桐生親子の事件録―214 召喚 契約 そして呪文

August 01 [Sun], 2010, 12:09
 今、目の前にある月光の様な白皙の美青年が
 まるで太陽の様な輝きを放つ晃の悪戯っ子の様なクリクリの笑顔に変わる。
 万里子を見つめる生意気な悪戯っ子!
 万里子は俺のモノ!俺のモノ!俺のモノ!
 すると万里子の表情は明らかに変化した。
 万里子の身体はピクピクと反応し、万里子自身が快楽を求めて身体をくねらせ、
 快感で可愛らしい恍惚の表情へと変わる。
 興奮しだした万里子はピクピクとのけ反った。
 しかしクリスに晃を重ねた万里子は自分を愛撫する晃の顔が見え、
 クリスの腕が晃の腕に変わり、クリスの青い炎が晃の真っ赤な炎に変わり
 万里子の全身を舐める。
 愛しているよ万里子!
 嘘つき!嘘つき!晃は私をだましてた!わたし以外にたくさん女がいるじゃない!
 晃の言う事は全部ウソだったのよ!
 万里子は想像の晃に抱かれて興奮する自分に怒りを感じた。
 私を愛してくれないあんな奴の為に自分がおかしくなるなんて……!
 万里子の脳裏にたくさんの女達を抱いてる晃が見えて胸がきゅーっと締め付けられる
 様に苦しくなった。
 晃と別れてずっと静かに王子と心を結ばせて暮らして来たのに……。
 晃がいたら私は変になる…晃は絶対にしななければならないの…優しいあの人の為に。
「ハア…ハア…。」
「マリコ!」
 クリスは興奮しながらも我慢し
 できるだけこの大切な時間を大切にしたかった。
 ただ性急に快感を貪りたくなかった…だからそうしたくてもう堪らないと思いながら
 クリスは己に耐え、そして万里子の熱い体内に遂に一つになった時、
 性がこんなにまで神聖なものなのだと初めてクリスは知った。
 この世で最も愛する女性との性はクリスに衝撃的な、頭の芯がしびれるような快感を
 与え、永遠にこうしていたいという願いを抱かせた。
 欲望という簡単な言葉では表しえない…愛。
 こうまで深く求め愛する女性との結ばれる事がこれほどまでに幸せだとは…。
 クリスが万里子の中で果てて、クリスはこれ以上ないと言う喜びで声をあげた。
 行為が済んで万里子もクリスもぐったりしていたが、万里子は囁くようにお願いした。
「東京に住む私の元夫…晃・桐生と、私の息子、旬・桐生をころして欲しいの…。」
 クリスはじっと万里子の麗しい顔が…その可愛い唇が語る言葉を見ていた。
 クリスは驚くよりうっとり聞き返した。
「あなたの元夫…アキラ・キルユー…をころす…。」
「ええ、私の関与が疑われない方法で…出来る…?クリス。」
 クリスは優しく微笑み頷いた。そして万里子の唇に何度もキスを繰り返した。
「ころします。アキラ・キルユーを。必ず。ころします。」
 晃をころす、その言葉は万里子をうっとりさせた。
 その万里子の表情をクリスは堪能し、繰り返した。
「アキラ・キルユーに死を……。」
 万里子とクリスはじっと互いを見つめ、魔法の言葉に酔いしれた。
 朝が来て使用人が動き出す前にとクリスは万里子の屋敷をそっと出た。
 興奮がクリスを包み喜びがクリスを輝かせた。ハーバートは帰ってきたクリスが明ら
 かに変わったので驚いた。その自分を見るハーバートにクリスは生き生きと話した。
「どうした?なんて顔だ?ハーバート!私は別人になったか?」
「ええ、別人に見えます。…いかがでしたか、マリコ・ハイツファイザーは。」
「それをどんな言葉で表現できるだろう?お前にいくら賛美の言葉を重ねても理解はし
 ないだろう。だが私はマリコの恋人になったのだ!この私の腕の中でマリコが!
 私の女神が喜びで震えたのだ!」
 クリスは今にも踊りだしそうなくらい興奮し幸せそうにハーバートの肩を掴んだ。
「………。」
 ハーバートは何かクリスに冷や水を浴びせてやりたいと感じてそして言った。
「恋人ではありません。不倫。貴方は愛人になったんです。」
 しかしクリスは輝くように笑った。
「あはははははは。そうだ!私は愛人になったんだ!はははは。マリコの愛人だよ!」 
 過去クリスが声を出して笑うところなど見た事がなかったハーバートは驚いた。
 それでもうどんな嫌味や皮肉も通じなさそうだと見てハーバートは無視を決め込んだ。
 クリスは喜びながらも万里子の願いを急いで叶え万里子に喜んでもらいたいと願った。
 自分がどんなに有能であるか、万里子に知ってもらいたいのと、早く罪を犯して、
 万里子と罪悪という名の結婚がしたかった。


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桐生親子の事件録―215 晃を捕らえるクリスの手

August 02 [Mon], 2010, 11:00
「急げハーバート!急いでトーキョーに暗殺者を差し向けろ!
 標的はアキラ・キルユー!
 ふふふ。マリコの元夫!そしてマリコの、息子、シュン・キルユー!
 この二人を抹殺するのだ!急げ!時が経つ!彼女を奪う唯一のチャンスが失われる!」
 クリスは万里子が何故元夫ばかりか、実の息子を殺したいかという興味よりも、
 気が変わって殺人依頼を取り消す方を恐れ、今しかないのだと焦燥した。
 クリスは昨夜の夢の時を一夜限りの思い出にする気はなかった。
 マリコを手に入れる!永遠に離さない!
 …急がなければ、彼女を捉えられない…!
 しかしハーバートは驚いた…自分の息子を殺したい女?なんて酷い女だ。
 そんな女をクリスはこうまで愛してしまったのか?
ハーバートは万里子本人を見た事はないが噂で悪魔の様な女だとは聞いていた。
 ハーバートが絶句して深刻な顔でクリスを見ているので、クリスは笑った。
「さあ、ハーバート!どうした何を考え込んでいる?お前は私の命令を聞けばそれで
 いい。急げ、急げ!チャンスは待っていてはくれないんだ!」
 ハーバートは携帯を取りだし、最も早く東京に潜入できる暗殺者を選定するように
 何者かに命令した。
「そうか、それならすぐにトーキョーに潜入出来るな。
 ターゲットはトーキョー在住のアキラ・キルユー。そしてシュン・キルユーの
 キルユー親子だ。ああ、全て任せる。とにかく急いでくれ。」
 クリスはハーバートが指示するのを聞きながら満足して目を閉じ、
 夢の様な時間を思い返した。そして自分の女神の名を呼び続けた。
 マリコマリコマリコマリコマリコマリコマリコ………。
 月がどんよりした雲の合間から微かに光を放射し、雲の周りは虹の様な色を映した。
 ずっと雨が降り、久しぶりに晴れた夜闇に満月が綺麗に浮かんでいた。
 晃は仕事が終わった後も一人会社に残り社長室で電気も点けず室内は真っ暗、
 窓から見える東京の夜景の明かりだけで酒を飲んでいた。
 すっかり飲んでぐでんぐでんになって目も据わっている。
 晃は旬と甘栗、万里子と王子の両方に激しく嫉妬を抱くようになった今は
 その辺の女と軽く遊ぶ気も豪遊する気もなくなった。
 もう我慢ならない怒りでそんな気晴らしも楽しめないどころか他の無関係の笑ってい
 る奴らにまで憎悪の炎を燃やし怒りが湧くようにすらなっていた。
 かといって家に帰ると弱った旬がいてそれがまたどうにも腹立たしい。
 あの小生意気な餓鬼が、なんなんだあのていたらくは!
 最近の旬は更に食が細くなってしまったから、以前と比べて別人のように弱々しい。
 今も自分の部屋で寝込んでいるんだと思うとイライラしてくる。
 実際旬は今日もほとんど起き上がれずベッドで寝て暮していた。
 今の旬の心は甘栗に見捨てられる不安でいっぱいなのだ。
 なんだかんだいっても旬は甘栗にとっては赤の他人…戻ってくる義務は一切ない。
 だが旬は思った…先生が戻って来なくても俺は恨みはしない。
 むしろこんな俺に少しでも憐れみを掛けてくれた事を一生感謝します。
 誰からも愛された体験がない旬にとって甘栗の差しのばしてくれた手はそれだけで
 ありがたかった。人ごろし…そんな事実をも甘栗は受け入れようとしてくれた。
 さあ安心して、ぼくは君の味方だよ…甘栗は優しく微笑んでそう言ってくれた。
 旬はあの日の感動を思い起こすと涙が溢れる。
 嫌われて当然、そんな奴と関わりたくないのが普通だ。
 それなのに先生は俺と将来一緒に働こうと言ってくれた。
 ありがとうございます先生。
 旬は甘栗に愛を求めないと決めていた。
 甘栗が自分を見つけて同情し救おうとしてくれた、…それだけでいいのだ。
 しかし旬のそんな切ない想いを晃はこれっぽっちも思いやらなかった。
 晃は自分の気持ちだけでもういっぱいいっぱいなのだ。
 それで今日も家にも帰らず晃は社員が全て帰った後一人ずっと酒を飲み続けている。
 途中もようしたのでトイレに行った。
「うー―――いっ、ひっく…。」
 などと唸りつつ用を足して暗い廊下をフラフラ歩いてまた酒を飲もうと
 社長室に戻った。
 自分の社長室のドアを開けると突然部屋の暗い影から3人の男達がサッと現れた。
 ――その男達は全員が白人で黒いスーツを着て白い手袋をしていた。
 晃はいつ侵入したのかも知らない不審者達の素早い動きに
 何の反応もできないまま口を抑えられ身体を抱えられ
 既に開けられていた窓からそのまま落とされた。
 晃の会社は都心一等地の古いビルの11階建てで、社長室は最上階だ。
 窓から突然投げ落された晃はそのまま下へ落ちて行った。
 暗い社長室で男達の一人が一言言った。
「アキラ・キルユーは済んだ。次はシュン・キルユーだ。」
 そして素早く現場を立ち去った…
 …これは万里子の依頼した暗殺者だった。



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桐生親子の事件録―216 晃の死

August 04 [Wed], 2010, 11:10

 ――晃は11階を落ちて行った……。
 そして晃の脳裏に走馬灯のように子供の頃からの思い出が次々湧いてきた。
 晃がまだ子供の頃交通事故で死んだ父親と母親…
 母親は晃を庇って死んだ……。
 施設や学校で喧嘩ばかりした子供時代、でも晃はみんなの人気者。
 ケンカをしては友達が増えて友達や仲間の輪の中心にいつも晃の笑顔があった。
 みんなの笑顔が晃を呼ぶ…
 晃!晃。晃ー!
 全ての思い出が晃の周囲を流れていく…。
 向こうから輝く光がやってくる!なんて綺麗な大きな輝き!
 万里子だ!
 万里子が見える!ウエーブの掛った長い艶やかな黒髪…揺らめく黒い瞳…
 輝いている!
 輝く万里子の美しい顔が晃に囁く。
 晃わたしを愛してる?
 愛してる!永遠に愛してる!この気持ちは絶対に変わらない!
 しかし万里子は消えた。
 万里子を追いかけようと手を伸ばした晃の大きな両手の中にふっと、
 小さな柔らかいフニャフニャした感触がすっぽり入ってきた。
 生まれたてのほやほやの赤ん坊だ。晃は喜んだ!
 旬だ!俺の子だ!旬は俺の子なんだ!
 まだ首が座っていない生まれたての旬!
 なんて可愛いんだ!なんて小さいんだ!
 小さな赤ん坊は柔らかくて暖かい…
 これまで点いたり消えたりあやふやだった晃の
 父性のスイッチが突然ポンッとしっかり入った!
 すると旬の生まれてからこれまでのたくさんの表情が一斉に見えてきた!
 すねたり、恥ずかしそうにうつむいたり、口をとんがらせたり…
 いつも憮然とした顔ばかりだと思っていた晃は驚いて笑顔になった!
 旬、旬にはこんなにいろいろな表情があったのか!
 俺は今まで旬の何を見ていたんだろう?
 ……お父さん、たぶんあなたを待ってたんだと思いますよ……。
 突然誰か知らない男の声が聞こえてきた…何の話だろう……?
 そして最後に晃のその目が見たのは……
 ……ポロポロ涙を流す旬の泣き顔だった……。



 


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桐生親子の事件録―217 晃・絶叫!

August 06 [Fri], 2010, 10:50
 ドドド―――――――――――――――――――――――ンンッ!
 地面に何かが激突した物凄い音が聞こえて周囲はわー、きゃーっと騒然となった。
 晃は自分がさっきまで社長室にいたのに突然外にいる事に気付いて驚いた。
 酔っ払ってフラフラ歩いてたら突然誰かに抱えられて落とされたよな?
「あれっ?生きてる?夢だったのか?」
 晃は自分の頭をポンポン触り、顔を自分でペシペシ叩き、
 手足を叩いたがしっかりある!ちゃんと感じる!生きている!
 俺って実は超人で11階から落ちても着地できたのか?
 とこの現実をどう解釈していいか分からず頭をカクッとひねった。
「人が落ちて来た―!」
「うわー!」
「警察を呼べ!死んでるぞ―!」
 晃は人がごった返して大騒ぎする方を振り向いた。
「見ろ!クリアフューチャーの本社から落ちて来た!あの窓が開いてる!あそこだ!」
 人がどんどん集まって人だかりが車道にまではみ出てパーンッとドライバーが
 クラクションを鳴らすのが周囲に響く。
 晃はその人だかりが何にたかっているか知りたいと思った。
 人のごった返す輪を腕で避けようとして驚いた。
 人間達の塊は現実の物体と同じくはっきり見えるのに触ると幻の様に
 晃はすり抜けてポンと輪の中に入ってしまったからだ!
「え??何?なんだこれ?」
 晃はびっくりして人々の顔を見たが、いつもなら晃を見ると好奇心で噂するのに
 野次馬達は誰も晃を見ていない。
 野次馬の目線は全て地面に向けられている。
 それで晃も地面を見た…うつ伏せで男が倒れている…。
 その死体は首が曲がって変な方を向いている凄く無残な姿だ。
「どいて、どいて。」
 すぐ近くの交番から警官が二人やってきたが、警官も幻で晃を通過してしまった。
「な、なんだこいつら?」
 晃は冷や汗が流れそれを腕で拭う…ちゃんと汗を感じる。
 俺は汗をかいている。俺は生きている。晃は自分に言い聞かせた。
 だが、先程確かにいきなり誰かに抱えられ上階から落とされた記憶がある。
 そして今、地面に転がる死体は…晃の目には自分自身に見える。
「そんなはずない…。俺は生きている…。」
 晃はガタガタ震え自分で自分の身体を両腕で抱いた。汗、震え、肉体の感触!
 確実に生きているはずなのに目の前には自分の死体がある?!
「なんだよ、どういうことなんだよおおおおおおー!」
 晃が叫んだがたくさんの人間達の幻は晃の悲鳴が聞こえない。
「見ろ、免許は桐生晃だ。桐生晃の死体だ。」
 死体の服を探って警官が話すのを晃も野次馬も聞いた。
「桐生!桐生が死んだってよ!」
 周囲から悲鳴が湧いた。数人が走って行く。どうしてか?
「マスコミにタレこめ!桐生晃が自殺したぞー!」
 周囲は怒号が満ち満ちた。晃はヨロヨロ後ろ向きに歩いて、腰をおろしてしまった。
「違う、俺じゃない、俺は生きてる…。」
 晃は周囲の全部に聞こえる様に大きな声で叫んだ。
「俺は生きてるんだあ――――――――――――――っ!」
 しかし誰も晃に注意を向けず、どんどん事件処理に動いている。
 晃は待ち構えていたクリスの暗殺者に11階から投げ落とされて肉体が滅んで死んだ。
 全く予期せぬ形で肉体世界から強制的に撤去させられたのだ。
「被害者は桐生晃、そうです、クリアフューチャー社長の桐生晃氏です。
 本社ビルから落下の模様です。家族に遺体の確認を、連絡先は…。」
 晃は驚いた。
「遺体の確認…?」
 救急車がやって来て、人人人のごった返す中晃の死体をストレッチャーに
 のせてシートをかぶせて運ぶ。ワンワンと赤い光が点滅し、なんだかぼうっとして
 きた晃はこの光景をかつて旬が真夜中刺された時に見たなと思い返していた。
 集まった人々や警官が気味悪そうに話をしている。
「見ろよひでえな、顔がなくなってるぞ。これじゃあ桐生晃のイケメン顔も
 台無しだな。」
 晃は顔から落とされそのまま地面に激突、その衝撃で首が折れ晃自慢のモテ顔が
 潰れて無くなっていた。
「可哀想にな、これを見たらあの桐生の息子もショックを受けるだろうな。」
 晃は自分の死体をかたす横で警官達の話を聞いてびっくりして叫んだ。
「ちょ、ちょっと待て、こ、こんなものを旬に見せる気なのか?
 やめてくれ!だ、だめだっ、冗談じゃない! 
 こんな俺を見たら旬がどんなにショックを受けるか…。頼む止めてくれー!」
 もちろん晃の声は聞こえない。
 晃は必死で食い止めようとしたが晃の死体は救急車に乗せられて警察に運ばれ
 全てはまるで幻のように晃の手をすり抜けて晃が何もできないまま
 事は晃を無視して進んで行った。
 現実から取り残された晃はどうにもならない心の痛みで叫んだ。
「旬―――――――――――――――っ!」


全く予期せぬ形で愛する旬と別れる事になった晃に同情のワンポチを
(助けてー!)

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桐生親子の事件録―218 晃・死の波紋

August 07 [Sat], 2010, 11:26
 もう真夜中の晃の自社ビル前にはたくさんのマスコミと野次馬で
 それこそごった返していた。たくさんの芸能人を弄んだ稀代の遊び人が死んだからだ。
「こちらクリアフューチャー本社ビル前です。
 桐生晃氏が11階から落ちたという一報を受けてマスコミが集結しています。」
「あそこです!道路にここから見ても分かるほどのおびただしい血が見えます。
 桐生晃氏の遺体は既に運び込まれ…。」
「現在情報が錯綜しています。桐生氏は何故会社に一人遅くまで残っていたのか?」
「最近のクリアフューチャーの経営不振の責任を株主から問われ…。」
「警備員が最後に桐生氏を見た時間は…。」
 そのニュース映像を見ながら晃の友人達はみんな泣き崩れていた。
 友人達が互いに連絡して叫んだ。
「ああ〜。あきらー!晃がー!晃が死んだー!」
「今テレビ見てる!何かの間違いだ!晃じゃないよ!絶対違うよー!」
「うわあああああああああ!晃ー!晃ー!」
「嘘だろう?嘘だろう?別人だよな!誰かと間違えてるんだよなー!」
 晃と一緒にやんちゃをして、一緒に会社を大きくして一緒に時間を共有した仲間…。
 甘えん坊で我儘な晃、最近は精神的におかしくなっていた晃を
 それでもみんな大好きで、きっとまた元気になってくれると信じていた。
 おかしくなった晃が自殺を図ったのかと友人達の頭に思い浮かばれたが
 それはしかし長い付き合いで晃を知る者達には考えられない余りにも悲しい事だった。
 万里子に会って、晃は変わったが、へらへら明るい周囲を明るくする晃事態の性格は
 変わっていなかったから、自殺は考えられなかったし、考えたくなかった。
「あの晃が自殺なんてあんまりだよー。」
「だけど、事故か?どうしてだ?」
 するとテレビニュースのリポーターは慌ただしく渡された何かの紙を読み上げる。
「今目撃情報が入りました。桐生氏転落後数人がビルから出て来たのを見たと言う証言
 が入りました。これはクリアフューチャー本社には桐生氏以外いなかったという
 先の警備員の証言と食い違います。」
 ニュースキャスターは桐生晃の死に他殺の可能性を報道している。
 無理をして会社を大きくして、晃は恨みをいっぱい買っていたからだ。
「晃…殺されたのか…?」
「もうやめろって言えばよかった…。」
「晃が大丈夫大丈夫って言うから…。」
 晃を甘やかし、晃のやる事についてきた友人達は今、後悔していた。
 晃が殺されると先に知っていたなら全力で裏取引をやめさせたのにと…。
 大ぜいの男女が賑わい酒を飲んでいるテレビドラマの打ち上げの席で
 携帯を見ていたスタッフの男が隣の女に言った。
「桐生晃が死んだぜ。」
 その女は晃の元16股女の一人、そしてスタッフに向かって怒鳴った。
「嘘、嘘よね?いい加減なこと言わないでよー!」
「嘘じゃないよ、今すげえ騒ぎになってるって。」
「何よ!嘘つき!」
 女優が晃の死のニュースを教えたスタッフをバシバシ殴りだすと、
 その場にいた別の女優が慌てて電話を掛ける。
「もしもし?あたし!桐生さんに、…何もないわよね?」
 すると電話をした相手は晃が転落自殺を遂げたと伝えた。
「いやあーっ!晃さんがーっ!」
「嘘よ―!」
 何処かのホテルの一室で頭に大きなピンクのリボンをつけた可愛い女の子が
 大袈裟に喘ぎ声を出し、それをカメラマンが撮影している。
「ハアハアハア、きゃんきゃん。」
「ねえ、桐生晃死んだってよ。」
 現在エロドルを目指しAV撮影に励む元アイドルは耳にその囁き声を聞いて
 目を大きく見開いた後、上に乗ってる男を激しく押しのけ突き飛ばして
 今聞いた噂話を必死で消そうと裸なのに仁王立ちで詰め寄った。
「ちょっと!嫌がらせしないでよ!分かってるのよあんた達あたしを馬鹿にしてるって!
 どうせあたしは警察沙汰になったわよ!でも今の嫌がらせは絶対許せない!」
 カメラマンの後ろで噂話をしていたスタッフは詰め寄られて笑った。
「あ、聞こえた?わざとじゃなくって、あんまり驚いたから、それで…。」
「そうだよ、誰も馬鹿にしてないよ。桐生晃が転落自殺したって
 今凄い騒ぎになってるんだ。でももう別れたんだし、ね、撮影しよう。」
「なんでそんなウソ言うの!酷い酷いー!」
 元アイドルは裸で座り込み泣き喚いて結局その日は撮影中止になってしまった。
 元美人秘書はとにかくクリアフューチャーへと向かい、
 元モデルは泣いて現在処方されている睡眠薬を飲んで寝込んでしまった。
 晃に捨てられてもずっと晃との復縁を願っていた女達は晃の訃報を聞き
 悲鳴を上げた。
 晃を愛しすぎて旬を刺した元女優は今はかなりの田舎に引っ越し、
 スッピンに眼鏡で自分の正体を隠して夜まで工場で働いている。
 その母親はニュースで晃の死を見て、お風呂に入っていた娘が出てくると
 その反応を心配しながら話して教えた。
「…気をしっかり持って聞いておくれ…桐生さんが亡くなったよ。」
 風呂上がりでバスタオルで髪を拭きながら出て来た元女優は
 母親が何を言ってるか意味がわからなかった。
「何言ってるのよ母さん?!」
 母親はテレビのチャンネルを変えて晃のニュースを探してやった。
「現場は騒然としています。桐生晃氏の遺体は現在遺体安置場でご家族の確認を…。」
 元女優の顔は真っ白になり、叫んだ。 
「晃あああああああ!いやああああああああああああああ!」
 晃に完全に無視され捨てられても愛し続けた元女優はそのままバッタリ床に倒れて
 気絶してしまった。



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ほら泣いてないで晃もごあいさつ。
(ううう、うええええん旬ー。)
更新して1時間半過ぎて
物語のこの展開にも関わらず
いつもと同様足を運んでくださっています。
皆様ありがとうございます。
P R
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