デモンドリーム・マンハッタンの悪夢ー397 みゆきちゃん、ごめんね

December 03 [Tue], 2019, 10:01
「これは、感染マウスか?」
 旬がケースを叩いて刺激を与えたら見えなかった部分がパキッと剥離し落ちた。
 刺激されたせいかマウスは白く見えてきた。
「なるほど。擬態か。」
 実験マウスは向こうの壁の色に合わせて静止していたせいで一見見えなくなっただけだった。
 ずっとエサもない状態で実験マウスは周囲の色と同化したまま活動をやめていた。
「大したもんだな。マウスのくせに。」
 ちょっと旬は嬉しくなった。それでマイケルが見つからないのだと分かったからだ。
 時間が来て溶けてしまうわけでもなかった。一安心だ。
 あの姿のままなら発見されて殺されたり実験動物にされかねないが、
 周囲に擬態して同化できるなら当分見つかる心配がないだろう。
 ヤッターと喜んだ旬は感染マウスを入れたケースを持って笑顔で甘栗に報告しに行った。
「先生!みゆきちゃんに感染したマウスは擬態の能力を持ってました!
 周囲に擬態して生命活動を停止できるから餌なしでも生きていたんです!」
 甘栗は大喜びで駆けってきた養い子に笑顔を向けた。
「じゃあマイケルとマークも当分警察や軍に見つからないね!」
「はい!先生よかったです!!」
 ひとしきり喜んで落ち着くと甘栗は濃縮した治療薬を感染マウスに飼料に混ぜて与えた。
 治療薬投与から時間を計測しつつ様子を見ているとマウスに異変が起きた。
 細いマウスがケース内でもがき苦しみ激しく暴れグルングルンと回転後、
 急に全身から湯気が出て変身が解けた。マウスは痩せてはいたがマウスらしい姿になって
 動かなくなった。
 ずっとエサを食べていなかったから衝撃に耐えられなかったのだろう。
 それだけ変身が解ける内的衝撃が大きいのだ。
「変身が解ける直前の反応が問題だね。」
「ある程度体力がないと危険ですね。」
 旬と甘栗はちょっと言葉を失って死んだマウスを呆然と見つめた。死んだマウスが
 マークとマイケルの姿に重なった。
「桐生君、濃縮薬のデータが欲しいから「みゆき」をマウスに感染させてほしい。
 マウスは感染すると狂暴になるからケースは一匹づつ入れて。」
「はい、先生!」
 旬はまた自分たちの研究室に戻って冷蔵庫にしまってある組み換え乳酸菌「みゆき」を
 取り出した。
 発酵させて可愛がっていた「みゆき」のほとんどをバンダム兄弟が飲んでしまった。
 飲む乳酸菌。しかし飲むと変身してしまう凶悪さ。
 旬は少しだけ残っている「みゆき」を冷凍させて保存したが、その容器を抱きしめた。
「みゆきちゃん、君は悪くない。ごめんね。」
 日本でみゆきの通う学校にみゆきを探しに行った。あれから5か月ほどたつ。
 山間の高校。ぽっちゃりしたみゆきの優し笑顔。動画に撮影していてお巡りさんに発見され
 逃げてタクシーに乗って見知らぬ土地へ。クマが出そうな所で警察に保護され、
 みゆきを盗撮していたのがバレてこの世の地獄を味わった。
 もう永遠にみゆきを見ることはないんだと死体のようになった旬を東京で預かっていた
 甘栗太一の弟、
 甘栗総司が見るに見かねてみゆきの所に連れて行ってくれた。
 総司が亡き桐生晃と瓜二つなのを利用して父のふりをし、恥ずかしがって木の裏に
 隠れている旬をみゆきの前に引き出してくれた。





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