父・セオドア・スワンを
 若くした様にそっくり。
 クリスの弟でフランスに住むジョシュア・スワンがクリスの家に遊びに来ていた。
 というのは表向きで、父親から兄の様子を報告するように言われて来ている。
 テレビに映る美女にジョシュアも感嘆の声を上げる。
「兄さん、マリコは素晴らしく美しいですね。」
 クリスは弟が万里子に恋をする事を恐れた。男としてもあるが兄として。
「ジョシュア…彼女を見てはいけない。お前は彼女の魔力に近ずけさせなしないよ。」
 ジョシュアはちょっとくすっと笑ってしまった。
「兄さんはマリコを独り占めしたいんでしょう?」
「お前の身の為に言っているんだ。
 マリコに恋した者は皆が地獄の様な苦しみに悶え狂うのだ。」
 クリスは万里子が大勢の男たちの中で自分にだけ向けられた万里子の儚げな笑顔を
 思った。今も何度も思い出してはクリスを幸せにしてくれる万里子の笑顔…。
 

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さあ世界を征服しよう!−809 ローズの怒り

December 06 [Fri], 2013, 12:24
 いつかあの笑顔が奪われ、もう二度とマリコの顔を見られなくなる日が来たら…
 私はどうやって生きていけばいいんだ?
 悲しい顔で目を伏せるクリスの様子に弟は驚いている。
 銀髪のジョシュアには兄・クリスの言葉が冷酷な兄の本心とは思えないと
 耳を疑った。
「そんな恋は嫌だな。もっと明るい恋の方がいいよ。
 兄さんもそんなに悶えるくらいなら別れればいい。お父さんも安心するから。」
 真実の恋を知らない子供、クリスは冷たく揶揄する。
「…どんなに燃やされ焼かれてもあの炎を失いたくはないのだ。それが恋だ。」
「ぼくには分からないな。」
「そうだ。お前は苦しまなくていい。だから彼女を見てはいけない…。」
 金髪巻き毛の美青年・クリスは銀髪の美青年・ジョシュアにワインを注いだ。
 クリスも自分のグラスにワインを注ぎ、飲む。
 万里子の愛した男、桐生晃が脳裏に浮かぶ。
 自信に満ち溢れたあの男の表情が忘れられないとクリスは思う。
 マリコもあの男に溺れ殺すまでに愛し憎んだ。羨ましい…マリコが私に恋をし
 嫉妬で私を殺してくれるなら、ああ、そんなにまでマリコに愛されるなんて
 まるで夢のようだ…。
 うっとり夢想し、すぐに現実の苦しみが蘇る。
 あの男はマリコにそうまで愛された!
 だがもうあの男はいない。
 なのに何故こんなにまで不安なのか。
 もちろんそれは晃と同じ顔の甘栗総司が生きているから。
 息子の旬が二人を結ぶのを恐れている。
 クリスは何度も考えた。
 アマグリグループ…ソージ・アマグリを叩き潰して…奴をこの世界から
 追い落とさなければ…私は安心して眠れない…。
 クリスは晃に瓜二つの総司を追い詰めてできれば自殺させたいと願った。
 桐生晃によく似た男…いずれ万里子を奪うのではないかという不安が
 クリスの胸を黒くしていたが、皮肉な事にクリスのこの気持ちを誰よりも
 よくわかるのは当の晃だった。
 晃もかつて万里子が王子を愛したのではないかと苦しみ、燃える嫉妬の炎に攻め立て
 られ王子を殺してやりたいと願い、狂った。
 アメリカとロンドン、離れた場所でほぼ同時に同じように互いに対して嫉妬を抱く
 晃とクリスだった。

 同じ頃、同じロンドンではクリスの元恋人のローズ・シンプソンが
 テレビに映る社交界の女神・マリコの屋敷から出て来たクリスの映像が
 何を意味するか友人に聞きまくり腹を立てていた。
「クリスはマリコが好きなの?何故誰もこのあたしに言ってくれなかったの?」
「ローズ、あなたとクリスのトラブルを考えれば誰もあなたには言えないわよ。
 だってあなたもクリスの話はしないでって言ってたじゃないの。本当に勝手よね。
 クリスはマリコに夢中よ。マリコの結婚で失ってからは益々熱を上げてるって話だわ。
 もうあなたもクリスの事は割り切ったほうがいいわよ。」
「何を言ってるのよ、マリコは人妻でしょう?」
「でもね、もうあの二人関係があるって噂よ。」
 ローズは耳を疑った。
「本当なの?!!」
「噂だけど、だってクリスのあの美しい顔で言い寄られて落ちない女はいないでしょ?」
 ローズは電話を唐突に切った。
「何よ、だから結婚できないのね?相手はマリコよ?悪魔よ??
 許せない!!」
 クリスがハーバートと恋人関係だなんて、二人の過去を知っているローズは
 明かな嘘だとは思ったが、もし本当でも男ならまだいいかという気持ちがあった。
  

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さあ世界を征服しよう!−810 宇宙船消滅完了

December 08 [Sun], 2013, 12:20
 男に寝取られればまだなんとなくゲイになったんなら仕方ないと割り切れるが
 自分と同じ女で、それも明らかに自分より遥かに美しい女に奪われるなんて!
 クリスの面食いはちっとも治っていないじゃないのよと、ローズは部屋中を
 ぐるぐる歩き回って、目に付く物を壁に当てた。
「何よ!あの女は権力者に取り入る魔物よ!クリスは魔物に騙されてるのよ!
 絶対に嫌!あんな女にクリスを渡したくなんかない!!」
 ローズのライバル心に火が点いて、嫉妬で怒りが燃え上がった。
「絶対に取り戻して見せるわクリス!!」
 ローズは両手を握って金切り声を上げた。
 美しすぎる万里子の魔力はあらゆる人々に影響を与える。
 万里子自身はひっそり生きていたいだけなのに。

 月明かりの真夜中の海に貨物船と小型の船が並んで停まっている。
 よく見ると貨物船と小型船の人々が海上でたくさんの荷物を受け渡しているようだ。
 二つの船には大勢人がいるのに誰も話さないので、波の音がよく聞こえる。
 色々な種類の荷物の他に、黒いボートの様な物もある。
 暗闇に灯りを灯して手際よく取引は行われ、貨物船に乗る側の旅団の使者は
 暗闇の中で顔を半分白い包帯で巻いたスーツ姿に金髪のスリムな男と向かい合い、
 挨拶もなくアタッシュケースをその男に直接渡した。
 金髪の男はジュード。旅団との武器取引再開で自分が手配している。
 ジュードはアタッシュケースを開けてたっぷり詰まった現金を見て頷いた。
 海上警察にも見つからずに取引成功だ。
 久しぶりの取引をジュードは旅団の友人ジオの取り成しで仲介者なしの
 直接取引する事で媒介手数料を支払ずに儲けを手に入れたのだ。
 荷物を移し終えると暗闇で手際よく二つの船は別れて、ジュードは無事取引を終え
 今のアジトに帰って行った。
 ジュードが最も危惧し、早く手元から離したかった新兵器を売り払い、
 金と心の安心を手に入れてほっと安堵している。
 これでもうオレは安全だ…。
 帰りの船の中でジュードはあの新兵器がその後どう使われるか、少しだけ考えた。
 だが、オレの知らぬ事だ。ジュードは良心を失いつつあった。
 武器を積んだ貨物船はその後国境を越えて別の国から自国に新兵器を持って帰った。
 いつものルートで無事にアラブ圏の旅団の首領に新兵器が受け渡され、
 旅団の首領はこれで世界を手に入れると考えた。
 首領は予想より随分小さな見た目に少しだけ不審な顔をしたが、
 その破壊力は分かっているので手に入れた宝に胸躍らせた。
「これがあの凄い武器か。さっそく威力を自分の目で確かめたい。
 砂漠で試運転しよう。」
 部下達は頷き、旅団の首領に武器の威力を見せようと軽い新兵器を青い空の下、
 砂漠と赤茶の禿げた山を背景にしたアジトとそう遠くない場所にトラックに乗せて
 持って行った。
 取れた車の屋根の代わりに新しい屋根が取り付けられ新兵器は黒く塗られていた。
 旅団の一人が横嶋の宇宙船の電源を入れると新兵器はふわっと浮いて、
 皆驚いて歓声とため息が漏れた。
「これ以上は飛べなくなったそうです。」
 懸念する部下より首領の方が前向きだった。
「あの超兵器なら飛ばなくても地上で使えば十分だ。」
 砂漠に黒いボートが浮いていて、その周囲にターバンを巻いた男達が集まり
 見ている前で新兵器の砲台が真上を向いた。
 そうして部下が簡単に書いてある説明を見ながらスイッチを入れた。
 横嶋自慢の武器の真上に青く晴れているのに雲が集まり、青空の中に渦を巻きだした。
 旅団の首領達はめったに見られない不思議な光景に驚き歓声をあげる。
「オオオーッ!」
「凄い!」
 そして黒く塗られた新兵器が震えだし、そこに居合わせる男たちは恐れと不安で
 目を凝らして待った。
 ガルガルガル、何かが引っかている様な音を立てながら光線砲は、放たれた。
 光線砲のパワーがチャージされて放たれる銃砲の中に仕込まれた核爆弾が吹き飛び、
 光線砲を発射した瞬間新兵器は膨れあがり、凄まじい熱量で蒸発し、
 特殊合金の秘密と共に全てが消えてなくなった。


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お礼書き忘れてたあ〜、
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チョー嬉しかった〜。もうないと思ってたし。
御褒美頂きましてやる気上昇しました〜。
っていってもそろそろ終わるんだけど・・・
ついに最終回までもうちょとお付き合いくださいませ。
P R
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