さあ世界を征服しよう!−704 心から万里子を求めている

July 01 [Mon], 2013, 12:20
 大勢の男達は社交界で見知った紳士ばかりだ。
 男たちはマリコに会わせろと一斉に大声で連呼しシュプレヒコールを上げている。
「マリコ!マリコ!麗しい夫人に一目会わせてくれ!」
「マリコが帰って来たと知っているんだぞ!ハイツファイザー伯爵!
 この門を開けてくれ!今こそ私怨を捨てて我々の女神をみんなで守ろう!」
 男達は門を開けろ、中に入れろ、万里子に会わせろと声を合わせて叫んでいる。
 見苦しく喚く男たちを見て、クリスは驚いた。
「これは…。」
 その様子に驚きすぎてクリスの美しい顔はあどけない表情になった。
「なんと言うことだ…。」
 かつて万里子にのぼせる男たちを見苦しいと嘲笑ったが、今すぐ車を飛び降りて、
 恥も見栄も捨ててあの男たちに混ざってマリコに会わせろと叫ぶのに
 躊躇わないであろう自分に驚いた!
 今のクリスはむしろマリコに会わせろと叫びたいのだ。
 古いレンガの壁と重い門の向こう緑の合間にハイツファイザーの屋敷が見える。
 マリコ…。
 あの屋敷に万里子がいると思うとクリスの胸は熱くなる。
 そうして車を降りたクリスは後ろから大勢の人々に混じって行き、
 その人々を肩を押してかき分け入った。
「クリス?」
 リムジンから降りてふらふら行ってしまったクリスを追いかけ、ハーバートも
 車を降りて男たちに混じる。
 男たちの中に金髪巻き毛が飲まれていくのに手を伸ばす。
「クリス!」
 クリスの背中を見つめるハーバートの目の前でクリスは心の思いのまま声を上げた。
「マリコ、マリコに一目会わせてくれ!!」
「クリス…。」
 冷静でプライドが高いクリス、これが俺の知るクリスと同じ人間なのだろうか?
 そうハーバートは驚き、クリスも我ながら驚いていたが、
 もうプライドなどどうでもいいと思った。
「マリコ!マリコー!!」
 大勢の男たちに混じってクリスは叫んだ。万里子に逢いたいと。

 門の向こうの古いお屋敷ではハイツファイザーが使用人と話している。
「だんな様、いくらお願いしても誰も帰ってくれません。
 それどころか騒ぎが大きくなってきました。」
 使用人は屋敷の門前での騒ぎを報告し、ハイツファイザーは困っていた。
 それを後ろで聞いていた万里子がハイツファイザーに言う。
「あなた、皆様にご心配をかけてしまって申し訳ありませんから、
 わたし御挨拶に行ってきます。」
「う、マ、マリコ…。」


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さあ世界を征服しよう!−705 門は開かれた

July 03 [Wed], 2013, 12:33
万里子が寂しそうな笑顔でそっと部屋を出て行こうとするので、
 伯爵は慌てて制した。
「あなた?」
 外の連中はそれこそ万里子が出てきたならみんな大喜びだろう、
 皆を喜ばすのが悔しい伯爵は言い逃れる言葉を捜したが、
 万里子の可愛らしい顔を見ていると自分を悪く思われたくない気持ちに負けて
 観念した。
 外の餓えた野獣に無防備なマリコを出すわけには行かない。
「いいえ待ってください。門外にはマスコミも大勢います。
 貴女が顔を出せば良い餌食になってしまう。それにせっかくいらしてくださった
 お客様ですから、屋敷にお招きしてきちんとした形で皆様にご挨拶した方が
 失礼のない形になると思います。」
 伯爵としてはマスコミも嫌だが、何より門外に集まるライバルたちが、
 万里子が出てきて大喜びになるだろう事が何より不愉快だった。
 屋敷に集めて、マリコを近寄らせないように遠くで挨拶させましょう。
 ちょっと遠目でもマリコの顔が見れるのは嬉しいでしょう?
 誰も近寄らせないようにするにはどうしたらいいか?
 できるだけ万里子に近寄れない準備をしようと考えた。
 それからハイツファイザーは側に控える使用人に命じた。
「外にいらっしゃるお客様たちを招いて夜会を開きましょう。
 準備を終えるまでお客様には庭でお茶でもお出ししなさい。」
 使用人達は夜会の準備に走りだした。
 
 屋敷の門前での騒ぎをテレビカメラが映している。
「マリコ!マリコ!マリコ!!」
 門に集まった男たちが一斉にマリコと叫んでいるのを撮影し、
 社交界の女王であり、今回の事件のヒロインがいったいどれ程美しいのか
 詮索したり、資料を集めたりしてニュースに間に合わせようとしている。
「ご覧下さい、伯爵夫人に憧れる紳士たちの必死の様子を。」
 リポーターが呆れ気味にコメントをしている。
 上から見ると人だかりの中に特別美しい青年の顔が見える。
 必死な表情でクリスも叫んでいると、門が静かに開かれた。
「おお。」
 叫んでいる男達は思いがけず門が開いたのでみんなどよめいた。
 大きく開かれた門をマスコミのカメラもフラッシュをたいて映している。
 カシャカシャという連射の音とざわめきの中、
 使用人はそこに来ている貴族や権力者たちに両手を広げた後、静かに話し始める。
「皆様、長らくお待たせして申し訳ございません。どうかお入りください。
 夜会の準備が整うまでお休みくださいと、旦那様と奥様がお招きしています。」
「おお、マリコ!やはり戻っているんだな!」
 それには何も答えず、 手で屋敷の庭を指し示し穏やかに急遽開かれる夜会に招いた。
「マリコ…。」
 紳士達は感動し、大きく開かれた門の中にゾロゾロ入っていった。
 ふらふらと男たちに混ざってクリスとハーバートも女神がいるであろう
 夜会へ幻を見るような思いで開かれた門から庭を歩いて行く。
 お陰でクリスは男達に紛れて本来なら追い出されそうなところを屋敷に潜入出来た。
 クリスも、そしてどさくさに紛れてハーバートも中に侵入した。
 そして貴族たちが全て入ると門は再びガシャンと固く閉められた。

 

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さあ世界を征服しよう!ー706 旬、早く来い!! 

July 04 [Thu], 2013, 12:19
 森の屋敷ではホワイトハウスから戻った男達が順番でシャワーを浴び、
 血のついた服を着替えてリビングや部屋や屋敷のあちこちでくつろいでいた。
 ソファーや床でゴロゴロしながら食事をしている者もいる。
 テレビニュースを見ながらホワイトハウスでの武勇伝を話して盛り上がり、
 テレビニュースでワシントンの再々の攻撃でテレビクルーと連絡がつかず、
 行方不明になっていると説明するキャスターを笑っている。
 脱出したレオン達の動向情報は何も言わないので上手くいった様だ。
 そこに話の済んだレオンとジュードが揃ってやってきた。
 ジュードがピーッと口笛を吹いて、その音で部下達は振り向いた。
 包帯を巻いたレオンといつも通りスーツ姿のジュードが並んでリビングに入った。
 そしてレオンはその辺で休んでいる部下に命じる。
「みんなを呼んできて。ボクらはすぐにこの屋敷を引き払う。」
 それで命令された部下はリビングやキッチンで休んでいる部下たちを呼び集めた。
 ゾロゾロと男達が集まり、レオンが今後の話をする。
「今晩ボクはメキシコに向かう。このアジトは引き払うから全ての証拠になる物を
 集めてトレーラーに乗せるんだ。新しいアジトはジュードが決める。
 とりあえずオハイオの別荘に向かってくれ。夜までにはホワイトハウスの連中を
 脱出させるつもりだ。ホワイトハウスの連中は一度ニューヨークへ戻す。
 お前はもう一度ワシントンを爆撃したらオハイオの別荘に飛んできてくれ。」
 レオンはパイロット役の側に歩き、肩を叩きつつ話を進める。
「トレーラーの印象を変えるから急いでトレーラをペンキで塗り替えてくれ。
 そう、適当でいいからラブ&ピースとか、温暖化ストップとか、
 何かのスローガンを書いてカモフラージュしてくれ。
 ボクは南米からヨーロッパに向かう。その後は顔を変えてロンドンに潜入する。
 ボクの潜入先が決まったらお前達も来てくれ。ヨーロッパに支部を作るつもりだ。
 ホワイトハウスは壊しすぎたから、もう要らない。ホワイトハウスの奴らに命じて
 核爆弾で吹き飛ばすつもりだ。夕方にはライオットの迎えのボートが来る。
 ボートから船に乗り換えて夜にはメキシコに間に合わせるから急いでくれ。」
 命令されて部下達は一斉に動き出した。
 その部下たちの中にスリムな美形の日本人と栗色の巻き毛の白人が混じっている。
 動き出した部下たちを見回すレオンとシュードのすぐ側に立っても
 二人の姿には気がつかない。
 二人はレオンにも部下たちにも見えない存在だ。既に死んでいるからだ。
 晃とロバート、二人は屋敷に潜入し、レオンとジュードの計画も聞いていた。
 晃がレオンに向かっていうように話してもレオンは無反応だ。
「こいつにクリス・スワンが誘拐されようが殺されようが俺にはどうでもいいけど、
 それが万里子を奪う為に利用されるんなら絶対阻止する!」
 厳しい表情の晃に、ロバートも同じく厳しい顔で頷く。
「ああ、マリコが何故この男と話を決めたか分からないが、
 マリコを犠牲にはさせない。アキラ、旬を探そう。」
「ああ、あのクソガキは敵を倒さない限り逃げるような奴じゃない。困った話だけど…。
 父親としては…来てほしくない…だけど万里子を助けてもらいたい…。
 今の俺にはあいつだけが頼りだ。」
 そうして二人は同時に飛び上がり、屋敷の外へ飛んで行った。


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さあ世界を征服しよう!−707 行くぞ!!

July 06 [Sat], 2013, 11:20
 横嶋の車は森に入り、山道のような荒れた道を走って、ある程度の距離で止まった。
 そろそろ危険水域だ。オンボロ車のエンジン音が並外れてデカイから
 音で人が来たとバレないように用心しなければいけない。
 車の周囲は深い森。エンジンを切って、だらだらする横嶋と旬。
「あっちはどう〜だ〜?」
「ああ、…ん?」
 旬がずっと見ているポータブルモニタに映る偵察カメラからの画像はレオンが
 戻って来て以降、動きはなかったが、屋敷から突然男達が大勢出てきた。
 その男たちは20人以上はいる。
 数人が大型トレーラーの周囲を見ている。
 他の連中はコンテナの扉を開け、一人がコンテナに入ると、屋敷の扉を開けたまま
 固定し、屋敷の中からなにかの荷物を持って来た他の男達が、荷物を担いで
 トレーラーのコンテナで待つ男に渡して積み出した。
「何ー??」
 小さな画面の中、男達が荷物を持ってきては積んで行く。
 旬は焦った…あいつ、このアジトを引き払う気か?
 レオンの行動は計画性がなく、思いつきで突然始めるので、旬には読めない。
 モニタ画面では他にも数人が倉庫に入って行った。
 倉庫には車もあるが新兵器がある。危険なシグナルだ。
 新兵器をもしも、またどこかに予想外の場所に持っていかれたら、
 今度また新たにそこを探すのが大変だし、
 最悪、国外に隠されたらもう見つからない!!俺の作戦は失敗だ!!
 手際よく動く男たちに焦る旬は苛立つ気持ちで怒鳴った。
「ふざけやがって!!あいつら引越し準備を始めたぞ。もう夜まで待ってられない!」
 旬は車のドアを開けて横嶋に命令した。
「おい、ぐずぐずするなっ!行くぞ!!」
「怖え〜〜…。」
 運転席でだらっとしていた横嶋はまた旬が怒り出したのでビビッている。
「お前、何怒ってるんだ〜〜。」
「俺の物を勝手に持ち逃げされて堪るかよ!!!」
 外に出て、田舎道の石ころを蹴り上げる旬。
 俺の物って、お前はハンスを殺して奪った強盗じゃねえか、と思っても言わない横嶋。
 何しろ旬が凄まじく怖い性格だという事はさすがによーく分かっている。
 多少の理不尽は我慢だぜ〜。怒らすともう遊んでくれないかもしれないからな〜〜。
 俺様大人〜〜。
 横嶋がエンジンを止めて車内を出ると、車のキーを旬に渡そうとして、
 差し出した旬の手にキーを落とす前に聞きなおす。


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さあ世界を征服しよう!−708 来たな、クソガキ!

July 07 [Sun], 2013, 12:17
 イライラしている旬は自分が差し出したのにすぐにキーを渡さない横嶋にムカツク。
「ほんとにお前初めてで運転できるのか〜?」
「ふん。」
 鼻で笑って、旬の聡明な目がじっと横嶋を睨む。
「ああ、晃のも先生のもお前のも運転する様子は見てきたから出来る。」
「そうかよ。」
 横嶋は深くは追求せず、車の後部座席を開けて持って来たガラクタの中かから
 大きなリュックを取り出し背負った。
 山登りにでも行きそうな大きさのリュックを旬は見る。
「なんだそれ?」
「状況次第で必要になるかもしれねえアイテムだ〜。」
「ふーん。」
 旬と横嶋は車の横に立ち、深そうな森を見回す。
「方向はこのまままっすぐか?」
「ああ、ここからだと結構歩くぜ。だが俺も空から見てきただけだから実際
 どれだけ歩くか人間の足は計算してねえ〜。最悪、屋敷からこの車まで
 20分くらい走れるか〜?」
「走るよ。途中で罠も仕掛けとくか。
 まあ、俺はレオン達を殺せば逃げる必要もないけどな。釘かなんかあるか?」
「ああ、あるぜ〜。」
 横嶋は後部座席を開けてごそごそ探すと釘を旬に渡し、旬はジーンズの後ろ
 ポケットに差し込んだ。
 いよいよ攻撃開始だ。旬はちょっとワクワクしている。
「よし、携帯の音消せよ。お前は屋敷の裏に回って僕が騒ぎを起こしたら
 静かに倉庫に入って宇宙船を奪ってくれ。僕は殺されないから
 どんな騒ぎでも絶対に気にするな。あの宇宙船さえなかったら奴らには
 世界征服はできない。」
 そうして二人はそれぞれ二手に分かれて森の木々に隠れながら歩き出した。

 森の屋敷を飛び出た真上の上空では晃とロバートがそれぞれ少し離れた位置に
 浮遊した状態で空中から森の屋敷と周囲の様子を見ている。
「旬は見えた?」
「いいや、そっちは?」
 万里子を救いたい晃は旬の到着を待っていた。
「まだだ。旬の奴、何やってんだ。俺あっち見てくる。」
「ああ、俺も…。」
 二人はそれぞれ森の上空を少し低く飛んで、旬の姿を探した。
「夜まで待つ気か?それじゃ遅いんだ旬!!」
 晃は独り言を言いながら森の木々の下、旬の姿を探す。
 旬は決めたら絶対にやるガキだ。どうせ来るならレオンをやっつけて万里子を
 救い出してほしい晃は空中から目を凝らして下を見た。
 すると緑の森の中を小さな人影が見えて晃の顔に笑顔が沸く。
「旬!!来たな、間に合った!!」
 晃は右手の拳を握って肘を90度に曲げた格好で後ろに何度も引いて
 ガッツポーズを繰り返し、喜んで旬の側に静かに下りていった。


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ええじゃあね〜か〜。
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