いま一度、宗教者の姿勢を問う(6)

January 26 [Thu], 2012, 17:06
この間、続けて自問してきたのは
震災をめぐる宗教界の「応答」のあり方である。

折も折、筑摩書房刊のPR誌・月刊「ちくま」(2012年2月号 491)に、
美術家の森村泰昌氏による「美術、応答せよ!」
と題する一文が掲載されていた。

それは、同じ美術家(福田美蘭)からの
表現者として震災に向き合うのは可能か」との問いに答えたもの。
以下、共感した部分を抜粋する。

 あの三月一一日以来、私のところには連日、東北へのエールを求めるメールやチャリティオークションへの参加など、様々なリクエストがありました。誰それが多額の義援金を寄付したというニュースも毎日のように流れました。私はすべてのエールメッセージにも、チャリティの展覧会にも、義援金寄付にも参加しませんでした。その理由はここでも様々ですが、「みんなと同じことはすべきではない」という芸術家の態度表明としての「ノン」だったということは多分にあります。……「芸術家は何事にも屈しない。震災にも負けない。非常時の文化活動は差し控えるべきという多数派の意見にも賛同しない」、そういう態度表明として、展覧会はやるべきではないかと。

 ……誰もがアッチを向いている時、芸術家はまったく別の方向に目を向けている。それがいいのか悪いのかはわかりません。良し悪しの問題ではなく、はからずも世間様とは違った立ち位置をとってしまう。このヘンテコリンな感受性のありかたこそが、芸術という領域の特質である。だとすれば、そういうヘンテコリンな感受性が希薄化することと、芸術の衰退とは同義であろう。メイクではなくシャベルを。ネイルエナメルではなく素手を。ドレスではなく作業着を。そのように世の中が命ずるなら、なおのこと、私はこのままメイクを続けるべきなのではないのか。

 ……重要なのは、日本国民全体が「がんばれニッポン」などという単純きわまりのないキャッチフレーズを謳い上げる時に、芸術家もそれにあわせて唱和するというような馬鹿なことはやめたほうがいいということです。だって、みんなで同じ絵を描くなんて、いっぱしの画家がやることではない。それぞれに違った絵を描くから絵はおもしろい。被災地に行くか行かないかではなく、今の世の中の趨勢はどういう方向に流れているかと注意深く観察し、ならば自分はいかなる選択をすべきかと想像をたくましくすることが重要である。百人の芸術家がいたら百種類の表現がある。これは健全です。みんな同じというのは不健全極まりない。「違いのわかる芸術家」。これが私の理想なのかもしれません。

*太字は引用者


以上の文章で、「芸術家」や「画家」は「宗教者」
「芸術」は「宗教」にも置き換えられるのではないか。

森村氏は、「『宮崎アニメを観ない』ことによって育つ感受性も
あるに違いない」
との理由で、「観れば感動してしまうのかもしれない」
と思いつつ、あえて「観ない」という選択を固持する。

みんなと同じアッチじゃなく、誰もが興味を示さないコッチを
向く姿勢にこそ、芸術家のあるべき姿を見る思いもする」
という。
果たして、氏のような生き方は、浮世離れした芸術家の単なる
ヘンクツアマノジャクとして切り捨てられるべきものだろうか。

私が抱いてきた違和感の一つは、
ボランティア至上主義とでも言うような震災後の「空気」である。
まるで、被災地に行かない人間は「人でなし」とでも
言わんばかりの、重く冷たい「空気」。

宗教者として震災に向き合う」方法は、決して一つではないはずだし、
「みんなと同じ」でもないはずだ。

そのことを踏まえた上でなお、声を大にして言いたい。

「宗教、応答せよ!」
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福島県出身。TV局勤務の後、5年間の小学校教員生活を経て、長男の誕生を機に転職。現在、週刊「キリスト新聞」、季刊「Ministry」(キリスト新聞社)編集長。いのり☆フェスティバル実行委員会代表。「松ちゃんの教室」本サイトはこちらから。
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