さあ世界を征服しよう!−145 晃の新生活

May 01 [Sun], 2011, 11:39
「マジー?俺もしかして雌犬にあったら発情しちゃうかな?」
「ああ、たぶん。」
「ああ―――、父親の威厳台無しだーっ!」
「もともとないんじゃなかったけ?」
 ロバートの鋭いツッコミに晃は恥ずかしそうにクーンクーンと地面を這った。
「でも丁度いいよ、この犬を飼ってみよう。」
「いいんですか?先生。」
「うん、ちゃんと世話できる?」
「はい!ありがとうございます。」
 甘栗は友達と仲たがいをして傷ついた旬の心を癒すには犬を飼うのはいいと考えた。
 旬はなんだか随分長い間家を空けていたかのような錯覚を抱きながら
 甘栗と楽しく笑いながら家に帰った。
 旬と甘栗について行って晃も我が家に戻る。
 いつもはコンドミニアムのドアマンに自分が見えないから無視されるのに
 今日は笑顔で見つめられ晃・犬は一応頭を下げた。
「新鮮だなー。」
 エレベーターに乗る感覚も久しぶりだ。
 晃は廊下を走って家のドアの前で待った。
「??家を知ってるのか?やっぱり晃か?」
 しかし冷静な旬は犬の嗅覚が鋭いから旬の匂いで分かっただけかもしれないと悩む。
「使ってない部屋がいっぱいあるからどれかをこの子部屋にしようか。」
 甘栗が提案したが晃は絶対旬の側がいいと旬の部屋に走って旬のベッドに入りこんだ。
 ロバートがぐったりする晃・犬に話しかける。
「急にどうしたアキラ?」
「つ、疲れた。このジジー犬昨日の運動で体中痛むし、心臓も弱ってるよ。」
「そうか、年をとると大変なんだな。」
「俺じーさんになる前に死んじゃったから、こんなの初めてだよ。
 昨日からずっと弱音も吐かないで俺頑張ったのよ。俺偉い?」
「ああ、偉いよアキラ。」
「えへへ。」
 旬の部屋で犬のくせに大の字で寝る犬を見て旬は呟く。
「このバカ犬…。やっぱりアホの晃か…?」

 ニュージャージーのハンスの屋敷には朝から警察が大勢出入りして賑わっている。
 ヨハンが逮捕され別宅の高級娼館のサロンだけでなく
 自宅の方にまで警察が家宅捜査に来たからだ。
 ヨハンの書斎などから色々な物を持ち出しすのをハンスは半べそをかいて見ていた。
「何でこんなことに…父上〜。」
 書斎でガタガタ人間が出入りし会話する物音を横嶋は隠れ部屋から聞いていた。
 たくさんの人間がザワザワ話しているがこの部屋には気付かないようだ。
 騒がしい隣の部屋を無視し横嶋は昼飯の弁当を食べ、設計図を睨み、
 トイレにこもってうんこをしながら真面目な顔のまま考えた。
 桐生の野郎〜、何をやらかしたんだ〜?
 ハンスの方は横嶋が今にも騒ぎだすんじゃないかとヒヤヒヤしながら青ざめていたが、
 この騒ぎが旬が起こしたものではないかと考えた横嶋は旬の邪魔にならないように
 じっとしていた。横嶋はすっかり旬の奴隷と化しているようだ。
 ハンスが真っ青になっている頃、事件を起こした当の旬は甘栗と犬を飼う為に
 首輪とリードと犬の餌とトイレを買いにいったりして楽しく過ごしていた。
 旬は晃・犬の背中を撫でてやると晃は嬉しそうにハッハッハッと舌を出す。
「アキラ、お前の名前はアキラだからな!」
「おっけー!っていうか俺晃だし。」
 嬉しそうに舌を出しながら後ろ足で立ち上がり旬にしがみつく晃・犬。
 大きな犬だから立ち上がると旬より少し大きいくらいで、顔がちょうどくっつく。
 旬の顔をペロペロ舐めて晃は幸せをかみしめる。
「犬、最高ー!」
 旬が後ろにのけぞるくらい暑苦しく抱きついて来る犬にちょっと旬は考える。
「本当に晃ならこれってあいつの思うつぼか?」
 万里子にそっくりな息子に何かと抱きついてキスをせがんだ馬鹿親・晃が
 その姿で抱きついてきたなら怒っているところだが犬だから旬も迷う。
 晃・犬は家の中ではとにかく旬にべったりくっついて離れなかった。
「アキラ、ほら飯だぞ。」
 旬がドッグフードを盛り付け差し出す。
「うげ!ドッグフード!勘弁してよ。俺に犬の餌食えっていうの?」
 晃は嫌な気分だが本体の犬は長年まずい残飯ばかり食べていたのが
 高級な餌の匂いがしてあっさり食いついた。
「あれ?うまい??うまいよこれ!」
 犬がおいしいと感じる信号を受信して晃もおいしく感じている。
「よかったなアキラ。」
 優しいロバートはとにもかくにも息子と触れ合える晃の喜びに共感してあげた。
「うめえ、うめえ!」
「ただし人間のプライドを忘れるなよアキラ。」
 犬の生活にあっさり慣れて楽しむ晃に一応釘もさしておいた。

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犬生活楽しいー!
よかったな。
お前も犬どう?
俺は遠慮するよ。

さあ世界を征服しよう!−146

May 02 [Mon], 2011, 11:40
「いってらっしゃーい。」
「行ってきまーす。」
 月曜何事もなかった様に車で送ってもらって大学に向かうが、
 いつもと違って付いてきた晃・犬を旬はキャンパスの木にくくりつけた。
「お前はここで待ってるんだぞアキラ。」
「俺も行くー。」
 立ち上がって前足で旬を追いかける真似をする晃にロバートが諭す。
「アキラ、お前は脳からの出入りが上手くできないんだからここで待ちながら
 練習してろよ。俺がちゃんとシュンを見ててやるから。」
「練習すんのめんどうくさいよー。」
 ガキみたいなことを言う晃に手を振ってロバートが旬の側についた。
 しかし旬は大学キャンパスを少し歩くと、携帯を掛け始めた。
「もしもし横嶋?僕だっ!どうだ警察が来たろう?もういないか?そうかいいぞ。
 ハンスがいなくなったら連絡くれ!いない?そうか、これからすぐそっちに行く。」
「おいおいシュン、何をする気だ?」
 ロバートはまた旬が何か始める気かと心配し旬の肩を掴む素振りをしたが
 当然その手は空を切って旬は来た道を戻り素早く外へ歩いて行く。
 木にくくられた晃・犬の前を旬が通ったから晃がワンワン吠える。
 旬が仕方なく晃・犬の側に言って吠えるなと命令する。
「どこ行くんだよ旬!」
 晃が旬に連れて行ってくれとジタバタする。
「おい、アキラは留守番だ!」
「駄目だ、こら旬!」
 晃が犬の前足で旬に抱きついて制したが旬は晃・犬を振り払って外へ行ってしまった。
 旬はすぐタクシーを見つけ走って行った。
「しゅーん!」
 するとロバートが飛んできて晃・犬は何もない所をじっと見上げた。
「アキラ、俺が探ってくる、場所がわかったら教えに来るから待っていろ。」
「ありがとう!ロバート!」
 晃はつくずくこの親友に感謝した。
 ロバートはまるで自分の子供の様に旬の事を心配してくれる。
 また晃はふとロバートの過去を考えた。
 俺と同じ様に子供の事でも何か後悔してるんだろうか?
 でもそれなら自分の子供はどうしたんだろう……?
 しかしロバートが自分から話してくれるまで待とうと晃は思った。
 ロバートは飛んですぐタクシーに追いつき旬の横にバッと座った。
「何をする気だ?シュン。」
 ロバートが話しかけても当然旬の可愛い顔は無表情。
 タクシーはヨハン・サム・ソングの本宅に走り、
 着くと旬は降りて周囲を用心深く見た。
 遠くからそっと窺うが門がしっかり閉められてこっそり侵入は難しい。
「チッ、どこから入るか…。」
 旬は屋敷の周りをぐるぐる回り、壁の隙間を見つけてそこから侵入した。
 こっそり裏口に回ると薄いゴム手袋をしてから、横嶋に電話をかけた。
「しっ、大きな声を出すな。いま裏庭にいる。ヨハンの書斎は近いか?
 ハンスは戻ってないな?ポリもいないんだな?」
 旬はどうやら隠し部屋に行きたいようだ。
 しばし横嶋とひそひそ話してから裏側のドアからそっと屋敷内に侵入した。
 人の気配に注意しながらヨハンの部屋を探す。
 もう危ない事はしないと言っておきながらのこの僕の様子を見たら
 ウォーレンが激怒するだろうな…なんて思いながら。
 少し行くと横嶋が四つん這いになって旬を迎えに来ていた。
「こっちだ〜〜〜。」
 一応声をほとんど出さずに手招きする。
 旬も黙って頷き、ヨハンの部屋に入るとすぐ隠し扉を開けて二人は隠し部屋に入った。
 もっと薄暗い部屋かと思ったが電気が煌々とついていて意外に明るく広かった。
 そのほぼ中央に浮遊する特殊合金を見て旬は驚いた。
「おお、なるほど、確かに浮いている。」
 旬は興味深くその金属を触った。
 横嶋が電流のスイッチをオフにすると旬の腕の中に特殊合金は落ちた。
「軽いな!いったい素材は何なんだ。化学式を知りたい。ハンスを捕まえられないか?」
「ああ、あいつは今ヨハンのオヤジが移送された拘置所に面会に行った〜。
 だがここはまだポリスが来るかもしれないからな〜。」
「うん。大学の方がいいか。奴は来るかな?」
「わからね〜〜。」
「話があると言っておびき出すか。まあ実際話があるんだが。」
 旬は電流を入れ直して特殊金属が浮く様を観察し、装置をあれこれいじった。
「駄目だ、さすがに専門外はわからない。
 隠し部屋のどこかに何か書類でもあればいいが。」
 旬は今度は部屋を探索し始めた。部屋の奥に置いてあるパソコンをいじくる。
「パスワードはなんだ?まさかMARIKOじゃないだろうな?」
 旬は笑って冗談で入れてみるとパソコンは起動した。

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さあ世界を征服しよう!−147 断ち切れない血の絆

May 03 [Tue], 2011, 12:35
「呆れた。あのオヤジ本気で万里子に惚れてんのか。」
 旬はこの間の気色悪さを思い返して、気持ち悪そうにベロを出した。
 色々調べていくと、ヨハンの裏取引の数々が出てきた。
 マフィアを介して武器の横流しをしている。その相手はテロリスト。
「これは国家反逆罪だぜ!」
 旬は笑った。
 さらにどんどんデータに侵入すると、何かの複雑な化学式が現れた。
「!こいつか?」
 旬は画面を凝視した。その眼は不可解な暗号を解こうとしているかのようだ。
 後ろで同じように画面を読んでいる横嶋を振りかえり尋ねた。
「横嶋、どうだわかるか?」
「ああ〜、俺様は天才。大体わかった。しかしまだわからね〜とこがある。」
「ハンスは最も重要なところは自分の頭に入れておくタイプだな。
 いいだろう。よし、もうここには用はない。
 横嶋、お前はこのまま宇宙船の設計をするんだ。」
「ええ〜〜〜、俺帰りたい〜〜〜。」
「もういつでも出入り自由なんだろ?別に隙を見て帰ればいいじゃないか。
 奴らの資金と工場を使って宇宙船をできるだけ完成させてくれ。
 それにあと少しスパイしてもらえればそれでいいからさ。」
「スパイ〜!カッコイイ〜〜〜!がんばるぜ〜〜〜。」
 旬も横嶋もなんだかんだ言ってもまだ13歳と14歳。
 子供達はスパイごっこを楽しんだ。
 全てのデータをコピーしてから旬は来たとき同様慎重に屋敷内を裏口に戻り、
 壁の隙間から外に出て慌ててタクシーに飛び乗り大学に向かった。
 晃がロバートの知らせを待っていたが割と早く旬が戻ってきたのを見て
「旬!ロバート!どうだった?」
 ワンワン吠えて旬を呼びとめたが旬は次の講義に間に合わせようと
 晃・犬を一瞥しただけで走って行ってしまった。
「アキラ、シュンはヨハンの屋敷で特殊合金を調べていたぞ。」
「特殊合金?何だっけそれ?」
「俺も見たよ。浮遊する不思議な金属だ。」
「あいつの専門は遺伝子工学だろう?そんな金属をなんに使うんだ?」
「わからないな。」 
 旬は教室に着くと授業に集中した。先ほど見た特殊合金の事を考えながら。
 その頃ハンスはヨハンに会いに拘置所に来ていた。
 面会室はいくつかの席が並び簡単に仕切られハンス以外に他の犯罪者と
 面会に来た家族が隣り合っている。
 壁にある電話を取ってヨハンとハンス親子が顔を突き合わせて話している。
「父上〜、警察が屋敷にまで来ました。わたしはどうしたらいいんでしょうか?」
「落ち着けハンス、大丈夫だ。」
 と言って声を出さずに口の形で隠し部屋の無事を確認した。
「犬小屋は無事です。犬(横嶋)も静かにしていました。」
「おおそうか。あの犬もそこまでバカではないんだな。」
「はい、私も意外でした。」
「私はしばらくここにいるしかない。ところでキルユーはどうした?」
「知りません、今日はわたしは大学にも行ってない。
 父上はまだあんな奴に執着してるんですか?」
「あれは凄まじい金になるのだ。一度キルユーに会って、
 また落ち着いたら仕事をしてくれるように頼んでくれ。」
「あんな奴にわたしが頼むなんて、嫌です!あいつはわたしを馬鹿にするんだ!」
「いいから行けっ、パパの言う事が聞けないのか?」
 ハンスは嫌な顔をしたが父の命令には従う事にした。

 ヨーロッパの小王国、王都から少し外れた森の中に万里子の現在住む小宮殿が見える。
 万里子が今日も晃を失った痛みと悲しみで伏せっているところ電話が掛った。
 けだるそうに華奢な身体を動かしてアンティークな電話を取ると夫だった。
「あなた?」
 万里子が可愛らしい声で語りかけると夫・ハイツファイザー伯爵はいつもと違って
 万里子への愛を囁くのではなく緊張した声音でまくしたてた。
「おお、マリコ!私の女神!実はちょっとした頼みがあります、いえいえ、
 簡単な事です。私の口座からニューヨークの裁判所に至急お金を振り込んで下さい。
 あとは弁護士がなんとかします。全く心配ありません。」
 万里子は驚いた。警察沙汰など起こす様な夫ではないのに?
「何がありましたの?あなた?私には正直におっしゃって。」
 ハイツファイザー伯爵は万里子の心配そうな声を聞いて飛び上がって喜び、
 声も上ずった。

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万里子ちゃん久々登場

しかしタイミングいいのか悪いのか世界情勢…困

さあ世界を征服しよう!−148 万里子に突き付けられた現実

May 05 [Thu], 2011, 11:33
「私の女神!私の永遠の妻!あなたは今私を心配して下さった!そうですね?マリコ!」
「ええ、もちろんですわ。あなたは私の夫で恩人でもあります。
 どうか何があったのかを正直にお話ししてください。」
 妻になって貰えはしたがどこまでも片思いで頭がおかしくなるほど想っている
 万里子に優しくそう言われて喜びのあまり伯爵はベラベラ全てを話してしまった。
「実はマリコ、あなたの息子がニューヨークの高級売春でデビューをするという案内状
 が届きました。それで私は急いであのマリコ人形を買おうと思いまして、
 この間サロンに飛びました。残念なことにたまたま運悪くニューヨーク市警の
 一斉摘発に捕まりましたから、それで保釈金を支払ってもらいたいのです。」
 万里子はそれを聞きながら目眩がして側にあるソファーに座り込んだ。
「旬が…ニューヨークで高級売春?あの子は今大学で勉強しているはずですが…。」
「そうですね。アマグリは十分おこずかいをあげなかったのかもしれませんね。
 とにかく私はマリコ人形を一刻も早く抱きたかったので競りをしました。
 一晩40万ドルまで上がってみんな譲る気がなかったので結局3人一緒にあの子を
 楽しむという事になったのです。あと少しだったのに残念です。
 可愛いマリコ人形…本当に実物はあなたにそっくりですよ。」
「まあ…!」
 万里子は夫が平気で話した酷い内容に気絶しそうになったが…
 しかしなんとか頑張って夫に話した。
「あなた、あの子が日本にいた時からおかしな噂がある事は知っていました。
 どうかあなた、今度そういう話があったら、あの子を買うのではなく、
 あの子を諫めてください。」
「ええ、ええ、そうします。みんなに身体を売ってはいけないと言います。
 私がおこずかいをあげるからと。」
 万里子はもう話すのは無駄だと思った。この夫は全く理解する気がないのだから。
 仕方なく逮捕された場所や専属弁護士のオフィスなど必要な事を聞いてメモをする。
「…あなた、わかりました。
 これからイギリスに向かい弁護士と話しますから待っていてください。」
 電話を切って、すぐにアメリカに雇ってある探偵に電話をした。
「私、万里子・ハイツファイザーです。
 ええ、息子旬・桐生の新しい情報を知りたいのです。」
「夫人、私の手元にある情報ではシュン・キルユーは大学で静かに勉強していますよ。」
「まあ、そうですか。それならよかったですわ。
 また何か新しい情報があったらお願いします。」
 次に万里子は夫が逮捕されたと言ったニューヨーク市警の分署に電話をしてみた。
「私、先日拘束されたハイツファイザー伯爵の妻です。教えて下さい。
 夫は何をしましたか?」
 事務手続きをする部署は報告された書類の事実だけを万里子に話した。
「御主人はニューヨークの高級売春サロンでほんの13歳の少女を買おうとし連行され
 ました。少女は東洋人で名前はマリコです。それ以外はお報せ出来ません。」
 13歳の少女…名前はマリコ…。万里子は電話を切るとそのまま気絶した。
 1時間ほどして、目が覚めるとなんとか万里子は起き上がり服を着替えて
 久しぶりにイギリスの自宅に戻り夫への保釈金を支払う為に弁護士とも会った。
 イギリスの中心部にある専属弁護士のオフィスへ万里子が現れるとスタッフの男女
 そこに予約して来ていたクライアントさえが万里子の美しさに目を奪われた。
 通された部屋で静かに万里子が待っていると入ってきた弁護士が口ごもる。
「お、お待たせしましたハイツファイザー夫人?」
「ええ、夫から連絡があったと思いますが?」
「え、ええ、そうです。ああ、ちょっと待ってください!」
 弁護士は万里子に会う男なら誰でもする反応で、
 真っ赤になりところどころ噛みながら話した。
「お願いです。見せて下さい。夫に届けられたサロンの案内状を。」
 普段は落ち着いているだろう弁護士はガタガタとあちこちに身体をぶつけながら、
 同じ案内状を持っていた伯爵の友人から預かった案内状を見せた。
「これは貴族や資産家などにだけ贈られる特別な案内状。このサロンは
 高級売春サロンです。」
 万里子は震える手でおそるおそる中身を見た。
 下着姿の美女が破廉恥なポーズで映っている中に自分の顔があった。
「旬…。」


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さあ世界を征服しよう!−149

May 06 [Fri], 2011, 11:41
 旬が遠くを見ているような表情で写った写真の下にマリコ・ドールと名前がある。
 13歳の少女売春婦は旬…旬はこの私を売ろうとしたのね…
 万里子の顔色は青白くなり、日本での売春の噂もやはり事実なのかもと
 朦朧とした意識で思った。
 旬は私を売った…旬は私を憎んでる…旬の父親・晃を殺したのは私……。
 私の罪を断罪してる…。
 立ち上がった途端にふらふらした万里子を弁護士はこれ幸いと抱いて支えた。
 万里子の髪がこぼれ花の様な香り柔らかい身体がしなだれて
 弁護士の頭にいやらしい想いがぐらぐら湧くが、万里子はその手を制し
「大丈夫です。ありがとう。失礼します。」
 そう言ってなんとか車に乗って、屋敷に戻った。
 そのまま小王国には戻らずしばしイギリスの屋敷で不安な思いで待った。
 数日して夫が帰って来て、自分を万里子が心配して待っていてくれたと勘違いし、
 感極まって膝を折って万里子の綺麗な華奢な身体にしがみつくと泣いて喜んだ。
「私の女神!やはり本物は偽物とは違います。私が間違ってました!
 マリコ人形はただの人形です。あんな人形の為に捕まるなんて!
 あなたを裏切る気持などこれっぽちもありません。
 めったに会えないあなたの代わりにあなたを模した人形を抱きたかっただけなんです。
 どうか私のあなたへの真実を疑わないで下さい。」
 伯爵は旬を人間だと思っていないので、誤解しないでくれと何度も万里子に懇願した。
「あなたお願いです。もうあの子には近ずかないでください。」
 万里子は母として息子を案じたが、伯爵は勝手な勘違いをして大喜びだ。
「ああ、嬉しいよ。あなたが嫉妬してくれるなんて。でも誤解しないで下さいね。
 本当にあの人形には何一つ感情はありません。本当なのです。」
 万里子は話の通じない夫に困り果ててわかったわと、答えた。
 それから万里子は具合が悪いからと言ってもう1日だけいて下さいと懇願する夫を
 置いて小王国の屋敷に帰り、その日からずっと寝込んでしまった。
「旬…、私を許して…。」
 万里子は虚ろに眠り、うなされながら旬に許しを請い…
 その美しい目からは涙が零れた。

 警察への対応などが一段落付きハンスは大学に行けるようになると、
 会いたくないが旬に父・ヨハンの伝言を伝えに行った。
 いつも金で雇う大学生二人を見つけて命令する。
「おいお前たち、こずかいをやるからついてきてくれ。」
 しかし二人の大学生は互いに顔を見合わせて笑う。
「警察に逮捕された市議会議員の息子の頼みを聞くのは嫌だね。」
「俺たちまで同じだと思われる。」
「え?ええ〜?」
 二人は嫌味な顔でハンスを嘲笑うとどこかへ行ってしまった。
「なんて奴らだ!父上に言いつけてやる!」
 ハンスは一人で旬に会わなければならないと考え怖くてドキドキしたが、
 父の命令なので仕方なく旬に話をつけに行った。
 昼時で食事を終えた旬を見つけ不安な気持ちを隠して近寄ると、
 振り返った旬は思いがけずハンスを笑顔で迎えてくれたのでとりあえずハンスは
 殴られなさそうだと思ってホッとした。
「よう売春婦。父上からの伝言だ、またいずれサロンを開くから待っててくれって。」
「ああ、びっくりしたよ、警察が入ってきたんだぜ!僕は女の子の格好してたから
 偽名を使ってなんとかごまかして逃げたんだ。つかまってたらヤバかった。」
「そ、そうかとんでもないお披露目だったな。」


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