さあ世界を征服しよう!−300 断罪

December 02 [Fri], 2011, 11:42
「ああ、俺は天才。」
 旬はギラギラした目で万里子を睨みつけながら口元は皮肉に笑う。
「お前が俺に生まれる前から腹を叩いてしんでくれって言ってたのも知ってるよ。
 俺をゴミだと言ったのも知ってる!俺をクッションで窒息死させようとした事もなー!
 なんで今さら来た!おまえは俺を捨てたんだろう!今さら何が狙いだっ!」
 旬の万里子を睨む目は万里子の父親に驚くほどそっくりだった!
 恐れていた事が現実になった万里子は旬に怒鳴られてガタガタ震え出した。
「…私が行かないと…あなたが殺されるか…売られるって聞いて……。」
「くだらないなーっ、今さらなんだっ!お前が捨てたからこうなったんだっ!
 俺は日本でも援交してたんだ!今さら売春なんてなんてことないぜっ!
 それだってお前のせいだ!おまえが俺をこんな風にしたんだ!
 全部お前が俺を捨てたからだ―っ!」
 そして旬は万里子のやたら弱々しい腕を軽くひねった。
「きゃーっ!」
 とっくに限界がきていた万里子は恐怖と罪を責められる痛みで目眩がし、
 幼い頃の思い出がフラッシュバックした。
 部屋中に飛び散る血。燃える炎。真っ黒に焼けた黒いマネキン。
 旬の悪魔の様な眼は、万里子が最も触れられたくない罪を責める。
 子供を捨てた、子供を殺しかけた、そしてお前の血は汚れた売春婦だ、
 そう激しく責めたてた。
 もうひとつ、お前のせいだ…旬は知らないがこの言葉は万里子を狂わせる
 トラウマの言葉だ。万里子は母にも父にも全く似ていない。
 母親はキレイな女性ではあったが万里子とはタイプが違った。
 誰にも似ていない万里子を父親は俺の子じゃないと責め、
 母はある日、首を切って自殺した。
 万里子が学校から帰って部屋中に飛び散った血で真っ赤に染まった母の死体を見た。
 父親は母の死を全て万里子のせいにした。お前のせいで母親は死んだ。
 お前が生まれたせいで、お前のせいで、お前のせいで、
 お前が晃を殺した!お前が母親を殺した!
 旬の目と父親の目が重なって血濡れた母の死体と晃の死体が万里子にはっきり見えた。
 万里子は罪を責め立てらて頭をくしゃくしゃと掻き毟って悲鳴を上げた!
「いや――――っ、お母ーさーん!」
 万里子は小さな頭を赤ん坊がイヤイヤをするように振って泣き騒ぎ、
 白い手を振り上げて旬の顔をパシパシと叩いた。
 そうそうこんな感じ。…旬は昔を懐かしく思い返しつつ、
 旬は万里子のその手を掴んだまま更にギュッと捻じ伏せ、
 万里子は痛みできゃーと言って膝を折って座り込んだ。
 旬は容赦なく万里子の腕をひねり続け万里子は身体が痛みで傾いた。
「何をする!シュン・キルユー!」
「止めろ旬!万里子が可哀想だ!」
 男はみんな万里子の味方だ。
「今更母親面するなー、さあ、行け、もう二度と俺にその顔を見せるな―!
 今度俺の前に顔を見せたら俺がお前をころす!」
 そう怒鳴ると旬は万里子の手を離し向こうへ止まっている車を差し示した。
 旬は車内にいる奴にも万里子を迎えに来いと合図のつもりで指を差したが、
 しかし遂に万里子はショックで気絶しその場にふぁさっと倒れてしまった。
「あれ??」
 旬は万里子が気絶してしまったので驚いた。…おかしい、弱すぎる??
 旬は赤ん坊の頃の万里子のヒステリックな喚き声しか知らないから
 気の強い女と勘違いしていた。
 あの時の万里子が精神的におかしく本来の万里子ではないと晃も旬も知らなかった。
 どうしたんだこいつ??俺が怒鳴ったら万里子が怒って昔みたいに俺を殴って、
 あんたなんかしんじゃえばいいのよって懐かしの台詞を吐いて戻れば
 交渉失敗の予定だったのに、なんでこいつ倒れてるの?
 万里子を怒らせ自分を見捨てさせるはずだったがどうやら失敗したようだと
 旬は自分の計画が思わぬ展開になった事を後悔した。
 気絶した万里子にアマデウスが飛びついて必死で抱き上げる。
 そしてもう一人凄い勢いで発車した車から飛び出してきたクリスが叫んだ。
「マリコ―――――――――――ッ!」



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さあ世界を征服しよう!−301 万里子を守る豹

December 03 [Sat], 2011, 11:42
 万里子と旬の再会を遠くから見ていたクリスは、旬が万里子を捕まえたすぐに
 突然万里子が倒れたのを見て叫んだ。
「マリコ―――ッ!!」
 そして同じく衝撃を受け一瞬呆然とするハーバートの肩を叩き怒鳴りつけた。
「出せ!車を出せ!!何をしている早くしろハーバートーッ!」
 クリスに命じられるのと同時にハーバートは車を一旦バックさせハンドルを
 一気に切って爆走した。
 万里子が倒れたその場所へ万里子が乗ってきた車が走って来たのを
 川沿いのボートで待機しているアマデウスの部下が見てどよめく。
「見ろ、マリコの使用人が来たぞ!」
「ボスはどうした?」
「すぐ駆けつけられるようにボートを降りろ。
 使用人にマリコを連れ戻されたら俺達が殺される!」
 アマデウスの部下達が血相を変え急いでボートを降りていく。
 そして車内ではハーバートがカンパニーの狙撃手に命じる。
「すぐ奴を射殺しろ!」
 アマデウスを狙う狙撃手はライフルをずっと構えているが
 ターゲットスコープからターゲットのアマデウスが万里子を抱き上げ
 万里子と交錯して落ち着かないので撃てない事態だ。
 あの美女にもし毛程の傷でもつけたらグループリーダーが
 死を持って責任を取るよう言われている。
 しかしクリスは大声でハーバートを制止した。
「ダメだ!マリコに当たる!まだ撃つな!合図は私がする!」
 急いでハーバートは命令を撤回する。
「待った!まだ撃つな!クライアントの合図を待て!」
 命令が錯綜し一旦ライフルの引き金を引こうとしていた狙撃手はその指を止める。
 キキキーと急ブレーキをかけてハーバートがやや回転気味に車を止める間際、
 いや完全に停車する前にクリスはドアを開けて飛び出た。
 身体が車体に斜めになりかけたが凄い瞬発力でクリスは前のめりに駆け出した!
「マリコ――――――――――――――ッ!!!!」

 花が零れる様に儚く倒れ落ちた万里子にアマデウスは慌てふためき必死で抱き上げた。
「マリコ!マリコ!どうしたんだ?」
 華奢な身体に腕を回し初めて最愛の女を抱き上げる感動よりもショックの方が大きい。
 完全に意識を失い身体から力が全く無くなった万里子の頭を優しく支えても
 仰け反ってしまいまるで死んだように見えた。
 アマデウスは驚くべき事に動転しすぎて、車が走ってきた音が聞こえず
 万里子を暴行された怒りで走ってきたクリスに全くもって気付かなかった。
 心の裂ける苦しみ、罪を責め立てられた恐怖で意識を失った万里子をかき抱き
 必死で揺すって名前を叫んだ。生まれて初めて誰かの為にこんなに心配した。
「マリコ!マリコ!マリコーッ!!」
 力なくぐったりする万里子に呼びかけるが
 万里子は汗をかいて息も小さく真っ白でふるふる震えて目を開けない。
 このまま心臓が止まって死んでしまうのではないかとアマデウスが恐れたその時、
 クリスがアマデウスに迫った!
 クリスの姿はまるで普段は飼いならされた豹の鎖が解き放たれて
 敵に飛び掛る様だった。
 実際に全く無駄なくまるで豹の様な身のこなしでクリスはアマデウスに駆け寄り
 豹が獲物の首に一撃を加える如く両手をアマデウスの頭にあて
 力いっぱいガンッと押しやった!
「ぐあああああああ!??」
 クリスはアマデウスの首をへし折る勢いで力を込めたので
 万里子を抱き上げ必死で呼びかけていたアマデウスはクリスの突進に気がつかない
 まま急所にいきなり打撃を食らった。
「う、うううう!??」
 ハンマーで殴られたような衝撃を突然頭と首に受け、
 みっともなく転倒したアマデウスは障害がある方の膝を不自然な形で
 体重を乗せて倒れた。
 
 夢中で万里子の名を呼ぶアマデウスに対しクリスは明らかな殺意を持って
 アマデウスの頭を両腕で強く、首の骨を折ってやるつもりで押しのけた。
 ほんの少しでも万里子に触れられたくない!
 クリスは自分の手でこのチンピラを殺してもかまわない憎悪を抱いた。
 押しのけられたアマデウスの腕から再び地面に倒れる万里子を
 身体全身で覆う様したクリスは気絶した万里子を抱き起こし
 誰にも渡さないという強い意思力で奪い取った!
 すっかり万里子に夢中で油断していたアマデウスは地面に倒され
 転がりながらこの突然現れた男に上体を起こしながら怒鳴る。
「貴様?何者だーっ!?」
 アマデウスの目は本来の悪魔の目。
 しかしクリスもまた悪の心に染まる者。クリスはアマデウスに言い放った。
「マリコは私のモノだ。貴様などには渡さん!」
 そして一瞬旬に視線を移す。


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さあ世界を征服しよう!−302 一瞬の敵意・旬とクリス

December 05 [Mon], 2011, 11:35
 突然現れてアマデウスを倒した金髪美青年を旬は平然と見下ろしている。
 一瞬クリスの青い目が旬をも憎悪の目で睨み、
「よくも私のマリコを!許さないぞシュン・キルユー!」
 旬もまたクリスを悪魔の様な眼で睨みつけた!
 そしてクリスは右手を高く上げて命令を待つカンパニーに号令した。
「殺せ!皆殺しにしろ!」
 旬はそう言うクリスを冷たく見つめる。…なんだこの野郎…。
 クリスは万里子にそっくりな旬に、しかしなんらの愛着も感じず、
 それどころか目を合わせた一瞬で強い敵対心を抱き、
 旬をこの世から消し去る事を躊躇う気持ちはほんの少しも湧かなかった。
 カンパニーのグループリーダーはクライアント・クリスが合図の手を高く上げたのを
 確認し、狙撃手チームと別に待機する二つのチームに戦闘開始を命じた。
 狙撃手が全員ライフルを構え敵を捉えなおす。
 クリスは命令と同時に殺戮が始まる場から羽のように軽い万里子を抱きあげ
「クリス!早くこちらへ!」
 クリスのすぐ後から続いたハーバートが銃をパンパンとアマデウスに
 威嚇射撃し援護する合間に車へ走った。
 この様子を見ていたアマデウスの部下達も飛び出した。

 その頃万里子と旬の様子を好奇心いっぱいで観察していたレオンが興奮して
 喚いている。
「おいおい、なんだアイツ?凄いハンサムが飛び出してきたぞ!
 まさかマリコの男か?ねえ、ボクとどっちがイイ男?」
 同じくクリスの登場に驚きながら写真を撮るジュードは適当に応えた。
「似たようなもんだろう。しかしこの顔、どこかで見たことがある?俳優か?」
 ジュードはカシャカシャ写真を撮り続けた。 
 アマデウスの部下はクリスにボスが倒されたのを見てうろたえ騒いだ。
「ボスがやられてる!」
「ボスを助けろ!」
 ボートに残っていた部下達も陸に上がり全員が銃を撃って応戦しようとしたが、
 しかし今度はアマデウスに分が悪い。
 クリスに抱きかかえられている万里子に流れ弾が当たってもし怪我でもしたら、
 そう思うと部下に撃てと命令できなかった。
「待て撃つな!マリコに当たる!」
 後ろから迫る部下が撃つのを両腕を広げて止めようとしたその時
 ハーバートも愛するクリスと万里子を守る為に盾となってアマデウスを阻んだ。
 アマデウスが銃を懐から出そうとするとハーバートはアマデウスの引きずる
 足元に銃を打ち込み、銃弾を避けようとしてアマデウスはまた態勢を崩し転がった。
「クリス急いで!」
 ハーバートの後ろでクリスが万里子を車に押し込み、ハーバートを呼んだ。
「来い!」
 ハーバートも走り車に乗り込むと一気にバック・ターンして爆走して行った。
「マリコを返せっ、私の妻になる女だーっ!」
 儚い夢が消え去った。
 目の前にいた万里子があっという間に連れ去られる。
 愛という初めての感情がアマデウスの判断を狂わせた。
 旬は現れたクリスに抱き上げられ連れて行かれる万里子の長いウエーブの掛かった
 髪を見ていた。


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さあ世界を征服しよう!−303 万里子とお別れ

December 06 [Tue], 2011, 11:35
 クリスの腕からほんの少しだけ万里子の力なく仰け反った横顔が見える。
 旬は万里子の姿を自分の目に、心に刻みつけようと一生懸命その横顔を凝視した。
 記憶から消えないように。死んだ後でも…。
 赤ん坊の頃見たくもないと俺を無視した万里子がほんの一時俺を見てくれた。
 俺の名前を呼んで俺に話しかけてくれた。
 もう永遠に会う事はないと本気で思っていた万里子と会えたからいいと旬は思った。
 赤ん坊の頃最後に見た万里子と、連れ去られる万里子が重なる…。
 万里子…。
 酷い再会と酷い別れ…。
 万里子を帰した今、死を覚悟している旬はこれでもう二度と会うことは無いと
 万里子の姿を悲しい思いで見届けた。
 万里子を乗せた車が走り出した。
 旬の大きな黒い瞳が万里子を連れて行く車を見送る。
 その車内ではクリスが万里子を大切に抱きしめていた。
「行けハーバート!空港に急げ!」
 クリスは腕の中の万里子が小刻みに震え本当に弱々しくて涙が溢れた。
 こんなにか弱い万里子をあんな汚らわしい奴らの前に晒し
 怖い思いをさせたと思うと可哀想で可哀想で仕方なかった。
 万里子の細く華奢な柔らかい身体を抱きしめ、
 そのぬくもりが失われたかもしれない恐怖でクリスは心臓が痛む。
「絶対に許さない、シュン・キルユー!絶対に許さない…!」
 目を閉じたまま万里子を抱きしめてクリスはずっとそう呟き続けた。
 クリスはアメリカを離れ、急いで万里子を世界で一番安全な小王国に連れ帰ろうと
 飛びたてるように手配していた自家用機のあるJFK空港に向かった。

 晃はこれがどういうことなのかさっぱりわからず慌てふためいているうちに
 万里子を奪い走り去る車を見て叫んだ。
「ま、万里子――――――っ!」
 旬のせいで万里子が倒れて、晃も必死で万里子の名を呼んでいたその晃の目の前で
 万里子を抱き上げ連れて行った男に衝撃を受けている。
 万里子、誰なんだその男は?!
 王子の存在を恐れていたのに晃から見てもハンサムな男が万里子の側にいた。
 そんな事を考えている場合ではないのに晃は混乱してしまった。
 アマデウスも必死で這いあがり何故か逃げない旬に飛びついて吠えた。
「マリコがーっ、あと少しで私の妻になるはずだったのに!
 貴様っ、よくもあんな真似をしでかしてくれたなシュン・キルユー!」
 怒りで顔が歪むアマデウスに揺さぶられても旬はクールだ。
「ふん。恨み事が溜まってたもんでね。」
 旬はヘーゼンとして言ったがしかしそれどころではなかった。
 クリスを乗せた車が立ち去った途端に入れ替わりに黒い車が走ってきて
 クリスと万里子を乗せた車を守るように前をふさぎ、
 止まった中から黒いスーツの男たちが現れ撃ってきたのだ。
 クリスは最初から万里子を取られる気はなかった。
 万里子がどうしても行くというので仕方なかっただけで、
 本気で旬を助けたい気もなく、とにかく万里子を奪われるものかと、
 アマデウスを殺して万里子と旬を力ずくで取り返す気だった。
 しかし愛する万里子にした旬の行動はクリスの逆鱗に触れ、
 旬をこの場に残してアマデウスだけでなく旬も殺す事にした。
 黒い車から現れた数人の黒いスーツ姿の男達の中に晃を殺した暗殺者がいる。
 晃は自分を殺し、旬を殺そうとした男達の顔をはっきり覚えている。
 晃は旬を守る為に総司の体を乗っ取ってこの男と戦ったから間違いない!
 暗い公園の木陰で無表情で旬の胸にナイフを突き刺そうとした男!
 あの夜の男達が旬に再び迫る!


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さあ世界を征服しよう!−304 殺戮

December 08 [Thu], 2011, 11:32
「あ、あいつは俺を殺した奴ら……?」
 晃は一瞬頭が真っ白になった。
 万里子の光輝く姿、万里子を自分のモノだと言った金髪の男、あの男は…誰なんだ?
 そして自分を殺した者達の登場……どういう事なんだこれは万里子?!
 クリスが現れ万里子を連れ戻し暗殺集団が防御するまで実際にはあっという間だ。
 黒服の男が撃ってくるのにアマデウスの部下が応戦しアマデウスの部下達との間で
 一斉に銃撃戦が始まった。
「ボス!早くボートに!」
 アマデウスの部下たちがボスを守ろうとアマデウスの前を塞ぐ。
「チッ、あの女…こういう手はずだったか…。」
 旬はここで死ぬんだなと考えたが、しかしアマデウスが旬の腕を引っ張った。
「お前は逃がさん!」
「……。」
 旬はアマデウスと一緒にボートへ走った。
 しかしクライアントが立ち去ったのを確認したすぐ後に隠れて狙っている
 狙撃手チームが一斉に標的を撃ち込みだした。
 アマデウスの部下の一人が突然頭を吹き飛ばされる。
「あああああああああ!」
 前から撃ってくる黒服からではない別の弾道から狙われて部下が無様に倒れる。
「わーっ、旬!旬――――――っ!」
 晃は万里子の事でショックを受けてる暇もなく始まった銃撃戦に面喰った。
 晃を取り巻く立体映像の世界で晃を殺した奴と旬を誘拐している奴等が
 殺しあっている。
 晃はグルリと周囲を振り向いて何故自分がこんな殺し合いを目撃しているのか
 訳がわからなくなった。
 なんだこれは…?
「万里子、これなんだよーっ!?」
 泣きそうな目でどうしていいかわからず左右を振り向き立体映像に触ろうとする晃。
 新婚当初、晃の為に指に傷を作りながら夕食を作った万里子の不安そうな顔が揺れる。
 晃と万里子の間にあった平凡な幸せと周囲で起きている殺戮は
 あまりにもかけ離れ過ぎている。
 呆然とする晃の側に鳩が飛んできて話しかける。
「アキラ、お前も何かに乗り移れ!」
 いつの間にかロバートが乗り移って操っている様だ。
「す、すまない、ロバート!」
 ハッとした晃は自分が呆けている間にロバートが旬の為に準備してくれていた事に
 感謝した。
 クリスの暗殺者集団がどこから狙っているかわからないアマデウスの部下達は
 前から撃ってくる敵だけでなくどこを狙うというのではなく周囲に向かって
 必死で銃を撃ちまくった。
 ダダダダッ、バンバンバンッと銃の爆音が響き渡り、
 さっきまで静かな平日の人気のない場所が血で血を洗う殺戮の舞台になった。
 走りながら振り返りその騒ぎを見て旬はコーフンした。
「わーっ、マジかよーっ。超ー楽しいーっ!」
 アマデウスを守る部下達を狙う狙撃手は正確に男達を捉え、
 部下達は足や腕、腹や背中を撃たれ叫んだ。
「あああああああ!」
「ぐふっ!」
 無様に手足を広げて倒れる部下の後ろに構える部下が周りに銃を撃ち込むが
 すぐに狙撃手の弾丸が捉え静かに撃ち込まれた弾丸の衝撃で身体を痙攣させ
 膝を折り曲げ前のめりに倒れる。
 しかし本来依頼された標的・アマデウスをまだ捉えきれない。
 夥しい血が殺された男達の全身から流れ美しい景色を汚した。
 その撃たれて倒れた部下達を盾にしてアマデウスはボートに必死で走っている。
 ほんの短い距離なのに恐ろしく遠い。
 警察の動きには警戒していたがこんな展開は予想していなかった。
 自分を守らせている部下達がどんどん撃たれて崩れていき
 遂にアマデウスと旬の周囲も空間が開いた!
 アマデウスの部下が塞いで狙えなかったターゲットを捉えた狙撃手は
 本来の殺害依頼されたアマデウスとその側を走る旬に狙いを定めた。
 しかし撃たれて転がるアマデウスの部下の隙間を鳩が飛んできて
 旬の前でバタバタと羽ばたきし庇ってくれた為、銃弾のたてとなり
 旬が見る目の前で撃たれてしまった。
 そして鳩は血を吹いて地面に転がり落ちた。


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